Taste - What's Going On -Live at the Isle of Wight 1970-

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Taste - What's Going On -Live at the Isle of Wight 1970-
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 若い頃からブルース・ロックに取り憑かれひたすらにレコードを探して買って来て聴いて、あれこれ想いを馳せての繰り返しだったがその中味について誰かと会話する、自分がこう思ったなど人と話す事もなく、ひとりでそうかそうだよな、なるほどこうなのかな、など自問して答えも無いままに進んでいく、ふとした時に何かで答えが分かる時もあって、大抵は映像を見た時だが、そんな時は嬉しかった。自分の想像通りの時もあればまるで違う時もあるのでなかなかレコードを聴いているだけでは分からない事もあるし、そもそもレコードのクレジットが大して書かれていないと余計に困った。それでもある音はそのまま聴いて受け止めるだけなので、ひたすらに繰り返す。だからその頃に聴いたアルバムで印象がイマイチの作品はそのままずっと自分の中ではイマイチ感が残ったままの作品にもなっていて、年を追う毎にこうして何度も聴き直したりしてその印象を覆される事もある。またリマスター盤やボーナストラック付きの再発で改めて聴き直す機会があるのもありがたい。その結果、やはり自分的にはイマイチだと思うのもあるが、概ね好意的には聴いているし、知識も増えてるから理由も分かったつもりで聴いている。普通そんな風にロック聴かなくても良いだろ、と思うが、どうにもそうやって聴いてしまうクセがついているのも難点か。

 若きロリー・ギャラガーがシーンに飛び出して来たのはテイストというバンド形態で、皆アイルランドの連中だったから熱いし頑固だしとバンド内のメンバーの仲の悪さは割と知られていたらしい。ただ、アイルランドの連中なのでそんなもんじゃなかろうかとも思うし、それを傍から、英國人やアメリカ人が見ていたら仲悪いと思っただけの事かもしれない。それと言うのも有名な「What's Going On -Live at the Isle of Wight 1970-」のライブは映像も発掘されているが、この時の楽屋ではロリーとメンバーですごい剣幕で口論した直後くらいの出番だったらしく、ステージでその影響があるかと言うと、逆にステージでライブやったからまた仲直りしてるんじゃないかと言うくらいに呼吸が合ったアドリブプレイだけに近いステージをこなしているし、迫力ある演奏にもなっている。ただ、ロリー・ギャラガーがひたすら一人で走ってしまっているキライはあるが、そもそもそういうバンドだから今更それでどうのも無いだろう。逆にロリー・ギャラガーのプレイを邪魔するようなプレイを他のメンバーがする事もないので、アイルランド野郎達の単なる発散だったように思うワケだ。ただ、いつもそれだと当然仲悪くなるのかもしれないが。

 Taste解散後の1971年に「Live at the Isle of Wight」が6曲入りのライブアルバムとして早々にリリースされたが、自分が最初に聴いてたのがこのアルバム。音がショボかったのもあってどうにもロリー・ギャラガーのライブにしてはダラけた印象を持ってて馴染めなかった記憶がある。多分まだアドリブブルース・ロックみたいなのに全く慣れていなかったからそう思ったのだろうが、「ライヴ・イン・アイルランド」と同時に聴いたのも大きかったか。それからあまり何度も聴く事なくどちらかと言えばロリー・ギャラガーソロ名義のライブアルバムばかりを聴いてたので、どこかテイストはやはり早々に解散しただけあってどこかドタバタしたバンドの印象だった。その後2015年になり、ロリー・ギャラガーの遺産が幾つかリリースされている中に、このテイストの「What's Going On -Live at the Isle of Wight 1970-」がかなりの増強盤どころか別の発掘ライブソースとして出て来て、それは全10曲に拡張され、おまけに幻だったライブ映像集もセットで残されていた7曲が発掘されて、更には各種テレビソースなどのライブ映像が加えられた愛情の込められたアイテムだった。この頃は当然ロリー・ギャラガーなんてもう大好きだったしワイト島のライブも久しく聴いてなかったから、ジャケットのカッコ良さも目を引くに十二分な迫力あるものだったので即座に飛び付いた。音のショボさはしょうがないとしてもそのライブ映像は生々しくてかなりがっつりとかぶり付いて見て、テレキャスのスライド使いとこの頃から既にあそこまでボロボロに剥げていたストラトにも感動し、これまでの誰のライブ映像を見るよりも狭すぎるステージもやや驚きながら楽しんでいた。

 旧アルバム時代からの増強曲は「Gambling Blues」、「I'll Remember 」、「Same Old Story」、「Blister On The Moon」と聴いてみればなるほどレコードサイズの時代にオミットするならそうなるかと納得してしまう曲だが、ライブ演奏として何か欠けているワケでもないし、しっかりとオーソドックスなブルース・ロックスタイルな曲ばかり。一方映像では「I'll Remember」、「I Feel So Good」、「Blister On The Moon」以外は残されているので随分と謎が解けたりプレイスタイルやバンドの空気なども見えるようになった気がする。テイストのライブ映像などあまり見たことなかったからかもしれないが、やはりロリー・ギャラガーのワンマンプレイぶりが凄くてそういう時代のスタイルだったのだろうと。よくクリームを引き合いに出されるが、クリームよりもジミヘンのトリオスタイルに近いと感じていて、バンドを思うままに操り曲を繋いでいくパターンが多い。残念なのはロリー・ギャラガーのギタープレイスタイルがしつこく熱く粘っこいのは分かるが、フレーズを追うと少々バラバラ感あって個性的なフレーズがあまり聴き分けられないあたりと思ってる。それが逆に個性的かもしれないが、そのあと一歩のセンスは楽曲作りにも表れていて、テイスト時代は特にブルース・ロックにこだわっていたからか似た傾向の、言い換えると同時代のブルース・ロック連中とそこまで差がある楽曲ではないと言い切れる。それでもメジャー感あるのはロリー・ギャラガーのギタープレイの迫力によるのも確かとなかなか微妙なバランスにある、と後から見れば思う。それでもやはりカッコ良いし、見てて聴いててグイグイと惹き込まれるのは正にロリーの魅力でしかないし、今でも愛される理由はそのあたりで、そうでなければこれほど再発されて歴史に残るギタリストのハズもない。そんなテイスト時代を一番良く見られ、聴けて分かるのが本作「What's Going On -Live at the Isle of Wight 1970-」と大全集の「I'll Remember」だ。「What's Going On -Live at the Isle of Wight 1970-」が世紀の名盤とは言えないのが残念だが、白熱のライブでバンドらしい姿が楽しめる貴重なアイテム。





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フレ
Posted byフレ

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