Pete Townshend - Lifehouse Elements
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Pete Townshend - Lifehouse Elements (2000)

インターネットが普及し始めてからミュージシャン側もアルバムの概念や既存の流通概念に不満を持っていた面を自力で改善できそうな夢を描いたのだろうと思う。ネット限定販売、CDのようなフィジカルメディアに頼らずにネット配信のみで公開、特別URLのみでパスワード入れて限定的に見せて聴かせたり、一方ではYouTubeで続々と楽曲を配信したりと全くアーティスト側が独自で出来る事を次々と発信するようになっている。ネット普及初期ではマルチメディアなんて単語も飛び交った事もあるが、どれもこれも古き良き時代と語られてしまうようになったのも時の流れ。ネット普及前までは個人輸入やアーティストファンクラブから何かを直接買う事は相当のマニアの領域とも言え、なかなか敷居が高かったが、ネット普及によりハードルが下がり、発信側も思い切った発想になっていったが、The Whoのピート・タウンジェンドはその中でもかなり早めに新たなチャネルを模索して発信していった人だと思う。丁度2000年になる手前頃からピート・タウンジェンドの中でずっとアタマに残っていたThe Who時代の挫折作品「Lifehouse」をこの頃に再構築して普及に努めていた時期。BBCでその物語と音楽が放送され、過去のマテリアルの再構築にも着手し、新曲を加えてひとつの作品として仕上げて、更にオーケストラとの共演やライブ活動の活性化などと機運が向いてきたのもあり、その活動はボックスセットサイズになったが、到底一般発売の流通では厳しいと判断したか、ネットで直接販売の手法を取っていたのでアイテム的にはかなりマニアックな作品となった。
当時既にThe Whoやピート・タウンジェンドは好きだったので、これもちゃっかりと発売時に自分もその買い方やネットでの可能性に興味もあったので取り組んで早々に入手したアイテムだった。ただ、あまりにもマニアックな内容過ぎて6CD全てを聴くには結構辛かったし、本当に興味あったのは6CDセットのウチ最初の2枚だけで、残りはさほど聴かなかった気がする。今回改めて6CDセットをマジマジと眺めて聴いて調べてみたものの、やはり冒頭2枚のデモテープ集だけでも良かったと思ったら、その脇に「Lifehouse Elements」のCDがあったので、なるほど、だから売る側もこういうコンパクトチョイス盤を発売したのか、と忘れてたけど持っていたそのCDを見て納得。コレクター見地では6CDセットは必須だが、聴くなら「Lifehouse Elements」の方が圧倒的に利便性が高いし、自分的にはデモ音源でOKと、色々な聴き方があるものだ。さて、この「Lifehouse Elements」はどういう構成で組まれていたのだろうかとトンと記憶から抜けていたので、久々もあって聴いていたらこれがよく纏められていて、基本デモ音源でThe Whoのファン的には聴きやすい選曲が施されている中、幾つかの曲が実験的な再構築バージョンに差し替えられて6CDセットのプロモーション的な意味合いを果たしているようだ。冒頭の「One Note - Prologue」は短いながらもオーケストラアレンジ時のオープニングから採用し、新たな息吹を感じさせるインストもの。そこから「Baba O'Riley」のオーケストラバージョンが流れるが、あの強烈なシンセのイントロを期待したリスナーの裏をかくオーケストラでのイントロに驚くし、そのままオーケストラだけで楽曲が進められていく展開もかなり新鮮に響く気合の一曲。よく分からないが何を読んでもこの曲が「ライフハウス」のキーとなる楽曲と記されているので、その意味でも特別な取り組みをした曲だろう。普通に聴いていると特に面白みは感じないし、単にオーケストラならこうなるのか、という程度でロック好きには高尚すぎるか。
続く「Pure And Easy」も「ライフハウス」のキー曲のひとつとして知られているがこちらは8分半のデモバージョンで随分と音が綺麗に良く録られているとつくづくピート・タウンジェンドの才能の高さぶりに感嘆する作品。さて、次の「New Song」は面白い事に6CDセットには入っていないし、「ライフハウス」的曲とも知られていないので、どういう意図でここに収録したのか、単なるデモテープをいじってたら面白くなって入れてみたのかよく分からないが、デモテープからの収録だろう。その意味では「Getting In Tune」も同じで、ドラムもベースもピート・タウンジェンドの演奏ながらまるで普通にどこかのバンドが演奏しているかのように聴けるレベルだからこそこういうソースそのままを発表してしまえるのだろう。「Behind Blue Eyes」は1999年 に再録されたアコースティックギターとストリングスのみのバージョンである意味ライブそのままのテイクとも言え、6CDでも当然収録されているバージョンを採用。観客と皆で楽しもうぞ的な印象のある「Let's See Action」もデモバージョンからで、その次の「Who Are You」は Gateway Remixバージョンとされているが1998年シェファーズブッシュのライブバージョンからで、これがまたここまでデジタルロック調にしてしまうかと言うくらいのバージョンをライブで披露していたようだ。好みはともかく、この頃のジェフ・ベックの作品にも通じるこの野心と取り組む意思が凄い。終わりに近づいているが、「Won't Get Fooled Again」は当然ピート・タウンジェンドのデモバージョンを収録、「Baba M1 (O'Riley 2nd Movement 1971)」は想像に反してあの強烈なイントロの元ネタ的シンセの垂れ流しとでも言うべきサウンドで、革新的ではあるが、これをそのまま聞かされても、という部分はあるがそこは本盤がサンプラーとしての使命も持つからやむを得ないか。最後はデモテープ段階から美しき「Song Is Over」で締めてくれるので、一応短縮版「ライフハウス」を軽く味わせてくれる曲構成になっているし、様々なバージョンを収録する事で、6CDボックスセットへの興味をそそるようにもなっている。
改めて聴いているとホントにピート・タウンジェンドの類稀なる才能にも感心するし、その中でも一番充実していた「ライフハウス」の時期、1971年頃の全盛期の才能の発揮ぶりが素晴らしく、どの曲もどの曲もハズレのない素晴らしいレベルの作品ばかり。しかもギタープレイ聴いてても全くどこから出てくるのか、こういう音の使い方とカッコ良さのセンスが凄いので聴いてて何度も何度も痺れる。ホントに音楽的才能に溢れた人、天才と言うに相応しい人とは素人が聴いていても分かるのだから、とてつもない才能なのだろう。それでいてあの破壊的パフォーマンスもロック的にも意志の強さも見られ、さらに今でも活動している化石の代表のような人ながらこれだ。単なるサンプラー盤的に思っていたが、じっくりと聴いているとその深みも楽しめて6CDセットをきちんと聴き直そうという気にもなるナイスな選曲、そしてレベルの高い楽曲のおかげでそれだけでも聴いていられる凄さ。

インターネットが普及し始めてからミュージシャン側もアルバムの概念や既存の流通概念に不満を持っていた面を自力で改善できそうな夢を描いたのだろうと思う。ネット限定販売、CDのようなフィジカルメディアに頼らずにネット配信のみで公開、特別URLのみでパスワード入れて限定的に見せて聴かせたり、一方ではYouTubeで続々と楽曲を配信したりと全くアーティスト側が独自で出来る事を次々と発信するようになっている。ネット普及初期ではマルチメディアなんて単語も飛び交った事もあるが、どれもこれも古き良き時代と語られてしまうようになったのも時の流れ。ネット普及前までは個人輸入やアーティストファンクラブから何かを直接買う事は相当のマニアの領域とも言え、なかなか敷居が高かったが、ネット普及によりハードルが下がり、発信側も思い切った発想になっていったが、The Whoのピート・タウンジェンドはその中でもかなり早めに新たなチャネルを模索して発信していった人だと思う。丁度2000年になる手前頃からピート・タウンジェンドの中でずっとアタマに残っていたThe Who時代の挫折作品「Lifehouse」をこの頃に再構築して普及に努めていた時期。BBCでその物語と音楽が放送され、過去のマテリアルの再構築にも着手し、新曲を加えてひとつの作品として仕上げて、更にオーケストラとの共演やライブ活動の活性化などと機運が向いてきたのもあり、その活動はボックスセットサイズになったが、到底一般発売の流通では厳しいと判断したか、ネットで直接販売の手法を取っていたのでアイテム的にはかなりマニアックな作品となった。
当時既にThe Whoやピート・タウンジェンドは好きだったので、これもちゃっかりと発売時に自分もその買い方やネットでの可能性に興味もあったので取り組んで早々に入手したアイテムだった。ただ、あまりにもマニアックな内容過ぎて6CD全てを聴くには結構辛かったし、本当に興味あったのは6CDセットのウチ最初の2枚だけで、残りはさほど聴かなかった気がする。今回改めて6CDセットをマジマジと眺めて聴いて調べてみたものの、やはり冒頭2枚のデモテープ集だけでも良かったと思ったら、その脇に「Lifehouse Elements」のCDがあったので、なるほど、だから売る側もこういうコンパクトチョイス盤を発売したのか、と忘れてたけど持っていたそのCDを見て納得。コレクター見地では6CDセットは必須だが、聴くなら「Lifehouse Elements」の方が圧倒的に利便性が高いし、自分的にはデモ音源でOKと、色々な聴き方があるものだ。さて、この「Lifehouse Elements」はどういう構成で組まれていたのだろうかとトンと記憶から抜けていたので、久々もあって聴いていたらこれがよく纏められていて、基本デモ音源でThe Whoのファン的には聴きやすい選曲が施されている中、幾つかの曲が実験的な再構築バージョンに差し替えられて6CDセットのプロモーション的な意味合いを果たしているようだ。冒頭の「One Note - Prologue」は短いながらもオーケストラアレンジ時のオープニングから採用し、新たな息吹を感じさせるインストもの。そこから「Baba O'Riley」のオーケストラバージョンが流れるが、あの強烈なシンセのイントロを期待したリスナーの裏をかくオーケストラでのイントロに驚くし、そのままオーケストラだけで楽曲が進められていく展開もかなり新鮮に響く気合の一曲。よく分からないが何を読んでもこの曲が「ライフハウス」のキーとなる楽曲と記されているので、その意味でも特別な取り組みをした曲だろう。普通に聴いていると特に面白みは感じないし、単にオーケストラならこうなるのか、という程度でロック好きには高尚すぎるか。
続く「Pure And Easy」も「ライフハウス」のキー曲のひとつとして知られているがこちらは8分半のデモバージョンで随分と音が綺麗に良く録られているとつくづくピート・タウンジェンドの才能の高さぶりに感嘆する作品。さて、次の「New Song」は面白い事に6CDセットには入っていないし、「ライフハウス」的曲とも知られていないので、どういう意図でここに収録したのか、単なるデモテープをいじってたら面白くなって入れてみたのかよく分からないが、デモテープからの収録だろう。その意味では「Getting In Tune」も同じで、ドラムもベースもピート・タウンジェンドの演奏ながらまるで普通にどこかのバンドが演奏しているかのように聴けるレベルだからこそこういうソースそのままを発表してしまえるのだろう。「Behind Blue Eyes」は1999年 に再録されたアコースティックギターとストリングスのみのバージョンである意味ライブそのままのテイクとも言え、6CDでも当然収録されているバージョンを採用。観客と皆で楽しもうぞ的な印象のある「Let's See Action」もデモバージョンからで、その次の「Who Are You」は Gateway Remixバージョンとされているが1998年シェファーズブッシュのライブバージョンからで、これがまたここまでデジタルロック調にしてしまうかと言うくらいのバージョンをライブで披露していたようだ。好みはともかく、この頃のジェフ・ベックの作品にも通じるこの野心と取り組む意思が凄い。終わりに近づいているが、「Won't Get Fooled Again」は当然ピート・タウンジェンドのデモバージョンを収録、「Baba M1 (O'Riley 2nd Movement 1971)」は想像に反してあの強烈なイントロの元ネタ的シンセの垂れ流しとでも言うべきサウンドで、革新的ではあるが、これをそのまま聞かされても、という部分はあるがそこは本盤がサンプラーとしての使命も持つからやむを得ないか。最後はデモテープ段階から美しき「Song Is Over」で締めてくれるので、一応短縮版「ライフハウス」を軽く味わせてくれる曲構成になっているし、様々なバージョンを収録する事で、6CDボックスセットへの興味をそそるようにもなっている。
改めて聴いているとホントにピート・タウンジェンドの類稀なる才能にも感心するし、その中でも一番充実していた「ライフハウス」の時期、1971年頃の全盛期の才能の発揮ぶりが素晴らしく、どの曲もどの曲もハズレのない素晴らしいレベルの作品ばかり。しかもギタープレイ聴いてても全くどこから出てくるのか、こういう音の使い方とカッコ良さのセンスが凄いので聴いてて何度も何度も痺れる。ホントに音楽的才能に溢れた人、天才と言うに相応しい人とは素人が聴いていても分かるのだから、とてつもない才能なのだろう。それでいてあの破壊的パフォーマンスもロック的にも意志の強さも見られ、さらに今でも活動している化石の代表のような人ながらこれだ。単なるサンプラー盤的に思っていたが、じっくりと聴いているとその深みも楽しめて6CDセットをきちんと聴き直そうという気にもなるナイスな選曲、そしてレベルの高い楽曲のおかげでそれだけでも聴いていられる凄さ。
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