The Clash - From Here To Eternity (Remastered Expanded Edition)
0 Comments
The Clash - From Here To Eternity (Remastered Expanded Edition)

ロンドンパンクは1976年に産声を上げ、知られている所では当然の如くSex Pistolsがその騎手となりシーンを一瞬に作り上げた。当時の英国の政策や歴史的背景もパンクが生まれる要因となっているし、若者の鬱憤がR&Rから更に過激に発展した形でその熱気を吐き出した形となる。面白いのはSex Pistolsが旗手となったものの、いざレコードを作り売るとなった段階ではそのスタンスや歌詞、態度振る舞いからビジネス向きではなく、何度も仕切り直しとなりメジャーへの露出が遅れてしまったから、先にThe Damnedが「New Rose」のシングルをリリースし、記録としてはこのシングルがパンク第一弾のレコードとして位置付けられている。その直後の11月にSex Pistolsが「Anarchy In the U.K.」のシングルで登場、翌1977年3月にThe Clashが「White Riot」でCBSから登場する流れとなった。しかしパンクそのもののシーンは翌年1978年にはほぼ終焉を迎えており、ホントに一時期限りのムーブメント、若者の主張、発散サウンドにしかならなかったようだが、その血脈は脈々と現在まで受け継がれ、スタンスや主張よりもファッションと音楽面で取り上げられる事が多くなっている。普通にシーンを聴いていると面白い事に、初期パンクはR&Rのアグレッシブスタイルでしかなかったが、バンド単位でそれぞれにニューウェイブ、レゲエ・ダブ、電子音楽、テクノポップなどと融合を果たしていき、初期ロンドンパンクのサウンドをそのまま奏でるバンドは即座に消えていった。それでもリスナーはあの初期ロンドンパンクサウンドを求めて「Punk is Dead」と悲しむことにもなった。その辺アメリカは常にラモーンズが居たので救われたか。
The Clashが活動していたのはその1977年から1982年頃まで、その後は微妙な時期なのでカウントから外すとしたら実質5年程度で、ここまで進化するか、と言わんばかりに初期スタイルから大きくかけ離れ、また融合を果たし、それでもスピリッツはそのままに、更に現代までその音楽性の幅の広さが支持されてパンクアイコンとしてだけでなく、音楽面でもきちんと評価されて歴史になっている。そこまでの深さとは全く思わなかったし、活動停止して40年近く経ってもまだ聴いていられるバンド、音楽性だとは思いもしなかったので、今でも事ある毎に聴いている自分も驚く。1999年に集大成ライブアルバム「From Here To Eternity」がリリースされた時はワクワクしながらCDを買いに走ったし、速攻で何度も何度も聴いて、そのライブ盤のカッコ良さに痺れていたものだ。それもつい先日のように感じているのは自分が歳を取ったせいだとは思うが、そこでじっくり聴いていたのでその評価のままさほど自分のデータベース的にもこのアルバムはアップデートしておらず、先日色々と調べ直したり聴き直していたら、何と驚く事にこんな最近のライブアルバムなのにもうリマスター、ボーナストラックバージョンもリリースされていた。2013年にThe Clashの集大成ボックスセット「Sound System」をジョー・ストラマーを除くメンバー自らが監修してこれでもかとばかりに音源を駆使し、最新技術を使ってほぼ全てのアルバムを再度リマスタリングし、更にボーナスディスク3枚を付けて大仕事完了とばかりの大満足なセットとなった。その際に実はオリジナルアルバムだけでなく、ライブ盤2枚「From Here To Eternity」と「LIVE AT SHEA STADIUM」もリマスタリングしたらしく、特に今回の「From Here To Eternity (Remastered Expanded Edition)」は最後にiTunesのみのボーナストラックとして1978年12月末の「Drug-Stabbing Time」と1982年9月の「Janie Jones」のライブ曲が付けられており、一般的にはRemastered Expanded Editionとして知られているようだ。自分的にはそれは知らなかったので、もっと早く取り組んでおきたかったとの想いもあったが、「Sound System」のボーナストラック3枚目にも1978年12月末のライブがまとめて収録されていたから、それも併せて「From Here To Eternity (Remastered Expanded Edition)」と一緒に聴いたら長尺盤のThe Clash仮想ライブを楽しめるだろうと。
「From Here To Eternity」は一旦9曲目の「I Fought The Law」で片面終了的な収録になっており、その「I Fought The Law」と手前の「City Of The Dead」が1978年12月28日のロンドンライブからの収録なので、そこに「Sound System」からの曲を今時のデジタル聴きで「Jail Guitar Doors」「Drug-Stabbing Time」「Cheapskates」「City Of The Dead」「English Civil War」「Stay Free」「I Fought the Law」と挟んで聴くが賢明じゃなかろうか。もっとも実際のライブの曲目には足りないが、この辺りを聴くだけで最全盛期のThe Clashの白熱のライブ臨場感が更に楽しめる気がする。1982年の「Janie Jones」は「Clash City Rockers」の次辺りが良いかな、などと色々と妄想して並べて聴いていた。それにしてもこのライブアルバムを聴いていると毎回思うが見事に音のバランスが取っているから複数のライブを繋げているようにはほとんど感じられない。概ね前半は初期クラッシュの代表曲で彩られ、後半は問題作以降のロック曲中心と区分されているので、一般的なリスナーが思うクラッシュのイメージそのものを打ち出している。逆にレゲエ、ダブの実験色が強い作品のライブバージョンはあまり出て来ていないので、もうあり得ないだろうとは思うがそんな妙なライブセットもリリースしてほしいとすら願う。そしてもうひとつ不思議なのはクラッシュが最も活動していた1979年のライブソースからは全く収録していない点。1979年の夏頃からは「London Calling」のレコーディングに入り、あの「The Clash London Calling - The 25th Anniversary Edition」で垣間見れた訳の分からないセッションばかりしていた時期はともかく、その頃のライブならかなり白熱している姿が残されている気もするが、また別の形でリリースされないだろうか。映画「ルード・ボーイ」に収録のライブもその辺だったが、悩ましいのはThe Clashの場合はライブだからと曲が劇的に変化するものでもないので、幾つもライブアルバムがあってもしょうがないだろう点、それと演奏を聴いていると分かるが、メンバーもライブアルバムは自信がないからリリースしたくない、という普通に思う要望も強いあたり。この「From Here To Eternity」はその点も考慮して素晴らしいライブアルバムとして作り上げているが、ナマのライブ丸ごとなど出てきたらそれこそ演奏面では少々冷や汗ものだろう。その意味では「LIVE AT SHEA STADIUM」はひとつのライブを記録している割に良く出来ていると思う。
さて「From Here To Eternity」は正直何も書く必要がない。まず聴いてくれ、それだけだ、といえば良いくらい。最初の「Complete Control」からして悲壮感溢れるナンバーながらも無茶苦茶カッコ良いコーラスにメロディ、あの1981年のニューヨーク連続公演の一幕から記録されており、如何に熱い演奏が繰り広げられたか、クラッシュも気合満点で取り組んだかが分かる。そして時代を一気に遡り1978年の初期ロンドンのライブから正にパンクな演奏が続き、また1982年に戻っての初期作。この頃でも初期作品を演奏する時のクラッシュはやはり熱い。そして先の1978年末の「ルード・ボーイ」でも記録されたライブから。後半は1982年のボストンの「London Calling」から始まり、ほとんどがそのボストンとニューヨークのボンズからのセレクトで80年代のアルバム群から中心に収められているので初期楽曲とは少々テンションが異なるが、それでもクラッシュらしく何も迷うことなくカッコ良さが維持されっぱなしで聴いていられる。リマスターバージョンだと以前のCDよりもやはり音圧と楽器のくっきり感がやや強めになっている気がするし、音像の立体感も粒ぞろいになっているのだろう。やや哀愁感漂う「Straight To Hell」の後に続くボーナストラック2曲はやはりこの後聴くよりもどこかに紛れさせて聴いたほうが良い。最後はやはり「Straight To Hell」で締めた方が「From Here To Eternity」らしい気がする、のは自分の思い込みだろうか。わずか5年の軌跡だからそこまで演奏にも熱気にも変化はないし、その幅だからこそ成り立ったライブアルバムかもしれないが、それを気にする必要もなくひたすらにこの熱いステージそのままを何度でも楽しみたい。残念ながらこのExpanded EditionはフィジカルなCDではリリースされていないのでiTune MusicやSpotifyなどで聴くしかない。

ロンドンパンクは1976年に産声を上げ、知られている所では当然の如くSex Pistolsがその騎手となりシーンを一瞬に作り上げた。当時の英国の政策や歴史的背景もパンクが生まれる要因となっているし、若者の鬱憤がR&Rから更に過激に発展した形でその熱気を吐き出した形となる。面白いのはSex Pistolsが旗手となったものの、いざレコードを作り売るとなった段階ではそのスタンスや歌詞、態度振る舞いからビジネス向きではなく、何度も仕切り直しとなりメジャーへの露出が遅れてしまったから、先にThe Damnedが「New Rose」のシングルをリリースし、記録としてはこのシングルがパンク第一弾のレコードとして位置付けられている。その直後の11月にSex Pistolsが「Anarchy In the U.K.」のシングルで登場、翌1977年3月にThe Clashが「White Riot」でCBSから登場する流れとなった。しかしパンクそのもののシーンは翌年1978年にはほぼ終焉を迎えており、ホントに一時期限りのムーブメント、若者の主張、発散サウンドにしかならなかったようだが、その血脈は脈々と現在まで受け継がれ、スタンスや主張よりもファッションと音楽面で取り上げられる事が多くなっている。普通にシーンを聴いていると面白い事に、初期パンクはR&Rのアグレッシブスタイルでしかなかったが、バンド単位でそれぞれにニューウェイブ、レゲエ・ダブ、電子音楽、テクノポップなどと融合を果たしていき、初期ロンドンパンクのサウンドをそのまま奏でるバンドは即座に消えていった。それでもリスナーはあの初期ロンドンパンクサウンドを求めて「Punk is Dead」と悲しむことにもなった。その辺アメリカは常にラモーンズが居たので救われたか。
The Clashが活動していたのはその1977年から1982年頃まで、その後は微妙な時期なのでカウントから外すとしたら実質5年程度で、ここまで進化するか、と言わんばかりに初期スタイルから大きくかけ離れ、また融合を果たし、それでもスピリッツはそのままに、更に現代までその音楽性の幅の広さが支持されてパンクアイコンとしてだけでなく、音楽面でもきちんと評価されて歴史になっている。そこまでの深さとは全く思わなかったし、活動停止して40年近く経ってもまだ聴いていられるバンド、音楽性だとは思いもしなかったので、今でも事ある毎に聴いている自分も驚く。1999年に集大成ライブアルバム「From Here To Eternity」がリリースされた時はワクワクしながらCDを買いに走ったし、速攻で何度も何度も聴いて、そのライブ盤のカッコ良さに痺れていたものだ。それもつい先日のように感じているのは自分が歳を取ったせいだとは思うが、そこでじっくり聴いていたのでその評価のままさほど自分のデータベース的にもこのアルバムはアップデートしておらず、先日色々と調べ直したり聴き直していたら、何と驚く事にこんな最近のライブアルバムなのにもうリマスター、ボーナストラックバージョンもリリースされていた。2013年にThe Clashの集大成ボックスセット「Sound System」をジョー・ストラマーを除くメンバー自らが監修してこれでもかとばかりに音源を駆使し、最新技術を使ってほぼ全てのアルバムを再度リマスタリングし、更にボーナスディスク3枚を付けて大仕事完了とばかりの大満足なセットとなった。その際に実はオリジナルアルバムだけでなく、ライブ盤2枚「From Here To Eternity」と「LIVE AT SHEA STADIUM」もリマスタリングしたらしく、特に今回の「From Here To Eternity (Remastered Expanded Edition)」は最後にiTunesのみのボーナストラックとして1978年12月末の「Drug-Stabbing Time」と1982年9月の「Janie Jones」のライブ曲が付けられており、一般的にはRemastered Expanded Editionとして知られているようだ。自分的にはそれは知らなかったので、もっと早く取り組んでおきたかったとの想いもあったが、「Sound System」のボーナストラック3枚目にも1978年12月末のライブがまとめて収録されていたから、それも併せて「From Here To Eternity (Remastered Expanded Edition)」と一緒に聴いたら長尺盤のThe Clash仮想ライブを楽しめるだろうと。
「From Here To Eternity」は一旦9曲目の「I Fought The Law」で片面終了的な収録になっており、その「I Fought The Law」と手前の「City Of The Dead」が1978年12月28日のロンドンライブからの収録なので、そこに「Sound System」からの曲を今時のデジタル聴きで「Jail Guitar Doors」「Drug-Stabbing Time」「Cheapskates」「City Of The Dead」「English Civil War」「Stay Free」「I Fought the Law」と挟んで聴くが賢明じゃなかろうか。もっとも実際のライブの曲目には足りないが、この辺りを聴くだけで最全盛期のThe Clashの白熱のライブ臨場感が更に楽しめる気がする。1982年の「Janie Jones」は「Clash City Rockers」の次辺りが良いかな、などと色々と妄想して並べて聴いていた。それにしてもこのライブアルバムを聴いていると毎回思うが見事に音のバランスが取っているから複数のライブを繋げているようにはほとんど感じられない。概ね前半は初期クラッシュの代表曲で彩られ、後半は問題作以降のロック曲中心と区分されているので、一般的なリスナーが思うクラッシュのイメージそのものを打ち出している。逆にレゲエ、ダブの実験色が強い作品のライブバージョンはあまり出て来ていないので、もうあり得ないだろうとは思うがそんな妙なライブセットもリリースしてほしいとすら願う。そしてもうひとつ不思議なのはクラッシュが最も活動していた1979年のライブソースからは全く収録していない点。1979年の夏頃からは「London Calling」のレコーディングに入り、あの「The Clash London Calling - The 25th Anniversary Edition」で垣間見れた訳の分からないセッションばかりしていた時期はともかく、その頃のライブならかなり白熱している姿が残されている気もするが、また別の形でリリースされないだろうか。映画「ルード・ボーイ」に収録のライブもその辺だったが、悩ましいのはThe Clashの場合はライブだからと曲が劇的に変化するものでもないので、幾つもライブアルバムがあってもしょうがないだろう点、それと演奏を聴いていると分かるが、メンバーもライブアルバムは自信がないからリリースしたくない、という普通に思う要望も強いあたり。この「From Here To Eternity」はその点も考慮して素晴らしいライブアルバムとして作り上げているが、ナマのライブ丸ごとなど出てきたらそれこそ演奏面では少々冷や汗ものだろう。その意味では「LIVE AT SHEA STADIUM」はひとつのライブを記録している割に良く出来ていると思う。
さて「From Here To Eternity」は正直何も書く必要がない。まず聴いてくれ、それだけだ、といえば良いくらい。最初の「Complete Control」からして悲壮感溢れるナンバーながらも無茶苦茶カッコ良いコーラスにメロディ、あの1981年のニューヨーク連続公演の一幕から記録されており、如何に熱い演奏が繰り広げられたか、クラッシュも気合満点で取り組んだかが分かる。そして時代を一気に遡り1978年の初期ロンドンのライブから正にパンクな演奏が続き、また1982年に戻っての初期作。この頃でも初期作品を演奏する時のクラッシュはやはり熱い。そして先の1978年末の「ルード・ボーイ」でも記録されたライブから。後半は1982年のボストンの「London Calling」から始まり、ほとんどがそのボストンとニューヨークのボンズからのセレクトで80年代のアルバム群から中心に収められているので初期楽曲とは少々テンションが異なるが、それでもクラッシュらしく何も迷うことなくカッコ良さが維持されっぱなしで聴いていられる。リマスターバージョンだと以前のCDよりもやはり音圧と楽器のくっきり感がやや強めになっている気がするし、音像の立体感も粒ぞろいになっているのだろう。やや哀愁感漂う「Straight To Hell」の後に続くボーナストラック2曲はやはりこの後聴くよりもどこかに紛れさせて聴いたほうが良い。最後はやはり「Straight To Hell」で締めた方が「From Here To Eternity」らしい気がする、のは自分の思い込みだろうか。わずか5年の軌跡だからそこまで演奏にも熱気にも変化はないし、その幅だからこそ成り立ったライブアルバムかもしれないが、それを気にする必要もなくひたすらにこの熱いステージそのままを何度でも楽しみたい。残念ながらこのExpanded EditionはフィジカルなCDではリリースされていないのでiTune MusicやSpotifyなどで聴くしかない。
- 関連記事
-
- The Clash - From Here To Eternity (Remastered Expanded Edition)
- Joe Strummer - Joe Strummer 001
- Joe Strummer & The Mescaleros - Global a Go-Go