Mike Bloomfield - Live at the Old Waldorf
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Mike Bloomfield - Live at the Old Waldorf

スライド・ギターを使うブルースギタリストは半分以上はいるだろうが、当然ながらその使い方は様々で、人によってはほとんど使わないし、使っても曲によって効果的に用いる程度でスライド・ギターをメインに弾くほどでもないプレイヤーも数多い。一方スライド・ギターをメインにしか使わないでギターをプレイする輩もいるので、個性の出し方弾き方の違いでしかないが、音色で捉えると聴けばスライド・ギターかどうかは分かりやすく、独特のスライド感があるのは百も承知か。ただ、大きく区分するならスライド音をそのまま残しつつ大げさにフレット上をスライドさせる事でスライド効果を派手に聴かせるパターンと、あくまでもフレットの上をスライドでなぞるに等しく、音の繋ぎがスライド的ニュアンスで使っているパターン、もしくはきちんと音を切りながらスライドで動く音のみを取り入れているパターンとなる。言葉で書くと分かりにくいが、自分的にはそういう使い方の違いによるプレイヤーの個性を捉えている。例えばエルモア・ジェームズなどは前者だし、後者は曲中で一部だけスライドを使う場合のプレイヤーはどうしても音に囚われるのでそうなりやすい、と勝手に思っている。
60年代中後期頃からスーパーギタリストとして名を馳せたMichael Bloomfieldは70年代に入るとややその勢いに陰りを見せ、それは単に体調不良から来る調子の悪さかもしれないし、ブルースを卒業してアドリブプレイの醍醐味からは離れたアメリカンギタープレイヤー的構想に進んで行ったからこその探求道によるシーンとは離れたスタイルの追求からかもしれない。当然ながらブルースプレイもアメリカンギタープレイのひとつでしかなく、その他のタッチによるプレイを続々と探求していき、結果的にはカントリータッチのプレイを取り入れたスタイルが性に合ったのか、その辺りが融合したソロ作品を数多くリリースしている。一方そのコマーシャル的活動とは別に、地元サンフランシスコのクラブで1976〜77年頃にかけては昔の仲間や気心知れた連中と毎週末にセッションして地味なライブ活動をしていたようだ。その日その日で異なるだろうが、いくつかのライブが録音されており、それらを纏め上げてひとつのライブ作品として1998年に「Live at the Old Waldorf」としてリリースされた。ある日CD屋でこのタイトルを見つけた時には果たしてこれは何ぞや、と悩みながらレジに持って行ったのを記憶しているが、それと言うのも、この頃にそんなライブ活動をしていたなどとはまるで知る由もなく、単なる名前貸しのセッションダラダラプレイだったら面白くなかろうという予感も走ったからだ。ところが聴いてみれば冒頭からとてつもないブルースプレイ、マイク・ブルームフィールドお得意のブルースフレーズがバシバシ出てくる強烈なセッションで嬉しくなってしまった。あの栄光の時代ほどの熱気ではないが、もっと地に足着けたブルースセッションが形になっているようで、派手さは無いが、その分渋みを増した素晴らしいライブアルバムに仕上がっていた。
冒頭は普通にP-90搭載のゴールドトップレスポールによる指弾き中心のブルースプレイそのままで、ここまでこの時代にも弾いていたのかと思うばかりに弾きまくっている。「Sweet Little Angel」はメジャー、マイナー入り混じってのスケールも弾きまくりだが、これは当然B.B.Kingの楽曲から入っているからB.Bフレーズを用いればそうなるが、その流れでの「Jelly Jelly」も含めて熱き素晴らしきブルースプレイでまず感激。そしてここからがマイク・ブルームフィールドがここまでスライド・ギターをプレイするのかと思うくらいにスライドばかりをひたすらに奏でたプレイが聴けるのも貴重で、それこそ音をしっかりと出し切るフレット代わりのスライドバーの使い方によるプレイ、言い換えると細かい音がきちんとスライドで鳴らされるプレイが続き、エルモア・ジェームズお得意の「The Sky Is Crying」でもそれは変わらないので、マイク・ブルームフィールドのスライドに対する概念はあくまでもそういう使い方なのだろう。面白い。ほとんどが大御所ブルースメン達の往年の楽曲のカバーだが、いくつかは旧友ニック・グレイブナイツのオリジナル曲も演奏されており、中でもジャニスに提供した「ブルースに葬られて」のオリジナル歌唱バージョンは貴重な楽曲の証明で、何せボーカルは本人、ギターにはマイク・ブルームフィールドだ。これぞオリジナル的解釈と言わんばかりの楽曲だが聴いてみるとそこまでの作品にも聞こえないところがまた奥ゆかしい。ジャニスの、と付くからこそのイメージが如何に大きかったかとも思うが、当然悪くない。
それにしてもこのライブアルバムでも聴けるが、ブルースプレイばかりに始終する事もなく、楽曲は割と多彩でマイク・ブルームフィールドも自由に楽しんでいる様子がよく分かるし、実にリラックスしたプレイがスライドでも聴ける気がする。ギターヒーロー的なソロプレイぶちかましはほとんど見当たらないが、鳴らせばそれは印象深いフレーズだし音色だしきっちりと音を出してくるし、それよりも何よりもライブで用いられたギターはテレキャスとゴールドトップとの事で、その音色が実にまろやかで何とも言い難いメロウな味わいが楽しめる。これを聴いてしまうとP-90搭載のレスポールもかなり魅力的に聞こえてくるし、このフレーズを自分でも紡いでみたいとすら願う。ほとんどの曲がミドルテンポからスローテンポなのでギターの音色もよく鳴ってくるし、それをまた上手く出してくるので素晴らしい。「Your Friends」はその典型的な例で、エフェクトなどまるでなしのギターそのままの音でプレイされている美しき音色、そしてフレーズ。割と地味な一枚で、1977年前後のライブとの事で聴く前から少々興醒めしている部分もあったが、聴いてみると実に己の浅はかさを感じる素晴らしきブルースアルバム。ブルース・ロック、ではなくブルースアルバムとして聴ける作品。

スライド・ギターを使うブルースギタリストは半分以上はいるだろうが、当然ながらその使い方は様々で、人によってはほとんど使わないし、使っても曲によって効果的に用いる程度でスライド・ギターをメインに弾くほどでもないプレイヤーも数多い。一方スライド・ギターをメインにしか使わないでギターをプレイする輩もいるので、個性の出し方弾き方の違いでしかないが、音色で捉えると聴けばスライド・ギターかどうかは分かりやすく、独特のスライド感があるのは百も承知か。ただ、大きく区分するならスライド音をそのまま残しつつ大げさにフレット上をスライドさせる事でスライド効果を派手に聴かせるパターンと、あくまでもフレットの上をスライドでなぞるに等しく、音の繋ぎがスライド的ニュアンスで使っているパターン、もしくはきちんと音を切りながらスライドで動く音のみを取り入れているパターンとなる。言葉で書くと分かりにくいが、自分的にはそういう使い方の違いによるプレイヤーの個性を捉えている。例えばエルモア・ジェームズなどは前者だし、後者は曲中で一部だけスライドを使う場合のプレイヤーはどうしても音に囚われるのでそうなりやすい、と勝手に思っている。
60年代中後期頃からスーパーギタリストとして名を馳せたMichael Bloomfieldは70年代に入るとややその勢いに陰りを見せ、それは単に体調不良から来る調子の悪さかもしれないし、ブルースを卒業してアドリブプレイの醍醐味からは離れたアメリカンギタープレイヤー的構想に進んで行ったからこその探求道によるシーンとは離れたスタイルの追求からかもしれない。当然ながらブルースプレイもアメリカンギタープレイのひとつでしかなく、その他のタッチによるプレイを続々と探求していき、結果的にはカントリータッチのプレイを取り入れたスタイルが性に合ったのか、その辺りが融合したソロ作品を数多くリリースしている。一方そのコマーシャル的活動とは別に、地元サンフランシスコのクラブで1976〜77年頃にかけては昔の仲間や気心知れた連中と毎週末にセッションして地味なライブ活動をしていたようだ。その日その日で異なるだろうが、いくつかのライブが録音されており、それらを纏め上げてひとつのライブ作品として1998年に「Live at the Old Waldorf」としてリリースされた。ある日CD屋でこのタイトルを見つけた時には果たしてこれは何ぞや、と悩みながらレジに持って行ったのを記憶しているが、それと言うのも、この頃にそんなライブ活動をしていたなどとはまるで知る由もなく、単なる名前貸しのセッションダラダラプレイだったら面白くなかろうという予感も走ったからだ。ところが聴いてみれば冒頭からとてつもないブルースプレイ、マイク・ブルームフィールドお得意のブルースフレーズがバシバシ出てくる強烈なセッションで嬉しくなってしまった。あの栄光の時代ほどの熱気ではないが、もっと地に足着けたブルースセッションが形になっているようで、派手さは無いが、その分渋みを増した素晴らしいライブアルバムに仕上がっていた。
冒頭は普通にP-90搭載のゴールドトップレスポールによる指弾き中心のブルースプレイそのままで、ここまでこの時代にも弾いていたのかと思うばかりに弾きまくっている。「Sweet Little Angel」はメジャー、マイナー入り混じってのスケールも弾きまくりだが、これは当然B.B.Kingの楽曲から入っているからB.Bフレーズを用いればそうなるが、その流れでの「Jelly Jelly」も含めて熱き素晴らしきブルースプレイでまず感激。そしてここからがマイク・ブルームフィールドがここまでスライド・ギターをプレイするのかと思うくらいにスライドばかりをひたすらに奏でたプレイが聴けるのも貴重で、それこそ音をしっかりと出し切るフレット代わりのスライドバーの使い方によるプレイ、言い換えると細かい音がきちんとスライドで鳴らされるプレイが続き、エルモア・ジェームズお得意の「The Sky Is Crying」でもそれは変わらないので、マイク・ブルームフィールドのスライドに対する概念はあくまでもそういう使い方なのだろう。面白い。ほとんどが大御所ブルースメン達の往年の楽曲のカバーだが、いくつかは旧友ニック・グレイブナイツのオリジナル曲も演奏されており、中でもジャニスに提供した「ブルースに葬られて」のオリジナル歌唱バージョンは貴重な楽曲の証明で、何せボーカルは本人、ギターにはマイク・ブルームフィールドだ。これぞオリジナル的解釈と言わんばかりの楽曲だが聴いてみるとそこまでの作品にも聞こえないところがまた奥ゆかしい。ジャニスの、と付くからこそのイメージが如何に大きかったかとも思うが、当然悪くない。
それにしてもこのライブアルバムでも聴けるが、ブルースプレイばかりに始終する事もなく、楽曲は割と多彩でマイク・ブルームフィールドも自由に楽しんでいる様子がよく分かるし、実にリラックスしたプレイがスライドでも聴ける気がする。ギターヒーロー的なソロプレイぶちかましはほとんど見当たらないが、鳴らせばそれは印象深いフレーズだし音色だしきっちりと音を出してくるし、それよりも何よりもライブで用いられたギターはテレキャスとゴールドトップとの事で、その音色が実にまろやかで何とも言い難いメロウな味わいが楽しめる。これを聴いてしまうとP-90搭載のレスポールもかなり魅力的に聞こえてくるし、このフレーズを自分でも紡いでみたいとすら願う。ほとんどの曲がミドルテンポからスローテンポなのでギターの音色もよく鳴ってくるし、それをまた上手く出してくるので素晴らしい。「Your Friends」はその典型的な例で、エフェクトなどまるでなしのギターそのままの音でプレイされている美しき音色、そしてフレーズ。割と地味な一枚で、1977年前後のライブとの事で聴く前から少々興醒めしている部分もあったが、聴いてみると実に己の浅はかさを感じる素晴らしきブルースアルバム。ブルース・ロック、ではなくブルースアルバムとして聴ける作品。
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