The Kinks - The Kinks Are The Village Green Preservation Society (12 songs version)
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The Kinks - The Kinks Are The Village Green Preservation Society (12 songs version) (1968)
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ポップスからロックが生まれ、その昔からポップソングの歌詞は恋愛ものが中心で多少幅広い世界に進んだ程度だったがロックが出てきた時から反抗心や社会への不満などが取り上げられ、やや過激な歌詞で歌われる面もあり、ロカビリーが人気を博した。その後のロックではビートルズを例に取ればそれでもラブソング中心ながら自分たちの主張を取り入れつつ発散していく程度で、周囲の出来事から持ち込まれたような歌詞やどこか空想的な作品も出てきた。そうした世界の1960年代半ば頃に唐突にボブ・ディランが反社会的姿勢、圧倒的なポリシーを歌にして出してきたのだからそれまでナヨナヨしてたロック連中がフォーク青年に一気に惹き込まれるワケだ。この頃から文学的な思想を持ち込んだり芸術的エッセンスを歌詞にも持ち込んだりしたバンドが増えてきたが、ロックの特性か、どうしてもマイナーでニッチな、自分たちだけの世界へと進みたがる傾向が多かったような気がする。そんな時に世間の目線とは大きくズレた、英国ならではの視線で世の中を見据えていた天才が才覚を表し始めたのがレイ・デイヴィス。
1968年にリリースされた「The Kinks Are The Village Green Preservation Society」は元々は「Four More Respected Gentlemen」と題された11曲入の作品として知られているが、その後英国のシニカルな目線、極々一般的でのどかな田園風景で過ごすどこにでもいるような思春期の青年の目から見た景色をそのまま歌うという誰にでも出来たはずなのに誰も成し得なかった歌詞をとてつもなく素晴らしいメロディと楽曲に乗せて傑作を作っていた。その後1968年になりギリギリまでレコーディングとミックスに取り組み、レコードの発売日が迫る中、一旦は12曲入りのアルバム「The Kinks Are The Village Green Preservation Society」をヨーロッパの一部の国々に先にリリースしたものの、その後すぐに製造中止と回収を命じて15曲入りの今では一般的に広まっているバージョンのアルバムをリリースし直した。幸い英国とアメリカには12曲入りバージョンがリリースされる前だったため、また、アルバムもさほど売れなかった事もあって、ホントにごく一部の国でそこそこの枚数しか流通しなかったらしく、アナログレコードは相当にレア盤と化しているのは当然ながら、昔はあまりその情報も正確ではなかったため、それぞれ国別にジャケットが異なっていた事も知られておらず、一体何がどうなってこういうリリースで、このジャケットはどこの国のアルバムなのか、海賊盤なのか正式盤なのか、単なるその国の編集盤なのかなかなか見定めも出来なかった。もっともそこまで目にする機会も無かったので、後追いの知識を得てからの方が多かったが、それでも今ほど整理されていなかったからそういうアルバムのバージョンがあったらしい、と知っていた程度。まだ入手するならオリジナル盤の方だろうと思っていたくらいだから若かった。それもしばらくすると15曲入りの普通のアルバムでもモノラル、ステレオバージョンがある事も分かり、その頃のシングルではバージョンが異なるのもあったり、アルバムでも一部異なっていたりしたらしい。それに加えて先の12曲入りバージョンでもモノラル、ステレオが当時からリリースされており、また「Days」と「Mr. Songbird」が外されて今では知られている曲が5曲追加されての15曲入りバージョンとなったらしい、つまり「Days」と「Mr. Songbird」は貴重な楽曲だ、などと知るのも時間が経ってから。「Days」はシングルでも知られていたのであちこちで聴けたが「Mr. Songbird」はなかなかお目にかかれない一曲だったし、そのヘンもモノラル、ステレオの差もあるのと、テイク違いバージョン違いも国によってリリースされていたりしてお手上げ。一度全部きちんと調べてコレクション的にはほぼ網羅したハズだが、あまりにもニッチすぎてそこまで今思い出せていない。そんな悩みを解消するかのように2019年には超絶デラックスボックスセットエディション「THE KINKS ARE THE VILLAGE GREEN PRESERVATION SOCIETY [SUPER DELUXE BOX]」がリリースされ、その全貌を知りたければコレを買え、とばかりのとんでもないブツが入手出来る。モノ、ステは当然、当時のシングルや未発表曲、デモやレアテイク、BBCセッションから2010年のレイ・デイヴィスのライブバージョンまで見事なまでにコレクターご満悦のてんこ盛り。その前の2004年には3CDバージョンで、モノ、ステと当時のシングル、未発表曲、「The Great Lost Kinks Album」曲などをたっぷりと収めたデラックス・エディションがリリースされていたので、その辺りまでは結構抑えていたはず。
その前には1997年に1CDながら驚く事に15曲入りアルバムのモノラルミックスと12曲入りアルバムのステレオミックスが収録されており、なるほど、これで幻の12曲入りバージョンも聴けるか、とはなったが、そもそも曲自体は割と入手できたものなので聴いていると随分と馴染み深い作品にも聴こえて些か拍子抜けした記憶がある。この時点で15曲入りステレオバージョンはあちこちの単独リリースで普通に聴けていたので、コレクション的には問題なかったが、問題は必要か不要か悩ましいながらも存在としては気にする必要のあった12曲入りのモノラルバージョン。当然ながら音源的には手持ちで何とかなってしまうのでアイテムとしてのコレクター的な話になるだろうか、自分が色々と集めていた時期には結局目にする事はなかったが、今でも相当貴重なアルバムだとは思う。今ではそのどれもこれもがきちんと整理されてDiscogでもきちんと各国盤の来歴も見れるし曲目もジャケットも確認出来るのだから良い時代だ。そんな流れもあって、これまであまり気にした事のない「The Kinks Are The Village Green Preservation Society」の12曲入りアルバムのモノラルバージョンを聴きながら書いているが、何となく流れ的には15曲入りバージョンの気分ながらも、5曲目に「Monica」が流れる辺りから本能的に少々新鮮な刺激を感じるし、続いての「Days」の美しさと「Village Green」の切なさにヤられるが、アナログ時代だと「Days」でA面が終わり、B面の冒頭から「Village Green」でしっとりと始められるという書き方が正しいか。その上「Mr.Songbird」では牧歌的なフルートの吹かれるアコースティック調の楽曲が奏でられるのだから新鮮に響く。今となっては知ってる曲ながらこの順番で聴くのが新鮮だが、当時これがアルバムとして流通していたら定番になっただろうか、と問われるとなかなか難しかったかもしれない、とは思う。もっとユニークで魅力的な曲が他にもあって収録されていなかったのが悔やまれただろうし、だからこそリリースを止めてでも作り直したのだろうし、その熱意とクリエイティブさが素晴らしい。今となってはどれ聴いてもホントにレベルの高いハイクォリティな楽曲のオンパレードなのでアルバム2枚組でも良かっただろうと思うが、当時も売れなかった事を思えばそうもいかなかった理由も納得。それでも時代が経って、どれもこれもあれもそれも全てが重複しようがバージョン違いも含めて聴けるのはホントに良い時代、そして楽しめるライブラリ。自分もどれだけこのアルバム関連のライブラリが揃っているのだろうか、先に上げた全ては揃っているしその前の国内盤やアナログも含めて何枚も買ったものだ。そして今聴いていてもやはり素晴らしい名盤としか言いようのない傑作と思うのだから時代を超越してのレイ・デイヴィスの天才ぶりに拍手。
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ポップスからロックが生まれ、その昔からポップソングの歌詞は恋愛ものが中心で多少幅広い世界に進んだ程度だったがロックが出てきた時から反抗心や社会への不満などが取り上げられ、やや過激な歌詞で歌われる面もあり、ロカビリーが人気を博した。その後のロックではビートルズを例に取ればそれでもラブソング中心ながら自分たちの主張を取り入れつつ発散していく程度で、周囲の出来事から持ち込まれたような歌詞やどこか空想的な作品も出てきた。そうした世界の1960年代半ば頃に唐突にボブ・ディランが反社会的姿勢、圧倒的なポリシーを歌にして出してきたのだからそれまでナヨナヨしてたロック連中がフォーク青年に一気に惹き込まれるワケだ。この頃から文学的な思想を持ち込んだり芸術的エッセンスを歌詞にも持ち込んだりしたバンドが増えてきたが、ロックの特性か、どうしてもマイナーでニッチな、自分たちだけの世界へと進みたがる傾向が多かったような気がする。そんな時に世間の目線とは大きくズレた、英国ならではの視線で世の中を見据えていた天才が才覚を表し始めたのがレイ・デイヴィス。
1968年にリリースされた「The Kinks Are The Village Green Preservation Society」は元々は「Four More Respected Gentlemen」と題された11曲入の作品として知られているが、その後英国のシニカルな目線、極々一般的でのどかな田園風景で過ごすどこにでもいるような思春期の青年の目から見た景色をそのまま歌うという誰にでも出来たはずなのに誰も成し得なかった歌詞をとてつもなく素晴らしいメロディと楽曲に乗せて傑作を作っていた。その後1968年になりギリギリまでレコーディングとミックスに取り組み、レコードの発売日が迫る中、一旦は12曲入りのアルバム「The Kinks Are The Village Green Preservation Society」をヨーロッパの一部の国々に先にリリースしたものの、その後すぐに製造中止と回収を命じて15曲入りの今では一般的に広まっているバージョンのアルバムをリリースし直した。幸い英国とアメリカには12曲入りバージョンがリリースされる前だったため、また、アルバムもさほど売れなかった事もあって、ホントにごく一部の国でそこそこの枚数しか流通しなかったらしく、アナログレコードは相当にレア盤と化しているのは当然ながら、昔はあまりその情報も正確ではなかったため、それぞれ国別にジャケットが異なっていた事も知られておらず、一体何がどうなってこういうリリースで、このジャケットはどこの国のアルバムなのか、海賊盤なのか正式盤なのか、単なるその国の編集盤なのかなかなか見定めも出来なかった。もっともそこまで目にする機会も無かったので、後追いの知識を得てからの方が多かったが、それでも今ほど整理されていなかったからそういうアルバムのバージョンがあったらしい、と知っていた程度。まだ入手するならオリジナル盤の方だろうと思っていたくらいだから若かった。それもしばらくすると15曲入りの普通のアルバムでもモノラル、ステレオバージョンがある事も分かり、その頃のシングルではバージョンが異なるのもあったり、アルバムでも一部異なっていたりしたらしい。それに加えて先の12曲入りバージョンでもモノラル、ステレオが当時からリリースされており、また「Days」と「Mr. Songbird」が外されて今では知られている曲が5曲追加されての15曲入りバージョンとなったらしい、つまり「Days」と「Mr. Songbird」は貴重な楽曲だ、などと知るのも時間が経ってから。「Days」はシングルでも知られていたのであちこちで聴けたが「Mr. Songbird」はなかなかお目にかかれない一曲だったし、そのヘンもモノラル、ステレオの差もあるのと、テイク違いバージョン違いも国によってリリースされていたりしてお手上げ。一度全部きちんと調べてコレクション的にはほぼ網羅したハズだが、あまりにもニッチすぎてそこまで今思い出せていない。そんな悩みを解消するかのように2019年には超絶デラックスボックスセットエディション「THE KINKS ARE THE VILLAGE GREEN PRESERVATION SOCIETY [SUPER DELUXE BOX]」がリリースされ、その全貌を知りたければコレを買え、とばかりのとんでもないブツが入手出来る。モノ、ステは当然、当時のシングルや未発表曲、デモやレアテイク、BBCセッションから2010年のレイ・デイヴィスのライブバージョンまで見事なまでにコレクターご満悦のてんこ盛り。その前の2004年には3CDバージョンで、モノ、ステと当時のシングル、未発表曲、「The Great Lost Kinks Album」曲などをたっぷりと収めたデラックス・エディションがリリースされていたので、その辺りまでは結構抑えていたはず。
その前には1997年に1CDながら驚く事に15曲入りアルバムのモノラルミックスと12曲入りアルバムのステレオミックスが収録されており、なるほど、これで幻の12曲入りバージョンも聴けるか、とはなったが、そもそも曲自体は割と入手できたものなので聴いていると随分と馴染み深い作品にも聴こえて些か拍子抜けした記憶がある。この時点で15曲入りステレオバージョンはあちこちの単独リリースで普通に聴けていたので、コレクション的には問題なかったが、問題は必要か不要か悩ましいながらも存在としては気にする必要のあった12曲入りのモノラルバージョン。当然ながら音源的には手持ちで何とかなってしまうのでアイテムとしてのコレクター的な話になるだろうか、自分が色々と集めていた時期には結局目にする事はなかったが、今でも相当貴重なアルバムだとは思う。今ではそのどれもこれもがきちんと整理されてDiscogでもきちんと各国盤の来歴も見れるし曲目もジャケットも確認出来るのだから良い時代だ。そんな流れもあって、これまであまり気にした事のない「The Kinks Are The Village Green Preservation Society」の12曲入りアルバムのモノラルバージョンを聴きながら書いているが、何となく流れ的には15曲入りバージョンの気分ながらも、5曲目に「Monica」が流れる辺りから本能的に少々新鮮な刺激を感じるし、続いての「Days」の美しさと「Village Green」の切なさにヤられるが、アナログ時代だと「Days」でA面が終わり、B面の冒頭から「Village Green」でしっとりと始められるという書き方が正しいか。その上「Mr.Songbird」では牧歌的なフルートの吹かれるアコースティック調の楽曲が奏でられるのだから新鮮に響く。今となっては知ってる曲ながらこの順番で聴くのが新鮮だが、当時これがアルバムとして流通していたら定番になっただろうか、と問われるとなかなか難しかったかもしれない、とは思う。もっとユニークで魅力的な曲が他にもあって収録されていなかったのが悔やまれただろうし、だからこそリリースを止めてでも作り直したのだろうし、その熱意とクリエイティブさが素晴らしい。今となってはどれ聴いてもホントにレベルの高いハイクォリティな楽曲のオンパレードなのでアルバム2枚組でも良かっただろうと思うが、当時も売れなかった事を思えばそうもいかなかった理由も納得。それでも時代が経って、どれもこれもあれもそれも全てが重複しようがバージョン違いも含めて聴けるのはホントに良い時代、そして楽しめるライブラリ。自分もどれだけこのアルバム関連のライブラリが揃っているのだろうか、先に上げた全ては揃っているしその前の国内盤やアナログも含めて何枚も買ったものだ。そして今聴いていてもやはり素晴らしい名盤としか言いようのない傑作と思うのだから時代を超越してのレイ・デイヴィスの天才ぶりに拍手。
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