Emerson, Lake and Palmer - Emerson, Lake and Palmer (2012 Remastered)
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Emerson, Lake and Palmer - Emerson, Lake and Palmer (2012 Remastered) (1970)

ロックらしさを感じるサウンドと言えば、ギターでもベースでもオルガンでもとにかく歪んだ音、と言うのは安直すぎるだろうが、ただ、歪んだ音が飛び出してくるとホントはうるさくないけど「うるさい」と言う印象を受けるし、同時に迫力ある音圧も感じるので圧倒されてしまう事も多いからロックらしい、ロックってうるさいものだ、と感じられる要素のひとつだ。ビートルズがポップ調なイメージを持たせるのはそこまでの歪みがなく、The Whoがうるさく感じるのは正にその点、そしてジミヘンの登場はそれを決定的にしている。一方でプロコル・ハルムやナイスがクラシックを題材に音楽的にシーンに登場してきて、ブルースから生まれたロックとは別次元のクラシックから派生した音楽的見地の高いロックサウンドに接近してきた。言うならばアメリカをルーツとするブルース・ロックと真逆のヨーロッパ的伝統音楽をルーツとしたロックとも言えるだろう。案外この境目は大きく、今でもハードロックとヘヴィメタルの境目そのままでもある。そしてポップの世界にロックとクラシックを持ち込んだだけでなく、クラシックそのまま、更にアレンジ方法や楽曲組曲とクラシックの手法をロックに持ち込んだのがプログレッシブ・ロックで、その旗手はクリムゾンにもなるが、後から見ればほぼ同時期にEL&Pも出てきており、まさかグレッグ・レイクと言う人がクリムゾンにいてそこからEL&Pにもいて、などとは思わなかった若かりし頃。EL&Pってそもそもエマーソン・レイク&パーマーだからオリジナルメンバーにグレッグ・レイクがいたのは明白だし、それがあのキング・クリムゾンで歌ってベース弾いてた人とはリンクしなかった。それが実はクリムゾン辞めてさっさと別バンド組んで、しかもまた伝説のバンドになっているのもなかなか恵まれた才能ある人。
そのEL&P結成秘話は既にあちこちで書かれているし、知られている話なのでグレッグ・レイクの思惑話はそこまでとして、1970年の11月にデビューアルバム「 Emerson, Lake and Palmer」をリリース。ただ、その前からスーパーバンドとの評判も高かった事からデビュー前時点であのワイト島フェスティバルにも出演して何と驚く事に「展覧会の絵」までも荒々しく演奏していたのは今では「ワイト島ライヴ」として見て聴けるので一度経験あれ。正しくロックバンドの姿としか言えないパフォーマンスをギタリストもボーカリストも居ないトリオバンドがどうやって演出しているかが良く分かる素晴らしき熱いプレイ。その後にリリースされたファーストアルバム「 Emerson, Lake and Palmer」はEL&Pの名刺替わりの作品とも言える内容で、アルバム冒頭から超絶歪み音のベースが鳴り響いてくる。これぞヘヴィロックそのままのベースサウンドで、その上にハモンドが重なってくる「The Barbarian」なのでとてつもなく重厚でヘヴィな、これまで聴いた事のないような爆発的な曲が聴かれる。普通にイントロから歌を期待していると大いにスカされ、ヘヴィなベースと重厚なオルガンに手数の多いドラムがそれぞれ技量を見せつけるかのように鳴らされ、キース・エマーソンのピアノが踊りまくり大活躍する。バルトークのアレンジバージョンらしいが、それでもここまで躍動感溢れるスタイルに仕上げるのは凄いし、どこまで行ってもこのベースの音の凄さ。正に音の洪水が一気に溢れてきたかのようなファーストアルバム一曲目に相応しい名曲。続いては打って変わっての静かな調べから美しいラインのベース音から導かれる「Take A Pebble」。どこからどう聴いてもキング・クリムゾンそのままにしか聴こえないのはグレッグ・レイクの歌声と流れるようなピアノフレーズ=「ポセイドンのめざめ」を思い起こすからだろう。なるほどキング・クリムゾンとの共通項はここにあったか、と頷きながらも聴いていけば歌ものが終わってからは三人の見事なまでのアンサンブルでこれもまた躍動感溢れるピアノがグイグイと曲を生き物のように転がし続け、途中ではアコースティックギターの調べすらも入り、また別のアンサンブル世界へと突入。じっくりと聴いているとEL&Pの目指した音世界そのままが全部ミックスされているような12分半の楽曲。最後はまた歌もので締めるのも味わい深く良く出来ている。更にキース・エマーソンの代名詞であるかのような「Knife Edge」が印象的でシンプルなリフから奏でられ、これもまたオルガン中心でロック的展開とプレイをカマしてくれる。音色がちょっと変わればBlack Sabbathにすらなりそうな曲と昔から思っているが、それこそロック的な証拠だろう。
B面はメンバーそれぞれのソロプレイ的楽曲の結集とも位置付けられ、まずはファンファーレ的なイントロが印象的な「The Three Fates」で、とにかくキース・エマーソンのピアノのテクニックの素晴らしさがこれでもかとばかりに叩きつけられる、美しく力強くスピーディで跳躍しまくる素晴らしさに耳を奪われる。どこまでも明るく、賑やかで壮大でドラマティックに展開される組曲形式ながらもこれぞEL&Pの得意技と知らしめた作品。続いての「Tank」はカール・パーマーとキース・エマーソンの組み合わせが中心となった大作だが、当然グレッグ・レイクのベースラインもかなり歌っているのでメンバーのジャムセッション的要素も強かったのかもしれない。そこからはカール・パーマーのドラムソロが繰り広げられ、カール・パーマーってここまで叩く人だったかと思うほどのテクニックが楽しめるが、楽器を演奏しない人はこういうのはさほど魅力を感じないような気もするがどうだろう。終盤はキース・エマーソンのもうひとつの得意技のシンセサイザーが登場するが、後のEL&Pの方向性を味わえるのもこの曲くらいか。最後は歌もの好きなグレッグ・レイクの「Lucky Man」が普通にアコースティックギターとボーカル、コーラスで奏でられ、ここまでの斬新で刺激的なロックスタイルからすると随分とオーソドックスな曲で、ある意味落ち着いて聴いていられる普通なサウンド。キース・エマーソンのシンセサイザーも少々場違い的に目立つ程度、カール・パーマーのドラムも普通にこういうドラムだろうと言う感じで目立たずそつなくのプレイで終焉。やはりA面のぶっ飛びインパクトに比べるとB面のソロ的展開は楽曲的にはもうひとつな気がするが、それだけA面のEL&Pの合体技の凄みは衝撃的だったと。今更ながらこれがプログレッシブ・ロックか、と感じたし、グレッグ・レイクが案外クリムゾンしてたのもこれまでとは違った聴き方が出来たかとも思う。
早い時期からCDで再発されたりボーナストラック入りでリリースされたりはしていたが、2012年にこれまでとは異なるリマスター盤「 Emerson, Lake and Palmer (2012 Remastered)」がリリースされ、オリジナルアルバムのリマスターは当然ながら、この手のリマスタリングでは引っ張りだこのスティーブ・ウィルソンが手がけた2012年5.1chリマスターではB面の冒頭にあの「Promenade」のボーカル入りバージョンを使い、「The Three Fates: Atropos」は「Atropos」と呼ばれる3部構成組曲の第3部を収録、そしてまたこの当時の未発表曲でEL&P的には珍しいブルースギターとカール・パーマーのドラムをフューチャーした「Rave Up」が新たに収録され、最後部分にはそのカール・パーマーの「Drum Solo」が入ってくる代物。もっともアルバム最後には「Lucky Man」が入っているが、ボーナストラックにはデモバージョンも別バージョンも収録されている。ボーナストラックには歌なしの「Take A Pebble」の前半部分の別テイクとこちらもインストバージョンの「Knife Edge」が加えられているので聴き比べてみるのも面白い。それにしても良い音に仕上がっていて聴きやすくキラキラした音色が実にEL&Pらしく聴こえる。

ロックらしさを感じるサウンドと言えば、ギターでもベースでもオルガンでもとにかく歪んだ音、と言うのは安直すぎるだろうが、ただ、歪んだ音が飛び出してくるとホントはうるさくないけど「うるさい」と言う印象を受けるし、同時に迫力ある音圧も感じるので圧倒されてしまう事も多いからロックらしい、ロックってうるさいものだ、と感じられる要素のひとつだ。ビートルズがポップ調なイメージを持たせるのはそこまでの歪みがなく、The Whoがうるさく感じるのは正にその点、そしてジミヘンの登場はそれを決定的にしている。一方でプロコル・ハルムやナイスがクラシックを題材に音楽的にシーンに登場してきて、ブルースから生まれたロックとは別次元のクラシックから派生した音楽的見地の高いロックサウンドに接近してきた。言うならばアメリカをルーツとするブルース・ロックと真逆のヨーロッパ的伝統音楽をルーツとしたロックとも言えるだろう。案外この境目は大きく、今でもハードロックとヘヴィメタルの境目そのままでもある。そしてポップの世界にロックとクラシックを持ち込んだだけでなく、クラシックそのまま、更にアレンジ方法や楽曲組曲とクラシックの手法をロックに持ち込んだのがプログレッシブ・ロックで、その旗手はクリムゾンにもなるが、後から見ればほぼ同時期にEL&Pも出てきており、まさかグレッグ・レイクと言う人がクリムゾンにいてそこからEL&Pにもいて、などとは思わなかった若かりし頃。EL&Pってそもそもエマーソン・レイク&パーマーだからオリジナルメンバーにグレッグ・レイクがいたのは明白だし、それがあのキング・クリムゾンで歌ってベース弾いてた人とはリンクしなかった。それが実はクリムゾン辞めてさっさと別バンド組んで、しかもまた伝説のバンドになっているのもなかなか恵まれた才能ある人。
そのEL&P結成秘話は既にあちこちで書かれているし、知られている話なのでグレッグ・レイクの思惑話はそこまでとして、1970年の11月にデビューアルバム「 Emerson, Lake and Palmer」をリリース。ただ、その前からスーパーバンドとの評判も高かった事からデビュー前時点であのワイト島フェスティバルにも出演して何と驚く事に「展覧会の絵」までも荒々しく演奏していたのは今では「ワイト島ライヴ」として見て聴けるので一度経験あれ。正しくロックバンドの姿としか言えないパフォーマンスをギタリストもボーカリストも居ないトリオバンドがどうやって演出しているかが良く分かる素晴らしき熱いプレイ。その後にリリースされたファーストアルバム「 Emerson, Lake and Palmer」はEL&Pの名刺替わりの作品とも言える内容で、アルバム冒頭から超絶歪み音のベースが鳴り響いてくる。これぞヘヴィロックそのままのベースサウンドで、その上にハモンドが重なってくる「The Barbarian」なのでとてつもなく重厚でヘヴィな、これまで聴いた事のないような爆発的な曲が聴かれる。普通にイントロから歌を期待していると大いにスカされ、ヘヴィなベースと重厚なオルガンに手数の多いドラムがそれぞれ技量を見せつけるかのように鳴らされ、キース・エマーソンのピアノが踊りまくり大活躍する。バルトークのアレンジバージョンらしいが、それでもここまで躍動感溢れるスタイルに仕上げるのは凄いし、どこまで行ってもこのベースの音の凄さ。正に音の洪水が一気に溢れてきたかのようなファーストアルバム一曲目に相応しい名曲。続いては打って変わっての静かな調べから美しいラインのベース音から導かれる「Take A Pebble」。どこからどう聴いてもキング・クリムゾンそのままにしか聴こえないのはグレッグ・レイクの歌声と流れるようなピアノフレーズ=「ポセイドンのめざめ」を思い起こすからだろう。なるほどキング・クリムゾンとの共通項はここにあったか、と頷きながらも聴いていけば歌ものが終わってからは三人の見事なまでのアンサンブルでこれもまた躍動感溢れるピアノがグイグイと曲を生き物のように転がし続け、途中ではアコースティックギターの調べすらも入り、また別のアンサンブル世界へと突入。じっくりと聴いているとEL&Pの目指した音世界そのままが全部ミックスされているような12分半の楽曲。最後はまた歌もので締めるのも味わい深く良く出来ている。更にキース・エマーソンの代名詞であるかのような「Knife Edge」が印象的でシンプルなリフから奏でられ、これもまたオルガン中心でロック的展開とプレイをカマしてくれる。音色がちょっと変わればBlack Sabbathにすらなりそうな曲と昔から思っているが、それこそロック的な証拠だろう。
B面はメンバーそれぞれのソロプレイ的楽曲の結集とも位置付けられ、まずはファンファーレ的なイントロが印象的な「The Three Fates」で、とにかくキース・エマーソンのピアノのテクニックの素晴らしさがこれでもかとばかりに叩きつけられる、美しく力強くスピーディで跳躍しまくる素晴らしさに耳を奪われる。どこまでも明るく、賑やかで壮大でドラマティックに展開される組曲形式ながらもこれぞEL&Pの得意技と知らしめた作品。続いての「Tank」はカール・パーマーとキース・エマーソンの組み合わせが中心となった大作だが、当然グレッグ・レイクのベースラインもかなり歌っているのでメンバーのジャムセッション的要素も強かったのかもしれない。そこからはカール・パーマーのドラムソロが繰り広げられ、カール・パーマーってここまで叩く人だったかと思うほどのテクニックが楽しめるが、楽器を演奏しない人はこういうのはさほど魅力を感じないような気もするがどうだろう。終盤はキース・エマーソンのもうひとつの得意技のシンセサイザーが登場するが、後のEL&Pの方向性を味わえるのもこの曲くらいか。最後は歌もの好きなグレッグ・レイクの「Lucky Man」が普通にアコースティックギターとボーカル、コーラスで奏でられ、ここまでの斬新で刺激的なロックスタイルからすると随分とオーソドックスな曲で、ある意味落ち着いて聴いていられる普通なサウンド。キース・エマーソンのシンセサイザーも少々場違い的に目立つ程度、カール・パーマーのドラムも普通にこういうドラムだろうと言う感じで目立たずそつなくのプレイで終焉。やはりA面のぶっ飛びインパクトに比べるとB面のソロ的展開は楽曲的にはもうひとつな気がするが、それだけA面のEL&Pの合体技の凄みは衝撃的だったと。今更ながらこれがプログレッシブ・ロックか、と感じたし、グレッグ・レイクが案外クリムゾンしてたのもこれまでとは違った聴き方が出来たかとも思う。
早い時期からCDで再発されたりボーナストラック入りでリリースされたりはしていたが、2012年にこれまでとは異なるリマスター盤「 Emerson, Lake and Palmer (2012 Remastered)」がリリースされ、オリジナルアルバムのリマスターは当然ながら、この手のリマスタリングでは引っ張りだこのスティーブ・ウィルソンが手がけた2012年5.1chリマスターではB面の冒頭にあの「Promenade」のボーカル入りバージョンを使い、「The Three Fates: Atropos」は「Atropos」と呼ばれる3部構成組曲の第3部を収録、そしてまたこの当時の未発表曲でEL&P的には珍しいブルースギターとカール・パーマーのドラムをフューチャーした「Rave Up」が新たに収録され、最後部分にはそのカール・パーマーの「Drum Solo」が入ってくる代物。もっともアルバム最後には「Lucky Man」が入っているが、ボーナストラックにはデモバージョンも別バージョンも収録されている。ボーナストラックには歌なしの「Take A Pebble」の前半部分の別テイクとこちらもインストバージョンの「Knife Edge」が加えられているので聴き比べてみるのも面白い。それにしても良い音に仕上がっていて聴きやすくキラキラした音色が実にEL&Pらしく聴こえる。
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