Status Quo - Quo

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Status Quo - Quo (1974)
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 英国のバンドでも日本で人気のあるバンド、日本から人気の火が点いたバンドもあれば英国だけでしか人気のないバンド、英国以外では人気のあるバンドなど様々なパターンがあるが、恐らく何かしらの要素がその国別の人気を分けるのだろうし、それが何なのかはよく分からないのも事実。ルックスの場合もあれば音楽的価値観が国民的に異なる場合もあるだろう。自分的に認識しているのは英国でしか人気の無い、もしくは英国での人気が絶大なバンドはとてつもなく文化的に英国らしいのだろうと思っている。逆にあまりにもバンドがオリジナリティ豊か過ぎて受け入れられるのに時間がかかったバンドは日本を含めての諸外国で先に受け入れられる場合も多いようだ。アメリカのバンドはアメリカで人気さえ出れば一生食っていけるので当然そこしか狙わないが、たまにアメリカでは全く受けなかったのが他の国でウケる場合もあり、それは英国のバンドの場合と同様の理由だろう。ただ、アメリカはそこまで奇抜で妙なのもほとんど出てこない、出て来れないのであまり見当たらない。それ以外の国々だとこういう外国から火が点くようなケースはあまり耳にする事もないが、そもそものバンドの数がそこまで目立たないからだろう。

 Status Quoの1974年リリースの7枚目のオリジナルアルバム「Quo」は大ヒットを放った前作「HELLO」に続く全盛期のアルバムなので、その時点で悪い作品のハズもなく、むしろどういう風に進んでいるのかが気になるくらいのアルバムだ。ただ、日本では尽く人気のないバンドの筆頭格のような話で、今ネット上で本作の日本語レビューらしきものを探してもトンと見当たらないくらいには取り上げられていないようだ。それでも日本のリスナーは勤勉なので結構な数の人が聴いているハズだから、それがどうしたという話でもあるが、古くから日本での人気がまったくないバンドとして知られている。一方英国では国民的スターの地位を獲得するまでに有名でお家芸のスタイルを持っているバンドとして知られているようなので、そのギャップがあまりにも大きすぎてユニークだ。そんな予備知識がありつつ、自分でもその影響からかあまりステイタス・クォーを何回も聴いた記憶はないが、有名な作品はチョコチョコと聴いていた。ただ、何故か何度も何度も聴くバンドにはなっていないので、その理由を考えてみると、今回アルバムを聴いてても同じ事を思うが、あまりにもストレートで捻りもなく、軽快ながらもパワーで押してくる、後のパワーポップ的サウンドの原点でもあるかのようなスタイル一辺倒なので、聴いている途中から飽きてしまう、深みを求める、という理由が大きいようだ。その意味ならばチープ・トリックと同じ感じでもあり、スウィートあたりとも類似するし、もっと言えばラモーンズと同じような10年1日的バンドでもあるはずだが、ブギサウンドの哀しさか、どうしてもリズムに飽きが来てしまう。そこでなかなか脳天気にも楽しめないという国民的好みの違いはこういった所にもあるのだろう。

 ただ、本作がホントに一辺倒なスタイルで作られているかと言えばそんな事はなく、ハードなブギーからキャッチーなポップ調、メロウなスタイルにアイリッシュフレーズも織り交ぜたりと実に色々なフレイヴァーを詰め込んでバンドの可能性の広さをアピールしまくっているが、唯一、リズムがすべてブギ、という特徴がどっちに転ぶか、と言った話。普通にアルバム聴き始めると単純にカッコ良いし、自然に体がリズムに乗るのもブギなので普通に楽しめる。それでも飽きてくる贅沢さ。シングル・カットで、もしくは何かで何曲か聴くレベルだとおそらくものすごくインパクトを放つカッコ良さを持つ曲に聴こえるだろうし、そこから入るリスナーも多いと思う。演奏を聴いていてもウラからのリズムを刻んでいるギターとブギを鳴らすプレイときちんと練られているし、曲も一辺倒でもなく展開されているのも当然なのでプロの制作した素晴らしきアルバムなのに自分がそこに続かない。音楽とは難しく考えるものじゃないから単純にフィーリングが合うアルバムなりバンドなりを愉しめば良いし、その意味では多くの日本人がなかなか馴染まないアルバム、バンドだと言えるのかもしれない。自分はそうじゃない、と努力してみたがやはり難しかった。数曲づつ色々な機会に楽しむ、もしくはライブ映像を見てカッコ良さを実感するバンドとして位置付けておこう。しかし切れ切れに聴いているとカッコ良いな。「Lonely Man」なんて英国フォークとコーラスワークからハードに展開されるテクニカルな側面も聴けるのだからさすがのバンドだし、「Slow Train」にしても8分弱もブギとR&Rで展開し、更にアイリッシュ民謡を詰め込んでくるのだからA面冒頭のノリノリブギだけとはまるで異なるアプローチでバンドの深みを聴ける。

 まだまだ聴き込みが足りない、どっぷりと浸かってみればこの世界の楽しみも、真のステイタス・クォーの全盛期の深さにもハマれるかもしれないので、アタマのどこかで意識しておきたい、チェックし続けたいとは思っているが。アルバムは2005年にリマスタリングされ、2015年には2CDデラックス・エディションとして再発、ボーナスディスクには同時期のライブが丸ごと収録されているバージョンがリリースされているようなので、ライブから入るのもありだろうか。元々Vertigoレーベルのバンドなので、偏見を持たずに取り組む必要はある。





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フレ
Posted byフレ

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