Black Cat Bones - Barbed Wire Sandwich (2010 Remastered)

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Black Cat Bones - Barbed Wire Sandwich (2010 Remastered) (1970)
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 マニアックな楽しみはどこまでもその人を楽しませてくれる面も大きく、今回はまたしてもそのマニアックな領域での楽しみ方を広げ、一方では自分の知識の浅はかさと探求力の甘さを感じたばかり。元々そこまで細かく探求も出来ていなかったので、マニアックと言う単語を使うべきでもないが、知ってると知らないとではそれは知った方が面白い、と言うか興味が沸く事も多いし、なるほど感も出てくるので楽しめると言う意味だ。それが他の人達、まったく興味ない人やもっと詳しく知ってる人からしたら色々な言い分もあるだろうが、所詮は聴いて楽しむロックの世界、好きに満喫しよう。

 Black Cat Bonesが1970年にリリースしたオリジナルアルバムとしては唯一作「Barbed Wire Sandwich」はそれこそアチコチのウェブサイトでアレコレ書かれているので、決して無名のB級バンドでもないし、マニアックなバンドでもないようにも思える。自分が知った時は相当にマニアックなバンドで、この頃フリーに参加していたポール・コソフとサイモン・カークが在籍していた前身バンド、として知られていたが、実はこのアルバムリリース時点ではあのフォガットに参加する事になるロッド・プライスがギターに歌に大活躍している超絶ブルースバンドだ。しかしこれだけネット上でアルバムレビューが溢れている状況を見ると、ホント、好きな人達には好かれるバンド、アルバムらしく、その突き抜けた感がリスナーの好奇心をそそるのだろうし、このアルバムジャケットのインパクトも絶大な人気を誇っている。それに加えて、今じゃ知られたとんでもなく重く粘っこく濃密な超絶ブルース、しかも英国風ロックブルースを繰り広げているサウンドが輪をかけてリスナーをカルト的人気に惹き込んでいくようで、聴けば聴くほどにこのディープな世界に浸りまくれる。いくら時代が1970年と言えども、ここまでヘヴィにブルースを弾きまくり歌い上げられるバンドはなかなか見当たらず、もうちょっとポップ的なら、もうちょっと軽やかさがあれば、などと行きようはあっただろうが、そこに向かわず、とことんまでヘヴィブルースに進んだBlack Cat Bonesの世界観は凄い。無茶苦茶ブルース好きなのがヒシヒシと伝わってくるが、割と非凡な才能が集まったバンドでもあり、この後バンドのメンバーはロッド・プライスはフォガットへ、他のメンバーはLeaf Houndの結成へとこれもまたヘヴィブルースバンドなので、路線を変えずの世界観を繰り広げて大英帝国ごった煮ロック史を築き上げてくれる。

 さて、今回マニアックに楽しめたのは音はもちろんの事ながらあまりにも強烈なこのアルバムジャケットについて見ているとクレジットでは表ジャケットがDavid Wedgbury、裏ジャケットがJennifer Edwards、アートデザインはDavid AnsteyでプロデュースはDavid Hitchcockとデッカ・デラム制作布陣ならば知られたメンツと言われているが、その実じっくりと調べてもいなかったのでふと気になって見ていると、一部陣営は替わるものの、AardvarkやWalrus、ともすればThin LIzzyのファーストやArcなどもほぼ同じ布陣で制作されており、特にAardvarkは確かに模型のジャケットでトーンが同じと言えば同じ、音色もヘヴィ系でそのしつこさをプッシュしたパターンとしてはかなり似た類でもある。ここから少々洗練された作品としてはCaravanあたりになるが、その手前にT2までもが絡んでくるし、それこそ縁深くなるSavoy Brownも同じ制作布陣が絡んでいるのでひとつのブームと言うか流れを作り上げていたようにも見える。そういうモノの見方でこのあたりの英国ロックを聴いていなかったので、今回その繋がりや絡みを見ていて妙に納得と言うか、企業体の制作陣営という当たり前の世界が見えてしまい、どこまで自分がロックに夢を抱いていたのだろうかと笑ってしまったくらい。バンドメンバーだけで出来上がるような代物ではなく、そういった制作陣営があってこそのアルバムだったか。ただ、それでも音の中身についてはこの頃なのでバンドメンバーがそれぞれ練り上げたサウンドをそのまま録音したと信じていたいし、そうであってほしい。プロデューサーやエンジニアが同じだと似た音になるのはあるとしても、ここまでのヘヴィブルースサウンドは元々がBlack Cat Bonesのスタイルだったろうし、他のバンドにしてもそのままだと。その辺りはそれこそポール・コソフやサイモン・カークが参加していたとの事から分かるが、裏を取れる話ではどうもポール・コソフとサイモン・カークが在籍していた時期には何とポール・ロジャーズがゲストで参加したりもしていたらしい。つまり元々が時代に合わせた風潮も大きいが、そのへんのブルース好きの面々が通過していったバンドだったとも思われる。どこまでBlack Cat Bonesの真髄が今から判明するか分からないが、少なくとも自分が知っていた90年代からしてみればこれだけの事が今のネット時代では判明するようになったのだから面白い。まだまだ発掘される情報もあるだろうし、そもそも「Paul's Blues」などと言う発掘盤まで出てきたのだからまだまだ楽しめそうだ。

 今久々にこのアルバムをずっと聴きながら書いているが、ホント、ヘヴィで重厚なブルーススタイルのロックバンドだろうかと呆れるほどの取り憑かれぶりを味わっている。曲がどうの、と言うバンドではなく確実にギタープレイが、ギターバトルが、バンドのグルーブが、と言った点に耳が向くバンド。それでいながらフリーと同様にいくつかは新たなチャレンジ精神を持ったアプローチの楽曲も見受けられるのはさすがに英国のロックバンド。もう一枚、もしくはライブアルバムでもあればBlack Cat Bonesの進化系がすぐにでも聴けただろうと想像してしまうし、それでは恐らく持たなかっただろうから本作で解体も納得する。あまりにもディープに世界を進んでしまったが故にメジャーになってからは短命で終わってしまったが、ロック史には燦然と輝く一枚として祭り上げられている傑作。2006年に一応日本でリマスタリングされて再発されているようだが、本国ではBGOから2010年にリマスタリング再発されているらしい。



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フレ
Posted byフレ

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