Mellow Candle - Swadding Songs +2
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Mellow Candle - Swadding Songs +2 (1972)

英国ロックやトラッドを含めた深い森の世界に迷い込み、一縷の光を見るかのような素晴らしく美しい作品にたまに出会う事があり、それを求めていたとばかりに至福の時を味わう瞬間がある。どのアルバムもそれぞれユニークなポイントや楽しめる聴き方を意識して聴いているので、ダメだこれは、と思わないようにしているが、逆にそういう意識をする事なく、それ以上に想定外の感動が味わえる時はホント、手に入れて良かったと思う。当たり前だが、そもそもどういう音か全く知らないで聴ける事もなくて何故か聴きたい、欲しい、と言う憧れだけで入手するから聴くまで実際分からない買い方だし、普通にどこかで耳にして良いと思ったから買う、ではない。その辺りからして普通に考えれば少々逸脱した入手理由になるのかもしれないが、このヘン好きな人は皆そうだろうと思う。だからジャケットで音を想像したり、クレジット眺めて知ってる人いないか考えてみたり、数少なかったモノの本の記憶を手繰り寄せてみたりと色々するが、レコード屋行って目の前で見ると嬉しくて感動するのも宝探しみたいな感覚。懐かしい。CD時代が到来してその珍盤も再発される時が入手には絶好の機会で、ホントはアナログで手に入れたかったけどしょうがない、とまずは片っ端から入手して聴いた。そういう中で恐らく一番感動感激したアルバムが本作。
Mellow Candleの1972年唯一作「Swadding Songs」。プレス枚数も少なかったとは思うがオリジナル英国デラム盤は以前は数万円、今は十万単位に届いているような気もするが、割と早い時期にエジソンからアナログ落としのCDがリリースされた。なので丁度良いタイミングで聴けたのもあるが、とにかく綺麗で繊細で華麗で美しく幽玄で優しくて耽美な素晴らしいアルバムで一発でヤラれた。それから何十回も聴き続けたくらいに愛聴盤になり、随分と聴き込んだが、それも昔、そういえばここのところは全然手を出していなかったので、今回久々に聴き直していた次第。2000年代になってから、多分2004年には英国でのリマスター盤、そしてボーナストラック曲付きが音質アップしてシングル曲が付けられて発売されているようだ。サブスクで聴けるのも多分これなので確かに昔聴いていたよりも全然音の分離が良いし、レンジも広がったサウンドが広がっている。クロダー・シモンズとアリソン・ウィリアムスの華麗な歌声がナマナマしく響くサウンドはそれだけで痺れるし、ギターやハープシコード、チェンバロなどのあまりこの手のでは聴かれない音色も味わい深く聴けるし、久々なのもあってその優雅で耽美で瑞々しい音世界に浸っていた。
アイルランド出自のバンドなのでケルト音楽からの影響やアイリッシュ民謡センスからも伺える作風も当然あるが、それでもこの時代の先端を斬ってのあらゆる複合サウンドを奏でているようにも聞こえる。二人の女性ボーカルの配置、出てくるサウンドはフォーク・トラッドベースながらもきちんとエレクトリック要素は混ざり合っていてロック的ドラムもドライブするベースもしっかりと楽曲のグルーブを支えている。ウワモノではピアノもあるが各種の弦楽器で彩られているので古楽的になるかと思いきや、バックのドライブ感とツインボーカルの複合でそうはならず、ユニークなコーラスワークとツインボーカルの強みであるハーモニーも随所で重ねられ、それぞれが左右チャンネルで分けられているのも聴きやすく楽しめるし、ロックだ、とは言い切らないが、フォーク・トラッドでもない。故にブリティッシュ・トラッド・フォークロックの流れに組み込まれるのだろうが、アイルランド、とややこしい説明が常に付いて回る。そう言った戯言は本アルバムを聴いているとどれもこれも後回しになり、とにかく始めの「Heaven Heath」の三拍子の美しき調べと歌声からハマりまくってほしい。この世界がアルバム最後までひたすら紡がれて行くので世界が眩しく見えてくるだろう。どこまで行ってもメインは二人の天使の歌声で、プログレッシブ・ロック的カテゴリに入ってくる場合もあり、やや躊躇してしまう時もあるかもしれないが、言われるほどの展開はない。クラシックの展開のように素直にマッチした意識しないレベルで聴けて馴染める範疇なので美しき歌ものとして聴いているが正解。そういう細かい事も一切気にならなくなるほどにこの世界にハマれるので自分的にはそれもこれもどうでも良くなり、とにかくトロけていってしまう最高の名盤。いつ聴いても素晴らしい。
オリジナル盤には未収録だった「Feeling High / Tea With The Sun 」はMellow Candleとして1968年にリリースされたシングル曲で、クロダー・シモンズ作のコーラスグループ的な楽曲なので、本編で聴かれるようなフォークトラッド系の幻想的サウンドにはなっておらず、もっとチープな60年代末期らしいサウンドでかなり意外性が高い。ここから4年であの世界に進むとは相当な影響と刺激を受けていっただろう事は容易に想像が付く。クロダー・シモンズとアリソン・ウィリアムスはもともとシュープリームズのようなコーラスグループになりたかったらしいので、このシングル盤の曲こそがメロウキャンドルとして最初に目指した姿だったのだろう。これだけではまるで相手にされなかったのは間違いないだろうが、それでもシングルがリリース出来るレベルのプロの位置にこの少女達があったのは恐るべし才能と運。だからこそメンバーにもスタッフにも恵まれたのかこの名盤が産み落とされたとも言える。アルバムクレジットでも見ていると分かるがクロダー・シモンズが大半の曲を書き、アリソン・ウィリアムスもそこそこ書いている才能の二人、素晴らしい。この後の活動もクロダー・シモンズの方はまだ目立つ部分あるが、アリソン・ウィリアムスはほぼ消息不明なのが勿体無い。ただ、この名盤が燦然と歴史に刻まれて聴けるだけでもありがたく感謝したい。

英国ロックやトラッドを含めた深い森の世界に迷い込み、一縷の光を見るかのような素晴らしく美しい作品にたまに出会う事があり、それを求めていたとばかりに至福の時を味わう瞬間がある。どのアルバムもそれぞれユニークなポイントや楽しめる聴き方を意識して聴いているので、ダメだこれは、と思わないようにしているが、逆にそういう意識をする事なく、それ以上に想定外の感動が味わえる時はホント、手に入れて良かったと思う。当たり前だが、そもそもどういう音か全く知らないで聴ける事もなくて何故か聴きたい、欲しい、と言う憧れだけで入手するから聴くまで実際分からない買い方だし、普通にどこかで耳にして良いと思ったから買う、ではない。その辺りからして普通に考えれば少々逸脱した入手理由になるのかもしれないが、このヘン好きな人は皆そうだろうと思う。だからジャケットで音を想像したり、クレジット眺めて知ってる人いないか考えてみたり、数少なかったモノの本の記憶を手繰り寄せてみたりと色々するが、レコード屋行って目の前で見ると嬉しくて感動するのも宝探しみたいな感覚。懐かしい。CD時代が到来してその珍盤も再発される時が入手には絶好の機会で、ホントはアナログで手に入れたかったけどしょうがない、とまずは片っ端から入手して聴いた。そういう中で恐らく一番感動感激したアルバムが本作。
Mellow Candleの1972年唯一作「Swadding Songs」。プレス枚数も少なかったとは思うがオリジナル英国デラム盤は以前は数万円、今は十万単位に届いているような気もするが、割と早い時期にエジソンからアナログ落としのCDがリリースされた。なので丁度良いタイミングで聴けたのもあるが、とにかく綺麗で繊細で華麗で美しく幽玄で優しくて耽美な素晴らしいアルバムで一発でヤラれた。それから何十回も聴き続けたくらいに愛聴盤になり、随分と聴き込んだが、それも昔、そういえばここのところは全然手を出していなかったので、今回久々に聴き直していた次第。2000年代になってから、多分2004年には英国でのリマスター盤、そしてボーナストラック曲付きが音質アップしてシングル曲が付けられて発売されているようだ。サブスクで聴けるのも多分これなので確かに昔聴いていたよりも全然音の分離が良いし、レンジも広がったサウンドが広がっている。クロダー・シモンズとアリソン・ウィリアムスの華麗な歌声がナマナマしく響くサウンドはそれだけで痺れるし、ギターやハープシコード、チェンバロなどのあまりこの手のでは聴かれない音色も味わい深く聴けるし、久々なのもあってその優雅で耽美で瑞々しい音世界に浸っていた。
アイルランド出自のバンドなのでケルト音楽からの影響やアイリッシュ民謡センスからも伺える作風も当然あるが、それでもこの時代の先端を斬ってのあらゆる複合サウンドを奏でているようにも聞こえる。二人の女性ボーカルの配置、出てくるサウンドはフォーク・トラッドベースながらもきちんとエレクトリック要素は混ざり合っていてロック的ドラムもドライブするベースもしっかりと楽曲のグルーブを支えている。ウワモノではピアノもあるが各種の弦楽器で彩られているので古楽的になるかと思いきや、バックのドライブ感とツインボーカルの複合でそうはならず、ユニークなコーラスワークとツインボーカルの強みであるハーモニーも随所で重ねられ、それぞれが左右チャンネルで分けられているのも聴きやすく楽しめるし、ロックだ、とは言い切らないが、フォーク・トラッドでもない。故にブリティッシュ・トラッド・フォークロックの流れに組み込まれるのだろうが、アイルランド、とややこしい説明が常に付いて回る。そう言った戯言は本アルバムを聴いているとどれもこれも後回しになり、とにかく始めの「Heaven Heath」の三拍子の美しき調べと歌声からハマりまくってほしい。この世界がアルバム最後までひたすら紡がれて行くので世界が眩しく見えてくるだろう。どこまで行ってもメインは二人の天使の歌声で、プログレッシブ・ロック的カテゴリに入ってくる場合もあり、やや躊躇してしまう時もあるかもしれないが、言われるほどの展開はない。クラシックの展開のように素直にマッチした意識しないレベルで聴けて馴染める範疇なので美しき歌ものとして聴いているが正解。そういう細かい事も一切気にならなくなるほどにこの世界にハマれるので自分的にはそれもこれもどうでも良くなり、とにかくトロけていってしまう最高の名盤。いつ聴いても素晴らしい。
オリジナル盤には未収録だった「Feeling High / Tea With The Sun 」はMellow Candleとして1968年にリリースされたシングル曲で、クロダー・シモンズ作のコーラスグループ的な楽曲なので、本編で聴かれるようなフォークトラッド系の幻想的サウンドにはなっておらず、もっとチープな60年代末期らしいサウンドでかなり意外性が高い。ここから4年であの世界に進むとは相当な影響と刺激を受けていっただろう事は容易に想像が付く。クロダー・シモンズとアリソン・ウィリアムスはもともとシュープリームズのようなコーラスグループになりたかったらしいので、このシングル盤の曲こそがメロウキャンドルとして最初に目指した姿だったのだろう。これだけではまるで相手にされなかったのは間違いないだろうが、それでもシングルがリリース出来るレベルのプロの位置にこの少女達があったのは恐るべし才能と運。だからこそメンバーにもスタッフにも恵まれたのかこの名盤が産み落とされたとも言える。アルバムクレジットでも見ていると分かるがクロダー・シモンズが大半の曲を書き、アリソン・ウィリアムスもそこそこ書いている才能の二人、素晴らしい。この後の活動もクロダー・シモンズの方はまだ目立つ部分あるが、アリソン・ウィリアムスはほぼ消息不明なのが勿体無い。ただ、この名盤が燦然と歴史に刻まれて聴けるだけでもありがたく感謝したい。
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