Groundhogs - Scratching the Surface
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Groundhogs - Scratching the Surface (1968)

一言でブルース・ロックと言ってもかなりの振れ幅がある世界でもあり、英国ロックのひとつの歴史でもあるそのサウンドを紐解いて書いていても単語は同じながらかなり異なるアプローチだなと感じる事も多い。例えばストーンズとクラプトン、ヤードバーズあたりとフリーやブラック・キャット・ボーンズやフォガット、更にはマイナーなブルースベースのヘヴィロックバンドになればもっと異なってくるが、恐らく一般的には前者のメジャーなスタイルこそがブルース・ロックと位置付けられるバンドの音と認識されているだろう。言い換えると割とさっぱりとしたトーンを持ったブルース・ロックがもっとも受けたようで、フリーを更に重くドロドロにしたようなバンドの音はそこまで受けなかったようにも思う。ハンブル・パイくらいのバランスがあれば何とかなっただろうが、あれもまた天才の成せる業なので、大抵のブルース・ロックと呼ばれるバンドは成功するにはほど遠かった。更に時代がいつまでもブルース・ロックと言うワケでもなく、数年でそのサイクルは周ってしまったから路頭に迷った連中も多かったし、まだロックがそういうサイクルで回ると思われていなかった時代だからやむを得ない。それを乗り越えていったバンドこそが70年代を生き抜けたとなる。
Groundhogsも1968年にアルバム「Scratching the Surface」でデビューしたが、この時点でまだ初期のストーンズ辺りがプレイしていたような純正なブルース・ロックを奏でており、どこかが突出している出来でもなく、かと言ってダメダメな演奏でも曲でもなく、きちんと王道ブルース・ロックの路線を奏でているバンドだったので悩ましい存在。結果的にこの後70年代もそれなりのポジションでひとつの時代を生き延びていくのだから才能とセンスはあった事に間違いはない。特にキーパーソンであるトニー・マクフィーの非凡な才能がバンドを生き延びさせていったと思われるが、このファーストアルバム時点から当然バンドの主役として君臨してスタンダードな楽曲をプレイしている。それでも1968年でこのスタンダードなブルース・ロックスタイルは果たしてシーンにはどう受け止められたのだろうか、と気にはなるが、結局こういうバンドと言う事を知らしめ、そのまま最後まで基本線は突っ走っていったのだから悪くないのだろう。今聴くとあまりにもスタンダード過ぎるサウンドで、かと言ってどこかにアクの強さがあるワケでもなく、ギタープレイが凄まじいと言うのでもなく、歌が強烈でもないために聴きどころが押さえにくくて難しい。褒め称えた書き方をするならば「Married Man」あたりで聴かれるボーカルスタイルはジミヘンと似た雰囲気を出しているし、ハープの鳴らし方も実にスタンダードで外さないプレイでヤードバーズ風でもある。更にギターはブルース・ロックサウンドながらもオーソドックスなペンタトニック・スケールに留まらず、かなり独自のフレーズとスケールを組み立てているからその分ブルース臭くなりすぎない個性はある。このハマり過ぎないギターセンスこそがグラウンドホッグスの特徴で、しかもギターはストラトだから線の細さとソリッドな音がクリーンに響いてくるから聴きやすいし、歌声も癖がないから流しやすい。リズムはあくまでも標準的なスタイルのみ、歌メロがキャッチーなワケでもないからパッと聴いててもとっつきにくさはある。そういう何とも不思議な存在のバンドのファーストアルバムだ。
1968年にリリース後、ほとんど再発される事もなかったようで自分もアナログ時代は見た記憶がないが、1990年にBGOレーベルから割とまとめてグラウンドホッグスのアルバムが再発されて、CD化も進んでいったのでその時にようやく見かけた程度。更にその時にはオリジナルアルバム収録の9曲に加え、リバティレコードが1969年にインペリアルレーベル名でリリースしたブルースロックオムニバスアルバム「I Asked For Water, She Gave Me... Gasoline」でトニー・マクフィーが参加した作品4曲が追加されており、なかなかレア楽曲が聴けるのは有難かった。そこまでマニアックでもないが、このアルバムの存在そのものも知られていなかったし、Jo-Ann Kellyと共にプレイしているトニー・マクフィーも珍しいし、アコースティックブルースのライブ一発録音ばかりなので圧倒的に楽しく聴ける。「Oh Death」「Gasoline」はモロに戦前ブルーススタイルそのままでトニー・マクフィーがここぞとばかりに好き放題アコギでプレイしているし、「Rock Me」では打って変わってジョー・アン・ケリーに歌を任せてラグタイムブルースチックながらもアップビートなスタイルで軽快なノリを聴かせる楽曲に仕上げて心地良く楽しませてくれるサウンド。ここではギターソロを恐らくストラトで奏でているプレイで、こういうのを聴いているとやはり素晴らしいギタリストだと感じる。そしてまた「 Don't Pass That Hat Around」では超スタンダードなアコースティックブルースを歌い奏でてくれ、この時代にしてもあまりにも古臭すぎる音世界。企画アルバムだったからこそこの手の事がやれたとは思うが、見事に好きさ加減を発揮したナイスなプレイ。オリジナルのファーストアルバムよりも全然聴き応えあるのは少々問題かもしれないが。
その後2006年頃になってようやくリマスタリングされたようだが、ボーナス・トラックはオミットされてオリジナル楽曲群のみとなっている。そのファーストアルバムも彼らの歴史に於いてもそこまで語られるアルバムでもないのでなかなか再発もされない可能性も高いが、後のバンドの歴史からして基本となる音が詰め込まれているのは間違いないのでアルバムそのものの面白さとは別に聴いておくアルバムとの位置付けだろうか。

一言でブルース・ロックと言ってもかなりの振れ幅がある世界でもあり、英国ロックのひとつの歴史でもあるそのサウンドを紐解いて書いていても単語は同じながらかなり異なるアプローチだなと感じる事も多い。例えばストーンズとクラプトン、ヤードバーズあたりとフリーやブラック・キャット・ボーンズやフォガット、更にはマイナーなブルースベースのヘヴィロックバンドになればもっと異なってくるが、恐らく一般的には前者のメジャーなスタイルこそがブルース・ロックと位置付けられるバンドの音と認識されているだろう。言い換えると割とさっぱりとしたトーンを持ったブルース・ロックがもっとも受けたようで、フリーを更に重くドロドロにしたようなバンドの音はそこまで受けなかったようにも思う。ハンブル・パイくらいのバランスがあれば何とかなっただろうが、あれもまた天才の成せる業なので、大抵のブルース・ロックと呼ばれるバンドは成功するにはほど遠かった。更に時代がいつまでもブルース・ロックと言うワケでもなく、数年でそのサイクルは周ってしまったから路頭に迷った連中も多かったし、まだロックがそういうサイクルで回ると思われていなかった時代だからやむを得ない。それを乗り越えていったバンドこそが70年代を生き抜けたとなる。
Groundhogsも1968年にアルバム「Scratching the Surface」でデビューしたが、この時点でまだ初期のストーンズ辺りがプレイしていたような純正なブルース・ロックを奏でており、どこかが突出している出来でもなく、かと言ってダメダメな演奏でも曲でもなく、きちんと王道ブルース・ロックの路線を奏でているバンドだったので悩ましい存在。結果的にこの後70年代もそれなりのポジションでひとつの時代を生き延びていくのだから才能とセンスはあった事に間違いはない。特にキーパーソンであるトニー・マクフィーの非凡な才能がバンドを生き延びさせていったと思われるが、このファーストアルバム時点から当然バンドの主役として君臨してスタンダードな楽曲をプレイしている。それでも1968年でこのスタンダードなブルース・ロックスタイルは果たしてシーンにはどう受け止められたのだろうか、と気にはなるが、結局こういうバンドと言う事を知らしめ、そのまま最後まで基本線は突っ走っていったのだから悪くないのだろう。今聴くとあまりにもスタンダード過ぎるサウンドで、かと言ってどこかにアクの強さがあるワケでもなく、ギタープレイが凄まじいと言うのでもなく、歌が強烈でもないために聴きどころが押さえにくくて難しい。褒め称えた書き方をするならば「Married Man」あたりで聴かれるボーカルスタイルはジミヘンと似た雰囲気を出しているし、ハープの鳴らし方も実にスタンダードで外さないプレイでヤードバーズ風でもある。更にギターはブルース・ロックサウンドながらもオーソドックスなペンタトニック・スケールに留まらず、かなり独自のフレーズとスケールを組み立てているからその分ブルース臭くなりすぎない個性はある。このハマり過ぎないギターセンスこそがグラウンドホッグスの特徴で、しかもギターはストラトだから線の細さとソリッドな音がクリーンに響いてくるから聴きやすいし、歌声も癖がないから流しやすい。リズムはあくまでも標準的なスタイルのみ、歌メロがキャッチーなワケでもないからパッと聴いててもとっつきにくさはある。そういう何とも不思議な存在のバンドのファーストアルバムだ。
1968年にリリース後、ほとんど再発される事もなかったようで自分もアナログ時代は見た記憶がないが、1990年にBGOレーベルから割とまとめてグラウンドホッグスのアルバムが再発されて、CD化も進んでいったのでその時にようやく見かけた程度。更にその時にはオリジナルアルバム収録の9曲に加え、リバティレコードが1969年にインペリアルレーベル名でリリースしたブルースロックオムニバスアルバム「I Asked For Water, She Gave Me... Gasoline」でトニー・マクフィーが参加した作品4曲が追加されており、なかなかレア楽曲が聴けるのは有難かった。そこまでマニアックでもないが、このアルバムの存在そのものも知られていなかったし、Jo-Ann Kellyと共にプレイしているトニー・マクフィーも珍しいし、アコースティックブルースのライブ一発録音ばかりなので圧倒的に楽しく聴ける。「Oh Death」「Gasoline」はモロに戦前ブルーススタイルそのままでトニー・マクフィーがここぞとばかりに好き放題アコギでプレイしているし、「Rock Me」では打って変わってジョー・アン・ケリーに歌を任せてラグタイムブルースチックながらもアップビートなスタイルで軽快なノリを聴かせる楽曲に仕上げて心地良く楽しませてくれるサウンド。ここではギターソロを恐らくストラトで奏でているプレイで、こういうのを聴いているとやはり素晴らしいギタリストだと感じる。そしてまた「 Don't Pass That Hat Around」では超スタンダードなアコースティックブルースを歌い奏でてくれ、この時代にしてもあまりにも古臭すぎる音世界。企画アルバムだったからこそこの手の事がやれたとは思うが、見事に好きさ加減を発揮したナイスなプレイ。オリジナルのファーストアルバムよりも全然聴き応えあるのは少々問題かもしれないが。
その後2006年頃になってようやくリマスタリングされたようだが、ボーナス・トラックはオミットされてオリジナル楽曲群のみとなっている。そのファーストアルバムも彼らの歴史に於いてもそこまで語られるアルバムでもないのでなかなか再発もされない可能性も高いが、後のバンドの歴史からして基本となる音が詰め込まれているのは間違いないのでアルバムそのものの面白さとは別に聴いておくアルバムとの位置付けだろうか。
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