The Velvet Underground & Nico - The Velvet Underground & Nico (Mono)
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The Velvet Underground & Nico - The Velvet Underground & Nico (Mono)

ふと思う。これだけひとつのアルバムで様々なバージョンがオフィシャルでリリースされてしまうと、その時をリアルタイムできちんと追いかけていれば何となくアタマの中でも整理されていて、何々があったな、リリースされたな、と探すきっかけにもなるが、自分がマークしていないバンドやアーティストでそういうリリースがあっても後から追い掛ける時は相当大変な作業になる。もちろん後追い世代やたまたま後から気になったリスナーでも同じで、自分的には今回のVelvet Underground & Nicoのアルバムがその例だ。ロック的には重要なアイコンだが、普段から気にしているほどのバンドではなく、オリジナルアルバムはほぼ制覇しているので十分とも思っていただけ。それが後から気にしてみれば実は何度も再発されており、それがこの20年の間で3回位あったらそれはもう音源の有無を追いかけられない次元にもなっていた。デラックス・エディションやエキスパンデッド・エディションと銘打ったアイテムは大抵期間限定盤なのでその時に入手しなければかなり高額なアイテムとして取引されていくし、ダウンロード音源でも残されていればまだ助かるが、案外この手の音源はダウンロード音源に無かったり、あっても詳細情報がきちんと見られないのでなかなか分かりにくかったりする。その辺フィジカル媒体=CDだと詳しいライナーノーツや解説が付けられているのでじっくりと研究できる楽しみはあるが、今度は販売サイトに詳細情報が記されてそのマニアックなアイテムがきちんと届けられるかとの悩ましさも出てくる。
1967年にリリースされたVelvet Underground & Nicoの歴史的ファーストアルバム「The Velvet Underground & Nico」は当時からモノラル盤とステレオ盤がリリースされており、恐らくリスナー側の所有している再生機材によって買う人達がいずれかを選べるようとの配慮からだろう。その頃からモノステのミックスの違いや曲の長さの違いなどがどれだけ話題になっていたかは知る由もないが、昔はそこまで大きな話題にならなかっただろうとは思う。自分たちの頃も仲間内であっちの方が曲が長いなどの話はあるものの、そこまで細かい検証が出来る環境を持っている人の方が少なかったからだ。しかし時代が流れ更に多数の人間が同じアルバムを耳にしてマニアックになっていくとその両者の違い、即ちミックス違いや曲の長さの違い、そもそもの音圧の違いや聴いた感触の違いが知れ渡っていき、ネット普及によってその情報が世界中で共有され、レコード会社にまで波及してのマニアックな音源のリリースとなり、それがまた一定数が確実に売れるニッチな商売となり、また限定盤に近いからこそプレミアムが付き、と妙なサイクルが回っている。ただ、いずれにしても好きになった人はこういうマニアックな音源も聴けるなら聴いてみたい、と思うのは至極当然の欲求で、それが商売になるかならないか、リスナー的にカネ出すか出さないか、だがこの手のリスナーの大半はいい歳した大人なので多少高くても、そのアルバムが何枚目の購入になろうとも気になれば買えない金額じゃないから買っちゃうのはしょうがない。
話が逸れたが、そのおかげで「The Velvet Underground & Nico」はややこしい事になってて、一般的にレコード時代から再発時、そしてCD時代になっても全てがステレオ盤のみのリリースが続き、モノラル盤などはどこからも出て来なかった。ところがいつしか上記のような流れから話題となり、モノラル盤の存在が知られてアンダーグラウンドでも出回り、それを聴くとなるほど、これは違うと話題になった事からその存在が浮上。2002年になりそのマニアックなニーズにようやく応えんとばかりに「Velvet Underground & Nico (Deluxe Edition)」がリリースされ、ステレオバージョンとモノラルバージョンが別のディスクに幾つかのボーナストラックと共にリリースされたが、この時のモノラルバージョンはあまり良いソースからのマスタリングではなかったと言われており、もうちょっと音質アップが図れただろうとの見解もあった。また、それ以前から水面下では話題があったアセテート盤についてもこの時点ではリリースするクォリティでの再現は不可能と判断されてお蔵入りのままとなったようだ。その後2012年になると45周年記念盤シリーズと称して様々なパターンでアルバムが再発されたが、中でも6CD Boxセットとなった「The Velvet Underground & Nico」ではステレオバージョン、モノラルバージョンに加えて何故かニコのファーストアルバム「Chelsea Girl」のモノラルバージョン、加えて先の幻となったアセテート盤収録の別ミックスバージョンが堂々と登場し、同時期のリハーサル音源も収録、更に1966年11月のオハイオでのライブショウが収められた。ちなみにこの時の2CDバージョンには上記6CDセットからの抜粋で、ステレオバージョンと幾つかのボーナストラックに加えて2枚目のディスクには何とそのアセテート盤の別ミックスバージョンとリハーサル音源が加えられたコンパクトサイズでリリースされている。更に1枚もののCDバージョンもリリースされているが、こちらは当然オリジナルステレオのリマスターバージョンのみでしかも曲目もオリジナルの11曲のみだ。この頃からアナログLPによる再発もコレクターズアイテム的に進んでおり、2017年には上記マスターからのアナログ再発も進んでいるようだ。
こうなると何を聴きたくて聴けば良いか分からなくなってくるので悩ましいが、ただ、モノラル盤の迫力は試してみたかったので入手して聴いてみたがなるほど、これはかなり異質な空間を楽しめるアイテムとして気に入った。面白いのは英国のバンドのモノ盤は音が塊になって飛び込んでくる迫力と音圧が魅力だった点に対し、こちらはモノラルながら奥行き深く縦横立体感を探求したかのような音の作りになっているから音の塊を楽しむようにはなっていない。リバーブや楽器のバランスや音色が奥深くに重なっていて、目立たせたい音が一番前にあるような作り方だ。これはこれで不思議な印象となり、左右で浮遊感を楽しんでいたステレオ盤とは異なり奥深さで楽しむ浮遊感が得られる。それでアルバム的にどちらが良いかとなれば完全に好みが分かれる話なので特にどちらとも言い切れないがやはりステレオ感の方が斬新に思える。更に2012年リマスター時に胸を張って初登場とオフィシャルがリリースしてきたアセテート盤も聴いていたが、1966年4月時点でのアルバム構想サウンドをパックしたものだから曲順がまるで異なっている。この曲順をイメージして作っていたのは事実だろうが、さすがVelvet Undergroundと思える革新性。普通にはまず聴けないアルバムになる事間違いなしの順番だが、それぞれの曲はミックスがオフィシャルと異なる程度で、別テイクはさほど多くはないようだ。これをレコード会社側が聴いてアドバイスしたのがもうちょっとポップな曲を幾つか入れてくれ、だったと思う。そこで生み出されたのが恐らく「Sunday Morning」と「There She Goes Again」だったと勝手に推測しているが、そのおかげで曲順も再検討されてああなったと思われる。そうすると随分と長い時間を掛けて録音し、作り直してミックスして練られた前衛作品だった事となり、あのスピード感が異常に早かった時代においては彼らも少々焦っていたようにも推測するが、結果的には歴史に残る作品を作り上げられたのが良かったのだろう。その評価が定着するのは芸術作品にありがちな10年以上後となったが。
はて、何が書きたかったのか。「The Velvet Underground & Nico」は基本11曲のアルバムで、モノラル盤だけを手に入れたい、と思った事から始まって、2012年2CD45周年記念で良いかと考えたらこれはアセテートバージョンがセットだったから、モノラル盤が手に入らない。するとその前の2002年盤の2CDデラックス・エディション盤となるが、これは音がよろしくないと分かっているのと既に廃盤で入手不可となっていた点。とするとどうしても最後はダウンロードで6CD丸ごとを入手するしかないが、これは音だけでもっと情報が欲しい時には不便。ただ、しょうがない、と思った所から始まっている。常にアチコチのバンドのこんな情報を漁って把握していくのも大変だし情報量は増える一方だし、悩ましい時代になってきたものだと考えつつポチリ。モノラル盤の奥深い重ね合わせたような音の浮遊感の不思議さと心地良さは凄いなと感心しながら聴いていた。

ふと思う。これだけひとつのアルバムで様々なバージョンがオフィシャルでリリースされてしまうと、その時をリアルタイムできちんと追いかけていれば何となくアタマの中でも整理されていて、何々があったな、リリースされたな、と探すきっかけにもなるが、自分がマークしていないバンドやアーティストでそういうリリースがあっても後から追い掛ける時は相当大変な作業になる。もちろん後追い世代やたまたま後から気になったリスナーでも同じで、自分的には今回のVelvet Underground & Nicoのアルバムがその例だ。ロック的には重要なアイコンだが、普段から気にしているほどのバンドではなく、オリジナルアルバムはほぼ制覇しているので十分とも思っていただけ。それが後から気にしてみれば実は何度も再発されており、それがこの20年の間で3回位あったらそれはもう音源の有無を追いかけられない次元にもなっていた。デラックス・エディションやエキスパンデッド・エディションと銘打ったアイテムは大抵期間限定盤なのでその時に入手しなければかなり高額なアイテムとして取引されていくし、ダウンロード音源でも残されていればまだ助かるが、案外この手の音源はダウンロード音源に無かったり、あっても詳細情報がきちんと見られないのでなかなか分かりにくかったりする。その辺フィジカル媒体=CDだと詳しいライナーノーツや解説が付けられているのでじっくりと研究できる楽しみはあるが、今度は販売サイトに詳細情報が記されてそのマニアックなアイテムがきちんと届けられるかとの悩ましさも出てくる。
1967年にリリースされたVelvet Underground & Nicoの歴史的ファーストアルバム「The Velvet Underground & Nico」は当時からモノラル盤とステレオ盤がリリースされており、恐らくリスナー側の所有している再生機材によって買う人達がいずれかを選べるようとの配慮からだろう。その頃からモノステのミックスの違いや曲の長さの違いなどがどれだけ話題になっていたかは知る由もないが、昔はそこまで大きな話題にならなかっただろうとは思う。自分たちの頃も仲間内であっちの方が曲が長いなどの話はあるものの、そこまで細かい検証が出来る環境を持っている人の方が少なかったからだ。しかし時代が流れ更に多数の人間が同じアルバムを耳にしてマニアックになっていくとその両者の違い、即ちミックス違いや曲の長さの違い、そもそもの音圧の違いや聴いた感触の違いが知れ渡っていき、ネット普及によってその情報が世界中で共有され、レコード会社にまで波及してのマニアックな音源のリリースとなり、それがまた一定数が確実に売れるニッチな商売となり、また限定盤に近いからこそプレミアムが付き、と妙なサイクルが回っている。ただ、いずれにしても好きになった人はこういうマニアックな音源も聴けるなら聴いてみたい、と思うのは至極当然の欲求で、それが商売になるかならないか、リスナー的にカネ出すか出さないか、だがこの手のリスナーの大半はいい歳した大人なので多少高くても、そのアルバムが何枚目の購入になろうとも気になれば買えない金額じゃないから買っちゃうのはしょうがない。
話が逸れたが、そのおかげで「The Velvet Underground & Nico」はややこしい事になってて、一般的にレコード時代から再発時、そしてCD時代になっても全てがステレオ盤のみのリリースが続き、モノラル盤などはどこからも出て来なかった。ところがいつしか上記のような流れから話題となり、モノラル盤の存在が知られてアンダーグラウンドでも出回り、それを聴くとなるほど、これは違うと話題になった事からその存在が浮上。2002年になりそのマニアックなニーズにようやく応えんとばかりに「Velvet Underground & Nico (Deluxe Edition)」がリリースされ、ステレオバージョンとモノラルバージョンが別のディスクに幾つかのボーナストラックと共にリリースされたが、この時のモノラルバージョンはあまり良いソースからのマスタリングではなかったと言われており、もうちょっと音質アップが図れただろうとの見解もあった。また、それ以前から水面下では話題があったアセテート盤についてもこの時点ではリリースするクォリティでの再現は不可能と判断されてお蔵入りのままとなったようだ。その後2012年になると45周年記念盤シリーズと称して様々なパターンでアルバムが再発されたが、中でも6CD Boxセットとなった「The Velvet Underground & Nico」ではステレオバージョン、モノラルバージョンに加えて何故かニコのファーストアルバム「Chelsea Girl」のモノラルバージョン、加えて先の幻となったアセテート盤収録の別ミックスバージョンが堂々と登場し、同時期のリハーサル音源も収録、更に1966年11月のオハイオでのライブショウが収められた。ちなみにこの時の2CDバージョンには上記6CDセットからの抜粋で、ステレオバージョンと幾つかのボーナストラックに加えて2枚目のディスクには何とそのアセテート盤の別ミックスバージョンとリハーサル音源が加えられたコンパクトサイズでリリースされている。更に1枚もののCDバージョンもリリースされているが、こちらは当然オリジナルステレオのリマスターバージョンのみでしかも曲目もオリジナルの11曲のみだ。この頃からアナログLPによる再発もコレクターズアイテム的に進んでおり、2017年には上記マスターからのアナログ再発も進んでいるようだ。
こうなると何を聴きたくて聴けば良いか分からなくなってくるので悩ましいが、ただ、モノラル盤の迫力は試してみたかったので入手して聴いてみたがなるほど、これはかなり異質な空間を楽しめるアイテムとして気に入った。面白いのは英国のバンドのモノ盤は音が塊になって飛び込んでくる迫力と音圧が魅力だった点に対し、こちらはモノラルながら奥行き深く縦横立体感を探求したかのような音の作りになっているから音の塊を楽しむようにはなっていない。リバーブや楽器のバランスや音色が奥深くに重なっていて、目立たせたい音が一番前にあるような作り方だ。これはこれで不思議な印象となり、左右で浮遊感を楽しんでいたステレオ盤とは異なり奥深さで楽しむ浮遊感が得られる。それでアルバム的にどちらが良いかとなれば完全に好みが分かれる話なので特にどちらとも言い切れないがやはりステレオ感の方が斬新に思える。更に2012年リマスター時に胸を張って初登場とオフィシャルがリリースしてきたアセテート盤も聴いていたが、1966年4月時点でのアルバム構想サウンドをパックしたものだから曲順がまるで異なっている。この曲順をイメージして作っていたのは事実だろうが、さすがVelvet Undergroundと思える革新性。普通にはまず聴けないアルバムになる事間違いなしの順番だが、それぞれの曲はミックスがオフィシャルと異なる程度で、別テイクはさほど多くはないようだ。これをレコード会社側が聴いてアドバイスしたのがもうちょっとポップな曲を幾つか入れてくれ、だったと思う。そこで生み出されたのが恐らく「Sunday Morning」と「There She Goes Again」だったと勝手に推測しているが、そのおかげで曲順も再検討されてああなったと思われる。そうすると随分と長い時間を掛けて録音し、作り直してミックスして練られた前衛作品だった事となり、あのスピード感が異常に早かった時代においては彼らも少々焦っていたようにも推測するが、結果的には歴史に残る作品を作り上げられたのが良かったのだろう。その評価が定着するのは芸術作品にありがちな10年以上後となったが。
はて、何が書きたかったのか。「The Velvet Underground & Nico」は基本11曲のアルバムで、モノラル盤だけを手に入れたい、と思った事から始まって、2012年2CD45周年記念で良いかと考えたらこれはアセテートバージョンがセットだったから、モノラル盤が手に入らない。するとその前の2002年盤の2CDデラックス・エディション盤となるが、これは音がよろしくないと分かっているのと既に廃盤で入手不可となっていた点。とするとどうしても最後はダウンロードで6CD丸ごとを入手するしかないが、これは音だけでもっと情報が欲しい時には不便。ただ、しょうがない、と思った所から始まっている。常にアチコチのバンドのこんな情報を漁って把握していくのも大変だし情報量は増える一方だし、悩ましい時代になってきたものだと考えつつポチリ。モノラル盤の奥深い重ね合わせたような音の浮遊感の不思議さと心地良さは凄いなと感心しながら聴いていた。
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