Michael Schenker Group - Live at Rockpalast 1981

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Michael Schenker Group - Live at Rockpalast (1981)
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 80年代のMTVが出てくるか出てこないかくらいの時期まではロックバンドのライブ映像を見るのは生ライブか、たまにやってくれるテレビ放送を漏れなくチェックして見られるかどうかの話だが、その中でNHKのヤングミュージックショウは定番ながら、深夜枠でたまに放送されるライブもあり、概ねそれはロックパラストなるタイトルの模様が放送されていた記憶がある。果たしてそれは何なのかと判明したのはその後しばらくしてからだったが、ドイツの、当時は西ドイツの番組のタイトルで、スタジオでもライブ会場でもとにかくライブを収録して放送してくれていたものだ。ドイツの番組ながらドイツのバンドではない時も多かったので、ヤングミュージックショウと同じような主旨だったとは思うが随分と重宝したものだ。その後にMTVが出て来てある程度それらしい姿を見られるようにはなったがそれもこれも随分と古いお話。

 Michael Schenker Groupの1981年1月24日にドイツのハングルグで行われたライブをロックパラストで収録放送した映像と音源は以前からアンダーグラウンドソースの定番アイテムとして知られており、随分と高品質なソースが流通していたがハーフオフィシャル的に2011年にヤマハの冠が付いたレーベルから「Live at Rockpalast」がリリースされたので、それなりの正規盤だとは思うが普通のディスコグラフィーには出てこないので、怪しげな隙間を縫ってリリースされているのかもしれない。ただリスナーからしてみれば、そして今の時代のアマゾンで簡単に買える状況からすればあまりその怪しさにもこだわらないだろうし、実際そういったアイテムも堂々と売られているのも如何なものかとは思うがありがたいのはありがたいのだからこれもまた何とも。そんなソースながらもアルバム「MICHAEL SCHENKER GROUP」が1980年の11月にリリースされて、年の明けた1月のライブなので悪いはずもないし、よくぞここでロックパラストがMichael Schenker Groupのライブを取り上げてくれたと感謝したい。そのおかげでとんでもなくフレッシュで初々しく、エネルギーに溢れた前に向きまくっているMichael Schenker Groupの姿をたっぷりと見られるのだから。しかもアルバム制作のメンバーとはガラリとメンツが入れ替わり、まさにMichael Schenker Groupならばこれが黄金の布陣だとばかりの面々が出揃った充実のライブステージが見られて聴けるのだから堪らない。ドラムにレインボウを抜けたばかりのコージー・パウエル、ベースに武者修行の長いクリス・グレン、サイドギターと鍵盤でU.F.O時代からの盟友ポール・レイモンドを配置して、ボーカルは当然のゲイリー・バーデンとギターにマイケル・シェンカーの最強メンバー。

 演奏される楽曲は当然ながらファーストアルバム「MICHAEL SCHENKER GROUP」からの大部分とU.F.O時代の名曲4曲で、その時点で出せるバンドの楽曲を全て出し切っているようだ。さすがにギターオーケストレーション的な「Bijou Pleasurette」と静かめな「Tales of Mystery」は外しているが、他は全曲プレイし、更に「Natural Thing」「Rock Bottom」「Doctor Doctor」「Lights Out」なので盛り上がるのも当然ながら、何と言ってもマイケル・シェンカーのギタープレイの凄まじさがとにかく目立つ。ここまで華麗なプレイを繰り広げていたのかと感動するのは今見ても実に素晴らしいし、音の円やかさやトーンの豊富さ、ワウペダルも含めてのプレイは既にマイケル・シェンカー節が完成された姿だ。そして次に目を引くのは当然と言えば当然のコージー・パウエルのドラミング。シャツの背中がMSGロゴなのも目立つが、この頃コージー・パウエルにヤラれた、と思うドラマーを目指した諸氏がどうしてコージー・パウエルに惹かれたかもよく分かる程にカッコ良いドラミングが見れる。この「見れる」という姿が重要で、音の鋭さだけで響かなくても見てカッコ良いドラマーはそうそういない。しかもマイケル・シェンカーの天才ぶりとリズム感音感と並んでもまるで引けを取らないポジションできちんとドラムをプレイしているのはプロフェッショナル的に、天才同士として気持ち良かったのだろうと思う。その意味では地味ながらもクリス・グレンのベーシストブリブリもセンスの良いフレーズを実はビシバシと決めてくれているのは見逃せない。「Into The Arena」は当然ながら「Lost Horizone」のマイケル・シェンカーとの絡みにおけるベースラインのセンスの良さ、音楽的なセンスはさすがに1970年頃に二十歳くらいでメジャーシーンにデビューした才能が開花している。そこにポール・レイモンドの職人芸、と言うかここではもうステージパフォーマーとして綺羅びやかにステージを派手に飾ってくれている方が大きい。ゲイリー・バーデンはどうしても地味な印象があるし、マイケル・シェンカーはギターをひたすら弾くスタイルなのでライブステージはやや地味になりがちなところにこのポール・レイモンドがサウスポーのファイアーバード型のギターを掻き鳴らし、派手な衣装を来て、たまに鍵盤に向かって、それも派手に弾きながらと大活躍している。更にこの人、音楽センス抜群なのでコーラスもしっかりとハモったり重ねたりと器用に立ち回っているのはマイケル・シェンカーにとっても大きな存在だっただろうと想像される。そして意外な姿を垣間見れるのがゲイリー・バーデンで、「Into The Arena」ではひっそりと後ろでギブソンのレスポールジュニアのようなギターを弾いているし、「Lost Horizons」では鍵盤も弾いているので、あのボーカルを聴く限りではそこまででもなさそうに思ってしまっていたが、案外器用なミュージシャンだったのかもしれない。

 今じゃそんな姿見られるのか、と言うシーンで言えば「Lookin' Out From Nowhere」のイントロでマイケル・シェンカーが少々トチってしまった時に見せる笑顔だろうか。それにしてもホントに凄い指さばきでギターを弾いている全盛期の姿をU.F.O時代も含めて長々と見られるのは本ライブと1983年の「ロック・ウィル・ネヴァー・ダイ」のライブ映像くらいだろう。改めて「Into The Arena」から「Rock Bottom」のギターソロプレイを見ていると全く神懸かっているとしか言えないし、白熱ぶりや迫力が桁違いに伝わってくる。ハーフオフィシャルものだからと敬遠するような代物ではなく、まともにぶつかっていってもたっぷりと返ってくる圧巻のライブアイテム。



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フレ
Posted byフレ

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