Wig Wam - Never Say Die

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Wig Wam - Never Say Die (2021)
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 丁度このブログを書き始めた頃に新しいバンドやサウンドにも目を向けるようになったが、それまでは70年代ロックをひたすら追いかける方が忙しくてさほどリアルタイムのバンドの深掘りはしていなかった。それでも売れていたり話題になればそれなりには聴いていたので、後追いに比べれば知ってるかもしれないが、ここまで色々な世界が広がっていたとは露程も知らず、かなり取り残されていた、と言うかニッチな自分の好きな世界だけを探求していた。ところが当時はまだCDショップも健在だったからチョコチョコと顔を出してみれば色々な音楽が巷に溢れているのは分かる。それでもほとんどは中古ショップばかり行ってたので、国内のCDショップにはほとんど顔を出さず、精々輸入盤大手を見るくらいだったが、そこで割と試聴コーナーもあって聴いてたのはあった。以前はそういう所で聴くとすぐ買っちゃって後でそこまでじゃなかったと後悔するパターンも多かったので、いつしかその場ではすぐ買わないようにクセを付けるようになった。良くも悪くもそれで一度きちんと聴きたい音を頭を冷やして取り組んでみたりもするようになり、良い買い物を心がけるようにしていった。なにせキリがなくなる程になんでも漁ってしまうのでよろしくない。

 Wig Wamもその頃に何かで聴いて、凄く琴線に響いたが、自分はこういうのが好きなのだろうか、と自問しながらまたどこかで耳にしてみるとやはり面白そう、とついつい買ってしまってアルバム丸ごと聴いてハマって、ノルウェー出身との事にまず驚いて、それでこのサウンドかと、不思議にも思ったりもした。北欧メタルが盛んだとの認識もさほど無かったし、美しい様式美的サウンドで出てくるならともかく、メロディアスでポップでキャッチーながらも綺麗な感触のハードロック、メタル手前レベルだったので、色々なのが出てくるようになったな、と時代遅れな自分は感じていたが、今思えば、メタルの世界がますます深くなっていた時代、それくらい知っとけよ、と言われてもおかしくはなかった。以降ライブ映像見たりライブそのものも見に行ったりとリアルタイムで楽しめる数少ないバンドのひとつになり、歌の巧さもパフォーマンス性の高さも含めてかなりハマっていた時期もあった。その後は活動がやや鈍くなりつつあったのは感じていたが、忘れそうになった頃にアルバムがリリースされていたのでまだやってるのだな、北欧のバンドだからなかなか情報が入ってこないだけだろうか、とも思っていた。ところがそれからしばらく音沙汰もなく、次に自分が関連情報を知ったのはボーカルのグラムのソロアルバムリリース。そうか、と思ったらWig Wamが解散していた。メンバーの衝突らしいが、それ以前に北欧でプロであれだけ売れた程度ではミュージシャンとして食っていけなかったらしいと聞いた事もあり、なかなか難しい世界だ。

 そのWig Wamが突然にして復活したのをシングルPVを見つけて、これはこれはと嬉しみながら見ればメンバー全員が良い親父感を出していて解散後7年もの月日の経過を実感するが、アルバムは8年ぶりらしい。パッと見た感じでは誰か分からないようなルックスの進化が著しいが、そういえばWig Wamってメイクもして派手派手イメージでやってたから、そのまま復帰するのではなく年相応にヘヴィメタル印象のバンドとして再結成して出る事にしたのだろう。アルバム「Never Say Die」の前のPVで中味の音は相変わらずのメロディアスハードロックよりももうちょっとメタル寄りになったサウンドながらも相変わらずの歌の巧さにパフォーマンスぶりで、見てても聴いてても楽しめそうなイメージがあったのでアルバムを待ち構えていたが、先日リリースされたので聴いてみれば、いやはや何とも充実したアルバムを作り上げたものだと感心。以前に比べるとアルバム全体をヘヴィメタルサウンドに寄せているようで、それもこれもギターの音色が随分と重々しく、メタリックな音になっているからだろうし、ベースも更に一段低音を奏でている様子でサウンドだけで取れば確実にスタンダードなヘヴィメタルバンド。ギターソロにしても速弾きも普通に出てくるしギタープレイ中心に組み立てられているかのような曲作りは80年代系列そのままが継承されているし、どこかVan Halen的な香りも漂わせるムードも狙ったかどうか分からないが、好きなのだろう。聞けば2020年にリリースする予定だったらしいがコロナ禍の影響で伸ばし伸ばしにしてのリリースとなった模様だが、以前のようなパーティロック的雰囲気は鳴りを潜めてのヘヴィサウンドはこの時代に相応しい音。

 数回アルバムを聴いているが、キャッチーで明るいフックの利いたメロディが連発されるようなアルバムには仕上がっていない。当然そういうメロディが配されている部分も多いが、そのまま明るく艶やかに歌い上げるほどの勢いはない、と言うかもう少し重みを持ったバンドの歴史からそういうサウンドも自然に出てくるのか、歌詞も過去を振り返る部分とこれからの自分たち、普遍のお話しなどが描かれているらしく、そういったバンドメンバーの重みを感じる作風。過去の目線を排除して聴いてみれば、ノルウェーから普通にヘヴィメタルサウンドで出てくるとこういう作風と重さがあっておかしくないし、そこはヨーロッパなのでしっかりと美しき旋律が書かれてているのも至極当然。ミドルテンポに迫ってくる作風と数曲のバラードで奥の深さと味わいをじっくりと届けてくれるかなりの快作と感じたが、あまりにも粒ぞろいの音の質感はやはりパソコン作業が多いからだろうか、近年の音作りの特徴だろうか、あまり得意ではない音色でやや気分が削がれる。





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フレ
Posted byフレ

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