Silverhead - 16 and Savaged (Expanded Edition)
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Silverhead - 16 and Savaged (Expanded Edition) (1973)

若かりし頃に聴いていたR&Rはいつ聴き直しても問答無用でカッコ良いと思えるし、自分がそういうの好きな事も実感できるが、近年は歳のせいか、耳が大人になってきてしまったからか、聴いていてもどこか飽きてくるようになった。この曲が、どの曲がつまらないと言うような意味でもなく、単に数曲聴いているともう良いかな、と思うようになってしまし、じっくり聞けば聴くほど深みが無ければ余計に早めにそう思ってしまうので少々困惑している。まさかこういうR&Rを聴いて、楽しんでいるくせに飽きてくる、お腹いっぱいになってくるのはどうも情けない。ここの所そんなR&Rばかりを聴いているから食傷気味なのかもしれないが、思い返してみれば50sのロカビリーなどはそれに近く、何曲も何回も聴いていられなかったので、恐らくそれと同じく散々聴きまくったからもう良いだろう、という本能が働いているのかもしれない。ましてやボーナストラック付きの2CDフルフルでR&Rを聴いていたり、同じようなバージョンをいくつも聴いているので更に加速的にそう感じたのかもしれない。しばし休息してはまた折を見て聴く、そんな聴き方になっていきそうな気がする。
それでもひと味もふた味も違いを感じたSilverheadの1973年リリースのセカンド・アルバム「16 and Savaged」は自分が随分と若い頃にレコードハントしに行って遂に見つけた感が強かったアルバムで、東芝オデオン盤のダブルジャケット、ブックレット付きで手に入れた思い入れの深い作品。オリジナルタイトルもタイトルだが、日本語タイトルも、それ良いのか、と思う「16才で犯されて」と来たもんだ。そしてこのジャケット、正に16才くらいの少女がどこかでそうなり、その後に化粧室に入って惨めな自分が鏡に映っている姿が描かれているが、このジャケットひとつでそういうイメージを連想させ、バンドの音の妖しさまでもイメージさせる素晴らしきアート作品とも言える。自分が最初にアルバムを実際に手に入れてジャケットを見ながら思ったのがそんな感じで、その印象と共にアルバムをターンテーブルに乗せてみれば素晴らしくご機嫌でツインギターが無茶苦茶カッコ良い「Hello New York」の叫び声が響き渡り、即座にその妖しげで毒気の強いR&Rにノックアウトされた。ちなみに、久々に聴いているのは2016年にオリジナルのパープルレコード名義のレーベルを付けたリマスターエキスパンデッド・エディション盤なのでとてつもなく音が良くて驚いている。この曲がここまで見事な音像に仕上がり、ツインギターの分離もしっかりしてくっきりと際立ったサウンドとベースの深みも味わえ、マイケル・デ・バレスのシャガレた歌声がきちんと響いてくるのも見事。やはりカッコ良い曲はいつ聴いてもどこで聴いてもカッコ良い。更にこの音で聴けたら素晴らしく浸れる。その余韻を味わうかのように全くストーンズそのままとも言える「More Than Your Mouth Can Hold」がルーズなノリとシャウトで奏でられ、シルバーヘッドは音だけ聴いていればちょいと器用なR&Rバンドでしかない証明とも言える作品。どれもこれもマイケル・デ・バレスの見事なセンスと、この曲は後々にロバート・プラントと一緒にプレイする事で一躍知られる事となったロビー・ブラントの作品。この人も英国のスワンプ・ロックの走りだったBroncoでギター弾いてたが、いまいちシーンに飛び出せず、シルバーヘッドに参加してそのセンスの良さを知らしめていったプレイヤー。アルバム全編を聴いててもロビー・ブラントの才覚あるギタープレイはなかなかに引っ掛かるので面白い。一方のロッド・デイヴィスが作った「Only You」はありがちなバラードソングながらもマイケル・デ・バレスの味わい深い歌声が曲を支え、驚くことにラビットの鍵盤がそれを支えている。この頃のラビットはと言えばフリーの再結成に参加した時期、まだ解散する前と思うがどういう経緯からかセッションに参加していたようだ。A面最後はそのギタリスト二人がこれぞツインギターの醍醐味と言わんばかりのプレイぶりを発揮してくれるオーソドックスなR&Rチューンでこれもまたストーンズやフェイセスっぽいが、もう少し泥臭さを感じる個性の強いサウンド。
一転してB面はグラマラスロックとはこういう音だ、と訴えているかのようなフックの効いたシルバーヘッドらしい後乗りでドライブさせた「Heavy Hammer」が気持ち良い。目立ちにくいがナイジェル・ハリソンのベースが曲のグルーブを後押しして、妙なラインプレイをカマしてくれている。この人も後々にランナウェイズの隠れベーシストを経由してあのブロンディに参加する事になった職人で、この時点で既にそのグルーブ感を出してくれている。続いては軽快でキャッチーなリズムにいきなりのスライドプレイでこれもまたR&Rギタリスト的にはついつい真似したくなるご機嫌なサウンドの「Cartoon Princess」がカッコ良い。この曲と「Hello New York」のどちらをアルバム冒頭にするか、くらいに並べられてもおかしくない派手派手でノリの良い素晴らしきR&Rにスライドギター。そしてミドルテンポのギターリフからグイグイとドライブ感を出しながらプレイされる「Rock Out Claudette Rock Out」はバンド全員でのセッションから生まれたかのような曲で、リズム隊とシンプルなギタープレイが全くグラマラスロック代表ソング的に聞こえてくるが、そうそう簡単な代物でもなく、しっかりとアレコレ練られているアレンジも数多い。「This Ain't A Parody」ではやはりロビー・ブラントのギター使いのセンスが上手く出て来ているロックらしい楽曲で、直接的に感じないものの、やはり英国のこの時代のギタリストらしく、ブルースがベースにあるプレイが単なるR&Rとは異なり、ウネリやグルーブ感を出しているのが聴きやすい。そしてオリジナル・アルバム時では最後の曲となったタイトル曲「16 and Savage」ももしかしたらアルバム冒頭を飾っても良かったと思えるくらいにノリノリのスタートと、サビ部分でのテンション落としての歌声が渋く、なかなかに妙なアレンジがやや時代を感じるプログレッシブさもあって一筋縄では進まない。それにしてもマイケル・デ・バレスのこの歌声は病み付きになる何かを持っていると自分ではいつも感じて、ついつい何度か聴いてしまう。
そして2016年のエキスパンデッド・エディション盤ではそれまでの再発盤には本編最後に付けられていた「Roll With My Baby」の7インチシングルバージョンは付けられておらず、1973年以降の楽曲群ばかりがボーナストラックとして収められている。故に本作のボーナストラック一発目は幻となったサードアルバムのための楽曲として知られている、貴重な未発表スタジオテイクの「James Dean」と完全未発表曲の「Marilyn」が目玉で、前者はライブバージョンなら「Live at the Rainbow London」で聴けたのでその全貌は想像出来たが後者はまさかジェームズ・ディーンに対してのマリリン・モンローからのマリリン、とは思いたくないがどうだろう。この2曲の発掘からシルバーヘッドの3枚のアルバムすべてのエキスパンデッド・エディションが作られたのではないかと思われるほどの大発見。以降はマイケル・デ・バレスが1974年にどういう理由からかシルバーヘッド解体直後にリリースしたシングル曲A/B面が当然R&R色を薄めた作品として聴ける。その後は日本では既にリリースされている「Show Me Everything」からの抜粋版なのでさほどときめく収録でもないが、それでもオリジナルバージョンの音の良さ、大発見のスタジオテイクと妖しげなカッコ良さ満載のシルバーヘッドの名盤「16 and Savaged (Expanded Edition)」をマジマジと楽しんでみた。ロックはこういう毒気があるのが良い。

若かりし頃に聴いていたR&Rはいつ聴き直しても問答無用でカッコ良いと思えるし、自分がそういうの好きな事も実感できるが、近年は歳のせいか、耳が大人になってきてしまったからか、聴いていてもどこか飽きてくるようになった。この曲が、どの曲がつまらないと言うような意味でもなく、単に数曲聴いているともう良いかな、と思うようになってしまし、じっくり聞けば聴くほど深みが無ければ余計に早めにそう思ってしまうので少々困惑している。まさかこういうR&Rを聴いて、楽しんでいるくせに飽きてくる、お腹いっぱいになってくるのはどうも情けない。ここの所そんなR&Rばかりを聴いているから食傷気味なのかもしれないが、思い返してみれば50sのロカビリーなどはそれに近く、何曲も何回も聴いていられなかったので、恐らくそれと同じく散々聴きまくったからもう良いだろう、という本能が働いているのかもしれない。ましてやボーナストラック付きの2CDフルフルでR&Rを聴いていたり、同じようなバージョンをいくつも聴いているので更に加速的にそう感じたのかもしれない。しばし休息してはまた折を見て聴く、そんな聴き方になっていきそうな気がする。
それでもひと味もふた味も違いを感じたSilverheadの1973年リリースのセカンド・アルバム「16 and Savaged」は自分が随分と若い頃にレコードハントしに行って遂に見つけた感が強かったアルバムで、東芝オデオン盤のダブルジャケット、ブックレット付きで手に入れた思い入れの深い作品。オリジナルタイトルもタイトルだが、日本語タイトルも、それ良いのか、と思う「16才で犯されて」と来たもんだ。そしてこのジャケット、正に16才くらいの少女がどこかでそうなり、その後に化粧室に入って惨めな自分が鏡に映っている姿が描かれているが、このジャケットひとつでそういうイメージを連想させ、バンドの音の妖しさまでもイメージさせる素晴らしきアート作品とも言える。自分が最初にアルバムを実際に手に入れてジャケットを見ながら思ったのがそんな感じで、その印象と共にアルバムをターンテーブルに乗せてみれば素晴らしくご機嫌でツインギターが無茶苦茶カッコ良い「Hello New York」の叫び声が響き渡り、即座にその妖しげで毒気の強いR&Rにノックアウトされた。ちなみに、久々に聴いているのは2016年にオリジナルのパープルレコード名義のレーベルを付けたリマスターエキスパンデッド・エディション盤なのでとてつもなく音が良くて驚いている。この曲がここまで見事な音像に仕上がり、ツインギターの分離もしっかりしてくっきりと際立ったサウンドとベースの深みも味わえ、マイケル・デ・バレスのシャガレた歌声がきちんと響いてくるのも見事。やはりカッコ良い曲はいつ聴いてもどこで聴いてもカッコ良い。更にこの音で聴けたら素晴らしく浸れる。その余韻を味わうかのように全くストーンズそのままとも言える「More Than Your Mouth Can Hold」がルーズなノリとシャウトで奏でられ、シルバーヘッドは音だけ聴いていればちょいと器用なR&Rバンドでしかない証明とも言える作品。どれもこれもマイケル・デ・バレスの見事なセンスと、この曲は後々にロバート・プラントと一緒にプレイする事で一躍知られる事となったロビー・ブラントの作品。この人も英国のスワンプ・ロックの走りだったBroncoでギター弾いてたが、いまいちシーンに飛び出せず、シルバーヘッドに参加してそのセンスの良さを知らしめていったプレイヤー。アルバム全編を聴いててもロビー・ブラントの才覚あるギタープレイはなかなかに引っ掛かるので面白い。一方のロッド・デイヴィスが作った「Only You」はありがちなバラードソングながらもマイケル・デ・バレスの味わい深い歌声が曲を支え、驚くことにラビットの鍵盤がそれを支えている。この頃のラビットはと言えばフリーの再結成に参加した時期、まだ解散する前と思うがどういう経緯からかセッションに参加していたようだ。A面最後はそのギタリスト二人がこれぞツインギターの醍醐味と言わんばかりのプレイぶりを発揮してくれるオーソドックスなR&Rチューンでこれもまたストーンズやフェイセスっぽいが、もう少し泥臭さを感じる個性の強いサウンド。
一転してB面はグラマラスロックとはこういう音だ、と訴えているかのようなフックの効いたシルバーヘッドらしい後乗りでドライブさせた「Heavy Hammer」が気持ち良い。目立ちにくいがナイジェル・ハリソンのベースが曲のグルーブを後押しして、妙なラインプレイをカマしてくれている。この人も後々にランナウェイズの隠れベーシストを経由してあのブロンディに参加する事になった職人で、この時点で既にそのグルーブ感を出してくれている。続いては軽快でキャッチーなリズムにいきなりのスライドプレイでこれもまたR&Rギタリスト的にはついつい真似したくなるご機嫌なサウンドの「Cartoon Princess」がカッコ良い。この曲と「Hello New York」のどちらをアルバム冒頭にするか、くらいに並べられてもおかしくない派手派手でノリの良い素晴らしきR&Rにスライドギター。そしてミドルテンポのギターリフからグイグイとドライブ感を出しながらプレイされる「Rock Out Claudette Rock Out」はバンド全員でのセッションから生まれたかのような曲で、リズム隊とシンプルなギタープレイが全くグラマラスロック代表ソング的に聞こえてくるが、そうそう簡単な代物でもなく、しっかりとアレコレ練られているアレンジも数多い。「This Ain't A Parody」ではやはりロビー・ブラントのギター使いのセンスが上手く出て来ているロックらしい楽曲で、直接的に感じないものの、やはり英国のこの時代のギタリストらしく、ブルースがベースにあるプレイが単なるR&Rとは異なり、ウネリやグルーブ感を出しているのが聴きやすい。そしてオリジナル・アルバム時では最後の曲となったタイトル曲「16 and Savage」ももしかしたらアルバム冒頭を飾っても良かったと思えるくらいにノリノリのスタートと、サビ部分でのテンション落としての歌声が渋く、なかなかに妙なアレンジがやや時代を感じるプログレッシブさもあって一筋縄では進まない。それにしてもマイケル・デ・バレスのこの歌声は病み付きになる何かを持っていると自分ではいつも感じて、ついつい何度か聴いてしまう。
そして2016年のエキスパンデッド・エディション盤ではそれまでの再発盤には本編最後に付けられていた「Roll With My Baby」の7インチシングルバージョンは付けられておらず、1973年以降の楽曲群ばかりがボーナストラックとして収められている。故に本作のボーナストラック一発目は幻となったサードアルバムのための楽曲として知られている、貴重な未発表スタジオテイクの「James Dean」と完全未発表曲の「Marilyn」が目玉で、前者はライブバージョンなら「Live at the Rainbow London」で聴けたのでその全貌は想像出来たが後者はまさかジェームズ・ディーンに対してのマリリン・モンローからのマリリン、とは思いたくないがどうだろう。この2曲の発掘からシルバーヘッドの3枚のアルバムすべてのエキスパンデッド・エディションが作られたのではないかと思われるほどの大発見。以降はマイケル・デ・バレスが1974年にどういう理由からかシルバーヘッド解体直後にリリースしたシングル曲A/B面が当然R&R色を薄めた作品として聴ける。その後は日本では既にリリースされている「Show Me Everything」からの抜粋版なのでさほどときめく収録でもないが、それでもオリジナルバージョンの音の良さ、大発見のスタジオテイクと妖しげなカッコ良さ満載のシルバーヘッドの名盤「16 and Savaged (Expanded Edition)」をマジマジと楽しんでみた。ロックはこういう毒気があるのが良い。
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