Stevie Ray Vaughan - The Sky Is Crying (Limited Edition)
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Stevie Ray Vaughan - The Sky Is Crying (Limited Edition)

スティーヴィー・レイ・ヴォーンは当時からぶっ飛んだとんでもないギタリストだったし、ホント天才的なプレイとロックのパワーを併せ持った珍しいブルースメンだったので皆が皆飛び付いたと思う。その時代のギタリストとしてはかなり異質なポジションにいたし、ロック、ブルース、何でもありで更にボウイのバックも務められたくらいだ。今の時代になってみれば最早伝説の域にある人物、ギタリストだし、今の時代のブルースギタリストを志す世界中の若者の指標ですらある。そのスティーヴィー・レイ・ヴォーンが他界してしばらくすると遺作、アウトテイク作がまとめてリリースされるらしい、と聞いて即座に入手して聴きまくっていたが、どの曲もどの曲もあのSRV節ばかりでカッコ良かった。そのままライブラリに入り、今でもそのままiTunesにも入っているが、その後の再発盤などさほど気にしていなかったらきちんとリマスタリングされてボーナストラック付きでリリースされていたので驚いた、と言うか迂闊だった。2000年にボックスセット「S. R. Vaughan」がリリースされ、それなりに集大成も出尽くしただろうと思ってたし、その後にも更に各種レガシーエディションがリリースされたのは知っていたが、ライブ盤中心に聴いていたので、本作「The Sky Is Crying (Limited Edition)」についてはノーチェックだった。ただ、新たに収録された曲も2000年の「S. R. Vaughan」に収録してあるバージョンなので、そういう事かと多少安心はしたが、それでもこうしてチョイスされるとまたきちんと聴きたくなる。
アルバム冒頭の「Boot Hill」は1989年の「In Step」時のセッションからのバージョンが収録されていて、後に「Couldn't Stand The Weather」のボーナストラックに収録された1984年バージョンとは大きく異なり、かなり落ち着いた感が強く、1984年バージョンと比べると物足りなさ感すら漂うバージョンに仕上がっているが、当時は貴重な未発表曲でまさか1984年バージョンのあの凄いテイクが残されているなどとは知られていなかったし聴けなかったから、これでもさすがSRVだぜ、正にエルモア・ジェイムズばりの3連ギター、と頷きながら聴いていた。それがアルバム冒頭を飾っていたのだから、やはりそれだけ貴重でSRVらしい曲、プレイの筆頭曲だったのだろう。文句言いつつも聴き惚れている自分がいるので何も問題はない。そしてアルバムタイトル曲ともなった今度は本家のエルモア・ジェイムズで知られている「The Sky Is Crying」だが、恐らくSRVはアルバート・キングバージョンをモチーフにした伸びやかなスタイルのプレイで仕上げている。レコーディングは「Soul To Soul」時の1985年前半なので、最絶頂期のSRVの痺れまくる泣きのギターがとことんまで聴ける美しきトーンが響くプレイ。もっともっと宙を舞うようなプレイも出来たような気がするが、だからこそ当時のアルバムには収録されなかったのかもしれない。続く「Empty Arms」から3曲は1984年の「Couldn't Stand The Weather」のアウトテイクバージョンで、レガシーエディションにはこの辺りの曲も纏めて収録されていたが、「Empty Arms」はアルバム「Soul To Soul」にもっとモダンなアレンジと音色で収録されていた楽曲だが、あまり好ましくなかった。ところが、このバージョンでは見事に普通にブルース・ロックサウンドとして仕上げられており、圧倒的にこちらの方が良い。ただ、アルバムに入れるには確かに似たような曲調ばかりになってしまっただろう事も想像が付くので、一旦このバージョンはお蔵入りになったのだろう。他の曲も含めて当然ながらこのアルバムリリース時の1991年は全ての曲が初登場だったので正にSRVの未発表新作リリースとばかりに聴いていた。そして本アルバムの真打ち涙曲「Little Wing」は言わずと知れたジミヘンの名曲。ジミヘンバージョンは2分半程度しかなかったのでもっともっと聴かせろ感が強かったが、それをSRVがここで見事に補ってくれて、原曲を超えたと言わんばかりのスタジオ録音バージョンを、何とインストで、そう、全てギターのメロディだけで聴かせてくれる斬新。しかもこの音色が、そもそもジミヘン似だが、正にクリソツ、そのままの味わいで鳴っているからギターソロも途中で終わらずにジミヘンがそのまま続きを弾いてくれているだろうとばかりに成り切って弾いてくれているので満足度200%、どころか最高傑作。
そしてホワイトブルースの始祖となったロニー・マック、そうSRVとの共演盤も有名なあのロニー・マックの「Wham!」をここでカバーしている。それも見事のSRVのブギでしかないだろと言うくらいのスピーディでハードなスタイルでプレイされているので、これはロニー・マックも聴いた時に随分と喜んだ事だろうと勝手に推測出来るカッコ良いロックナンバー。そして「Soul To Soul」時のセッションからハウリン・ウルフの「May I Have a Talk with You」をスタンダードに、モダンなバージョンでカバーしている。自分的にはこのレベルならアルバム本体に収録しても良かったと思うクォリティの録音だと思うが、そこは絶頂期のSRVでは勿体なかったのか、やはり似たような雰囲気の曲が多いかったからオミットされたのかもしれない。ハウリン・ウルフ的なエッセンスを含みながらもSRVらしくハードで弾きまくり感の強い仕上がりでギター好きには無茶苦茶惚れるカッチョ良いギターが聴ける痺れるナンバー。次の「Close To You」はウィリー・ディクソンの作品で、「Couldn't Stand The Weather」のアウトテイクから収録。見事にいつも通りの3連シャッフルでお得意のパターンが繰り広げられるSRV流スタンダード的になっている。そしてまた1985年の「Soul To Soul」セッションからのアウトテイクが2曲続き、「Chitlins con Carne」は珍しくジャジーなギタープレイによるインストナンバーで、SRVらしからぬナンバーだと当時から思っていたが、その通りにジャズギタリストで有名なケニー・バレルのカバー曲だったようだ。納得。それでもこれだけ雰囲気と手癖感の異なる、そしてやっている音楽すら異なるギタープレイをこうして弾いて聴かせて感動させられるレベルで残しているのだからさすがプロギタリスト。いつものトーンとは全く違う、フィンガーピッキングも駆使した珍しい一面が聴ける佳作。対して次の「So Excited」は思い切りエレクトリックヘヴィなスタイルによる正にSRV的サウンドでスタートするブルース・ロックナンバーによるインスト作品。この辺の作品は本来は歌詞や歌がアイディアとしてはあったようにも思えるが、早い段階でボツ作になってこうしてインストバージョンだけが残されている、などと想像してみても面白いかもしれない。そういう曲作りのようにも聴こえるので余計にそう思える。そして1991年のアルバムリリース時には最後の曲だった「In Step」録音時のドイル・ブラムホール作の「Life by the Drop」はまたしてもSRVの素晴らしい一面が聴ける12弦アコギによる弾き語りサウンドで、妙に心に染み入るナンバーに仕上げている。1991年のアルバムリリース時はここまでが収録曲だったので、そこで終わっていたが2009年にこのアルバムが再発された時には「Boilermaker」「Shake 'N Bake」と2曲のボーナストラックが付されていたようだ。「Boilermaker」は「Vaughan Brothers」時のアウトテイクでJimmy Vaugharnとの共作による随分と軽快な、ジミー風味の強いアメリカンな作品でSRVはギター的にさほど目立たずプレイしていて、どちらかと言えばオルガンでリース・ワイナンスが目立っている感じ。一方の「Shake 'N Bake」は1983年のオースティンでのライブ映像時から演奏している曲なので古くから持っていたナンバーかもしれないが、ここで収録されているのは2000年にリリースされたボックスセットで初出となった1985年の「Soul To Soul」録音時のアウトテイクインストバージョン。
久々に聞き直してみたが、やはりストラトのあのトーンは健在だし、伸びやかなプレイもさすがに素晴らしいので感動的なギターをたっぷりと聴けて満足したが、一方ではもっともっと白熱のギターを聴きたいとも思ってしまい、ひたすらにライブアルバムをまた聴きまくろうかと思っている。また、いつも同じだがこういうブルースのカッコ良いプレイを聴いてしまうと当分ブルース一辺倒になってしまうのだろう。いつ聴いても痺れるブルースギターは自分を虜にさせる魔力を放つ。スティーヴィー・レイ・ヴォーンもまたそのひとり。素晴らしい。

スティーヴィー・レイ・ヴォーンは当時からぶっ飛んだとんでもないギタリストだったし、ホント天才的なプレイとロックのパワーを併せ持った珍しいブルースメンだったので皆が皆飛び付いたと思う。その時代のギタリストとしてはかなり異質なポジションにいたし、ロック、ブルース、何でもありで更にボウイのバックも務められたくらいだ。今の時代になってみれば最早伝説の域にある人物、ギタリストだし、今の時代のブルースギタリストを志す世界中の若者の指標ですらある。そのスティーヴィー・レイ・ヴォーンが他界してしばらくすると遺作、アウトテイク作がまとめてリリースされるらしい、と聞いて即座に入手して聴きまくっていたが、どの曲もどの曲もあのSRV節ばかりでカッコ良かった。そのままライブラリに入り、今でもそのままiTunesにも入っているが、その後の再発盤などさほど気にしていなかったらきちんとリマスタリングされてボーナストラック付きでリリースされていたので驚いた、と言うか迂闊だった。2000年にボックスセット「S. R. Vaughan」がリリースされ、それなりに集大成も出尽くしただろうと思ってたし、その後にも更に各種レガシーエディションがリリースされたのは知っていたが、ライブ盤中心に聴いていたので、本作「The Sky Is Crying (Limited Edition)」についてはノーチェックだった。ただ、新たに収録された曲も2000年の「S. R. Vaughan」に収録してあるバージョンなので、そういう事かと多少安心はしたが、それでもこうしてチョイスされるとまたきちんと聴きたくなる。
アルバム冒頭の「Boot Hill」は1989年の「In Step」時のセッションからのバージョンが収録されていて、後に「Couldn't Stand The Weather」のボーナストラックに収録された1984年バージョンとは大きく異なり、かなり落ち着いた感が強く、1984年バージョンと比べると物足りなさ感すら漂うバージョンに仕上がっているが、当時は貴重な未発表曲でまさか1984年バージョンのあの凄いテイクが残されているなどとは知られていなかったし聴けなかったから、これでもさすがSRVだぜ、正にエルモア・ジェイムズばりの3連ギター、と頷きながら聴いていた。それがアルバム冒頭を飾っていたのだから、やはりそれだけ貴重でSRVらしい曲、プレイの筆頭曲だったのだろう。文句言いつつも聴き惚れている自分がいるので何も問題はない。そしてアルバムタイトル曲ともなった今度は本家のエルモア・ジェイムズで知られている「The Sky Is Crying」だが、恐らくSRVはアルバート・キングバージョンをモチーフにした伸びやかなスタイルのプレイで仕上げている。レコーディングは「Soul To Soul」時の1985年前半なので、最絶頂期のSRVの痺れまくる泣きのギターがとことんまで聴ける美しきトーンが響くプレイ。もっともっと宙を舞うようなプレイも出来たような気がするが、だからこそ当時のアルバムには収録されなかったのかもしれない。続く「Empty Arms」から3曲は1984年の「Couldn't Stand The Weather」のアウトテイクバージョンで、レガシーエディションにはこの辺りの曲も纏めて収録されていたが、「Empty Arms」はアルバム「Soul To Soul」にもっとモダンなアレンジと音色で収録されていた楽曲だが、あまり好ましくなかった。ところが、このバージョンでは見事に普通にブルース・ロックサウンドとして仕上げられており、圧倒的にこちらの方が良い。ただ、アルバムに入れるには確かに似たような曲調ばかりになってしまっただろう事も想像が付くので、一旦このバージョンはお蔵入りになったのだろう。他の曲も含めて当然ながらこのアルバムリリース時の1991年は全ての曲が初登場だったので正にSRVの未発表新作リリースとばかりに聴いていた。そして本アルバムの真打ち涙曲「Little Wing」は言わずと知れたジミヘンの名曲。ジミヘンバージョンは2分半程度しかなかったのでもっともっと聴かせろ感が強かったが、それをSRVがここで見事に補ってくれて、原曲を超えたと言わんばかりのスタジオ録音バージョンを、何とインストで、そう、全てギターのメロディだけで聴かせてくれる斬新。しかもこの音色が、そもそもジミヘン似だが、正にクリソツ、そのままの味わいで鳴っているからギターソロも途中で終わらずにジミヘンがそのまま続きを弾いてくれているだろうとばかりに成り切って弾いてくれているので満足度200%、どころか最高傑作。
そしてホワイトブルースの始祖となったロニー・マック、そうSRVとの共演盤も有名なあのロニー・マックの「Wham!」をここでカバーしている。それも見事のSRVのブギでしかないだろと言うくらいのスピーディでハードなスタイルでプレイされているので、これはロニー・マックも聴いた時に随分と喜んだ事だろうと勝手に推測出来るカッコ良いロックナンバー。そして「Soul To Soul」時のセッションからハウリン・ウルフの「May I Have a Talk with You」をスタンダードに、モダンなバージョンでカバーしている。自分的にはこのレベルならアルバム本体に収録しても良かったと思うクォリティの録音だと思うが、そこは絶頂期のSRVでは勿体なかったのか、やはり似たような雰囲気の曲が多いかったからオミットされたのかもしれない。ハウリン・ウルフ的なエッセンスを含みながらもSRVらしくハードで弾きまくり感の強い仕上がりでギター好きには無茶苦茶惚れるカッチョ良いギターが聴ける痺れるナンバー。次の「Close To You」はウィリー・ディクソンの作品で、「Couldn't Stand The Weather」のアウトテイクから収録。見事にいつも通りの3連シャッフルでお得意のパターンが繰り広げられるSRV流スタンダード的になっている。そしてまた1985年の「Soul To Soul」セッションからのアウトテイクが2曲続き、「Chitlins con Carne」は珍しくジャジーなギタープレイによるインストナンバーで、SRVらしからぬナンバーだと当時から思っていたが、その通りにジャズギタリストで有名なケニー・バレルのカバー曲だったようだ。納得。それでもこれだけ雰囲気と手癖感の異なる、そしてやっている音楽すら異なるギタープレイをこうして弾いて聴かせて感動させられるレベルで残しているのだからさすがプロギタリスト。いつものトーンとは全く違う、フィンガーピッキングも駆使した珍しい一面が聴ける佳作。対して次の「So Excited」は思い切りエレクトリックヘヴィなスタイルによる正にSRV的サウンドでスタートするブルース・ロックナンバーによるインスト作品。この辺の作品は本来は歌詞や歌がアイディアとしてはあったようにも思えるが、早い段階でボツ作になってこうしてインストバージョンだけが残されている、などと想像してみても面白いかもしれない。そういう曲作りのようにも聴こえるので余計にそう思える。そして1991年のアルバムリリース時には最後の曲だった「In Step」録音時のドイル・ブラムホール作の「Life by the Drop」はまたしてもSRVの素晴らしい一面が聴ける12弦アコギによる弾き語りサウンドで、妙に心に染み入るナンバーに仕上げている。1991年のアルバムリリース時はここまでが収録曲だったので、そこで終わっていたが2009年にこのアルバムが再発された時には「Boilermaker」「Shake 'N Bake」と2曲のボーナストラックが付されていたようだ。「Boilermaker」は「Vaughan Brothers」時のアウトテイクでJimmy Vaugharnとの共作による随分と軽快な、ジミー風味の強いアメリカンな作品でSRVはギター的にさほど目立たずプレイしていて、どちらかと言えばオルガンでリース・ワイナンスが目立っている感じ。一方の「Shake 'N Bake」は1983年のオースティンでのライブ映像時から演奏している曲なので古くから持っていたナンバーかもしれないが、ここで収録されているのは2000年にリリースされたボックスセットで初出となった1985年の「Soul To Soul」録音時のアウトテイクインストバージョン。
久々に聞き直してみたが、やはりストラトのあのトーンは健在だし、伸びやかなプレイもさすがに素晴らしいので感動的なギターをたっぷりと聴けて満足したが、一方ではもっともっと白熱のギターを聴きたいとも思ってしまい、ひたすらにライブアルバムをまた聴きまくろうかと思っている。また、いつも同じだがこういうブルースのカッコ良いプレイを聴いてしまうと当分ブルース一辺倒になってしまうのだろう。いつ聴いても痺れるブルースギターは自分を虜にさせる魔力を放つ。スティーヴィー・レイ・ヴォーンもまたそのひとり。素晴らしい。
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