U.F.O - Strangers In The Night (8CD Deluxe Edition)
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U.F.O - Strangers In The Night (8CD Deluxe Edition) (1979)

ハードロックとヘヴィメタルとは似て非なるもの、との解釈も今はどこまで通じるのか、自分的にはやはりどうしたってハードロック好きなのは認めるが、ヘヴィメタル好きかと問われるとそこは無いな、と思うこだわりと言うか違いが明確にある。あたらからずも遠からずの分岐点のひとつにはブルースが入ってるか否か、もあるが、ジャーマンハードなどはその部類だとブルースが無いのでハードロック領域説が成り立たなくなるし、さりとて他にその明白な分岐点となりそうなのは見当たらないかもしれないが、ギターの音色やリフが大きいだろうか。やはりきちんと言い切れないので誰かと会話しててもあまり単語そのものを使い分けてもいない気がする。ただ、それでも自分的にはきちんと違いが明白にある、のだ。やはり単語通りにヘヴィメタル=重金属音が顕著かどうかが分岐点だろうか。それでもどこまでの何が金属音なのか、ギターの音がどれくらい歪んでたら金属音の定義なのか、と考えてもキリがない世界になるのでこの辺で。
U.F.Oの世紀の名盤ライブアルバムとして名高い「Strangers In The Night」は1979年にアルバム2枚組でリリースされた。中身は前年の10月に行われたアメリカツアーの10月13日〜18日までのショウから抜粋された楽曲として知られており、この後すぐにマイケル・シェンカーが脱退してしまうのもあり、よくぞここまでの名演奏が繰り広げられていたものだとも言われているが、実際とんでもない演奏と熱気、プレイのライブショウなのは言うまでもない。先に書いておくとその後何度も再発されているのはともかく、1999年にCDでリマスター盤がリリースされる際に、どうせCDならば更に長尺盤としてライブセット順通りに曲順も入れ替えようじゃないか、との合意があったかどうか知らないが、ガラリと曲順を変えて15曲入りとして2曲追加されて「Strangers in the Night」がリリースされたので、これで存分にU.F.Oの名盤ライブの完全バージョンが聴けるので喜んでいたし、何度も聴いていた。それは恐らく古くからのU.F.Oファンも同じだったろうし、一方ではオープニングのあの前説の後に「Natural Thing」が鳴り響かない不満もあったとは思うが、それでもライブセット通りとの触れ込みと新鮮な聴き方は喜んだと思う。ところが、自分も知らなくて驚いたが、2008年のリマスター盤リリース時に、あまり知られていない事実がライナーに掲載されてぶっ飛びの衝撃を味わった人も多かっただろうと思う。何を隠そうこのライブアルバムに収録されている「Mother Mary」と「This Kid's」はスタジオで一発録音を施して観客の声援を被せた代物で、実際のライブ音源ではない、との事だ。自分はその2008年盤を入手していないのでそのライナーも実際見たことはない。ただ、その事実にはかなり驚きを覚えていたが、今回2020年に怒涛のリリースとなった「Strangers In The Night (8CD Deluxe Edition)」なる8CDバージョンでその10月13日から18日までの全てのショウを丸ごと収録したライブセットに目を通し、聴いてみれば当然その2曲は演奏されておらず、どこにもその存在は認められない。と言う事はつまりがそういう事だ。ン十年もライブ名盤として知られていた本作の内、2曲がライブソースと言えばライブソースだが、まさかスタジオライブのソースだとは夢にも思わなかったし、音を聴いててもそのままライブでやっているようにしか聴こえない、というかそりゃライブ録音だからそうだが、どこか騙された感があるままだ。その分を怒涛のライブボックス・セットでお詫びに聴いてくれとばかりに出されている気もするが、なるほど古いライブアルバムの全貌がこうして色々な所からリークされて真実が判明してくるものだ。それ自体はありがたい事だが、いやはやよく出来た仕掛けだ。
話を戻して1999年にリリースされた際に追加された「Hot 'N' Ready」は10月15日のヤングスタウン公演から、「Cherry」は10月16日のクリーブランド公演からの収録で、他は10月13日のシカゴ公演と18日のルイスヴィル公演から基本的に収録されている。そして先の2曲はスタジオ疑似ライブで収録されている感じ。ホントは一曲づつどこの公演か突き止めていこうとも思っていたが、聴いている内にそれよりももっとたくさん聴きたいと思い始めてひたすら順番にライブに取り組む事にした。それで改めてチョイスされたテイクを聴いてみると、なるほどホントに凄い演奏ばかりを選りすぐって収録しているのは当然ながらよく分かるし、面白いのはライブのセットはどれも似たような選曲だったがいくつかはさすがにそれぞれのどこかのショウでしか演奏されていない曲もあり、選ぶ余地がなく収録から漏れた曲もあるようだ。ただ、総じてこの時期のライブプレイはどの公演でも素晴らしく、マイケル・シェンカーの鬼気迫るプレイがどこでも聴けるのでマイケル・シェンカーファンからすると存分に満足出来る内容になっているし、更に書けば、細かい部分かも知れないが当然それぞれの公演での演奏スタイルやプレイの違いはあるし、同じようなリフでも引っ掛け方を変えていたり、ギターソロは当然その日の気分に左右されるから同じフレーズでも伸ばし具合を変えていたりフレーズを変えてるのもあるし、とにかく色気が凄くて堪らない。更にポール・レイモンドの鍵盤とギターの使い分けによりガラリとバックのプレイの色合いが変化していくのはオリジナル盤でも分かるが、ライブ通しで聴いていても器用な人だとつくづく感じる。そして何と言ってもフィル・モグの安定した歌声とこれぞロックらしい歌がやはりU.F.Oのバンドたる姿を魅せてくれる。
近年のマイケル・シェンカーのギタープレイもかなり頑張っているが、この頃の凄まじさに比べればさすがに年老いたと言わざるを得ない。そのせいか、U.F.O時代の曲は今でもこの時代のアレンジをそのまま引き摺ってプレイしているように思うし、ここでのポール・レイモンドの職人芸が気に入ったのか、以降のマイケル・シェンカーをサポートするサイドギタリストは大抵鍵盤を兼任しているメンバーを選んでいるのも、このメリハリ感が気に入っているからだろう。鍵盤奏者とギター奏者がそれぞれいるよりも邪魔じゃない感は何となく分かる気がする。それにしてもどの曲どのライブを聴いても実に心地良く素晴らしい音色でとことんまでギターを弾いてくれるマイケル・シェンカー、それでいて決して出すぎず、曲にマッチした中でプレイを決めてくれるプロフェッショナルさ加減、それがここまでたくさんのショウで聴けるのはホントに嬉しいリリース。そしてU.F.Oのあの名盤が8倍に膨れ上がったとして聴いていける楽しみもまた素晴らしい。

ハードロックとヘヴィメタルとは似て非なるもの、との解釈も今はどこまで通じるのか、自分的にはやはりどうしたってハードロック好きなのは認めるが、ヘヴィメタル好きかと問われるとそこは無いな、と思うこだわりと言うか違いが明確にある。あたらからずも遠からずの分岐点のひとつにはブルースが入ってるか否か、もあるが、ジャーマンハードなどはその部類だとブルースが無いのでハードロック領域説が成り立たなくなるし、さりとて他にその明白な分岐点となりそうなのは見当たらないかもしれないが、ギターの音色やリフが大きいだろうか。やはりきちんと言い切れないので誰かと会話しててもあまり単語そのものを使い分けてもいない気がする。ただ、それでも自分的にはきちんと違いが明白にある、のだ。やはり単語通りにヘヴィメタル=重金属音が顕著かどうかが分岐点だろうか。それでもどこまでの何が金属音なのか、ギターの音がどれくらい歪んでたら金属音の定義なのか、と考えてもキリがない世界になるのでこの辺で。
U.F.Oの世紀の名盤ライブアルバムとして名高い「Strangers In The Night」は1979年にアルバム2枚組でリリースされた。中身は前年の10月に行われたアメリカツアーの10月13日〜18日までのショウから抜粋された楽曲として知られており、この後すぐにマイケル・シェンカーが脱退してしまうのもあり、よくぞここまでの名演奏が繰り広げられていたものだとも言われているが、実際とんでもない演奏と熱気、プレイのライブショウなのは言うまでもない。先に書いておくとその後何度も再発されているのはともかく、1999年にCDでリマスター盤がリリースされる際に、どうせCDならば更に長尺盤としてライブセット順通りに曲順も入れ替えようじゃないか、との合意があったかどうか知らないが、ガラリと曲順を変えて15曲入りとして2曲追加されて「Strangers in the Night」がリリースされたので、これで存分にU.F.Oの名盤ライブの完全バージョンが聴けるので喜んでいたし、何度も聴いていた。それは恐らく古くからのU.F.Oファンも同じだったろうし、一方ではオープニングのあの前説の後に「Natural Thing」が鳴り響かない不満もあったとは思うが、それでもライブセット通りとの触れ込みと新鮮な聴き方は喜んだと思う。ところが、自分も知らなくて驚いたが、2008年のリマスター盤リリース時に、あまり知られていない事実がライナーに掲載されてぶっ飛びの衝撃を味わった人も多かっただろうと思う。何を隠そうこのライブアルバムに収録されている「Mother Mary」と「This Kid's」はスタジオで一発録音を施して観客の声援を被せた代物で、実際のライブ音源ではない、との事だ。自分はその2008年盤を入手していないのでそのライナーも実際見たことはない。ただ、その事実にはかなり驚きを覚えていたが、今回2020年に怒涛のリリースとなった「Strangers In The Night (8CD Deluxe Edition)」なる8CDバージョンでその10月13日から18日までの全てのショウを丸ごと収録したライブセットに目を通し、聴いてみれば当然その2曲は演奏されておらず、どこにもその存在は認められない。と言う事はつまりがそういう事だ。ン十年もライブ名盤として知られていた本作の内、2曲がライブソースと言えばライブソースだが、まさかスタジオライブのソースだとは夢にも思わなかったし、音を聴いててもそのままライブでやっているようにしか聴こえない、というかそりゃライブ録音だからそうだが、どこか騙された感があるままだ。その分を怒涛のライブボックス・セットでお詫びに聴いてくれとばかりに出されている気もするが、なるほど古いライブアルバムの全貌がこうして色々な所からリークされて真実が判明してくるものだ。それ自体はありがたい事だが、いやはやよく出来た仕掛けだ。
話を戻して1999年にリリースされた際に追加された「Hot 'N' Ready」は10月15日のヤングスタウン公演から、「Cherry」は10月16日のクリーブランド公演からの収録で、他は10月13日のシカゴ公演と18日のルイスヴィル公演から基本的に収録されている。そして先の2曲はスタジオ疑似ライブで収録されている感じ。ホントは一曲づつどこの公演か突き止めていこうとも思っていたが、聴いている内にそれよりももっとたくさん聴きたいと思い始めてひたすら順番にライブに取り組む事にした。それで改めてチョイスされたテイクを聴いてみると、なるほどホントに凄い演奏ばかりを選りすぐって収録しているのは当然ながらよく分かるし、面白いのはライブのセットはどれも似たような選曲だったがいくつかはさすがにそれぞれのどこかのショウでしか演奏されていない曲もあり、選ぶ余地がなく収録から漏れた曲もあるようだ。ただ、総じてこの時期のライブプレイはどの公演でも素晴らしく、マイケル・シェンカーの鬼気迫るプレイがどこでも聴けるのでマイケル・シェンカーファンからすると存分に満足出来る内容になっているし、更に書けば、細かい部分かも知れないが当然それぞれの公演での演奏スタイルやプレイの違いはあるし、同じようなリフでも引っ掛け方を変えていたり、ギターソロは当然その日の気分に左右されるから同じフレーズでも伸ばし具合を変えていたりフレーズを変えてるのもあるし、とにかく色気が凄くて堪らない。更にポール・レイモンドの鍵盤とギターの使い分けによりガラリとバックのプレイの色合いが変化していくのはオリジナル盤でも分かるが、ライブ通しで聴いていても器用な人だとつくづく感じる。そして何と言ってもフィル・モグの安定した歌声とこれぞロックらしい歌がやはりU.F.Oのバンドたる姿を魅せてくれる。
近年のマイケル・シェンカーのギタープレイもかなり頑張っているが、この頃の凄まじさに比べればさすがに年老いたと言わざるを得ない。そのせいか、U.F.O時代の曲は今でもこの時代のアレンジをそのまま引き摺ってプレイしているように思うし、ここでのポール・レイモンドの職人芸が気に入ったのか、以降のマイケル・シェンカーをサポートするサイドギタリストは大抵鍵盤を兼任しているメンバーを選んでいるのも、このメリハリ感が気に入っているからだろう。鍵盤奏者とギター奏者がそれぞれいるよりも邪魔じゃない感は何となく分かる気がする。それにしてもどの曲どのライブを聴いても実に心地良く素晴らしい音色でとことんまでギターを弾いてくれるマイケル・シェンカー、それでいて決して出すぎず、曲にマッチした中でプレイを決めてくれるプロフェッショナルさ加減、それがここまでたくさんのショウで聴けるのはホントに嬉しいリリース。そしてU.F.Oのあの名盤が8倍に膨れ上がったとして聴いていける楽しみもまた素晴らしい。
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