Sammy Hagar & The Circle - At Your Service
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Sammy Hagar & The Circle - At Your Service (2015)

上手い人は何をやっても当然上手いし、凄い人は凄い事をやればやはり凄いが、普通にやってるだけで凄い、上手い、さすがだ、と思える人はやはり本当にプロだと思う。アルバムを出すようなミュージシャンや何年もその世界で名を轟かせているような人はやはり真のミュージシャンでなければそうなれないだろうから、音楽的好みがどうあっても才能の豊富さやプロたる所以は当然持ち合わせていての人気商売。楽器を演奏するミュージシャンも当然だし、ボーカルを担うシンガーはモロにその才能が出てくるばかりで、オリジナル曲ばかりを聴いているとその辺りがどうしても聴く側の好みに合うか合わないかが先に出てしまい、そのミュージシャンやシンガーの才能に惚れるという所まで行き着けない。それではカバーアルバムなら良いのか、となると、聴く側は知ってる曲があれば聴きやすくなる一方、どうやってるのか、その人の声質やプレイがマッチするのか、あまりにもかけ離れていないか、いや、オリジナリティ豊かなのか、いずれにしてもワクワクして聽き始めるからセンスが問われるハードルも高くなる。ところがもうロックが生まれて70年くらいになるので、既にクラシックと同じ部類にもなり、皆が皆往年のロック曲を独自解釈で、または本人も混ぜて、もしくはオリジナル通り、もしくはオリジナルを現代サウンドにして蘇らせるパターンも多くなっている。
2015年にリリースされた、まずはバンドメンバーからしてスーパーバンドそのまま、とも言えるし流れ的にはとてもよく分かるメンツとも言えるが、ボーカルとギターでメインはサミー・ヘイガー、Van Halen時代からの盟友ベーシスト、マイケル・アンソニー、今じゃどこでもレジェンドロックバンドのドラマーとして常に名が挙がり続けるジェイソン・ボーナム、そしてサミー・ヘイガーと一緒にやり続けて長くなるアフロ・アメリカンなギタリストのヴィック・ジョンソンと、最後は知名度に欠けるものの、テクニックはとんでもないので、バンドプレイ的には問題なく、逆にフロントの二人はその天才ぶりも然ることながら、まずもってアメリカンなハチャメチャさ加減が明るさとクレイジーさを出しっぱなしで、とにかく能天気調なのは免れないが、そこに一人英国人のジェイソン・ボーナムだが、ただドラムの音がやたらとデカく、キャラ的にもワイルド感あってバンドに見事にマッチしている。そんな面々が集ってのアルバムが「At Your Service」で、全編ライブ一発録音そのままなので、何ら作り込んだ感はなく、プロの連中が好きなバンドの曲をひたすら熱い想いを込めて単純にやってみました的な凄さがあり、その迫力とプレイぶりはオリジナルのスタジオ盤は軽く凌駕しているし、テクニック面でも圧倒的に超えているだろう。そして現代のテクノロジーによる録音なので、全く新しい息吹を与えての作品に生まれ変わっている。更に凄いのはそれでいてこの個性的なメンバーの存在感、個性が明らかに出まくっているという才能ある連中が本気で好きなものをやるとこれだけのものが出来上がってしまう凄さ。
自分的に驚いたのはなんと言っても数多く収録されているレッド・ツェッペリン楽曲の数々で、演奏陣営のレベルの高さと躍動感やバンド感は当然ながら、サミ・ヘイガーの歌の巧さとハイトーンの伸びやかさ加減、そもそもこんなに歌える人だったのか、しかもロバート・プラントの歌に更に迫力を加えたような歌なのに余裕で歌っている姿もびっくりした。アメリカの歴史を背負ったボーカリストの凄さはここまでハイレベルなのかと思うばかり。Van Halen時代やその前の作品もいくつか聴いていたが、上手い、明るい、才能は凄い、は見えていたが、まさかここまでホントに凄いと言うのはここで恥ずかしながら初めて知った。出来て当然と言えばそうかもしれないが、どれだけこの人は歌が歌えるのだ、と。この歌いっぷりはどう聴いてもアメリカ人なのでその違いはあるが、それでも正しくVoice of Americaと言われる人なだけあって、凄い。とにかくそこに集約される。そのサミー・ヘイガーの信頼を受けているマイケル・アンソニーの職人芸ぶりと能天気さはVan Halen時代から変わらず、この人もどんなプレイでも余裕で弾きこなしてくれるし、「Good Times Bad Times」のあのベースプレイだってサラリと弾いてくれる。全くとんでもないメンツが揃ってるものだと思いながら聴いていれば、ジェイソン・ボーナムのドラムプレイも、どんどん父親に似てくると言うか似せてくると言うか、ややタイム感は異なるものの、プレイスタイルはもうほとんど父親と同じ。それがこんなメンツの後ろでドラム叩いているのだから面白い組み合わせにもなろう。ツェッペリン曲などはほとんどそのままのプレイで、もしかしたら音圧のせいかもしれないがかなり迫力を増している感も強い。知名度ではダントツに劣るヴィック・ジョンソンはその差を埋めるかのようにどんなギタリスト達のカバー曲でも音色もプレイスタイルもきちんと踏襲し、アルバム丸ごと、ライブ丸ごとを聴いてみればヴィック・ジョンソンのギターはこういう音だ、スタイルも個性をしっかりと聴かせている事にも気づく。やはりプロ中のプロなだけあって全員がとんでもなく素晴らしい。カバー曲ばかりだから余計にそのミュージシャン的才能ばかりがクローズアップされてくるし、そこには楽曲の好き嫌いを超えたプレイが存在しているから頼もしい。
プレイされている楽曲は自分的にはかなりマチマチ感あるが、サミー・ヘイガーを知っている人には馴染みの曲が多いだろう。それにツェッペリンの曲がいくつも加わっているナイスな選曲ばかりだ。Van Halen時代の曲もサラリとやっているし、古くはモントローズ時代の「Rock Candy」なんてのもある。それとメンバーそれぞれのソロコーナーまできちんと収録しているのは自慢のメンバーをとことんまで目立たせようという配慮からだろう。どうせお遊び要素の強いカバーライブ・アルバムだから、そういった個性を出しまくるのも面白いと、聴いている側も納得するし、それがCD2枚組たっぷりと収録されているのだからサービス精神旺盛感は相変わらず。それにしても2015年にリリースされているこんな作品をこれまで知らなかった自分の情報力不足も呆れるものだ。知ったきっかけは2020年の「Lockdown 2020」がプロモートされていたからYouTubeで見て、こりゃ面白いと見た時からだったので、そっちを本来書こうと思っていたが、本作「At Your Service」の方がもっとパワフルで面白かったから。ホント、凄いの一言。

上手い人は何をやっても当然上手いし、凄い人は凄い事をやればやはり凄いが、普通にやってるだけで凄い、上手い、さすがだ、と思える人はやはり本当にプロだと思う。アルバムを出すようなミュージシャンや何年もその世界で名を轟かせているような人はやはり真のミュージシャンでなければそうなれないだろうから、音楽的好みがどうあっても才能の豊富さやプロたる所以は当然持ち合わせていての人気商売。楽器を演奏するミュージシャンも当然だし、ボーカルを担うシンガーはモロにその才能が出てくるばかりで、オリジナル曲ばかりを聴いているとその辺りがどうしても聴く側の好みに合うか合わないかが先に出てしまい、そのミュージシャンやシンガーの才能に惚れるという所まで行き着けない。それではカバーアルバムなら良いのか、となると、聴く側は知ってる曲があれば聴きやすくなる一方、どうやってるのか、その人の声質やプレイがマッチするのか、あまりにもかけ離れていないか、いや、オリジナリティ豊かなのか、いずれにしてもワクワクして聽き始めるからセンスが問われるハードルも高くなる。ところがもうロックが生まれて70年くらいになるので、既にクラシックと同じ部類にもなり、皆が皆往年のロック曲を独自解釈で、または本人も混ぜて、もしくはオリジナル通り、もしくはオリジナルを現代サウンドにして蘇らせるパターンも多くなっている。
2015年にリリースされた、まずはバンドメンバーからしてスーパーバンドそのまま、とも言えるし流れ的にはとてもよく分かるメンツとも言えるが、ボーカルとギターでメインはサミー・ヘイガー、Van Halen時代からの盟友ベーシスト、マイケル・アンソニー、今じゃどこでもレジェンドロックバンドのドラマーとして常に名が挙がり続けるジェイソン・ボーナム、そしてサミー・ヘイガーと一緒にやり続けて長くなるアフロ・アメリカンなギタリストのヴィック・ジョンソンと、最後は知名度に欠けるものの、テクニックはとんでもないので、バンドプレイ的には問題なく、逆にフロントの二人はその天才ぶりも然ることながら、まずもってアメリカンなハチャメチャさ加減が明るさとクレイジーさを出しっぱなしで、とにかく能天気調なのは免れないが、そこに一人英国人のジェイソン・ボーナムだが、ただドラムの音がやたらとデカく、キャラ的にもワイルド感あってバンドに見事にマッチしている。そんな面々が集ってのアルバムが「At Your Service」で、全編ライブ一発録音そのままなので、何ら作り込んだ感はなく、プロの連中が好きなバンドの曲をひたすら熱い想いを込めて単純にやってみました的な凄さがあり、その迫力とプレイぶりはオリジナルのスタジオ盤は軽く凌駕しているし、テクニック面でも圧倒的に超えているだろう。そして現代のテクノロジーによる録音なので、全く新しい息吹を与えての作品に生まれ変わっている。更に凄いのはそれでいてこの個性的なメンバーの存在感、個性が明らかに出まくっているという才能ある連中が本気で好きなものをやるとこれだけのものが出来上がってしまう凄さ。
自分的に驚いたのはなんと言っても数多く収録されているレッド・ツェッペリン楽曲の数々で、演奏陣営のレベルの高さと躍動感やバンド感は当然ながら、サミ・ヘイガーの歌の巧さとハイトーンの伸びやかさ加減、そもそもこんなに歌える人だったのか、しかもロバート・プラントの歌に更に迫力を加えたような歌なのに余裕で歌っている姿もびっくりした。アメリカの歴史を背負ったボーカリストの凄さはここまでハイレベルなのかと思うばかり。Van Halen時代やその前の作品もいくつか聴いていたが、上手い、明るい、才能は凄い、は見えていたが、まさかここまでホントに凄いと言うのはここで恥ずかしながら初めて知った。出来て当然と言えばそうかもしれないが、どれだけこの人は歌が歌えるのだ、と。この歌いっぷりはどう聴いてもアメリカ人なのでその違いはあるが、それでも正しくVoice of Americaと言われる人なだけあって、凄い。とにかくそこに集約される。そのサミー・ヘイガーの信頼を受けているマイケル・アンソニーの職人芸ぶりと能天気さはVan Halen時代から変わらず、この人もどんなプレイでも余裕で弾きこなしてくれるし、「Good Times Bad Times」のあのベースプレイだってサラリと弾いてくれる。全くとんでもないメンツが揃ってるものだと思いながら聴いていれば、ジェイソン・ボーナムのドラムプレイも、どんどん父親に似てくると言うか似せてくると言うか、ややタイム感は異なるものの、プレイスタイルはもうほとんど父親と同じ。それがこんなメンツの後ろでドラム叩いているのだから面白い組み合わせにもなろう。ツェッペリン曲などはほとんどそのままのプレイで、もしかしたら音圧のせいかもしれないがかなり迫力を増している感も強い。知名度ではダントツに劣るヴィック・ジョンソンはその差を埋めるかのようにどんなギタリスト達のカバー曲でも音色もプレイスタイルもきちんと踏襲し、アルバム丸ごと、ライブ丸ごとを聴いてみればヴィック・ジョンソンのギターはこういう音だ、スタイルも個性をしっかりと聴かせている事にも気づく。やはりプロ中のプロなだけあって全員がとんでもなく素晴らしい。カバー曲ばかりだから余計にそのミュージシャン的才能ばかりがクローズアップされてくるし、そこには楽曲の好き嫌いを超えたプレイが存在しているから頼もしい。
プレイされている楽曲は自分的にはかなりマチマチ感あるが、サミー・ヘイガーを知っている人には馴染みの曲が多いだろう。それにツェッペリンの曲がいくつも加わっているナイスな選曲ばかりだ。Van Halen時代の曲もサラリとやっているし、古くはモントローズ時代の「Rock Candy」なんてのもある。それとメンバーそれぞれのソロコーナーまできちんと収録しているのは自慢のメンバーをとことんまで目立たせようという配慮からだろう。どうせお遊び要素の強いカバーライブ・アルバムだから、そういった個性を出しまくるのも面白いと、聴いている側も納得するし、それがCD2枚組たっぷりと収録されているのだからサービス精神旺盛感は相変わらず。それにしても2015年にリリースされているこんな作品をこれまで知らなかった自分の情報力不足も呆れるものだ。知ったきっかけは2020年の「Lockdown 2020」がプロモートされていたからYouTubeで見て、こりゃ面白いと見た時からだったので、そっちを本来書こうと思っていたが、本作「At Your Service」の方がもっとパワフルで面白かったから。ホント、凄いの一言。
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