Blodwyn Pig - Ahead Rings Out (2018 Deluxe Edition)
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Blodwyn Pig - Ahead Rings Out (2018 Deluxe Edition) (1969)

1970年代のロックならばリマスターバージョンによる再発が行われていても不思議もないが、21世紀になってリリースされたアルバムでもリマスタリングされたりするし、今じゃベスト盤作る際にはどれだけ新しい録音の曲でもリマスタリングして発売したりもする時代。同じものを何度もは売れないからなのか、やはり機材と技術の進化が著しいからリマスタリングは常にしておくべきなのか、それで種類多くリリースしておく方がコレクター向けには売れると踏んだのか、単純に作る側の事を考えてみれば、常に新しい技術を用いてその時代に合わせた音で聴いてほしいという欲求も大きいように思う。そして70年代の作品のリマスター盤は既に二周目三周目にも入っているようで、90年代に一度、2000年代のどこかで一度、そして近年またリマスタリングされて、とエンジニアも代えて出してくるケースも多く、どこまでコレクターは付き合っていくのか、その中にボーナス・トラックや未発表曲や特別なライブ盤が入ったりするから付き合うのだろうが、いい加減困ったものだ。
Blodwyn Pigの1969年リリースのファーストアルバム「Ahead Rings Out」は元Jethro Tullのギタリストとして名高いMick AbrahamsがJethro Tull離脱後に作り上げたアルバムで、Jethro Tull時代に作り上げていた曲もある事から、Jethro Tullが演奏したバージョンも存在するようだ。それもともかくながら、この作品を聴いてて思うのはJethro Tullのあの不思議な音楽性、音楽の幅の広さ、どこをどう聴いたらJethro Tullと言うバンドが理解できるのか、ロックなのは間違いないが、普通にロックなバンドやアルバムでもなく、ジャズもフルートもブルースも一緒くたになって出されて、さらに歌詞も難解だったりととにかく本当の意味でプログレッシブなアプローチを持ったバンドで、その片鱗がこちらでも存分に味わえる事だ。もっとブルースに寄った作品かと思っていたが、実はそうでもなく、マルチ奏者のジャック・ランカスターが参加した事からとてつもなく幅広い音楽性に対応してしまい、フルートやバイオリン、サックスや管楽器系を奏でてくれるからジャジーにもなるし、プログレッシブにもアドリブ重視にもなり、その相手がミック・エイブラハムと言う感じで素晴らしいと言えば素晴らしいし、理解し難いと言えばその通りのサウンドを奏でてくれる。概ねブルースに準拠した雰囲気はあるものの、ランカスターが出て来ると妙に雰囲気が変わり、それこそJethro Tull的になっていくので、こういった融合性、ごった煮ロック的エッセンスはミック・エイブラハムがバンドに持ち込んだのかもしれない。
このアルバムはなかなかややこしい事になっており、そもそもオリジナルアルバムリリース時からアメリカ盤には収録されてしまった曲「See My Way」が英国盤ではまだ完成形ではないからと未収録となり、またアメリカ盤ではクレジットが抜け落ちてしまった「Backwash」の存在もあり、それぞれ収録曲順も異なっているのもあるらしい。更に事を複雑にしているのは、その後の再発の仕方で、ボーナス・トラックにシングルB面などを入れるのはともかくながら、アメリカ盤と英国盤に未収録の云々と言った曲をボーナスに入れてきたりしたものだから訳が分からなくなってくる。レコーディングしたのはファーストアルバムの頃だから、ファーストアルバムのボーナス・トラックにしたり、リリースがセカンド・アルバム時期だからとそちらに入れたりと統一性もなく、同じ曲があちこちのボーナス・トラックに入ってくる始末。最終決着かと思われたデラックス・エディションでそのあたりがクリアする方向に進むかと思ったが、ファーストアルバムは整理したもののセカンド・アルバムの方はどうなるのか、と悩ましい問題にもなり、究極の解決策として2018年に英国クリサリスが出した策が、この二枚のアルバムとボーナス・トラックをすべて一気に収録した完全収録バージョンとなった。ついでに未発表曲も入れて、早い話がよくあるボックスセットの形態に近いがアルバムが2枚しかないからボックスにはならず、CD2枚組ですべてを網羅したタイトルとなった。
今回アルバムとして聴いていたのはこの2018年リマスター盤「Ahead Rings Out (2018 Deluxe Edition)」で、最初に耳にした瞬間からその音のクリアさと自然なサウンドに痺れた。ジャジーなプレイ、ブルースなプレイ、それこそランカスターの管楽器の音色も含めて実に自然な空気感で目の前で生々しく演奏しているかのように作り変えられていたので聴きやすく、これならバンドの音そのものに集中して聴けてしまうので音楽性が不思議だとか複雑であるような事も気にする事なく楽しめた。素晴らしい音楽集団、アルバムだと再認識して聴いていたが、本来そうやって楽しむべき音楽。ボーナス・トラックの愛嬌はともかく、随分とハイレベルな作品が並び、そこまで聴き込んだ事のないアルバムだったが、この音の自然さにヤラれた。最後の「McGregor Muckabout (Previously Unreleased) 」が10分半もあるので、その演奏ぶりに期待したが、残念ながらなにかの喜劇か悲劇かドラマ仕立ての演劇が繰り広げられているだけで音楽的な楽しみは皆無だった。それでも希少価値は高い収録だろうとは思う。

1970年代のロックならばリマスターバージョンによる再発が行われていても不思議もないが、21世紀になってリリースされたアルバムでもリマスタリングされたりするし、今じゃベスト盤作る際にはどれだけ新しい録音の曲でもリマスタリングして発売したりもする時代。同じものを何度もは売れないからなのか、やはり機材と技術の進化が著しいからリマスタリングは常にしておくべきなのか、それで種類多くリリースしておく方がコレクター向けには売れると踏んだのか、単純に作る側の事を考えてみれば、常に新しい技術を用いてその時代に合わせた音で聴いてほしいという欲求も大きいように思う。そして70年代の作品のリマスター盤は既に二周目三周目にも入っているようで、90年代に一度、2000年代のどこかで一度、そして近年またリマスタリングされて、とエンジニアも代えて出してくるケースも多く、どこまでコレクターは付き合っていくのか、その中にボーナス・トラックや未発表曲や特別なライブ盤が入ったりするから付き合うのだろうが、いい加減困ったものだ。
Blodwyn Pigの1969年リリースのファーストアルバム「Ahead Rings Out」は元Jethro Tullのギタリストとして名高いMick AbrahamsがJethro Tull離脱後に作り上げたアルバムで、Jethro Tull時代に作り上げていた曲もある事から、Jethro Tullが演奏したバージョンも存在するようだ。それもともかくながら、この作品を聴いてて思うのはJethro Tullのあの不思議な音楽性、音楽の幅の広さ、どこをどう聴いたらJethro Tullと言うバンドが理解できるのか、ロックなのは間違いないが、普通にロックなバンドやアルバムでもなく、ジャズもフルートもブルースも一緒くたになって出されて、さらに歌詞も難解だったりととにかく本当の意味でプログレッシブなアプローチを持ったバンドで、その片鱗がこちらでも存分に味わえる事だ。もっとブルースに寄った作品かと思っていたが、実はそうでもなく、マルチ奏者のジャック・ランカスターが参加した事からとてつもなく幅広い音楽性に対応してしまい、フルートやバイオリン、サックスや管楽器系を奏でてくれるからジャジーにもなるし、プログレッシブにもアドリブ重視にもなり、その相手がミック・エイブラハムと言う感じで素晴らしいと言えば素晴らしいし、理解し難いと言えばその通りのサウンドを奏でてくれる。概ねブルースに準拠した雰囲気はあるものの、ランカスターが出て来ると妙に雰囲気が変わり、それこそJethro Tull的になっていくので、こういった融合性、ごった煮ロック的エッセンスはミック・エイブラハムがバンドに持ち込んだのかもしれない。
このアルバムはなかなかややこしい事になっており、そもそもオリジナルアルバムリリース時からアメリカ盤には収録されてしまった曲「See My Way」が英国盤ではまだ完成形ではないからと未収録となり、またアメリカ盤ではクレジットが抜け落ちてしまった「Backwash」の存在もあり、それぞれ収録曲順も異なっているのもあるらしい。更に事を複雑にしているのは、その後の再発の仕方で、ボーナス・トラックにシングルB面などを入れるのはともかくながら、アメリカ盤と英国盤に未収録の云々と言った曲をボーナスに入れてきたりしたものだから訳が分からなくなってくる。レコーディングしたのはファーストアルバムの頃だから、ファーストアルバムのボーナス・トラックにしたり、リリースがセカンド・アルバム時期だからとそちらに入れたりと統一性もなく、同じ曲があちこちのボーナス・トラックに入ってくる始末。最終決着かと思われたデラックス・エディションでそのあたりがクリアする方向に進むかと思ったが、ファーストアルバムは整理したもののセカンド・アルバムの方はどうなるのか、と悩ましい問題にもなり、究極の解決策として2018年に英国クリサリスが出した策が、この二枚のアルバムとボーナス・トラックをすべて一気に収録した完全収録バージョンとなった。ついでに未発表曲も入れて、早い話がよくあるボックスセットの形態に近いがアルバムが2枚しかないからボックスにはならず、CD2枚組ですべてを網羅したタイトルとなった。
今回アルバムとして聴いていたのはこの2018年リマスター盤「Ahead Rings Out (2018 Deluxe Edition)」で、最初に耳にした瞬間からその音のクリアさと自然なサウンドに痺れた。ジャジーなプレイ、ブルースなプレイ、それこそランカスターの管楽器の音色も含めて実に自然な空気感で目の前で生々しく演奏しているかのように作り変えられていたので聴きやすく、これならバンドの音そのものに集中して聴けてしまうので音楽性が不思議だとか複雑であるような事も気にする事なく楽しめた。素晴らしい音楽集団、アルバムだと再認識して聴いていたが、本来そうやって楽しむべき音楽。ボーナス・トラックの愛嬌はともかく、随分とハイレベルな作品が並び、そこまで聴き込んだ事のないアルバムだったが、この音の自然さにヤラれた。最後の「McGregor Muckabout (Previously Unreleased) 」が10分半もあるので、その演奏ぶりに期待したが、残念ながらなにかの喜劇か悲劇かドラマ仕立ての演劇が繰り広げられているだけで音楽的な楽しみは皆無だった。それでも希少価値は高い収録だろうとは思う。
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