Freddie King - The Best Of : The Shelter Records Years
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Freddie King - The Best Of : The Shelter Records Years (2000)

黒人ブルースメン達はその前の世代から受け継いだブルーススタイルをエレキギターに持ち替えて脈々と伝統を貫いて各地のクラブでプレイし続けていた。それでもその血筋からなのか、完全なソリッドギターを弾くプレイヤーは多くなく、大抵はセミアコ仕様のギターをメインに抱えてプレイしていたので、その音の鳴り方の違い、言い換えると彼らが聴いて見てきた戦前のブルースメン達に近い音の質感を好んだのだろう。また、ロックがこれほど普及する前の時代なのでエフェクターや歪みなども見当たらず単にセミアコギターをアンプで増幅させてギターそのものの音を鳴らす、シンプルなプレイだったから少しでも音が鳴るギターの方が演奏しやすかったのかもしれない。それでも50年代〜60年代頃に様々なブルースメンが登場してそのスタイルを確立し、直後のロック小僧達の憧れとなったので、実はその世代差も10年くらいしかないお話。どこかロックとブルースでは随分と世代が異なるようなイメージを持っていたが、レコードを集め始めるとそのオーバーラップに少々意外性を感じる場合も多い。特に70年代以降ロックが市民権を得て、ロックはブルースの子供だ的にブルース・ロックが定着してきた後、元々のブルースメン達はシーンから消え去っていたが、それを彼らが再燃的に取り上げ持ち上げて復活させて、英雄たちとステージやレコーディングを共にする動きも出て来て、今でもその流れは続いているが、実力ある無名だったブルースメンが何人も発掘されたし、往年のブルースメンもシーンへの復帰を果たした、どころかロック的なスタンスを得てパワーに変えてしまったパターンもあり、ブルースメンの音楽性の幅の広さや貪欲さが顕著に現れたとも言える。
Freddie Kingも60年代からシーンに登場してヒットを放ったスターブルースプレイヤーだったが、70年代を迎える頃にはやや低迷しており、目新しい音楽性を打ち出すでもなく、元々奏でていたプレイスタイルそのままだったが、1970年頃にレオン・ラッセルが作ったシェルターレーベルへ取り込まれ、そこでロックとの融合を高めたアルバムを3枚リリースして、ロックファンにも知名度を上げた。そこにはクラプトンとの共演による作品やライブでの共演の話題も提供し、この後1976年には世を去ってしまうブルースメンなので、伝説的にすらなっている。もう少し生き延びていてくれればもっと面白いセッションが数多く見られただろうと想像してしまうが、残念な次第。それでも残された作品では十二分にフレディ・キング独特のブルースプレイ、しかもエレクトリックなロックブルースプレイが存分に聴けるので自分的にもオリジナルアルバムはほぼ揃えて聴いている。当然ながら最初期の作品よりもこのシェルターレコード時代のアルバムが一番好きで聴きやすく、ギターばかりに耳が向いてしまう傑作で、中でも「Texas Cannonball」が最高だと信じて疑わないが、そういったロックリスナーの厚い信望もあってかレコード会社もその気配を察知して、2000年にはシェルター時代の録音をリマスタリングしながらベスト盤「The Best Of : The Shelter Records Years」をリリース。最後の3曲はその頃のセッションレコーディングの未発表曲が収められているので、単なるベスト盤としてでもなく、リマスターバージョン、そして未発表3曲を加えたデラックスなアルバムとして発売してきた。
自分的にはどこかで曲目見て、これは聴きやすそうだし70分入ってるなら十分だから、と入手した気がするが、その時点では未発表曲が3曲入ってるのは意識しなかった。当然まだ持っていないアルバムも多数あったからその辺りからの収録だろうと思っていたが、その中の「Please Send Me Someone To Love」がオーソドックスなスローブルースそのままで、随分と味のあるフレディ・キング節満載の歌とギタープレイで結構気に入っていたので、本作にしか収録されていない曲だと知ってちょいとびっくりした感ある。続いての「Ain't No Big Deal On You」もフレディ・キングらしいご機嫌なブルースサウンドで随分とこれもスタンダードっぽい作りになっていたが故にアルバムから落とされたのか、ここで聴く分には全く最高のブルースソング。強烈なギタープレイが聴けるのもグイグイ来て良い感じ。そしてちょいと驚く事にまるでブライアン・セッツァーがプレイしているんじゃないかと言うような軽快でご機嫌なブギで、タイトルそのままの「Guitar Boogie」がカッコ良い。どこからどう聴いても確かにフレディ・キングでしかないフレーズと強引なプレイそのままが聴けるが、このブギスタイルは斬新でブルースメンと言うよりもアメリカンカントリーロカビリー的でホーン・セクションまで入っているゴージャスな楽曲で短いながらも新境地を聴ける意外な曲で面白い。
アルバムはベスト盤なので、素直に「Going Down」から「Living On The Highway」までが「Getting Ready」から、あちらでなくこちらはレオン・ラッセル作の「I'd Rather Be Blind」から名曲ブルース「Reconsider Baby」、そして「Me And My Guitar」までが傑作「Texas Cannonball」からの抜粋。「Woman Across The River」から「I'm Ready」までがアルバム「Women Across the River」からの選曲で、そのカタマリ単位を意識して聴いているだけでも「Texas Cannonball」はギターがハジけたアルバムとして聴こえるし、「Women Across the River」はソウルフルなボーカルを中心にしたアルバム作りだったように聴こえてくる。故にミックスしたベスト盤にはならず、歴代順に並べて分かりやすくしているのかもしれない。今では多数のベスト盤がリリースされているので、もっと様々な曲を、ギターを聴けるのもあるが、このシェルター時代に特化したベスト盤はそれはそれで価値の高い、そしれニーズに合った作品だと思う。普通にブルース・ロック好きなリスナーが黒人ブルースに入る時の入門編としては最高のアルバムだし、その手前ではクラプトンとのセッションがライブで記録されている「フレディ・キング1934~1976」もオススメだが、これもシェルター時代から少々外れているものの、しっかりとロックブルースにハマっているプレイが聴けるので最高のひとときを味わえる。この辺りを聴き漁ってから初期のフレディ・キングに手を出していくとあのフレージングやギタープレイが最初期から完成されていて、もっと要所要所に鋭く突き刺さっていくアグレッシブなスタイルに惹き込まれていくだろう。それこそがフレディ・キング節の個性。3大キング=Three Kingsの一端を担う名前は伊達ではない。

黒人ブルースメン達はその前の世代から受け継いだブルーススタイルをエレキギターに持ち替えて脈々と伝統を貫いて各地のクラブでプレイし続けていた。それでもその血筋からなのか、完全なソリッドギターを弾くプレイヤーは多くなく、大抵はセミアコ仕様のギターをメインに抱えてプレイしていたので、その音の鳴り方の違い、言い換えると彼らが聴いて見てきた戦前のブルースメン達に近い音の質感を好んだのだろう。また、ロックがこれほど普及する前の時代なのでエフェクターや歪みなども見当たらず単にセミアコギターをアンプで増幅させてギターそのものの音を鳴らす、シンプルなプレイだったから少しでも音が鳴るギターの方が演奏しやすかったのかもしれない。それでも50年代〜60年代頃に様々なブルースメンが登場してそのスタイルを確立し、直後のロック小僧達の憧れとなったので、実はその世代差も10年くらいしかないお話。どこかロックとブルースでは随分と世代が異なるようなイメージを持っていたが、レコードを集め始めるとそのオーバーラップに少々意外性を感じる場合も多い。特に70年代以降ロックが市民権を得て、ロックはブルースの子供だ的にブルース・ロックが定着してきた後、元々のブルースメン達はシーンから消え去っていたが、それを彼らが再燃的に取り上げ持ち上げて復活させて、英雄たちとステージやレコーディングを共にする動きも出て来て、今でもその流れは続いているが、実力ある無名だったブルースメンが何人も発掘されたし、往年のブルースメンもシーンへの復帰を果たした、どころかロック的なスタンスを得てパワーに変えてしまったパターンもあり、ブルースメンの音楽性の幅の広さや貪欲さが顕著に現れたとも言える。
Freddie Kingも60年代からシーンに登場してヒットを放ったスターブルースプレイヤーだったが、70年代を迎える頃にはやや低迷しており、目新しい音楽性を打ち出すでもなく、元々奏でていたプレイスタイルそのままだったが、1970年頃にレオン・ラッセルが作ったシェルターレーベルへ取り込まれ、そこでロックとの融合を高めたアルバムを3枚リリースして、ロックファンにも知名度を上げた。そこにはクラプトンとの共演による作品やライブでの共演の話題も提供し、この後1976年には世を去ってしまうブルースメンなので、伝説的にすらなっている。もう少し生き延びていてくれればもっと面白いセッションが数多く見られただろうと想像してしまうが、残念な次第。それでも残された作品では十二分にフレディ・キング独特のブルースプレイ、しかもエレクトリックなロックブルースプレイが存分に聴けるので自分的にもオリジナルアルバムはほぼ揃えて聴いている。当然ながら最初期の作品よりもこのシェルターレコード時代のアルバムが一番好きで聴きやすく、ギターばかりに耳が向いてしまう傑作で、中でも「Texas Cannonball」が最高だと信じて疑わないが、そういったロックリスナーの厚い信望もあってかレコード会社もその気配を察知して、2000年にはシェルター時代の録音をリマスタリングしながらベスト盤「The Best Of : The Shelter Records Years」をリリース。最後の3曲はその頃のセッションレコーディングの未発表曲が収められているので、単なるベスト盤としてでもなく、リマスターバージョン、そして未発表3曲を加えたデラックスなアルバムとして発売してきた。
自分的にはどこかで曲目見て、これは聴きやすそうだし70分入ってるなら十分だから、と入手した気がするが、その時点では未発表曲が3曲入ってるのは意識しなかった。当然まだ持っていないアルバムも多数あったからその辺りからの収録だろうと思っていたが、その中の「Please Send Me Someone To Love」がオーソドックスなスローブルースそのままで、随分と味のあるフレディ・キング節満載の歌とギタープレイで結構気に入っていたので、本作にしか収録されていない曲だと知ってちょいとびっくりした感ある。続いての「Ain't No Big Deal On You」もフレディ・キングらしいご機嫌なブルースサウンドで随分とこれもスタンダードっぽい作りになっていたが故にアルバムから落とされたのか、ここで聴く分には全く最高のブルースソング。強烈なギタープレイが聴けるのもグイグイ来て良い感じ。そしてちょいと驚く事にまるでブライアン・セッツァーがプレイしているんじゃないかと言うような軽快でご機嫌なブギで、タイトルそのままの「Guitar Boogie」がカッコ良い。どこからどう聴いても確かにフレディ・キングでしかないフレーズと強引なプレイそのままが聴けるが、このブギスタイルは斬新でブルースメンと言うよりもアメリカンカントリーロカビリー的でホーン・セクションまで入っているゴージャスな楽曲で短いながらも新境地を聴ける意外な曲で面白い。
アルバムはベスト盤なので、素直に「Going Down」から「Living On The Highway」までが「Getting Ready」から、あちらでなくこちらはレオン・ラッセル作の「I'd Rather Be Blind」から名曲ブルース「Reconsider Baby」、そして「Me And My Guitar」までが傑作「Texas Cannonball」からの抜粋。「Woman Across The River」から「I'm Ready」までがアルバム「Women Across the River」からの選曲で、そのカタマリ単位を意識して聴いているだけでも「Texas Cannonball」はギターがハジけたアルバムとして聴こえるし、「Women Across the River」はソウルフルなボーカルを中心にしたアルバム作りだったように聴こえてくる。故にミックスしたベスト盤にはならず、歴代順に並べて分かりやすくしているのかもしれない。今では多数のベスト盤がリリースされているので、もっと様々な曲を、ギターを聴けるのもあるが、このシェルター時代に特化したベスト盤はそれはそれで価値の高い、そしれニーズに合った作品だと思う。普通にブルース・ロック好きなリスナーが黒人ブルースに入る時の入門編としては最高のアルバムだし、その手前ではクラプトンとのセッションがライブで記録されている「フレディ・キング1934~1976」もオススメだが、これもシェルター時代から少々外れているものの、しっかりとロックブルースにハマっているプレイが聴けるので最高のひとときを味わえる。この辺りを聴き漁ってから初期のフレディ・キングに手を出していくとあのフレージングやギタープレイが最初期から完成されていて、もっと要所要所に鋭く突き刺さっていくアグレッシブなスタイルに惹き込まれていくだろう。それこそがフレディ・キング節の個性。3大キング=Three Kingsの一端を担う名前は伊達ではない。
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