Gong - Camembert Electrique (2015 Remaster)
0 Comments
Gong - Camembert Electrique (Remastered) (1971)

様々なアーティストやアルバムを耳にして、カッコ良かったり美しかったり素晴らしかったりと色々な感情が生まれてくるが、別の角度で聴いてみるとバンドで作り上げている、一人がデモテープで完全に作り上げている、譜面を書いて仕上げている、プロデューサーとスタジオで作り込んでいる、などなど様々な作品の生み出し方があり、ロックバンドなら大抵はその制作過程も何となく分かるし、ギターで、ピアノで、鍵盤で、ジャムセッションからとイマジネーションも膨らむが、プログレッシブ・ロックやジャズ・ロックなどは果たしてどういう形で曲が出来上がっていくのか不思議に思う作品も多い。バンドで演奏をブラッシュアップしてテーマに沿って作り込んでいく演奏中心のスタイルならまだ理解出来るが、とんでもなくアバンギャルドで定型が定まらずフワフワと進むサイケデリック調のスタイルなどはまるで想像が出来ない。ミュージシャンが秀逸でリーダーの狙っている音や出したい音を幾つかのプレイで目線を合わせて演奏していく、それもコードワークから生まれる自身のセンスとバンドが求めるスタンスを上手く繋ぎ合わせての才能など、果たしてそこまで狙って作れるものだろうか、と疑問すら浮かぶが実際そのように出来上がり、満足したレコーディングだった、などと発言していたりもするからきっとそうなのだろう。どこからどこまでがワンマンで出来上がりプレイヤーへの指示があり、作られていくのか、ずっと見ていたら分かるものだろうか。ロックは深い。
1971年にリリースされたGongの名作と誉れ高い「Camembert Electrique」も果たしてどうやったらこういう音が出来上がるのかといつも不思議に思うアルバム。ギリ・スマイスのウィスパーボイス程度なら指示出せるが、この浮遊感漂うアルバム全編となると当然デモテープがあったりすると分かるのもあるが、大半は意味不明。それでいて「You Can't Kill Me」など、とてつもない名作名演奏が展開されるのだから不思議で、デヴィッド・アレンがそこまでの才能を発揮して作り上げたとしか思えないが、それを的確に再現しているリズム隊、特にピプ・パイルの軽やかでジャジーでまさにカンタベリーを代表するかのようなドラミングには全く舌を巻く。それが見事に楽曲にマッチしていて、ひとつの流れすら作っているとなれば素晴らしくバンドの音になっているとも言えるし、だからこそ初期ゴングは熱狂的なファンが多いのも分かる。以前聴いていた時には最初は凄いが徐々に飽きてきてダレてしまったと感じていた自分がいたので、今回は果たしてどう思うか自分でも興味津々だったが、完全に別の角度から別次元で聴いていたようだ。ただそれでも所詮はロックを聴いているので、単純に楽しむ、凄さを味わう、何か凄い、と味わう方が大きかった。聴きながらふと、諸々あれどゴングはフランスのバンドとして位置付けられているし、だからだろうか、マグマ的な呪術コーラスワークの畳み掛けが似ている部分あったり、そもそも楽曲の展開はザッパ譲りの超絶バカさアホさ加減だし、かと思えば所々で聴かれる同じリフレインの繰り返しなどは正しく初期ソフト・マシーンがよく使う展開なので、どれもこれも聴き応えある、と言うよりもその辺りがふと自分にも入ってきてしまう楽しさがあった。それだけ色々聴いてきたからこそ改めて楽しめた聴き方でもあろうから、より一層ゴングの世界観も入り込んでみたくなってきた。
アホらしさの筆頭格とも言われる「Dynamite : I Am Your Animal」などは今の時代では決して誰も思い付かないだろうし、やらないだろうと思うが、それでもここで真面目に登場してくる凄さ。アルバム全体は言われているようにスペイシーな世界で間違いないが、何を持ってスペイシーなのか、浮遊する空間音であれば「Fohat Digs Hole In Space」あたりがその類に相当するし、もっとサイケデリックなアホさで言えば「I've Bin Stone Before : Mister Long Shanks : O Mother」〜「Fantasy」あたりも凄い。そして妙ちくりんなポップならば「Tropical Fish : Selene」に尽きるだろうが、この辺りはまさにアレン在籍時代のソフト・マシーンにありそうな曲なので、どことなく自分の中でも繋がってくる。そしてやはり最初の「You Can't Kill Me」の凄さに戻ってまた聴きたくなってしまうハチャメチャさ加減。Didier Malherbeのサックスも正統派からしたら妙だろうし、Christian Tritschのベースは完全にジャズそのままで、やはりPip Pyleの軽やかなドラミングがアルバム全編をヘンなだけにしないで、カンタベリーサウンドという世界に留めてくれている。結局は何とも心地良い世界をひたすらに堪能して、この妙なヒッピーミュージシャンの思惑に囚われていくのだろう。聴けば聴くほどに味が出て来て虜になっていくのも妙な話。一般的に名盤です、的な物言いでは片付かないし、普通に聴いた程度では決して好きになれないし名盤とも思えない、思えたとしても何曲かだけなので、そこを超えないとこの作品の凄さと真実には出会えないかもしれない。自分でもそこに行き着いたとは思っていないが、少なくともこの楽しみは深々と味わえているのでまずは良いだろう。

様々なアーティストやアルバムを耳にして、カッコ良かったり美しかったり素晴らしかったりと色々な感情が生まれてくるが、別の角度で聴いてみるとバンドで作り上げている、一人がデモテープで完全に作り上げている、譜面を書いて仕上げている、プロデューサーとスタジオで作り込んでいる、などなど様々な作品の生み出し方があり、ロックバンドなら大抵はその制作過程も何となく分かるし、ギターで、ピアノで、鍵盤で、ジャムセッションからとイマジネーションも膨らむが、プログレッシブ・ロックやジャズ・ロックなどは果たしてどういう形で曲が出来上がっていくのか不思議に思う作品も多い。バンドで演奏をブラッシュアップしてテーマに沿って作り込んでいく演奏中心のスタイルならまだ理解出来るが、とんでもなくアバンギャルドで定型が定まらずフワフワと進むサイケデリック調のスタイルなどはまるで想像が出来ない。ミュージシャンが秀逸でリーダーの狙っている音や出したい音を幾つかのプレイで目線を合わせて演奏していく、それもコードワークから生まれる自身のセンスとバンドが求めるスタンスを上手く繋ぎ合わせての才能など、果たしてそこまで狙って作れるものだろうか、と疑問すら浮かぶが実際そのように出来上がり、満足したレコーディングだった、などと発言していたりもするからきっとそうなのだろう。どこからどこまでがワンマンで出来上がりプレイヤーへの指示があり、作られていくのか、ずっと見ていたら分かるものだろうか。ロックは深い。
1971年にリリースされたGongの名作と誉れ高い「Camembert Electrique」も果たしてどうやったらこういう音が出来上がるのかといつも不思議に思うアルバム。ギリ・スマイスのウィスパーボイス程度なら指示出せるが、この浮遊感漂うアルバム全編となると当然デモテープがあったりすると分かるのもあるが、大半は意味不明。それでいて「You Can't Kill Me」など、とてつもない名作名演奏が展開されるのだから不思議で、デヴィッド・アレンがそこまでの才能を発揮して作り上げたとしか思えないが、それを的確に再現しているリズム隊、特にピプ・パイルの軽やかでジャジーでまさにカンタベリーを代表するかのようなドラミングには全く舌を巻く。それが見事に楽曲にマッチしていて、ひとつの流れすら作っているとなれば素晴らしくバンドの音になっているとも言えるし、だからこそ初期ゴングは熱狂的なファンが多いのも分かる。以前聴いていた時には最初は凄いが徐々に飽きてきてダレてしまったと感じていた自分がいたので、今回は果たしてどう思うか自分でも興味津々だったが、完全に別の角度から別次元で聴いていたようだ。ただそれでも所詮はロックを聴いているので、単純に楽しむ、凄さを味わう、何か凄い、と味わう方が大きかった。聴きながらふと、諸々あれどゴングはフランスのバンドとして位置付けられているし、だからだろうか、マグマ的な呪術コーラスワークの畳み掛けが似ている部分あったり、そもそも楽曲の展開はザッパ譲りの超絶バカさアホさ加減だし、かと思えば所々で聴かれる同じリフレインの繰り返しなどは正しく初期ソフト・マシーンがよく使う展開なので、どれもこれも聴き応えある、と言うよりもその辺りがふと自分にも入ってきてしまう楽しさがあった。それだけ色々聴いてきたからこそ改めて楽しめた聴き方でもあろうから、より一層ゴングの世界観も入り込んでみたくなってきた。
アホらしさの筆頭格とも言われる「Dynamite : I Am Your Animal」などは今の時代では決して誰も思い付かないだろうし、やらないだろうと思うが、それでもここで真面目に登場してくる凄さ。アルバム全体は言われているようにスペイシーな世界で間違いないが、何を持ってスペイシーなのか、浮遊する空間音であれば「Fohat Digs Hole In Space」あたりがその類に相当するし、もっとサイケデリックなアホさで言えば「I've Bin Stone Before : Mister Long Shanks : O Mother」〜「Fantasy」あたりも凄い。そして妙ちくりんなポップならば「Tropical Fish : Selene」に尽きるだろうが、この辺りはまさにアレン在籍時代のソフト・マシーンにありそうな曲なので、どことなく自分の中でも繋がってくる。そしてやはり最初の「You Can't Kill Me」の凄さに戻ってまた聴きたくなってしまうハチャメチャさ加減。Didier Malherbeのサックスも正統派からしたら妙だろうし、Christian Tritschのベースは完全にジャズそのままで、やはりPip Pyleの軽やかなドラミングがアルバム全編をヘンなだけにしないで、カンタベリーサウンドという世界に留めてくれている。結局は何とも心地良い世界をひたすらに堪能して、この妙なヒッピーミュージシャンの思惑に囚われていくのだろう。聴けば聴くほどに味が出て来て虜になっていくのも妙な話。一般的に名盤です、的な物言いでは片付かないし、普通に聴いた程度では決して好きになれないし名盤とも思えない、思えたとしても何曲かだけなので、そこを超えないとこの作品の凄さと真実には出会えないかもしれない。自分でもそこに行き着いたとは思っていないが、少なくともこの楽しみは深々と味わえているのでまずは良いだろう。
- 関連記事
-
- Pierre Moerlen's Gong - Time Is The Key (1979):
- Gong - Camembert Electrique (2015 Remaster)
- Gong - You