Muddy Waters - Fathers and Sons (Expanded Edition)
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Muddy Waters - Fathers and Sons (Expanded Edition) (1969)

ギターの音色で名前が思い浮かぶ人、フレーズで思い浮かぶ人もそうそう多くはない。自分の知識や聴き方にもよるが、素人レベルでもこのギターはこの人だ、と分かるくらい個性溢れるギタリストとなるともっと少ないかもしれない。ドラムやベースに比べればまだ分かりやすいだろうとは思うが、それでも所詮はギターの音色なのでそこまで分かるのは難しい。それでも自分でも何人かのギタリストは音やフレーズを聴くと、この人かなと思うような場合もあり、歌でもそれはあるが、ラジオから流れて来た時にふと気になってみるとそうだった、という事もままある。昔はそれが誰の何の曲で、どういう作品だとかもラジオで流れただけでは分からないから調べようもなかったが今の時代はラクなものだ。どことなくのフレーズを記憶してアタマのポケットに入れておいて何となくその辺りだろうか、と思うようなバンドやアーティストを聴いて記憶を漁るのだが、これがまた全くヒットしなくてそのまま忘れ去られてしまった曲も数多い。たまにヒットすると頭の中にメモってレコード屋に走って探してクレジット確認してそのままゲット、と言うような買い方もしばしばしていた。楽しいレコード屋漁りと自分だけの発見もあれば、そこで全く違うギタリストだったりした時には新たなるギタリストの発見も出来て、どちらにしても楽しめた古き良き時代のロックやブルースの聴き方。
Muddy Watersの1969年のアルバム「Fathers and Son」は、ご存知のようにポール・バターフィールド・ブルース・バンドの面々とドナルド・ダック・ダンやオーティス・スパンも参加したご機嫌な原点に還ったかのような超ブルースアルバムで、自分的にはマディ・ウォーターズのアルバムという概念で聴いた事はなく、どちらかと言えばポール・バターフィールド・ブルース・バンドの、もっと言えばマイク・ブルームフィールドとポール・バターフィールドがマディ・ウォーターズと一緒にやっているセッションアルバムとして聴いていたので、マディ・ウォーターズの何枚目のアルバムは、というのがピンと来ない。1969年のリリースなので、マイク・ブルームフィールドで言えば「Super Sessions」の時代、そして「Live at Bill Grahams Fillmore West 1969」の時代、つまりギターヒーローとして君臨していた最絶頂期とも言える時代なので、とにかく自分的には大好きなギターフレーズがビシバシと出てくる。全て手癖とも言えるが、音使いもほぼそのままのフレーズを山のように持っているからそれらを組み合わせて要所要所に突っ込んできて、鋭いフレージングを聴かせてくれるのだ。だからマディ・ウォーターズの歌声やギターもそっちのけでマイク・ブルームフィールドのギターばかりをどうしても聴いてしまう。参加している曲では概ね左チャンネルの辺りに位置しているレスポールのソリッドな生々しい音色でほぼエフェクトも何も掛けずにアンプから出した音で弾いている。それなのにオブリガードのフレーズが出てくるとズキッと刺さってくるから凄い。決して目立とうとして弾いている訳でもないようだが、ビシバシ刺さってくる。同じようにポール・バターフィールドのハーモニカもひと味もふた味も違う色気たっぷりの音色が迫ってくるので、この二人のブルース愛とプレイの深さは普通にブルースが出来てしまう黒人とは異なり、必死に探求追求して才能もあって、それでも大好きで大好きで憧れのブルースメンとプレイしたい、そして遂に出来ている舞台で嬉しくてしょうがないと言わんばかりに愛に溢れた想いが伝わってくるからか、とにかく黒人の本物よりももっとディープにブルースを奏でてくれる。このあたりが白人ブルースの面白い所で、どれだけ必死にコピーしたり探求しても絶対に黒人のようにはなれないからこそもっと努力していつしか黒人にはなれないけど、別の意味で超えてしまった世界観。クラプトンもその世界を醸し出しているが、早いウチにそれに気づいて己の方向性をきちんと定めたという意味では少々賢かったかもしれない。
そして本作はアルバムジャケットからしてミケランジェロをモチーフにしながら黒人の天使が白人の赤ん坊に手を出し述べているが、その白人の赤ん坊がグラサンしたワル風情=ロックのイメージをも出しているか。これでもマディ・ウォーターズのアルバムジャケットだからピンと来ない訳だ。アメリカにしてはかなりユーモアのある珍しいジャケットで結構気に入っている。楽曲の方に移ると、昔はアルバム2枚組でスタジオバージョンが10曲、2枚目のレコードはライブバージョンで6曲しか収録されていなかったが、2001年に拡張盤CD「Fathers and Sons (Expanded Edition)」がリリースされており、スタジオバージョンが4曲追加されているので、ちょうどレコードの一枚目の終わりに収録されている。ただ、聴いているとこの4曲は嬉しい事には違いないが、楽曲や演奏のテンションからするとたしかにオミットしたくなるのも分かる気がするクォリティ感のようにも聴こえるが、まずは拡張盤に喜ぼう。いわゆるスタンダードなブルースそのままなので新しい刺激も見当たらないからそう感じるが、ただ、マディ・ウォーターズの本領発揮作でもあるので、その意味では通常の録音レベル以上の作品なので聴き応えはある。ここにマイク・ブルームフィールド達が参加していたら発掘モノとして随分重宝されたとは思うが、悪くない。アルバム収録曲中でマイク・ブルームフィールドやポール・バターフィールド、オーティス・スパン達が参加しているのはクレジット上では「Blow Wind Blow」「Can't Lose What You Never Had」「Walkin' Thru The Park」「I'm Ready」、ライブバージョンでは「Long Distance Call」で、おまけ的にライブのアンコール時での「Got My Mojo Walkin' (Part.2)」ではドラムにバディ・マイルスも参加している。珍しい所ではどういう関係からか「All Abord」で後にフュージョン界で名を知られるギタリスト、フィル・アップチャーチがベースを弾いているあたりか。アルバムを聴いていると「Twenty Four Hours」でもマイク・ブルームフィールドお得意のフレーズが右チャンネルからビシバシ登場するので、ピアノもオーティス・スパン的だし、この二人も参加しているような気もする。
自分的に今の時代にこのアルバムをじっくりと聴くなら上記のマイク・ブルームフィールド参加曲を纏めて一枚のアルバムとして聴きまくるだろう。どの曲も見事なまでにマイク・ブルームフィールド節バリバリに、そしてポール・バターフィールドのハープが艶やかに鳴り響くので、白人ブルース好きには大満足な一枚のアルバムが出来上がる。そしてマイク・ブルームフィールドのギタープレイは正しく「Super Sessions」の時代、そして「Live at Bill Grahams Fillmore West 1969」の音と同じ、フレーズもそのまま、あの熱いプレイスタイルもそのままなので実に聴き応え満載なのでどっぷりと楽しめる。昔聴いていた時はそういう聴き方をしなかったのでやや散漫な印象すら受けるブルースアルバムにも感じていたから、こういう聴き方にして正解だと自分では思っている。マディ・ウォーターズの凄さや深みは別に纏めて聴いてもしっかりと味わえるから何ら問題ないだろうと。しかしオーティス・スパンのピアノのブギウギぶりも凄い。これだけ躍動感溢れるピアノが弾けたらさぞや心地良いだろうと思う。そんな普通とは異なるアルバムの聞き方アプローチの仕方ではあるが、ブルースの楽しみはジャズに近く、プレイヤー毎に聴いていく事も出来る辺りなので、枠から離れて自分なりに楽しもう。

ギターの音色で名前が思い浮かぶ人、フレーズで思い浮かぶ人もそうそう多くはない。自分の知識や聴き方にもよるが、素人レベルでもこのギターはこの人だ、と分かるくらい個性溢れるギタリストとなるともっと少ないかもしれない。ドラムやベースに比べればまだ分かりやすいだろうとは思うが、それでも所詮はギターの音色なのでそこまで分かるのは難しい。それでも自分でも何人かのギタリストは音やフレーズを聴くと、この人かなと思うような場合もあり、歌でもそれはあるが、ラジオから流れて来た時にふと気になってみるとそうだった、という事もままある。昔はそれが誰の何の曲で、どういう作品だとかもラジオで流れただけでは分からないから調べようもなかったが今の時代はラクなものだ。どことなくのフレーズを記憶してアタマのポケットに入れておいて何となくその辺りだろうか、と思うようなバンドやアーティストを聴いて記憶を漁るのだが、これがまた全くヒットしなくてそのまま忘れ去られてしまった曲も数多い。たまにヒットすると頭の中にメモってレコード屋に走って探してクレジット確認してそのままゲット、と言うような買い方もしばしばしていた。楽しいレコード屋漁りと自分だけの発見もあれば、そこで全く違うギタリストだったりした時には新たなるギタリストの発見も出来て、どちらにしても楽しめた古き良き時代のロックやブルースの聴き方。
Muddy Watersの1969年のアルバム「Fathers and Son」は、ご存知のようにポール・バターフィールド・ブルース・バンドの面々とドナルド・ダック・ダンやオーティス・スパンも参加したご機嫌な原点に還ったかのような超ブルースアルバムで、自分的にはマディ・ウォーターズのアルバムという概念で聴いた事はなく、どちらかと言えばポール・バターフィールド・ブルース・バンドの、もっと言えばマイク・ブルームフィールドとポール・バターフィールドがマディ・ウォーターズと一緒にやっているセッションアルバムとして聴いていたので、マディ・ウォーターズの何枚目のアルバムは、というのがピンと来ない。1969年のリリースなので、マイク・ブルームフィールドで言えば「Super Sessions」の時代、そして「Live at Bill Grahams Fillmore West 1969」の時代、つまりギターヒーローとして君臨していた最絶頂期とも言える時代なので、とにかく自分的には大好きなギターフレーズがビシバシと出てくる。全て手癖とも言えるが、音使いもほぼそのままのフレーズを山のように持っているからそれらを組み合わせて要所要所に突っ込んできて、鋭いフレージングを聴かせてくれるのだ。だからマディ・ウォーターズの歌声やギターもそっちのけでマイク・ブルームフィールドのギターばかりをどうしても聴いてしまう。参加している曲では概ね左チャンネルの辺りに位置しているレスポールのソリッドな生々しい音色でほぼエフェクトも何も掛けずにアンプから出した音で弾いている。それなのにオブリガードのフレーズが出てくるとズキッと刺さってくるから凄い。決して目立とうとして弾いている訳でもないようだが、ビシバシ刺さってくる。同じようにポール・バターフィールドのハーモニカもひと味もふた味も違う色気たっぷりの音色が迫ってくるので、この二人のブルース愛とプレイの深さは普通にブルースが出来てしまう黒人とは異なり、必死に探求追求して才能もあって、それでも大好きで大好きで憧れのブルースメンとプレイしたい、そして遂に出来ている舞台で嬉しくてしょうがないと言わんばかりに愛に溢れた想いが伝わってくるからか、とにかく黒人の本物よりももっとディープにブルースを奏でてくれる。このあたりが白人ブルースの面白い所で、どれだけ必死にコピーしたり探求しても絶対に黒人のようにはなれないからこそもっと努力していつしか黒人にはなれないけど、別の意味で超えてしまった世界観。クラプトンもその世界を醸し出しているが、早いウチにそれに気づいて己の方向性をきちんと定めたという意味では少々賢かったかもしれない。
そして本作はアルバムジャケットからしてミケランジェロをモチーフにしながら黒人の天使が白人の赤ん坊に手を出し述べているが、その白人の赤ん坊がグラサンしたワル風情=ロックのイメージをも出しているか。これでもマディ・ウォーターズのアルバムジャケットだからピンと来ない訳だ。アメリカにしてはかなりユーモアのある珍しいジャケットで結構気に入っている。楽曲の方に移ると、昔はアルバム2枚組でスタジオバージョンが10曲、2枚目のレコードはライブバージョンで6曲しか収録されていなかったが、2001年に拡張盤CD「Fathers and Sons (Expanded Edition)」がリリースされており、スタジオバージョンが4曲追加されているので、ちょうどレコードの一枚目の終わりに収録されている。ただ、聴いているとこの4曲は嬉しい事には違いないが、楽曲や演奏のテンションからするとたしかにオミットしたくなるのも分かる気がするクォリティ感のようにも聴こえるが、まずは拡張盤に喜ぼう。いわゆるスタンダードなブルースそのままなので新しい刺激も見当たらないからそう感じるが、ただ、マディ・ウォーターズの本領発揮作でもあるので、その意味では通常の録音レベル以上の作品なので聴き応えはある。ここにマイク・ブルームフィールド達が参加していたら発掘モノとして随分重宝されたとは思うが、悪くない。アルバム収録曲中でマイク・ブルームフィールドやポール・バターフィールド、オーティス・スパン達が参加しているのはクレジット上では「Blow Wind Blow」「Can't Lose What You Never Had」「Walkin' Thru The Park」「I'm Ready」、ライブバージョンでは「Long Distance Call」で、おまけ的にライブのアンコール時での「Got My Mojo Walkin' (Part.2)」ではドラムにバディ・マイルスも参加している。珍しい所ではどういう関係からか「All Abord」で後にフュージョン界で名を知られるギタリスト、フィル・アップチャーチがベースを弾いているあたりか。アルバムを聴いていると「Twenty Four Hours」でもマイク・ブルームフィールドお得意のフレーズが右チャンネルからビシバシ登場するので、ピアノもオーティス・スパン的だし、この二人も参加しているような気もする。
自分的に今の時代にこのアルバムをじっくりと聴くなら上記のマイク・ブルームフィールド参加曲を纏めて一枚のアルバムとして聴きまくるだろう。どの曲も見事なまでにマイク・ブルームフィールド節バリバリに、そしてポール・バターフィールドのハープが艶やかに鳴り響くので、白人ブルース好きには大満足な一枚のアルバムが出来上がる。そしてマイク・ブルームフィールドのギタープレイは正しく「Super Sessions」の時代、そして「Live at Bill Grahams Fillmore West 1969」の音と同じ、フレーズもそのまま、あの熱いプレイスタイルもそのままなので実に聴き応え満載なのでどっぷりと楽しめる。昔聴いていた時はそういう聴き方をしなかったのでやや散漫な印象すら受けるブルースアルバムにも感じていたから、こういう聴き方にして正解だと自分では思っている。マディ・ウォーターズの凄さや深みは別に纏めて聴いてもしっかりと味わえるから何ら問題ないだろうと。しかしオーティス・スパンのピアノのブギウギぶりも凄い。これだけ躍動感溢れるピアノが弾けたらさぞや心地良いだろうと思う。そんな普通とは異なるアルバムの聞き方アプローチの仕方ではあるが、ブルースの楽しみはジャズに近く、プレイヤー毎に聴いていく事も出来る辺りなので、枠から離れて自分なりに楽しもう。
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