Iron Maiden - Night Of The Dead, Legacy Of The Beast: Live In Mexico City

0 Comments
Iron Maiden - Night Of The Dead, Legacy Of The Beast: Live In Mexico City (2020)
B08KGT7DL7

 2020年はコロナ禍によって予定されてたツアーがキャンセルとなったバンドも数多いだろうし、大物であればあるほどその規模感ではライブが出来ない状況が強いだろうからファン的にもバンド側ももどかしさが募る一年となっただろう。その分スタジオや自宅に籠もって新曲を作り上げたり、これまでのソースを再編集したり、はたまた予定してなかったアルバムやライブソースを編集してリリースしたりと上手く立ち回っているようにも思う。さらにYouTubeあたりで本来なら有料コンテンツにすべき所を無料で開放したりしてリスナーに話題を提供してもくれたりと様々なサービスを享受している。そしてアイアン・メイデンも本来なら2020年は全世界を回るツアー明け暮れる予定だったが、全て取り止めになってしまい、そのテンションの高さをどこへ持っていけば、となったが幸いにして2019年のツアーもレコーディングしていたから早速ながらそのツアーの模様をリリースしてきた。しかもライブ会場がメキシコと来れば、リオに負けず劣らずの白熱大合唱ぶりが期待出来る。

 Iron Maidenの2019年ライブツアーから「Night Of The Dead, Legacy Of The Beast: Live In Mexico City」のタイトルでリリースされ、その名の通りにレガシーな名曲群ばかり、と書きたいが割と新し目の曲も演奏されているので必ずしもレガシーでも無さそうだ。ただ、自分的感覚での新しさなので時代を見れば90年代後半のメイデンの曲があるというだけで、それはレガシーに十分値する古さかもしれない。恒例の「Churchill's Speech」から「Aces High」のハイテンションなライブスタートは相変わらずで、今回はミックスが随分と立体的に仕上げられているからかニコのドラムの音がスコンスコンと抜けて来て心地良く、またトリプルギターの音も位置がしっかり決められてやや小さめながらもバランスの取れた状態で出て来ている。その分スティーブ・ハリスのベース音が少々埋もれ気味なのが勿体無いが、その辺りは難しいバランスなのだろう。そしてブルース・ディッキンソンの強烈な歌声は60歳を超えた人とは到底思えないくらいのパワーを誇る。この歌声が健在な限りアイアン・メイデンらしさは失われないだろうから、今回のライブアルバムも精々90年代のライブかと勘違い出来るレベルにある。いつもの曲順とは異なり2曲目には「Where Eagles Dare」が登場し、レガシーな雰囲気を出してくれるしスティーブ・ハリスのベースもしっかりとブリブリと鳴っていて初期メイデンの凄まじさを再現してくれている。ニコのドラムがホント、鳴り響くのが気持ち良い。そのままトリプルギター式となった「2 Minutes To Midnight」はそれぞれのギターの音色が存分に楽しめる名曲。相変わらずのスピード感がメイデンらしく、とても2019年に行われたライブとは思えないパワフルさと疾走感。メヒコの観客もそれはそれは大盛り上がりの様相が聴けて取れる。そして意外と言えば意外なブルース・ディッキンソン不在時の1998年のアルバムからフューチャーされた「The Clansman」だが、観客の大合唱が聴けて分かるようにここまで愛されているかアイアン・メイデン的な楽曲でだからこそブルース・ディッキンソンも納得の歌いまわしになるのだろう。何ら違和感なくこの壮大な楽曲を展開して盛り上げている。続けて「The Trooper」と来ればファンも熱狂するだろう。大合唱と叫び声からすると客席は大きく動いているようで聴いているこちらも叫びたくなるくらい。続けてはまた初期の「Revelations 」で勝手知ったる馴染み深い曲へ繋がる。そしていきなり2006年リリースのアルバムからの大曲「For The Greater Good Of God」が静かに奏でられ、自分的には「??」だったがリスナーは着いてきている模様なのでそれなりに知られていたのか。これもまたスティーブ・ハリス得意のやたらと展開するプログレッシブなアイアン・メイデンサウンドで、このテンションで演奏されると初期の名作と同じレベルで聴けるので何ら違和感ない素晴らしき作品だ。全く馴染みがなかったので手を付けてみよう。それは次の「The Wicker Man 」も同じくで、こちらも2000年のアルバムからの疾走感溢れるナンバー、更に「Sign Of The Cross」は1995年の「X Factor」からの曲だが、自分的にこの辺もあまり馴染みがないが、これもまた壮大なる長い楽曲で一大組曲の様相を示してて凄いパワフル且つ美しい旋律が印象的。やはりアイアン・メイデンはじっくりと聴いていかないとダメだと大いに反省。どうしても初期作品に傾いてしまう。そうこうしているとその初期作からの「Flight Of Icarus」が続けられ、ブルース・ディッキンソンがややキツそうに歌い上げるハイトーンな気がするもライブのテンションはどんどん高まっている。そしてオーディエンスの大合唱が楽曲を作り上げている「Fear Of The Dark」の文句なしの展開でお決まりの聖歌。以降は「The Number Of The Beast」「 Iron Maiden」「The Evil That Men Do」「Hallowed Be Thy Name」「Run To The Hills」と往年の楽曲のオンパレードで、多分オーディエンスも無茶苦茶になってるだろうと思われる爆発的楽曲が続けられて終焉へ。

 さすがにブルース・ディッキンソンの歌声も中盤から疲れがあるかのように聴こえてくるが、ライブの場では恐らくテンション高いままなのでさほど気づく事もないだろうし、だからどうした、言えるレベルの凄まじいライブの記録。ホント、この歳で皆とんでもないライブをこの長時間に渡って演奏しているのは脱帽する。そしてまた楽しめるライブアルバムがひとつ増え、更に改めて21世紀にリリースされたアルバムを聴き直していかなければとも気付かされた。





関連記事
フレ
Posted byフレ

Comments 0

There are no comments yet.

Leave a reply