Joe Bonamassa - Live at the Greek Theatre
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Joe Bonamassa - Live at the Greek Theatre (2016)

アメリカでも3大キングは「Three Kings」と知られているが、それぞれ適度に年齢差もあり、大御所はやはりB.B.Kingとなるが、もはやその年齢差をどうのと考える必要もない。ただ、Freddie Kingだけは少々早めに世を去っているからどうしてもあと一歩の知名度なり格付けが物足りなく感じるが、ギタリストとしての個性で言えばそれぞれ若い頃から独自の演奏スタイルを探求して作り上げて、今でも代名詞となるような奏法やフレーズ、プレイスタイルにギターそのもののトレードマークを残している。世界中の諸氏がそれらを探求して、同じように弾いたりギターを手に入れたり音を探し出したりと様々だが、意外性のある所では自分も最近まで知らなくて驚いた事に、俳優のスティーブン・セガール氏が実はブルース大好きな人で、自身でも演奏するが、もっと凄いのがギターのコレクション。ブルースメンと同じギターを集めるのではなく、ブルースメンが使っていたギターそのものをコレクションしていて、ジミヘンのジャズマスターみたいなのからアルバート・コリンズのあのテレキャス、アルバート・キングのあのフライングVやB.B.Kingのルシールなどを並べたとんでもなく壮大な絶景が見られる。貧乏人にはそんなコレクションは不可能だし、さすが大物映画スターだからこその道楽。そう考えれば数多くの伝説的ギタープレイヤー達がいて、この世を去っているのだからそれらの遺品でもあるギターはどこかにはあるのだろうし、美術品として飾られるくらいなら何度かは万人の目に触れるギタリストが使っている姿を見たいとも思うものだ。最近ではエディ・ヴァン・ヘイレンのギターがこれまたとんでもない値段で落札された事も話題になったがあそこまでではないにしろ結構な価値が付けられているのだろう。
Joe Bonamassaはここの所様々な面白い試み、企画を練ってライブステージとツアーを行っており、あの技術力とパフォーマンス力、実力に裏打ちされた安心のライブ感で楽しませてくれるが、2013年にはアコースティックショウ、2014年にはベス・ハートと組んで往年のアメリカンR&Bを中心としたカバーソング集で新たなチャレンジへ、そして2015年にはあのレッドロックスでマディ・ウォーターズとハウリン・ウルフの楽曲を現代に蘇らせたライブを行ってのビデオリリースと、これがまた凄くてハマりまくっていたのでいずれ書きたいが、その勢いのまま2016年にはThree Kingsに成り切ったライブショウをプレイ、今回はこいつを取り上げているが、この後もアコースティックとベス・ハートとの邂逅を繰り返し2018年にはこれも面白い試みとなった英国ブルースロックバンドのカバー集による試みで人気を博す。更に作品はまだリリースされていないが、その後のクルージングツアーでは3大ギタリストのカバーライブをやってて、当然のベック、ペイジ、クラプトンに成り切りのショウが大受けしていた。その後はクリスマスブルースをリリースしたりと相変わらず精力的な仕事ぶりだが、とにかくどれもこれもボナマッサ風ながらもきちんと歴代のギタリストのエッセンスやフレーズや音色やギターそのものを再現しているのですっかりとハマりまくって見て聴いていた。もっと大上段に言ってしまえば、自分と同じ趣味の楽曲やアルバムを聴いているから志向が合うのも当然で、更にレベルが違いすぎるがギターも好きなので、話すことなどないが、話したら一発で古い友だち的になる事だろう。
その「Three Kings」再現ライブがアルバムやビデオでは「Live at the Greek Theatre」としてリリースされているが、ボナマッサのオフィシャルYouTubeチャンネルでも数多く見られるのでカバー曲ならではのサービスぶりを味わうのが良いし、それだけでその素晴らしきプレイと熱気がビシビシと伝わってくるはず。まずはフレディ・キングから始まるが、それもこれもシェルター時代ではなく、もっと古い初期のフレディ・キングの楽曲から抜粋されているので、聴き応えがある。フレディ・キングのオリジナルでは流石に音が古くてここまで聞き取れないような曲をきちんとカバーして今時のサウンドで弾いてくれるのだから、ホントにフレディ・キングの凄さや良さがしっかりと味わえながら、それでいてジョー・ボナマッサの白熱ぶり、個性的なプレイも聴ける面白さがある。ギターはもちろんES-345を中心に同じ音で迫りくるのもやるなら当然のスタイルで、鍵盤にはあのリース・ワイナンス、そうSRVのダブル・トラブルプラスの鍵盤奏者その人なので、こういう本物の起用もこだわり。しかしフレディ・キングのあの強烈で強引なプレイはさすがにやり切れてもいない部分あるが、しっかりとフレーズがそのままでカッコ良い。そのカッコ良さは例えば「You've Got To Love Here With A Feeling」での白熱のギターソロ弾きまくりでも味わえるし、やはり一旦の締めとなる「Going Down」のプレイなどは正しくフレディ・キングのプレイとしか聴こえないくらいに凄い。こんな風にギター弾けたら楽しいだろう、とホントに思う。
そしてアルバート・キングタイムに突入していく走りとなった「I'll Play The Blues For You」は何はなくとも一度きちんと聴くべき名演。元々が良い曲だが、ここではまず先程のスティーブン・セガールから借りてきたアルバート・キングオリジナルのフライングVルーシー2号機を右利きバージョンで登場させている。これがまたホントに本人の音そのままが出てくるから涙モノで、何度も何度も見ていたがふと右利きにして弾いていると言う事はストラップピンは打ち直したのか、とそんな貴重なギターにそこまでするかと確認していたら驚く事に、知っている人は知っているが、何とアルバート・キングはこの位置のストラップピンにストラップを掛けて弾いているので、そもそもアルバート・キングの弾き方がおかしいのだ。つまり、アルバート・キングは元々が右利きフライングVを左用に持ち替えて弾いていたからか、ストラップピンもその位置のままでストラップを掛けていた、すなわち手を離したらギターがひっくり返ってしまうような持ち方でギターを弾いていたのだ。だからここでのジョー・ボナマッサはオリジナルをいじる事なく普通に右利き用にストラップを提げて弾いているだけだ。いや、アルバート・キングがそんな風にストラップを掛けていた事をこれまで見逃していた自分が恥ずかしいが、どの写真やビデオを見てもそういう風にストラップを掛けているから面白い。
そしてまた「I Get Evil」とフレディ・キングのご機嫌な曲に戻ると普通のフライングVに持ち替えている芸の細かさだが、普通と言っても多分57年だろうからとんでもないギターを弾いているのだが、これも何とも言えないよろしいトーンがフライングVらしく流石に上手く使いこなしていて、またアルバート・キングの楽曲にそのまま戻ってくる。すると、女性のコーラスチームも見事にショウアップされたパフォーマンスを見せてくれ、正に今の時代に蘇らせた偉大なるギタリスト達の楽曲群が光る。「Angel Of Mercy」や「Oh! Pretty Woman」もギターの聴き応えもプレイの凄さも音色の良さも全く惚れ惚れする世界で、大して難しいフレーズをやっている訳でもないが、熱気と熱量が違うからどれもこれもかっこ良くて凄まじい。そして今度はES-335ならぬルシールギターに持ち替えてのB.B.Kingタイム。冒頭からあの音そのままが飛び出してくるのはギターの効果そのものだ。ここまで見事に音が変わるかと言うくらいにどれもこれもギターそのものの音色が味わえるのもそうそう多くない。カバーだからこそそれを味わえるが、そこまで研究してショウを行うプロだからこそ、そして天才少年と呼ばれたボナマッサだからこその芸の細かさ。よくギター雑誌で三大キングのフレーズの違いなど解説があったりするが、それを多分ボナマッサは子供の頃から自分でコピーしているウチに発見してさっさとモノにしていったのだと思う。名曲「Hummingbird」で存分にギターを楽しみ、終盤はフレディ・キングの代表曲「Hide Away」で盛り上げ、アルバート・キングの「Born Under A Bad Sign」でとにかく聴衆を虜にしまくってこれでもか的ギターをひたすらに弾きまくり、超満喫させながら怒涛のB.B.Kingの「The Thrill Is Gone」でさらなる高みへと連れ去ってくれる。ここまでギターが聴けるなら、見れるなら、しかもそれがあの三大キングそのままの音色で今の時代に蘇ったプレイなのだから素晴らしき瞬間、そして記録。そんな調子で2時間強一気にいつも見てしまうが、その後しばらくは自分も成り切ってギターを弾いてしまう、弾きたくなる、そういう素晴らしいライブアルバム。ブルース好き、ブルース・ロック好きなら是非堪能してほしいタイトル。

アメリカでも3大キングは「Three Kings」と知られているが、それぞれ適度に年齢差もあり、大御所はやはりB.B.Kingとなるが、もはやその年齢差をどうのと考える必要もない。ただ、Freddie Kingだけは少々早めに世を去っているからどうしてもあと一歩の知名度なり格付けが物足りなく感じるが、ギタリストとしての個性で言えばそれぞれ若い頃から独自の演奏スタイルを探求して作り上げて、今でも代名詞となるような奏法やフレーズ、プレイスタイルにギターそのもののトレードマークを残している。世界中の諸氏がそれらを探求して、同じように弾いたりギターを手に入れたり音を探し出したりと様々だが、意外性のある所では自分も最近まで知らなくて驚いた事に、俳優のスティーブン・セガール氏が実はブルース大好きな人で、自身でも演奏するが、もっと凄いのがギターのコレクション。ブルースメンと同じギターを集めるのではなく、ブルースメンが使っていたギターそのものをコレクションしていて、ジミヘンのジャズマスターみたいなのからアルバート・コリンズのあのテレキャス、アルバート・キングのあのフライングVやB.B.Kingのルシールなどを並べたとんでもなく壮大な絶景が見られる。貧乏人にはそんなコレクションは不可能だし、さすが大物映画スターだからこその道楽。そう考えれば数多くの伝説的ギタープレイヤー達がいて、この世を去っているのだからそれらの遺品でもあるギターはどこかにはあるのだろうし、美術品として飾られるくらいなら何度かは万人の目に触れるギタリストが使っている姿を見たいとも思うものだ。最近ではエディ・ヴァン・ヘイレンのギターがこれまたとんでもない値段で落札された事も話題になったがあそこまでではないにしろ結構な価値が付けられているのだろう。
Joe Bonamassaはここの所様々な面白い試み、企画を練ってライブステージとツアーを行っており、あの技術力とパフォーマンス力、実力に裏打ちされた安心のライブ感で楽しませてくれるが、2013年にはアコースティックショウ、2014年にはベス・ハートと組んで往年のアメリカンR&Bを中心としたカバーソング集で新たなチャレンジへ、そして2015年にはあのレッドロックスでマディ・ウォーターズとハウリン・ウルフの楽曲を現代に蘇らせたライブを行ってのビデオリリースと、これがまた凄くてハマりまくっていたのでいずれ書きたいが、その勢いのまま2016年にはThree Kingsに成り切ったライブショウをプレイ、今回はこいつを取り上げているが、この後もアコースティックとベス・ハートとの邂逅を繰り返し2018年にはこれも面白い試みとなった英国ブルースロックバンドのカバー集による試みで人気を博す。更に作品はまだリリースされていないが、その後のクルージングツアーでは3大ギタリストのカバーライブをやってて、当然のベック、ペイジ、クラプトンに成り切りのショウが大受けしていた。その後はクリスマスブルースをリリースしたりと相変わらず精力的な仕事ぶりだが、とにかくどれもこれもボナマッサ風ながらもきちんと歴代のギタリストのエッセンスやフレーズや音色やギターそのものを再現しているのですっかりとハマりまくって見て聴いていた。もっと大上段に言ってしまえば、自分と同じ趣味の楽曲やアルバムを聴いているから志向が合うのも当然で、更にレベルが違いすぎるがギターも好きなので、話すことなどないが、話したら一発で古い友だち的になる事だろう。
その「Three Kings」再現ライブがアルバムやビデオでは「Live at the Greek Theatre」としてリリースされているが、ボナマッサのオフィシャルYouTubeチャンネルでも数多く見られるのでカバー曲ならではのサービスぶりを味わうのが良いし、それだけでその素晴らしきプレイと熱気がビシビシと伝わってくるはず。まずはフレディ・キングから始まるが、それもこれもシェルター時代ではなく、もっと古い初期のフレディ・キングの楽曲から抜粋されているので、聴き応えがある。フレディ・キングのオリジナルでは流石に音が古くてここまで聞き取れないような曲をきちんとカバーして今時のサウンドで弾いてくれるのだから、ホントにフレディ・キングの凄さや良さがしっかりと味わえながら、それでいてジョー・ボナマッサの白熱ぶり、個性的なプレイも聴ける面白さがある。ギターはもちろんES-345を中心に同じ音で迫りくるのもやるなら当然のスタイルで、鍵盤にはあのリース・ワイナンス、そうSRVのダブル・トラブルプラスの鍵盤奏者その人なので、こういう本物の起用もこだわり。しかしフレディ・キングのあの強烈で強引なプレイはさすがにやり切れてもいない部分あるが、しっかりとフレーズがそのままでカッコ良い。そのカッコ良さは例えば「You've Got To Love Here With A Feeling」での白熱のギターソロ弾きまくりでも味わえるし、やはり一旦の締めとなる「Going Down」のプレイなどは正しくフレディ・キングのプレイとしか聴こえないくらいに凄い。こんな風にギター弾けたら楽しいだろう、とホントに思う。
そしてアルバート・キングタイムに突入していく走りとなった「I'll Play The Blues For You」は何はなくとも一度きちんと聴くべき名演。元々が良い曲だが、ここではまず先程のスティーブン・セガールから借りてきたアルバート・キングオリジナルのフライングVルーシー2号機を右利きバージョンで登場させている。これがまたホントに本人の音そのままが出てくるから涙モノで、何度も何度も見ていたがふと右利きにして弾いていると言う事はストラップピンは打ち直したのか、とそんな貴重なギターにそこまでするかと確認していたら驚く事に、知っている人は知っているが、何とアルバート・キングはこの位置のストラップピンにストラップを掛けて弾いているので、そもそもアルバート・キングの弾き方がおかしいのだ。つまり、アルバート・キングは元々が右利きフライングVを左用に持ち替えて弾いていたからか、ストラップピンもその位置のままでストラップを掛けていた、すなわち手を離したらギターがひっくり返ってしまうような持ち方でギターを弾いていたのだ。だからここでのジョー・ボナマッサはオリジナルをいじる事なく普通に右利き用にストラップを提げて弾いているだけだ。いや、アルバート・キングがそんな風にストラップを掛けていた事をこれまで見逃していた自分が恥ずかしいが、どの写真やビデオを見てもそういう風にストラップを掛けているから面白い。
そしてまた「I Get Evil」とフレディ・キングのご機嫌な曲に戻ると普通のフライングVに持ち替えている芸の細かさだが、普通と言っても多分57年だろうからとんでもないギターを弾いているのだが、これも何とも言えないよろしいトーンがフライングVらしく流石に上手く使いこなしていて、またアルバート・キングの楽曲にそのまま戻ってくる。すると、女性のコーラスチームも見事にショウアップされたパフォーマンスを見せてくれ、正に今の時代に蘇らせた偉大なるギタリスト達の楽曲群が光る。「Angel Of Mercy」や「Oh! Pretty Woman」もギターの聴き応えもプレイの凄さも音色の良さも全く惚れ惚れする世界で、大して難しいフレーズをやっている訳でもないが、熱気と熱量が違うからどれもこれもかっこ良くて凄まじい。そして今度はES-335ならぬルシールギターに持ち替えてのB.B.Kingタイム。冒頭からあの音そのままが飛び出してくるのはギターの効果そのものだ。ここまで見事に音が変わるかと言うくらいにどれもこれもギターそのものの音色が味わえるのもそうそう多くない。カバーだからこそそれを味わえるが、そこまで研究してショウを行うプロだからこそ、そして天才少年と呼ばれたボナマッサだからこその芸の細かさ。よくギター雑誌で三大キングのフレーズの違いなど解説があったりするが、それを多分ボナマッサは子供の頃から自分でコピーしているウチに発見してさっさとモノにしていったのだと思う。名曲「Hummingbird」で存分にギターを楽しみ、終盤はフレディ・キングの代表曲「Hide Away」で盛り上げ、アルバート・キングの「Born Under A Bad Sign」でとにかく聴衆を虜にしまくってこれでもか的ギターをひたすらに弾きまくり、超満喫させながら怒涛のB.B.Kingの「The Thrill Is Gone」でさらなる高みへと連れ去ってくれる。ここまでギターが聴けるなら、見れるなら、しかもそれがあの三大キングそのままの音色で今の時代に蘇ったプレイなのだから素晴らしき瞬間、そして記録。そんな調子で2時間強一気にいつも見てしまうが、その後しばらくは自分も成り切ってギターを弾いてしまう、弾きたくなる、そういう素晴らしいライブアルバム。ブルース好き、ブルース・ロック好きなら是非堪能してほしいタイトル。
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