Evanescence - The Bitter Truth

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Evanescence - The Bitter Truth (2021)
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 一般的にゴシック・メタルと言って思いつくであろうバンドの筆頭格がEvanescenceだろうと思う。2003年にリリースされたメジャーアルバム「FALLEN」の大ヒットぶりはシーンを震撼させるには十分なインパクトを持ったアルバムで、その一枚で全米及び世界を制覇したと言っても過言ではない。そういうセンセーショナルな登場はもしかしたらGuns'N RosesやNirvanaと同じポジショニングとも言えるが、世間的に恐らくそう認識されている節もあると思う。また、メインシンガーのエイミー・リーだけが残ったバンド、当初のパートナーだったベン・ムーディーは早々にバンドから離脱しており、エイミー・リーのソロプロジェクトとして君臨しているのも早々に成功を手にしたバンドの悲哀かもしれない。その意味では嬢メタル、もしくはフィメール・ゴシック・メタルの代表でもある称号は彼女が生んだ代物なのか、ベン・ムーディが作り上げたものなのか、当然ながらそれ以前にヨーロッパから続々とそのようなスタイルのバンドが登場した後の完成形なのでオリジナルなバンドでもないはずだが、シーンを牽引する、その形態を世間に知らしめたのは間違いなくエヴァネッセンス。エイミー・リーがそういうスタイルを好んだかどうかは分からないが、そのスタイルで今でもアルバムをリリースしてくるのだから、ひとつのイメージとして捉えているのは確か。エイミー・リー名義になるともっと音楽的と言うか普通のシンガソングライター然とした作品が目立つ事からエヴァネッセンスはヘヴィロックバンド、と分けているように思う。

 そのEvanescence名義でようやく2021年にリリースされた、何と10年ぶりの新作アルバム「The Bitter Truth」だ。もっと前から制作されていたようだが、コロナ禍によって大幅にリリースが遅れ、また計画していたWithin Temptationとのツアーも延期され、話題を取りそこねたまま待ち焦がれていたが、いくつものPVや楽曲が細切れにリリースされ続けてようやくアルバムとして出てきたのは良かった。随分な難産アルバムだったように思うので、その分中に詰め込まれているサウンドへの期待も膨らんでしまうのはファンとしては当然だろうか。PVで細切れで聴いていたものの、やはりアルバム通しての聴き方とは異なるし、バリエーション豊かながらもエヴァネッセンス的な統一感もあるだろうし、それでもメンバーはある程度固定されているので、バンドサウンドにもなっているだろうと。そんなイメージを持って聴いていたが、第一印象はフックが弱いような感触。ただし、ヘヴィなサウンドに包まれながらも楽曲種類の豊富さはさすがなもので、どれも同じように聴こえて飽きてくるようなアルバムではない。フックが弱いと思えるのもハイレベルな楽曲が立ち並ぶから故の印象にも思えて、何度か聴き直していくと特に中盤以降の楽曲の出来映えの素晴らしさに気づき始め、先んじてのシングルカット曲「Wasted On You」や「The Game is Over」、そしてWithin Temptationのシャロン嬢やHalestormのリジー姫などがコーラスで参加している「Use My Voice」、アルバムリリースと同時にPV配信された「Better Without You」などがいつも通りにハイテンションでヘヴィな、そしてゴシックメタルじゃないのにゴシックメタル的ヘヴィサウンドで実にエヴァネッセンスらしい楽曲に仕上がっており、納得の出来映えで聴かせてくれる。結局はエイミー・リーのあの重くしつこく粘っこい、後ろに引っ張るかのようなボーカルスタイルと歌声がエヴァネッセンスそのものを作り上げているので、そう聴こえてくるのは明白。それだけ超個性的なシンガーと言う事だが、生で聴いたらとんでもなく歌が上手くて迫力あってカッコ良いのだろうと想像すると、一度どこかで見ておきたいとも思う。

 そしてアルバムを聴き始めて3〜4回してくると本作の持ち得るポテンシャルの高さ、アルバム完成度の高さ、更にはエイミー・リーの意気込みや迫力、熱意や想い、これはバンドメンバー全員が同じだろうが、そういった基本的なエネルギーに加えて制作陣のプロフェッショナルさ加減も含めて、かなり力強いアルバム、楽曲が詰め込まれている事に気づく。フックが弱いなどと軽く書ける次元はゆうに超えていて、どれもこれもが一曲づつ聴きどころ満載に仕上がっている。アメリカのこの手のバンドでそういうアルバムもほとんど聴く事もないが、それだけ深みを持った作品だと言うことだろう。例えば話題豊富な「Use My Voice」でもそもそもシンガロングできそうなコーラスワークからしてヨーロッパ的エッセンスが詰め込まれているし、それに加えてエイミー・リー独特の上手いボーカルと迫力ある歌声、ドスの利いた声が入ってくる複合技。アレンジはオーソドックスなゴシック・メタル的に施されているものの、メッセージ色も強く聴けば聴くほどに惹き込まれていく。そう聴いているとどの曲もかなりディープなフックが仕掛けられている事も分かってくるし、そこが深みをもたせた楽曲として聴かせてくれるのだろう。「Far From Heaven」のようにエイミー・リーソロ名義に近いようなお得意のピアノで一人で作り上げたであろう美しく静かな楽曲もエヴァネッセンスらしい作品で、荘厳な雰囲気も出しているし、やはり超一級品のバンドが作り上げた10年もリスナーを待たせたアルバムだけあって、悪いハズもない。自分的には恐らくもう何度か聴き尽くしていくのは間違いなく、その度にエイミー・リーの深さを味わっていくだろう。ホント、凄い歌唱力で、それをきちんと楽曲の中で活かしきっている才能も素晴らしい。





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フレ
Posted byフレ

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