Uriah Heep - Sweet Freedom (2004 Expanded Edition)

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Uriah Heep - Sweet Freedom (2004 Expanded Edition) (1973)
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 ネットの世界全体を見渡す事は不可能だが、それでも何となく世界中でウチのブログだけがここまで70年代頃のロックをひたすらにプッシュして更新して聴いている唯一の場所な気がしてきた。ここまで現代から切り離れた音楽の偏った聴き方をしてそれをウェブにアップして感想文を露骨に出しているのはそうそうなかろう。そもそもブログやHP的な場所を使ってそういう試みをしている人たちが激減どころか皆無になっているので、余計に目立つのかもしれない。何度も書いているがSNSでどれだけ呟いたり書いたりしてもほとんどデータベース的な機能を果たさないし、一瞬しか人の目に触れないだろうと思ってるので、記録的な意味ではブログなりHPなりの方が圧倒的に意味がありそうだと。もっとも自分で見直す事も多くはないが、それでも何かを聴こうとした時、気になった時にネットで探してみるし、その時には何か意味のある発見をしたいとも思うし、そのひとつの情報にでもなればと考えているが、他がなくなってきたので自分自身は発信してるけど受信が減ってきて困る。だからこそ70年代なら70年代の世界に留まってしまうし、新しい世界をどう模索するのかもまた知っていかないといけないしとなかなか面倒。

 Uriah Heepの1973年リリース6枚目のアルバム「Sweet Freedom」はまだあの最強の布陣のままでのリリースにも関わらず、どういうワケか後年になってもあまり取り上げられる機会が多くなく、かく言う自分のブログでもかつて一度も取り上げた事のないアルバムなので自身もそう思っていたのかもしれない。ライブラリを覗くと普通にユーライア・ヒープの所に鎮座しているので持っているのは持っているが、聴いた回数は確かに圧倒的に少ないのは確かだ。それでは改めてアルバムを手にして聴いてみるが、これがまた何ら全盛期の他のアルバム群と大差なく素晴らしい楽曲ばかりが詰め込まれていて、相変わらずのサウンドだったので、なぜそこまで話題にならなかったのかの方が気になった。当時悪魔シリーズからも離脱して、この後はポップ化していくように思われているので、その過度期の中途半端な作品、テーマが見い出せないアルバムとの事から目立たなかったようだが、リリース当時はセールス的にはかなりの好評を博したらしい。ただ、前作があまり素晴らしいとは思いにくいライブアルバム「Live '73」だったのでその余波を浴びている部分もあるかもしれないが、純粋にアルバムの出来映えで聴いていけばかなりの傑作だと思う。冒頭の「Dreamer」こそ一体どうしたんだ、ユーライア・ヒープ、と言いたくなるくらいにファンキーな曲が流れてきてデヴィッド・バイロンの暑苦しい歌声が刺さるのでイメージは良くないが、それでも新基軸のファンキーヘヴィハードロックプレイでミック・ボックスのギターも強烈に炸裂しているし、コーラスワークも健在で耳を惹く一曲なのは間違いない。そして今でもバンドが好んで演奏している「Stealin'」はユーライア・ヒープらしい静かな旋律から甲高いコーラスワークを挟み込みながら、あのブリブリドライブオルガンと独特のノリでのスタイルが聴けるカッコ良いハードロックそのまま。なるほど残されていく曲のハズだ。そしてやや仰々しいスタイルで攻め込んでくる「One Day」でのデヴィッド・バイロンの歌の上手さ、そしてゲイリー・セインのベースが目立つ気持ちの良いくらいに突き抜けている一曲。ややポップ調にも聴こえる部分があるので、この後の路線への布石だろうか、その意味では少々疑いを招く側面はあるとも言えるが、曲はさすがの作品。アルバム・タイトル曲「Sweet Freedom」はゆったりとしたこちらも仰々しく歌い上げられるユーライア・ヒープならではのスタイルが聴けるので違和感なし。中盤のアレンジも最後のコーラスも悪魔時代から憑き物が晴れたかのような感覚すら味わえる。

 B面に入っての「If I Had The Time」は一転して仰々しいオルガンから始まり、ケン・ヘンズレーここにあり、的に他の追随を許さない荘厳な楽曲で、終盤のコーラスとギターソロとオルガンの入り混じり白熱ぶりが素晴らしい。そして軽快なシャッフル風味な「Seven Stars」もヒープのアルバムには大抵一曲くらい入っているパターンで馴染み深くハイレベルな作品。「Circus」はアコギとコンガのようなパーカッションで奏でられるやや変わった風味の味わいのアクセント曲で、メンバー全員で作りましたクレジットになっているのは多々チャレンジした結果こうなった事を示しているのかもしれない。そして本作の目玉ともなる「Pilgrim」は冒頭からオルガンとコーラスワークとピアノまで混じってのハイテンションに荘厳な独自の世界が繰り広げられ、更にミック・ボックスのギターリフもチャカチャカしながらのカッコ良さがありノリノリに楽しめるし、そのまま中盤の展開部分では白熱のプレイがたっぷりと出てくるので素晴らしい。なぜこのアルバムが評価されないのか分からないくらいに、そして勿体無いとも思うくらいに素晴らしい曲で、最後の最後は疾走感がより一層スピードアップしてエンディングに向かって突き進んでいく。聴き終わった後は実に爽快感すら味わえる素晴らしいアルバム。

 さすがに時代を制覇したバンドだけあって1996年には既にリマスター再発されており、ボーナストラックにはシングル曲となった「Stealin'」のB面曲「Sunshine」を収録。続いての「Stealin' (Original Edited Version)」はアルバムバージョンから中間部と最後を短く切ったエディットバージョン、そして「Seven Stars (Previously Unreleased Version)」はアルバムとは異なった白熱のプレイぶりが聴ける5分位のバージョンで収録。更に2004年に新たにリマスタリングされた「Sweet Freedom (2004 Expanded Edition)」では「Sunshine」は1996年盤と同じく収録されているが、他は異なり、「Seven Stars (Extended Version)」は今度は7分強の長尺バージョンへと生まれ変わって収録されている。イントロからして異なるので曲のイメージもやや変わってくるが、今時だとこちらの方が聞きやすい気もする。そして傑作「Pilgrim (Extended Version)」も1分以上長いバージョンで更に白熱して楽しめる感が強いが、リマスタリング効果が高いからか音がスッキリしてしまってあの籠もった熱気感とは異なるのが良し悪しあり。そして本ボーナストラックの目玉、そしてこの一曲のためにこの拡張盤を入手してもおかしくない「If I Had The Time (Demo)」では元々ケン・ヘンズレーのデモテープだった様子で、この頃ケン・ヘンズレーは自身のソロアルバムの制作も同時に行っていたのか、どちらで使うか決めかねているデモテープもあっただろうと勝手に推測しているが、その類に当たる一曲だ。驚くべき内容とはこのデモテープのドラムはサイモン・カーク、そしてギターはポール・コソフがプレイしているので、デモテープながらも普通に聴けるレベルでの録音、そしてポール・コソフのギタープレイはモロにそのまま、あの魂が泣き叫ぶプレイぶりが聴け、しかもアルバムバージョンとは異なり、オルガン中心のアレンジではなく、ギターソロが随所に入ってくるバージョンに仕上がっているのも特徴的で素晴らしい。楽曲自体はさほどでもないが、とにかくコソフのギターがこうして聴ける事の歓びが大きい。最後は「Sweet Freedom 」「Stealin' 」のライブバージョンが収録されているなかなかの充実ぶりを見せたエキスパンデッド・エディションは随分と聴き応えのあるタイトルとして生まれ変わっている。更に、本編も含めて改めての聞き所も多いアルバムなので、またじっくりと取り組んでおきたい。





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フレ
Posted byフレ

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