Catapilla - Changes
0 Comments
Catapilla - Changes (1972)

英国珍盤を入手する、もしくは音を聴きたいと思ってもそうは簡単に手に入らなかった時代がしばらく続いていたが、ちょうどその最中に自分も集め始めて、と言うか気になり始めたので、他と同じく聴くに聴けない、入手したくても見つけられない、探して見つけてもプレミアム付き価格で到底手を出せる金額ではなかった。そういう涎を垂らしていたファンを尻目に見ていたのか、カウンターフィット盤が幾つかリリースされていたものの、どれだけ手に入るのか分からなかったし、まだまだ情報不足でそれも楽しかった時代。ところが1990年代になり、CDが一般化してようやくオフィシャルからも珍盤らしきアルバムがそれなりにリリースされたりしてきてここぞとばかりにこの再発リリースでどれだけ聴きたかったアルバムが聴けるかワクワクしながらレコード屋に通っていたが、ある時からRepertoireなるレーベル、背中が赤白のドイツのレーベルだったが、それがこの辺の珍盤を幾つかまとめてCDでリリースし始めてきて、更に凄かったのはアナログ落としだったかもしれないが、それでも何となくあればボーナストラックとしてシングル作品なども加えられて続々と出してきた。これにはハマった。本でしか見たことないようなアルバムまで続々と出てきたので、片っ端から買って聴いては満喫していた懐かしき日々。その中の一枚でかなりぶっ飛んだ記憶のあるCatapillaの作品はアルバムジャケットもさながら中味の音のぶっ飛び具合が凄かった。
1972年にリリースされたCatapillaのセカンド・アルバム「Changes」はジャケットからして芋虫だ。芋虫が葉っぱを食べているなるほどなジャケットだが、裏面は葉っぱのみ、ただし、ダブルジャケットだから中味は芋虫の背中が描かれている。ちなみにこの芋虫の頭の部分は切り抜かれていた変形ジャケット。当時のCDではそこまで再現していなかったが、後々にレコード屋で見たオリジナル盤はそうなっていたので値段とともに驚いた。ファーストアルバムからほとんどのメンバーが一新され、ボーカルのアンナ・ミークとギターのグラハム・ウィルソン、サックス他管楽器担当のロバート・カルバートだけが前作から残っているのみ。その影響からか音楽性もかなり進化退化し、ファーストはまだロックらしかったが、このセカンドアルバムでは完全にサイケデリックジャジーな風味たっぷりの何だかよく分からないアシッドサウンドそのままだ。後にマザーゴングと合流するサックス奏者のロバート・カルバートの趣味だったのかもしれないが、どうしたらこういう音楽を真面目にやれるのだろうか、と思うような暗黒フワフワ系作品が立ち並ぶ。その上を、と言うかその中を、周りと回って歌っているのがアンナ・ミークのアシッドな歌声で、声質が云々と言うレベルでもなくサイケデリック。それがどの曲もどの曲も繰り返されるような印象で、ドラムは普通にビートを叩いているのみなので変拍子でもないし、ジャジーなドラミングでもない。ベースにしても繰り返しリフレインを奏でている場合が多いので、それこそサイケデリックには感じるが何らテクニカルなものでもなく、そもそもかなりベース音も埋もれていて聞き取りにくい。それではギターがワウワウしまくるかと思えばそうでもなく、どころか意外な程に登場シーンが少なくさほどサイケデリック感に協力しているようなものでもないので、結局はそんなダラダラなバックにサックスが縦横無尽に駆け巡り、それも音楽や旋律ではなく、効果音的なムードの使い方が多く、はっきりとした音を聴かせるシーンは少ない。ボーカルにしてもそういう風潮で歌を歌っています的な部分が少ないので、結局はアート作品的、ジャジーなムードと言われはするが、ジャジーなセンスでやってるワケではなさそうだし、完全にアシッドな世界観と思ってもらう方が分かりやすい気がする。だからどの曲もさほど境目を感じる事もなく、少々雰囲気が変わったか、くらいでダラダラと聴いていられる統一感と言えば統一感はある。最後の最後だけはどこか終焉気分を迎えるサックスメインのジャジーな雰囲気が流れるのが本作のクライマックスで、締めてくれる感が強く、ここだけで美しさと力強さとサヨナラ感を強めてくれる素晴らしさ。この最後のためだけに本作を35分聴いているようなものだ。
最近はCatapillaの情報もそれなりに整理されているようで、今回調べていて新たな発見も多かったのは良かった。昔からよく分からなかったJo MeekとAnna Meekの入れ替わり劇やそのJo Meekの名がJulian's Jay Savarinの「ウェイターズ・オン・ザ・ダンス」にあったので、同一人物だったのかどうか、などごちゃごちゃしていた。すると元々Lady Jo MeekがCatapillaのボーカルだったがファーストアルバム直前に脱退してしまったらしく、どういう理由からかその場にいた妹のAnna Meekに白羽の矢が立ち、姉の代わりに歌ってボーカリストに君臨したらしい。一方のJo Meekはその後、Julian's Jay Savarinの「ウェイターズ・オン・ザ・ダンス」に参加しているので、結局妹と姉と異なるボーカリストだったようだ。そんなどうでも良い事も分かってくるのがこの時代の面白いところで、モヤモヤしていた部分がすっきりした。CDは何度も再発されているがリマスタリングされてのリリースはあったのかなかったのか、イマイチよく分からなかったが、この作品がくっきり聴けてもそれはそれで雰囲気台無し感あるかもしれないなどとも思った。

英国珍盤を入手する、もしくは音を聴きたいと思ってもそうは簡単に手に入らなかった時代がしばらく続いていたが、ちょうどその最中に自分も集め始めて、と言うか気になり始めたので、他と同じく聴くに聴けない、入手したくても見つけられない、探して見つけてもプレミアム付き価格で到底手を出せる金額ではなかった。そういう涎を垂らしていたファンを尻目に見ていたのか、カウンターフィット盤が幾つかリリースされていたものの、どれだけ手に入るのか分からなかったし、まだまだ情報不足でそれも楽しかった時代。ところが1990年代になり、CDが一般化してようやくオフィシャルからも珍盤らしきアルバムがそれなりにリリースされたりしてきてここぞとばかりにこの再発リリースでどれだけ聴きたかったアルバムが聴けるかワクワクしながらレコード屋に通っていたが、ある時からRepertoireなるレーベル、背中が赤白のドイツのレーベルだったが、それがこの辺の珍盤を幾つかまとめてCDでリリースし始めてきて、更に凄かったのはアナログ落としだったかもしれないが、それでも何となくあればボーナストラックとしてシングル作品なども加えられて続々と出してきた。これにはハマった。本でしか見たことないようなアルバムまで続々と出てきたので、片っ端から買って聴いては満喫していた懐かしき日々。その中の一枚でかなりぶっ飛んだ記憶のあるCatapillaの作品はアルバムジャケットもさながら中味の音のぶっ飛び具合が凄かった。
1972年にリリースされたCatapillaのセカンド・アルバム「Changes」はジャケットからして芋虫だ。芋虫が葉っぱを食べているなるほどなジャケットだが、裏面は葉っぱのみ、ただし、ダブルジャケットだから中味は芋虫の背中が描かれている。ちなみにこの芋虫の頭の部分は切り抜かれていた変形ジャケット。当時のCDではそこまで再現していなかったが、後々にレコード屋で見たオリジナル盤はそうなっていたので値段とともに驚いた。ファーストアルバムからほとんどのメンバーが一新され、ボーカルのアンナ・ミークとギターのグラハム・ウィルソン、サックス他管楽器担当のロバート・カルバートだけが前作から残っているのみ。その影響からか音楽性もかなり進化退化し、ファーストはまだロックらしかったが、このセカンドアルバムでは完全にサイケデリックジャジーな風味たっぷりの何だかよく分からないアシッドサウンドそのままだ。後にマザーゴングと合流するサックス奏者のロバート・カルバートの趣味だったのかもしれないが、どうしたらこういう音楽を真面目にやれるのだろうか、と思うような暗黒フワフワ系作品が立ち並ぶ。その上を、と言うかその中を、周りと回って歌っているのがアンナ・ミークのアシッドな歌声で、声質が云々と言うレベルでもなくサイケデリック。それがどの曲もどの曲も繰り返されるような印象で、ドラムは普通にビートを叩いているのみなので変拍子でもないし、ジャジーなドラミングでもない。ベースにしても繰り返しリフレインを奏でている場合が多いので、それこそサイケデリックには感じるが何らテクニカルなものでもなく、そもそもかなりベース音も埋もれていて聞き取りにくい。それではギターがワウワウしまくるかと思えばそうでもなく、どころか意外な程に登場シーンが少なくさほどサイケデリック感に協力しているようなものでもないので、結局はそんなダラダラなバックにサックスが縦横無尽に駆け巡り、それも音楽や旋律ではなく、効果音的なムードの使い方が多く、はっきりとした音を聴かせるシーンは少ない。ボーカルにしてもそういう風潮で歌を歌っています的な部分が少ないので、結局はアート作品的、ジャジーなムードと言われはするが、ジャジーなセンスでやってるワケではなさそうだし、完全にアシッドな世界観と思ってもらう方が分かりやすい気がする。だからどの曲もさほど境目を感じる事もなく、少々雰囲気が変わったか、くらいでダラダラと聴いていられる統一感と言えば統一感はある。最後の最後だけはどこか終焉気分を迎えるサックスメインのジャジーな雰囲気が流れるのが本作のクライマックスで、締めてくれる感が強く、ここだけで美しさと力強さとサヨナラ感を強めてくれる素晴らしさ。この最後のためだけに本作を35分聴いているようなものだ。
最近はCatapillaの情報もそれなりに整理されているようで、今回調べていて新たな発見も多かったのは良かった。昔からよく分からなかったJo MeekとAnna Meekの入れ替わり劇やそのJo Meekの名がJulian's Jay Savarinの「ウェイターズ・オン・ザ・ダンス」にあったので、同一人物だったのかどうか、などごちゃごちゃしていた。すると元々Lady Jo MeekがCatapillaのボーカルだったがファーストアルバム直前に脱退してしまったらしく、どういう理由からかその場にいた妹のAnna Meekに白羽の矢が立ち、姉の代わりに歌ってボーカリストに君臨したらしい。一方のJo Meekはその後、Julian's Jay Savarinの「ウェイターズ・オン・ザ・ダンス」に参加しているので、結局妹と姉と異なるボーカリストだったようだ。そんなどうでも良い事も分かってくるのがこの時代の面白いところで、モヤモヤしていた部分がすっきりした。CDは何度も再発されているがリマスタリングされてのリリースはあったのかなかったのか、イマイチよく分からなかったが、この作品がくっきり聴けてもそれはそれで雰囲気台無し感あるかもしれないなどとも思った。
- 関連記事
-
- Brand X - Masques
- Catapilla - Changes
- Affinity - Affinity (2016 Bonus Tracks Remastered)