Judas Priest - Live Vengeance '82
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Judas Priest - Live Vengeance '82

詳しくは調べていないが、家庭用ビデオデッキの普及は恐らく1980年代からだったと思う。俗に言うベータVHS競争が過熱していたのもその時期で、自分がビデオデッキに触れるようになったのもその頃だったが、一方では今思えばとんでもなく高価なビデオテープの入手の方に困っていた記憶もある。一本ン千円していたのは今では信じられないが、なけなしの小遣いをどこに使うかを本気で悩んでいたのも懐かしい。当時の小遣いの使い道と言えば、レコードを買うか、借りるか、ちなみにレンタルレコードも80年代初頭頃から普及していった気がするが、合わせてカセットテープをダビング用に買うか、ビデオテープを買うか、と全てがその手の系統しか考えておらず、他にあってもギター関係やオーディオ関係ばかりを眺めており、随分と偏狭な好奇心だったと思う。それを思えば今の時代はもう何でもサブスクや無料、ファイル交換で片付くのだからとんでもなく良い時代、しかも世界が繋がっているのだから情報にも事欠かない、どころか過剰なまでに入手できるし更に細部まで突っ込んで調べる事も出来る。この時代が青春期だったらまったく外に出ないでひたすらコンテンツにまみれて寝ないで籠もっていた事は自分の趣味的に想像に難くない。
メタルゴッドと異名を取るJudas Priestが1983年にリリースしたライブ映像ビデオ「Priest Live」はその後、数曲のカットありでレーザーディスクがリリースされたものの、DVD時代にはなかなかリリースされず、2016年になってようやくDVDでタイトルを「Live Vengeance '82」と替えてリリースされている。その際にオフィシャルYouTubeチャンネルで丸ごと公開されてもいるのが素晴らしく、全盛期の完全なプロショット発売用映像が見られるのだから普段のお蔵入りやレア映像などとは異なり、ジューダス・プリーストそのままを見られる太っ腹ぶり。自分はと言えば1983年頃には先の小遣いの使い道を悩んでいたような年頃だったので当然高価なジューダス・プリーストのライブ映像を買う事もなく、また見られるような環境もなかったしテレビで放送してくれるものでもないのでずっと未見のままだったし、そのまま廃盤だから売ってるのを見たこともないような気がする。ぞのうち何かのテレビ番組でプロモーション的にどれか公開されたのかもしれないのか、全く見たことない映像でもなかったのが今回改めて見ていて分かった。時代的には1982年12月のテネシー州のライブを収録しているとの事なので、もうアルバム「復讐の叫び」がリリースされて「You've Got Another Thing Coming」がヒットを放っていた際のツアーだからステージも少々カネ掛けられたのか、マーシャルの壁の上にドラムセットを配置する2階建てステージを組み上げてのショウになっているし、この頃のジューダス・プリーストは既に当然ながらのレザー&鋲の黒ずくめスタイルで、いわゆるあのジューダス・プリーストそのままなのでやたらとカッコ良い。と言うかそういう印象が強かったが、今見ればそれはもうかなり無理無理な感触もあるし音色にしてもまだまだ機材の若さもあって今のヘヴィメタルとは当然異なる独自世界、言うならばどこまで行っても大英帝国ヘヴィメタルの音色と言えるか。
それでもやたらと独自スタイルが突きつけられ、それがヘヴィメタルの伝統だ、となったのも分かる基礎が全て網羅されている。ファッションにしてもバンドのスタイルにしても硬質感にしても、だ。ロブ・ハルフォードのハードゲイばりの登場はこの中では圧倒的なカリスマとして存在感抜群に映るし、ライブに入ってからのボーカリスト像としてはそもそものハイトーンから裏声までを混ぜた絶叫が重金属集団に輪をかけての狂熱ぶりを醸し出している。終盤になると声も荒れてきて決して万全なライブでもなかったように聴こえるが、それは記録として見るからそうなだけで、ライブ会場では全く感じさせない圧倒的なパフォーマンスだろう。そこに二人のギターが頭振っている最中にロブ・ハルフォードがたまに参加すると実に絵になるフォーメーションスタイルの出来上がり。これがまたカッコ良い。ギターソロになればそれぞれのプレイヤーの方に顔を出しては盛り上げたりと動きは独特ながらも素晴らしきパフォーマンス、そして定番のスタイルの確立。最後の「Hell Bend For Leater」はハーレーで登場してそのまま堂々とバイクの上で歌い、観客を盛り上げる芸当も凄い。
そしてサイドを固めるK.K.ダウニングとグレン・ティプトンのフォーメーションの完成度の高さも、さすがにツインギターの筆頭格バンドと納得のプレイで、今ではもっと高速でユニゾンするようなバンドも多数あるが、この頃そんなスタイルをプレイするのはジューダス・プリーストくらいしかおらず、その存在感は圧倒的だった。そしてグレン・ティプトンが一番金属的な音を出しているのを見ればトニー・アイオミと同じSGだったのもなかなか新鮮だった。一方のK.K.ダウニングはストラトとフライングVを使い分けており、そこまでギンギンのサウンドでもないので、ジューダス・プリーストの重低音金属音はグレン・ティプトンのSGが中心だったのかとマジマジと見てしまった。ハムバッキングのストラトも使っているが圧倒的にSGが金属音。昔からジューダス・プリーストを多少は知ってるつもりだったものの、そういう見方をしたことがなかったので新鮮な発見がいくつもあって実に楽しめたライブ映像。バンドの創設者、イアン・ヒルのひたすら黙々とヘヴィメタルを楽しみながら弾いている姿とまだ完全にメタルドラミングをモノにしていないかのようにも見えるデイブ・ホランドのドラムもそれが重さとなって出ているのか全く全盛期のバンドサウンド。セレクトされている曲は概ねが当然ながら「復讐の叫び」からが多く、このジューダス・プリーストのスタイルの礎となったアルバム群「ステンド・クラス」「殺人機械」「ブリティッシュ・スティール」から人気のある曲が選ばれているような感じなので、この時期のベストチョイスになっているが、この勢いのままあの伝説のU.S.Festivalに登場するのだから全く全盛期がこうして見られるのはありがたい。どうしてジューダス・プリーストがメタル・ゴッドと言われるかがよく分かるし、これが標準形と言うのも納得だろう。

詳しくは調べていないが、家庭用ビデオデッキの普及は恐らく1980年代からだったと思う。俗に言うベータVHS競争が過熱していたのもその時期で、自分がビデオデッキに触れるようになったのもその頃だったが、一方では今思えばとんでもなく高価なビデオテープの入手の方に困っていた記憶もある。一本ン千円していたのは今では信じられないが、なけなしの小遣いをどこに使うかを本気で悩んでいたのも懐かしい。当時の小遣いの使い道と言えば、レコードを買うか、借りるか、ちなみにレンタルレコードも80年代初頭頃から普及していった気がするが、合わせてカセットテープをダビング用に買うか、ビデオテープを買うか、と全てがその手の系統しか考えておらず、他にあってもギター関係やオーディオ関係ばかりを眺めており、随分と偏狭な好奇心だったと思う。それを思えば今の時代はもう何でもサブスクや無料、ファイル交換で片付くのだからとんでもなく良い時代、しかも世界が繋がっているのだから情報にも事欠かない、どころか過剰なまでに入手できるし更に細部まで突っ込んで調べる事も出来る。この時代が青春期だったらまったく外に出ないでひたすらコンテンツにまみれて寝ないで籠もっていた事は自分の趣味的に想像に難くない。
メタルゴッドと異名を取るJudas Priestが1983年にリリースしたライブ映像ビデオ「Priest Live」はその後、数曲のカットありでレーザーディスクがリリースされたものの、DVD時代にはなかなかリリースされず、2016年になってようやくDVDでタイトルを「Live Vengeance '82」と替えてリリースされている。その際にオフィシャルYouTubeチャンネルで丸ごと公開されてもいるのが素晴らしく、全盛期の完全なプロショット発売用映像が見られるのだから普段のお蔵入りやレア映像などとは異なり、ジューダス・プリーストそのままを見られる太っ腹ぶり。自分はと言えば1983年頃には先の小遣いの使い道を悩んでいたような年頃だったので当然高価なジューダス・プリーストのライブ映像を買う事もなく、また見られるような環境もなかったしテレビで放送してくれるものでもないのでずっと未見のままだったし、そのまま廃盤だから売ってるのを見たこともないような気がする。ぞのうち何かのテレビ番組でプロモーション的にどれか公開されたのかもしれないのか、全く見たことない映像でもなかったのが今回改めて見ていて分かった。時代的には1982年12月のテネシー州のライブを収録しているとの事なので、もうアルバム「復讐の叫び」がリリースされて「You've Got Another Thing Coming」がヒットを放っていた際のツアーだからステージも少々カネ掛けられたのか、マーシャルの壁の上にドラムセットを配置する2階建てステージを組み上げてのショウになっているし、この頃のジューダス・プリーストは既に当然ながらのレザー&鋲の黒ずくめスタイルで、いわゆるあのジューダス・プリーストそのままなのでやたらとカッコ良い。と言うかそういう印象が強かったが、今見ればそれはもうかなり無理無理な感触もあるし音色にしてもまだまだ機材の若さもあって今のヘヴィメタルとは当然異なる独自世界、言うならばどこまで行っても大英帝国ヘヴィメタルの音色と言えるか。
それでもやたらと独自スタイルが突きつけられ、それがヘヴィメタルの伝統だ、となったのも分かる基礎が全て網羅されている。ファッションにしてもバンドのスタイルにしても硬質感にしても、だ。ロブ・ハルフォードのハードゲイばりの登場はこの中では圧倒的なカリスマとして存在感抜群に映るし、ライブに入ってからのボーカリスト像としてはそもそものハイトーンから裏声までを混ぜた絶叫が重金属集団に輪をかけての狂熱ぶりを醸し出している。終盤になると声も荒れてきて決して万全なライブでもなかったように聴こえるが、それは記録として見るからそうなだけで、ライブ会場では全く感じさせない圧倒的なパフォーマンスだろう。そこに二人のギターが頭振っている最中にロブ・ハルフォードがたまに参加すると実に絵になるフォーメーションスタイルの出来上がり。これがまたカッコ良い。ギターソロになればそれぞれのプレイヤーの方に顔を出しては盛り上げたりと動きは独特ながらも素晴らしきパフォーマンス、そして定番のスタイルの確立。最後の「Hell Bend For Leater」はハーレーで登場してそのまま堂々とバイクの上で歌い、観客を盛り上げる芸当も凄い。
そしてサイドを固めるK.K.ダウニングとグレン・ティプトンのフォーメーションの完成度の高さも、さすがにツインギターの筆頭格バンドと納得のプレイで、今ではもっと高速でユニゾンするようなバンドも多数あるが、この頃そんなスタイルをプレイするのはジューダス・プリーストくらいしかおらず、その存在感は圧倒的だった。そしてグレン・ティプトンが一番金属的な音を出しているのを見ればトニー・アイオミと同じSGだったのもなかなか新鮮だった。一方のK.K.ダウニングはストラトとフライングVを使い分けており、そこまでギンギンのサウンドでもないので、ジューダス・プリーストの重低音金属音はグレン・ティプトンのSGが中心だったのかとマジマジと見てしまった。ハムバッキングのストラトも使っているが圧倒的にSGが金属音。昔からジューダス・プリーストを多少は知ってるつもりだったものの、そういう見方をしたことがなかったので新鮮な発見がいくつもあって実に楽しめたライブ映像。バンドの創設者、イアン・ヒルのひたすら黙々とヘヴィメタルを楽しみながら弾いている姿とまだ完全にメタルドラミングをモノにしていないかのようにも見えるデイブ・ホランドのドラムもそれが重さとなって出ているのか全く全盛期のバンドサウンド。セレクトされている曲は概ねが当然ながら「復讐の叫び」からが多く、このジューダス・プリーストのスタイルの礎となったアルバム群「ステンド・クラス」「殺人機械」「ブリティッシュ・スティール」から人気のある曲が選ばれているような感じなので、この時期のベストチョイスになっているが、この勢いのままあの伝説のU.S.Festivalに登場するのだから全く全盛期がこうして見られるのはありがたい。どうしてジューダス・プリーストがメタル・ゴッドと言われるかがよく分かるし、これが標準形と言うのも納得だろう。
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