King Crimson - The Great Deceiver Live 1973-74
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King Crimson - The Great Deceiver Live 1973-74

最近のフリップとトーヤの夫婦漫才的なYouTubeへの様々なカバー曲の投稿を見ているとさすがだな、と思う反面、70年代クリムゾンのあれだけの神話と難解な音を出していた中心人物のイメージとのギャップも凄く、ここまで朗らかで打ち解けた人だったのかとも思う。トーヤの明るい性格がフリップ卿の気難しさイメージを変えてしまっているのか、もう今さらそんなイメージなど役にも立たないのだから楽しくやりましょう、と押されまくって元来のお茶目な性格が出てきたのかそもそもを知らないので分からないが、あれだけジョークを言いながら楽しんでギターを弾いているのも信じられない。またそのギタープレイがどうしてそういうポジションでその音が鳴るのか、と思うようなコピーの仕方なのでオリジナルよりも複雑に正確無比にプレイされているのもさすが。あれだけの人なのでいとも簡単にどれもこれもプレイできてしまうのは当然ながら、それでもフレーズだけを聴いているとさすがフリップ卿のフレーズ、と個性が垣間見れるのは面白い。それこそキング・クリムゾンの総帥。
1990年代にもKing Crimsonはヌーヴォメタルクリムゾンとしてバンド活動してアルバムもリリースしていたが、それと平行して70年代の音源リリースにも手を付け始めていた頃で、自分も始めの頃はその貴重さと当然ながらライブのぶっ飛び具合にも驚きながらひたすらに買い集めていたが、コレクターズクラブをリリースし始めた時点からついて行けなくなり、コレクションを断念して忘れ去るようにした。ただ、それまではアンダーグラウンドなソースは全て入手して聴いていたし、かなり入れ込んでいたバンドのひとつでもあったので、それらがオフィシャルでリリースされる事そのものはかなり期待したし衝撃的でもあった。その走りとなった1992年リリースの4枚組CD「The Great Deceiver Live 1973-74」はもっともキング・クリムゾンがインプロヴィゼーションに長けていた白熱の神がかっていた時代、1973-74年のライブから抜粋されたセットとの事でリリースと同時に買い、ひたすらに聴き、しかもアンダーグラウンド音源とどう違うのかまで聴いてたが、当然こちらはサウンドボードソースでリミックスされているので完璧なるライブアルバムの様相を示しており、当然ながら別物。そしてブックレットも分厚かったし詳細な情報も書かれていて、そこまで記録してあるのかと驚くばかりのフリップ卿の執念を感じたが、それも昔の話、今ではこの時期の残されているライブ音源は全てリリースされているので本作もそのプロモーション程度の意味合いしかないのかもしれない。ただ、聴けば分かるように、それでも4枚フルで入っている長い長いインプロの世界、とてつもない緊張感とテンションの高さが維持されっぱなしのライブ音源はとても一気に聴けたものじゃない。それは最初から分かっていたので、どう聴くかから考えなければいけなかった。普通なら1枚目のCDから順に聴いていけばそれなりな編集がされているハズだから良いのだが、本作はCD4枚に6夜のライブが分割して収めれており、しかもどれもフルフルで入っていないからややこしく、ディスクを跨いでいるライブもあるので、ライブ単位で聴くものでもなさそうだ。かと言って収録順に聴けばライブのまとまりとなるかと言えばそうでもない。抜粋されたライブが怒涛のように収録してあると言った様相なので困った。もしかしたらフリップ卿はこれでもディスク順にディスク単位がライブアルバムだ、としていたのかもしれないが、到底そうは思えないし、楽曲タイトルですら遊んでいるのだから、もしかしたら今のトーヤとの夫婦漫才で見られるフリップ卿の姿が元来の姿で、本作のリリース時も割と冗談で作り上げていたりするとかあるのかも。
さて、解釈としてはアナログ時代のライブ編集盤「USA」に収録されていたプロヴィデンスの「21世紀の精神異常者」のオリジナルバージョン、即ちエディ・ジョブソンのバイオリンが被されていない生ライブが分かりやすく、続いては「We'll Let You Know」や「Providence」がアルバム「Starless And Bible Black」や「レッド」にも一部収録されている事も知られているので、それらの断片を埋めながらリスナーにも謎掛けをしつつのリリースとも読める。ただ、それにしても他の楽曲、しかもインプロ系のジャムセッションにまでタイトルが付けられているし、それらが大元のタイトルを文字ったようなタイトルになっているのもユーモアあるので、案外フリップ卿はそういう節あったのかもしれない。この頃アンダーグラウンドでよく知られていた「Doctor Diamond」もここでオフィシャル初登場だったような気がする。その影響か、自分的にはディスク3から聴くのが一番多かったように覚えていて、それもピッツバーグのライブ音源が冒頭から聴けたからと先の「Dr.Diamond」をしゃぶり尽くしたかったからと言うのもあった。最後はボーナストラックとして位置づければ割とコンパクトにまとまったライブディスクにも聞こえたからだろう。その意味ではディスク1もプロヴィデンスのライブそのままが入っていたので聴きやすさはあったが次のディスクに跨っていたのがやや聞きにくさを覚えたか。しかし1973年のライブと74年のライブではまるで解釈もアレンジも当然演奏も違うので同じような曲だからと飽きる事はまったく無いし、逆にこれが同じ曲なのか、と驚く方が多いのも面白い。
この貴重で素晴らしいボックスジャケットとライナーを含むセットは1992年一回のリリースだけで、以降は2007年に「ザ・グレート・ディシーヴァー 1」と「ザ・グレート・ディシーヴァー 2」として2枚組づつ、2タイトルに分けられてリリースされたバージョンしか存在していないようなのでその意味では随分貴重なセットになっているらしい。ただ、中味は既にデラックス・エディションでリリースされているので、聴く気になれば丸ごと聴けてしまうから、このセットをどういう位置付けで聴くかによるだろう。もっともコレクションと言う位置ならばどれもこれも必要なアイテムになるのは当然か。それにしてもよくぞまぁ、これだけテンション高いライブが繰り広げられたものだとつくづく思うし、どれだけ若くてエネルギー溢れてて意欲的だった時期かを感じるし、だからこそ疲弊も早かったのも納得の凄いライブばかり。とにかくバンドじゃなければ出来ないお互いのぶつかり合い、読みながらの音の駆け引き、それに加えて旋律の美しさもきちんと聴かせるバランスを保ちながらのプレイが凄い。

最近のフリップとトーヤの夫婦漫才的なYouTubeへの様々なカバー曲の投稿を見ているとさすがだな、と思う反面、70年代クリムゾンのあれだけの神話と難解な音を出していた中心人物のイメージとのギャップも凄く、ここまで朗らかで打ち解けた人だったのかとも思う。トーヤの明るい性格がフリップ卿の気難しさイメージを変えてしまっているのか、もう今さらそんなイメージなど役にも立たないのだから楽しくやりましょう、と押されまくって元来のお茶目な性格が出てきたのかそもそもを知らないので分からないが、あれだけジョークを言いながら楽しんでギターを弾いているのも信じられない。またそのギタープレイがどうしてそういうポジションでその音が鳴るのか、と思うようなコピーの仕方なのでオリジナルよりも複雑に正確無比にプレイされているのもさすが。あれだけの人なのでいとも簡単にどれもこれもプレイできてしまうのは当然ながら、それでもフレーズだけを聴いているとさすがフリップ卿のフレーズ、と個性が垣間見れるのは面白い。それこそキング・クリムゾンの総帥。
1990年代にもKing Crimsonはヌーヴォメタルクリムゾンとしてバンド活動してアルバムもリリースしていたが、それと平行して70年代の音源リリースにも手を付け始めていた頃で、自分も始めの頃はその貴重さと当然ながらライブのぶっ飛び具合にも驚きながらひたすらに買い集めていたが、コレクターズクラブをリリースし始めた時点からついて行けなくなり、コレクションを断念して忘れ去るようにした。ただ、それまではアンダーグラウンドなソースは全て入手して聴いていたし、かなり入れ込んでいたバンドのひとつでもあったので、それらがオフィシャルでリリースされる事そのものはかなり期待したし衝撃的でもあった。その走りとなった1992年リリースの4枚組CD「The Great Deceiver Live 1973-74」はもっともキング・クリムゾンがインプロヴィゼーションに長けていた白熱の神がかっていた時代、1973-74年のライブから抜粋されたセットとの事でリリースと同時に買い、ひたすらに聴き、しかもアンダーグラウンド音源とどう違うのかまで聴いてたが、当然こちらはサウンドボードソースでリミックスされているので完璧なるライブアルバムの様相を示しており、当然ながら別物。そしてブックレットも分厚かったし詳細な情報も書かれていて、そこまで記録してあるのかと驚くばかりのフリップ卿の執念を感じたが、それも昔の話、今ではこの時期の残されているライブ音源は全てリリースされているので本作もそのプロモーション程度の意味合いしかないのかもしれない。ただ、聴けば分かるように、それでも4枚フルで入っている長い長いインプロの世界、とてつもない緊張感とテンションの高さが維持されっぱなしのライブ音源はとても一気に聴けたものじゃない。それは最初から分かっていたので、どう聴くかから考えなければいけなかった。普通なら1枚目のCDから順に聴いていけばそれなりな編集がされているハズだから良いのだが、本作はCD4枚に6夜のライブが分割して収めれており、しかもどれもフルフルで入っていないからややこしく、ディスクを跨いでいるライブもあるので、ライブ単位で聴くものでもなさそうだ。かと言って収録順に聴けばライブのまとまりとなるかと言えばそうでもない。抜粋されたライブが怒涛のように収録してあると言った様相なので困った。もしかしたらフリップ卿はこれでもディスク順にディスク単位がライブアルバムだ、としていたのかもしれないが、到底そうは思えないし、楽曲タイトルですら遊んでいるのだから、もしかしたら今のトーヤとの夫婦漫才で見られるフリップ卿の姿が元来の姿で、本作のリリース時も割と冗談で作り上げていたりするとかあるのかも。
さて、解釈としてはアナログ時代のライブ編集盤「USA」に収録されていたプロヴィデンスの「21世紀の精神異常者」のオリジナルバージョン、即ちエディ・ジョブソンのバイオリンが被されていない生ライブが分かりやすく、続いては「We'll Let You Know」や「Providence」がアルバム「Starless And Bible Black」や「レッド」にも一部収録されている事も知られているので、それらの断片を埋めながらリスナーにも謎掛けをしつつのリリースとも読める。ただ、それにしても他の楽曲、しかもインプロ系のジャムセッションにまでタイトルが付けられているし、それらが大元のタイトルを文字ったようなタイトルになっているのもユーモアあるので、案外フリップ卿はそういう節あったのかもしれない。この頃アンダーグラウンドでよく知られていた「Doctor Diamond」もここでオフィシャル初登場だったような気がする。その影響か、自分的にはディスク3から聴くのが一番多かったように覚えていて、それもピッツバーグのライブ音源が冒頭から聴けたからと先の「Dr.Diamond」をしゃぶり尽くしたかったからと言うのもあった。最後はボーナストラックとして位置づければ割とコンパクトにまとまったライブディスクにも聞こえたからだろう。その意味ではディスク1もプロヴィデンスのライブそのままが入っていたので聴きやすさはあったが次のディスクに跨っていたのがやや聞きにくさを覚えたか。しかし1973年のライブと74年のライブではまるで解釈もアレンジも当然演奏も違うので同じような曲だからと飽きる事はまったく無いし、逆にこれが同じ曲なのか、と驚く方が多いのも面白い。
この貴重で素晴らしいボックスジャケットとライナーを含むセットは1992年一回のリリースだけで、以降は2007年に「ザ・グレート・ディシーヴァー 1」と「ザ・グレート・ディシーヴァー 2」として2枚組づつ、2タイトルに分けられてリリースされたバージョンしか存在していないようなのでその意味では随分貴重なセットになっているらしい。ただ、中味は既にデラックス・エディションでリリースされているので、聴く気になれば丸ごと聴けてしまうから、このセットをどういう位置付けで聴くかによるだろう。もっともコレクションと言う位置ならばどれもこれも必要なアイテムになるのは当然か。それにしてもよくぞまぁ、これだけテンション高いライブが繰り広げられたものだとつくづく思うし、どれだけ若くてエネルギー溢れてて意欲的だった時期かを感じるし、だからこそ疲弊も早かったのも納得の凄いライブばかり。とにかくバンドじゃなければ出来ないお互いのぶつかり合い、読みながらの音の駆け引き、それに加えて旋律の美しさもきちんと聴かせるバランスを保ちながらのプレイが凄い。
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