Jeff Beck - Truth (2005 Remastered)
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Jeff Beck - Truth (2005 Remastered) (1968)

ジェフ・ベックとロン・ウッド、ロッド・スチュワートとコージー・パウエルは自分の意見でしかないかもしれないが、皆、顔の骨格が似ていると思う。何かのアルバムの裏ジャケでコージー・パウエルは別だが、この三人が並んでいる写真を見ててもつくづくそう思うし、また面白い組み合わせだと思っていた。だから何と言うものでもないが、意志の強さがそういう表情と顔の骨格を作るのか、たまたまそういう骨格が並んでいるのかと普通に単なる偶然でしかないが、若い頃、まだ写真もごく僅かしか見ないような頃はどれがどれだっけ、と見間違うような事もあった気がするし、恐らく本人たちもそう思われた事があるだろうと勝手に思う。もっともやってる楽器が違うのでプレイしている姿を見ればその違いは分かるが。そんなどうでも良い事を思い出しながら今回も古き懐かしきアルバムを手に取って聴き直している日々。
1968年にリリースされたJeff Beckのソロ名義ファーストアルバム「Truth 」。ボーカルにはロッド・スチュワート、ベースにロン・ウッド、ドラムはミック・ウォーラーでギターにジェフ・ベックでゲスト扱いながらも鍵盤はニッキー・ホプキンスの凄い面々で作られたアルバム。当時それなりに名を成していたのはジェフ・ベックだけで、他のメンツに比べたらニッキー・ホプキンスの方が知られていたミュージシャンだったと思う。ロン・ウッドとロッド・スチュワートは本作が出世作として知られているし、殊にロッド・スチュワートはここでボーカリストとして圧倒的に注目されたのは間違いない。この時点であのハスキーで高音、そしてパワフルな独特の歌唱そのままをこれでもかとばかりに見せつけて存分に歌っているので、今冷静に聴けば完全にロッド・スチュワートのヘヴィブルースアルバムとして名義を変えても良い程。もっともジェフ・ベックとの連名で出し直しても十分に通用する凄い作品だ。時代が時代だからどうしてもブルース・ロックベースで出来上がっているし、カバー曲ばかりで彩られているので楽曲の派手さ、良い曲と言うのは揃っていないのがややもったいない。ところが一方のプレイヤー目線的にはこの時代を考えてみると、とんでもないチャレンジばかりが詰め込まれており、それは当然の如くジェフ・ベックのギタープレイにひたすら始終する。まともにブルースをプレイしている曲は「Blues Deluxe」だけで、他はブルースのリズムであろうとも今と同じく野心的なフレーズとギターの音色で出来る事への挑戦ばかりで、それに追随するかのようにロッド・スチュワートがこれまでに聴かせた事の無い歌声でギターに負けじと歌い叫んでいる。ドラムのミック・ウォーラーもこの時代的にドタバタと音数の多いドラミングを披露しているのもユニークで、ロン・ウッドのベースラインもなかなかに楽曲にマッチしているのは当然ながら結構凝ったフレージングを織り込んでいる野心作。本作に不調なのはホント、曲の良さだけながら、面白いのはその実、ロッド・スチュワートはブルースやR&Rのパクリっぽい作品ながらもオリジナル曲を3曲提供して貢献しているが、ジェフ・ベック作は皆無らしい。共作程度ならあるのかもしれないが、一般的にはないとされているようだ。とするとこのアルバムはやはりロッド・スチュワートのアルバムに近くて、ジェフ・ベックが野心的なギターサウンドで貢献しているような出来映えとして聴くのが素直なのかもしれない。
「Shapes of Things」はヤードバーズのあの曲をスロウにヘヴィにロッド・スチュワートが素晴らしく歌い上げているし、「Let Me Love You」もこの時代のロックらしいスタンダードなパターンの曲でギターが案外普通に奏でられているのが珍しいと言えば珍しいロッド作。「Morning Dew」はややサイケ時代の名残を感じるがロン・ウッドのベースが曲の骨幹を担ったティム・ローズ作品。そして話題になりがちな「You Shook Me」は冷静に聴けばZeppelinバージョンとはまるでアプローチの異なる取り組みだが、オルガンはジョン・ポール・ジョーンズが弾いている事もあって、当時はZeppelinがパクったなどとも言われていたが、全く影響を受けていなくもないだろうとは思う。そして次の「Ol' Man River」では何とジェフ・ベックがベースを弾いて、ジョンジーがオルガン、ジミー・ペイジがスティール・ギターで共に参加した妙なムードを醸し出したサウンドの楽曲で、なんとティンパニーはキース・ムーンが叩いている凄い面々だが、それをものともしないロッド・スチュワートの圧倒的な歌唱が光る傑作。正にスーパーバンド、奇跡の面子で録音された知られざる作品。「Greensleeves」はあの曲だが、ジェフ・ベックのアコギプレイの器用さをたっぷりと堪能できる珍しい一曲。そしてロッド・スチュワート作の「Rock Me Baby」の改作「Rock My Plimsoul」もお得意のR&Rそのままでジェフ・ベックのヘヴィサウンドと共に聴けるやはりサイケデリック風味なナンバー。そして昔から知られた「Beck's Bolero」は1966年頃のセッションで、ジミー・ペイジ作曲のジョンジーのベースとキース・ムーンのドラム、ニッキー・ホプキンスのピアノインストナンバーながらキース・ムーンのドラムが途中から爆発したように出てくるのが頼もしい。この辺の面子はこの頃から既に仲間で一緒に楽しんでいたようで、誰が誰とバンド組んでてもおかしくない状況。ジョンジーもニッキー・ホプキンスもジミー・ペイジもセッションプレイヤーとして名を馳せていたからこそのセッションだったと思うが、キース・ムーンはまだThe Whoでそこまで知られていなかった時期なので割と不思議な仲間たちだ。「Blues De Luxe」はジェフ・ベックにしては珍しい超どブルースながらも実はロッド・スチュワートの持ち込んだ一曲でこれでもかと言わんばかりに弾きまくり、そしてロッド・スチュワートも歌い上げているブルースの名曲。「 I Ain't Superstitious」はオーソドックスなナンバーながらもやはりジェフ・ベックのアルバムかと言わせる程度にはワウペダルで弾きまくっている作品。
アルバムとしては当時からモノ盤、ステレオ盤とリリースされており、なかなかモノ盤が聴けないようだが2005年にボーナストラック付きでリマスタリングされた際に再発されているのでそれまでよりは聴ける状況にはなっている。英国初回プレスのみミックス違いのアルバムとして知られているが、自分もまだそれを試みた事はない。この2005年リマスター盤「Truth (2005 Remastered) 」でのボーナストラックでは1968年にシングルリリースされた「Love Is Blue」のB面曲「I've Been Drinking」で後のロッド・スチュワートを彷彿させる歌って聴かせるナンバーから始まり、これまた実に素晴らしい「You Shook Me (Take 1)」が聴ける。アルバム収録バージョンよりも綺羅びやかでワウペダルのギターソロが冒頭から奏でられたやや粗い吹っ切れたバージョンで、個人的にはこちらの方が好みだがアルバム収録となると選ばれないだろう理由も分かるテイク。「Rock My Plimsoul」もシングル「Tallyman」のB面曲で、こちらは1967年2月に録音されていたようなので、アルバムバージョンよりもこれもまたラフな出来映えで活き活きしたスタジオの雰囲気がよく分かる活気あるバージョン。続いての「(Beck's) Bolero 」は上記と同じセッションからだがモノラルバージョンで幾つかのギターが加えられているらしい。そしてブルース曲「Blues De Luxe (Take 1) 」はアルバム収録バージョンがライブ感を出すために観客の声が被せてあったものに対し、丸裸の普通のスタジオバージョンそのままを収録している。「Tallyman」は1967年のシングルでドラムにはエインズレー・ダンバーが座った時のバンド演奏で、ボーカルはジェフ・ベック。随分と普通にヘヴィロック且つキャッチーな作品で時代を物語っているが、ギタープレイはさすがに挑戦的で華麗なるテクニックが聴ける。「Love Is Blue」も1968年のシングルで今度は趣を変えてのギターインストバージョンで聴かせる作品だが、どうにもBGM的環境音楽的サウンドに聴こえるものの、中盤ではエグいギターソロが炸裂するあたりはベックらしい。最後の「Hi Ho Silver Lining」はジェフ・ベックのボーカル曲ながらも売れたシングル曲として知られている。
改めて見ると、随分と時代を跨いだセッションをまとめ上げたアルバムだったようで、しかもソロではどうしようもないと本人も認識していたからこそライブハウスに入り浸ってロッド・スチュワートを発掘して一緒にやるようになり、いざこれからシーンを席感していこうとしたのだろう。この後もメンバーとは紆余曲折あり、なかなかバンド活動は上手く軌道に乗らない日々が続いたようだがこれだけの実験作を作り上げて、それもギタープレイヤーとしての野心的側面が強かった事からどこかのバンドに属した方がやりやすかったのかもしれない。ただ、それでは納得出来なかっただろうからこういう活動になったとは思うが、ロッド・スチュワートの発掘は大きかった。今度はモノラル盤を制覇していきたいアルバム。

ジェフ・ベックとロン・ウッド、ロッド・スチュワートとコージー・パウエルは自分の意見でしかないかもしれないが、皆、顔の骨格が似ていると思う。何かのアルバムの裏ジャケでコージー・パウエルは別だが、この三人が並んでいる写真を見ててもつくづくそう思うし、また面白い組み合わせだと思っていた。だから何と言うものでもないが、意志の強さがそういう表情と顔の骨格を作るのか、たまたまそういう骨格が並んでいるのかと普通に単なる偶然でしかないが、若い頃、まだ写真もごく僅かしか見ないような頃はどれがどれだっけ、と見間違うような事もあった気がするし、恐らく本人たちもそう思われた事があるだろうと勝手に思う。もっともやってる楽器が違うのでプレイしている姿を見ればその違いは分かるが。そんなどうでも良い事を思い出しながら今回も古き懐かしきアルバムを手に取って聴き直している日々。
1968年にリリースされたJeff Beckのソロ名義ファーストアルバム「Truth 」。ボーカルにはロッド・スチュワート、ベースにロン・ウッド、ドラムはミック・ウォーラーでギターにジェフ・ベックでゲスト扱いながらも鍵盤はニッキー・ホプキンスの凄い面々で作られたアルバム。当時それなりに名を成していたのはジェフ・ベックだけで、他のメンツに比べたらニッキー・ホプキンスの方が知られていたミュージシャンだったと思う。ロン・ウッドとロッド・スチュワートは本作が出世作として知られているし、殊にロッド・スチュワートはここでボーカリストとして圧倒的に注目されたのは間違いない。この時点であのハスキーで高音、そしてパワフルな独特の歌唱そのままをこれでもかとばかりに見せつけて存分に歌っているので、今冷静に聴けば完全にロッド・スチュワートのヘヴィブルースアルバムとして名義を変えても良い程。もっともジェフ・ベックとの連名で出し直しても十分に通用する凄い作品だ。時代が時代だからどうしてもブルース・ロックベースで出来上がっているし、カバー曲ばかりで彩られているので楽曲の派手さ、良い曲と言うのは揃っていないのがややもったいない。ところが一方のプレイヤー目線的にはこの時代を考えてみると、とんでもないチャレンジばかりが詰め込まれており、それは当然の如くジェフ・ベックのギタープレイにひたすら始終する。まともにブルースをプレイしている曲は「Blues Deluxe」だけで、他はブルースのリズムであろうとも今と同じく野心的なフレーズとギターの音色で出来る事への挑戦ばかりで、それに追随するかのようにロッド・スチュワートがこれまでに聴かせた事の無い歌声でギターに負けじと歌い叫んでいる。ドラムのミック・ウォーラーもこの時代的にドタバタと音数の多いドラミングを披露しているのもユニークで、ロン・ウッドのベースラインもなかなかに楽曲にマッチしているのは当然ながら結構凝ったフレージングを織り込んでいる野心作。本作に不調なのはホント、曲の良さだけながら、面白いのはその実、ロッド・スチュワートはブルースやR&Rのパクリっぽい作品ながらもオリジナル曲を3曲提供して貢献しているが、ジェフ・ベック作は皆無らしい。共作程度ならあるのかもしれないが、一般的にはないとされているようだ。とするとこのアルバムはやはりロッド・スチュワートのアルバムに近くて、ジェフ・ベックが野心的なギターサウンドで貢献しているような出来映えとして聴くのが素直なのかもしれない。
「Shapes of Things」はヤードバーズのあの曲をスロウにヘヴィにロッド・スチュワートが素晴らしく歌い上げているし、「Let Me Love You」もこの時代のロックらしいスタンダードなパターンの曲でギターが案外普通に奏でられているのが珍しいと言えば珍しいロッド作。「Morning Dew」はややサイケ時代の名残を感じるがロン・ウッドのベースが曲の骨幹を担ったティム・ローズ作品。そして話題になりがちな「You Shook Me」は冷静に聴けばZeppelinバージョンとはまるでアプローチの異なる取り組みだが、オルガンはジョン・ポール・ジョーンズが弾いている事もあって、当時はZeppelinがパクったなどとも言われていたが、全く影響を受けていなくもないだろうとは思う。そして次の「Ol' Man River」では何とジェフ・ベックがベースを弾いて、ジョンジーがオルガン、ジミー・ペイジがスティール・ギターで共に参加した妙なムードを醸し出したサウンドの楽曲で、なんとティンパニーはキース・ムーンが叩いている凄い面々だが、それをものともしないロッド・スチュワートの圧倒的な歌唱が光る傑作。正にスーパーバンド、奇跡の面子で録音された知られざる作品。「Greensleeves」はあの曲だが、ジェフ・ベックのアコギプレイの器用さをたっぷりと堪能できる珍しい一曲。そしてロッド・スチュワート作の「Rock Me Baby」の改作「Rock My Plimsoul」もお得意のR&Rそのままでジェフ・ベックのヘヴィサウンドと共に聴けるやはりサイケデリック風味なナンバー。そして昔から知られた「Beck's Bolero」は1966年頃のセッションで、ジミー・ペイジ作曲のジョンジーのベースとキース・ムーンのドラム、ニッキー・ホプキンスのピアノインストナンバーながらキース・ムーンのドラムが途中から爆発したように出てくるのが頼もしい。この辺の面子はこの頃から既に仲間で一緒に楽しんでいたようで、誰が誰とバンド組んでてもおかしくない状況。ジョンジーもニッキー・ホプキンスもジミー・ペイジもセッションプレイヤーとして名を馳せていたからこそのセッションだったと思うが、キース・ムーンはまだThe Whoでそこまで知られていなかった時期なので割と不思議な仲間たちだ。「Blues De Luxe」はジェフ・ベックにしては珍しい超どブルースながらも実はロッド・スチュワートの持ち込んだ一曲でこれでもかと言わんばかりに弾きまくり、そしてロッド・スチュワートも歌い上げているブルースの名曲。「 I Ain't Superstitious」はオーソドックスなナンバーながらもやはりジェフ・ベックのアルバムかと言わせる程度にはワウペダルで弾きまくっている作品。
アルバムとしては当時からモノ盤、ステレオ盤とリリースされており、なかなかモノ盤が聴けないようだが2005年にボーナストラック付きでリマスタリングされた際に再発されているのでそれまでよりは聴ける状況にはなっている。英国初回プレスのみミックス違いのアルバムとして知られているが、自分もまだそれを試みた事はない。この2005年リマスター盤「Truth (2005 Remastered) 」でのボーナストラックでは1968年にシングルリリースされた「Love Is Blue」のB面曲「I've Been Drinking」で後のロッド・スチュワートを彷彿させる歌って聴かせるナンバーから始まり、これまた実に素晴らしい「You Shook Me (Take 1)」が聴ける。アルバム収録バージョンよりも綺羅びやかでワウペダルのギターソロが冒頭から奏でられたやや粗い吹っ切れたバージョンで、個人的にはこちらの方が好みだがアルバム収録となると選ばれないだろう理由も分かるテイク。「Rock My Plimsoul」もシングル「Tallyman」のB面曲で、こちらは1967年2月に録音されていたようなので、アルバムバージョンよりもこれもまたラフな出来映えで活き活きしたスタジオの雰囲気がよく分かる活気あるバージョン。続いての「(Beck's) Bolero 」は上記と同じセッションからだがモノラルバージョンで幾つかのギターが加えられているらしい。そしてブルース曲「Blues De Luxe (Take 1) 」はアルバム収録バージョンがライブ感を出すために観客の声が被せてあったものに対し、丸裸の普通のスタジオバージョンそのままを収録している。「Tallyman」は1967年のシングルでドラムにはエインズレー・ダンバーが座った時のバンド演奏で、ボーカルはジェフ・ベック。随分と普通にヘヴィロック且つキャッチーな作品で時代を物語っているが、ギタープレイはさすがに挑戦的で華麗なるテクニックが聴ける。「Love Is Blue」も1968年のシングルで今度は趣を変えてのギターインストバージョンで聴かせる作品だが、どうにもBGM的環境音楽的サウンドに聴こえるものの、中盤ではエグいギターソロが炸裂するあたりはベックらしい。最後の「Hi Ho Silver Lining」はジェフ・ベックのボーカル曲ながらも売れたシングル曲として知られている。
改めて見ると、随分と時代を跨いだセッションをまとめ上げたアルバムだったようで、しかもソロではどうしようもないと本人も認識していたからこそライブハウスに入り浸ってロッド・スチュワートを発掘して一緒にやるようになり、いざこれからシーンを席感していこうとしたのだろう。この後もメンバーとは紆余曲折あり、なかなかバンド活動は上手く軌道に乗らない日々が続いたようだがこれだけの実験作を作り上げて、それもギタープレイヤーとしての野心的側面が強かった事からどこかのバンドに属した方がやりやすかったのかもしれない。ただ、それでは納得出来なかっただろうからこういう活動になったとは思うが、ロッド・スチュワートの発掘は大きかった。今度はモノラル盤を制覇していきたいアルバム。
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