Deep Purple - Live In Japan (2014 Super Deluxe Edition)

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Deep Purple - Live In Japan (2014 Super Deluxe Edition) (1972)
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 70年代のロックをリアルタイムで聴いていたリスナーやファンは随分と物好きだったのだろうと思う節も多い。ビートルズから発展した方向性であれば3分ポップスの路線で、ロックではなくいわゆる洋楽シーンへ興味は移っていったと思われるが、そこをロックの方向性に進んだのはもちろんカッコ良かったからが前提にあるとは言えども、冷静に見渡すと随分と酷な聴き方を求めている気もするからだ。何せ今ではプログレやハードロックの王道名盤を続々と聴いていったワケで、それも今ならかったるい、難解な音楽形態だったりやたらとアドリブが多く録音されているライブ盤を名盤と称されて聴いていたりするのだから耳が肥えていたと言う良い言い方もあるが、実際はそれしかないからそれ聴いてた、そして巷でも話題にもなったし他にする事もなかったと言うのもあるだろう。時代的な背景ありきなのは当然だが、それでも辛抱強いリスナーが多かったと思う。

 Deep Purpleの世紀の名盤ライブとして名高い「Live In Japan」は1972年の8月の日本でのライブの様相からベストチョイスされた楽曲が同年暮れには日本はもちろん、世界中でリリースされて売れたのだから凄い。その逸話はあちこちで書かれてもいるので今更ながら、日本限定交渉が成立し、その出来映えと音の良さに驚いたメンバー含むマネージメント側から日本だけでなく世界で売る意思も見せられて格安で作り上げ、売れまくったという利益率の非常に高い商品だったが故、マネージメント側も好意的に捉えた好印象の作品らしい。その実態はリスナー側では分からないが、それでも普通に聴いてて物凄いライブだとは当然分かる。ただ、今の時代に改めてこのライブアルバムのあり方と同時期のロックリスナーの聴き方、捉え方が冒頭文章に繋がり、とにかく一曲づつがやたらとアドリブプレイ込みなので長い。どの曲も10分前後が標準的な長さで、「Space Truckin'」はアルバム片面丸ごと使っての長尺アドリブプレイ満載曲で、アンコール前の演奏としてここまでやっているのが本当に盛り上がっていたのか、盛り上がっていたのはバンドメンバーの熱狂的なプレイぶりに同調したからで、それに同調できるリスナーのレベルの高さがそのまま日本の当時のロックリスナーのセンスだ。全く時代の成せる業としか言いようがないが、それがアルバムになってもまた名演奏として語り継がれ、しかも日本でのライブがそのままタイトルにもなり、世界に発信するアルバムにもなったのだから随分と自慢にも思えた作品だろう。しかも世界に対しては「Made in Japan」なのだから恐れ入る。

 1972年のリリース時から大阪2公演、武道館1公演からの抜粋として知られていたし、それで十分満足されていたが、アンダーグラウンドではそれぞれの公演のフルショウソースが出てきたりして随分と騒がせていた記憶もありながら、90年代に入ってしばらくすると突然オフィシャルからそれぞれの公演がディスクに収録された3枚組ソースが登場し、一見完全収録盤らしく怒涛のリリースと話題になった。それまで文字面でしか8月15,16日の大阪、17日の武道館としてクレジットされていなかったが、こうして音源が公演別に出されると話は変わってきて、長い間アルバムで聴き慣れていたバージョンとは異なる演奏と勝手知ったる演奏が混じって聴けるある種不思議なライブアルバムを耳に出来るのでおそらくは爆発的に売れたと思う。もっともニッチな世界での話だろうが。その後、25周年記念盤として1998年にはこれまでのライブに加えて2枚目のディスクにアンコール分3曲が加えられた、いわゆるベストチョイスライブの楽曲完全収録バージョンがリリースされ、それはそれで先の3枚組に未収録だった「Lucille」が収録されたので気になる人は気になるし、コンパクトにフルライブが纏めて聴けるので、今でもこちらを手軽に聴いて満足度を高める人も多いような気がする。

 ところが2014年になり、機が熟したのか今度は正真正銘の完全収録バージョンとなる「Live In Japan (2014 Super Deluxe Edition)」のボックスセットが壮大にリリースされ、それぞれのショウがディスク毎に収録され、4枚目のディスクにはそれぞれの日のアンコール分だけが順に入っている多少聽きづらさもありながもデジタルツールで聴く分にはまるで問題のない、コンテンツは全て揃ってます的なリリースだった。ここで本アルバムの元ソース全てが出揃った事で、過去ものは一切不要となるが、今度はそのまま聴くには少々辛いと気づいたか、新たな2枚組、元々のライブを1枚目に、そしてアンコール分だけを収録したディスクを2枚目に入れた変則的2CDもリリースされている。そして面白い事に現在ではオリジナルのライブアルバムそのままの音質アップリマスター盤がリリースされるようになっており、一時期は楽曲の拡張、発掘ソースの貴重さで目を引いていたものが、今は元々の音源の音の良さにクローズアップしている変化。そう思うとリスナーがどういう方向の世界を求めているのか、何が満足するのか、実に色々な角度があるものだと頷いてしまうが、それもこれもコンテンツ、即ちライブ音源そのもの人気の高さが無ければ成り立たないし、拡張すればするだけオリジナル編集盤のチョイスの良さ、さすがバンドが納得のアルバムなだけあると唸らされるばかり。

 自分も拡張盤まで聽きつつ、結局は時代の流れと共にオリジナル盤を聴くのがやはり一番白熱するし、ライブの凄まじさを疑似体験出来るし、カッコ良さに熱入れ出来ると思って聴いている場合が多い。時間があれば日付ごとにも聴いて比べてみる事もあるが、なかなかそこまでやる機会も少なくなってきた。アルバムの内容ついてはそれぞれあるが、自分的にはまず「Live In Japan」と「Made In Japan」は何が違うのかから始まり、そのソースは何が違って、どういう理由でこれだけのバージョンがリリースされているのか、果たしてそれらは今から見るとどういう価値が保たれているのか、そもそもそんな整理をしておかないと何が何だか分からないままに聴く事になるので好ましくなく、こうして整理してみた。もちろん聽きながら書いているので、この頃のDeep Purpleの素晴らしさやライブの凄みをたっぷり味わってもいるが、つくづくハードロックだけでなく、プログレッシブなプレイとバンドアンサンブルを加えたテンションの高いアドリブプレイにリッチーも加わっている感じで、一方ではイアン・ギランの歌唱ぶりの凄まじさもとくと実感。凄いライブだ。





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フレ
Posted byフレ

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