Ace Frehley - The Origins Vol.2
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Ace Frehley - The Origins Vol.2 (2020)

カバーアルバムにリスナーが求めるもの、割と難しい定義なのでどうしても評価は賛否両論に分かれてしまう。自分もこのブログに書いているものいないもの、どこかで聴いてて思う事を通じてみてもなかなか何を期待していたのか自分でも分からなくなる事が多い。オリジナルの曲に忠実なら納得するのか、それとも斬新なアレンジが施されてる方がアーティスティックでセンスを感じるから良いのか、大きくはこの2つに振れるような気がする。アルバム全編がその通りでなくても良いが、やはりそのミュージシャンのセンスが光るようなアレンジが施されてて、ニヤリとするような部分はそのままカバーされているような作りが良いような気もしている。70年代のロックの場合はそのままカバーしても現代的な音で蘇る的な新陳代謝も起きるからそれだけで価値が出る場合もあるし、何らアーティスティックではない感じがする時もある。やはり難しい。その時の気分や背景、そういうのを知っていると知らないとでは取り組む姿勢も変わるから結局やりたい側が好きにやってリスナーを楽しませる姿勢だけでも良いのかもしれない。
Ace Frehleyが2020年にリリースしてきた「The Origins Vol.2」。元々「オリジンズ VOL.1」が2016年にリリースされており、評判が良かったのもあってそのVol.2をリリースしてきたのか、やはりやってみたかったカバー集だったのか、ネタ切れだったのかは知らないが、いずれにしてもこういう作品はウェルカムな方なので楽しみに聴いてみた。選曲は「オリジンズ VOL.1」と同じようなバンドばかりなので、その辺りのロックに影響を受けてのロックギタリスト志向だったか、同時代で影響を受けたギタリストだったかもあるが、概ね少々前の世代のバンドや曲が選ばれているからKISSに参加する直前のギターキッズ時代に影響を受けたバンドや曲が中心となっているだろう。そんな想いを描きながら聴き始めると冒頭からLed Zeppelinの「Good Times Bad Times」が、そのままのアレンジ、音圧で始まるので驚いた。ここまで完全にカバーしますか、と言うくらいにギターソロまでもあのまま、何ら違和感なくプレイされ歌われているので、今回はこの完コピ路線でアルバムが進むのだろうか、とアタマをよぎったくらいだ。正直、ここまでやってくれるのは嬉しいし、聴き応えもあるが、何度もは聴かなくなるのは目に見えているのでどうにも、的なスタイル。ただ、やはり上手いし凄いし、好きなのもよく分かるくらいの出来映え。そうして次の「Never In My Life」はマウンテンの曲で、これも音質のグレードアップ感は凄いが、アレンジや聴かせ方はそのままでボーカルの迫力が少々異なる程度にしか聴こえず、レスリー・ウェストのあのギターも見事に音色までコピーしたかと言うくらいに似たようなマイルドトーン。やはりカッコ良いギタープレイとセンスで、そのまま弾いてると分かりつつもこうして聴ける事を存分に楽しんでしまうので、それだけよくカバーされている話。ジャケットにも写ってる3PUのレスポールで弾いているのだろうか、さすがに今時の機材だから出る音なのか、好きで創り上げてる音なのか、かなり好みの音色。続いては「Space Truckin'」とまさかパープルのアレですか、そこからも影響受けてたのか、と訝しむ面もありつつこの曲はパープルのスカスカな音に比べると随分身の詰まったレスポールサウンド、と音の質感が全く異なり、異質感溢れるカバースタイルに聴こえるものの、アレンジはそのままなので聴き慣れた耳には気持ち悪いだけか。そして言わずと知れたビートルズの「I'm Down」とベタベタなカバーで、これこそ好きだったのだろうと容易に想像が付くチョイスながら、ギターソロはオリジナリティ溢れるエース節、ではなく、マリリン・マンソンとのジョイントで知られているギタリスト、ジョン5のプレイがクローズアップされているが、何ら捻りもなく、好きだからやりました、いつもの通り、想像通りです、的。そして名曲カバーは続き、今度はストーンズの「Jumpin' Jack Flash」をランナウェイズのリタ・フォードのボーカルで、アレンジはハードロックそのままで想像通りに誰がやってもこうなるだろう的な、こちらも捻りなしソロもさほど目立たずのプレイ。そろそろこの展開も飽きてきたが、元曲の良さがアルバムを次々に聴かせてくれる。「Politician」はご存知クリームの名曲でこれもまたレスリー・ウェストがクリームと一緒に弾いてるかのようなプレイぶりで、こちらもジョン5がギターオブリなど弾いているのか、音色や質感の異なるギターが随所で聴かれるのは良いアクセント。この辺の二人の関係性も改めて見ればどうにも不思議な組み合わせで、リタ・フォードは分かる気がするがマリマンとエースとは悪魔繋がり、とは思えないのでどこかの何かがあったのだろう。ギターソロセクションでは二人のギターが鳴りまくっているのでどこかスペイシーに宙を舞いつつ楽しませてくれるシーンが頼もしい。
そしてThe Kinksのこれも名曲「Lola」までもがそのままのハードロック調で奏でられるのも違和感ありつつもエースならそう来るだろうと、やはりアルバム全編を通してエース・フレイリーそのままの取り組みスタイルで構えつつ、モチーフとして昔の楽曲が選ばれているような印象で、カバー曲をどうするか、のアレンジを意識したアルバムではなさそうだ。それこそが本来のカバーアルバムの姿かもしれない。だからこういう妙なカバーもエースらしい表現として捉えて聴くと、素直に楽しめて、キチンと細かいフレーズまでコピーして再現しているエースの好きさ加減も見えてくるものだ。Humble Pieの「30 Days In The Hole」にしても今度は見事にエースの音楽性とマッチした迫力あるボーカルも含めてぴったりなアルバム中で1、2を争う似合いぶりのカバー曲。もちろん音の迫力は分厚さは元祖には全く無かったが、マリオットの歌声がそれを補っていたし、それを今度はギターの図太い音と歌で奏でているから拍手喝采。まだまだ続く名曲シリーズで今度はジミヘンの「Manic Depression」も迫力増しと、安定のリズムと音圧がジミヘンには無かった質感。そうすると今度はエキサイトさに欠けるのでどっちがどうでもないが、これも好きな様子が分かるくらいに見事なギター・ソロコピーが出ている成り切りぶり。次のPaul Revere & The Raidersの「Kicks」やアニマルズの「We Gotta Get Out Of This Place」は自分的には全く通っていないので原曲を知らなかったが、こちらのアレンジを聴いている限りではカッコ良いスタイルに思えるので、エース・フレイリーのセンスがかなり良い感じに自分にマッチしてきたのかもしれない。そして最後にはKISSのカバー曲「She」はそのまま新しい音の質感で再録音し直したとも言えるが、当然今の音の質感なので現代風味のヘヴィサウンドに仕上がっている。ここで入れるのもセンスだが、本人そのままだから文句も言えまい。
通してじっくり聴いてみれば今のエース・フレイリーそのままを味わってくれ、題材は皆も知ってるロックで、自分も好きな曲ばかりだぜ、と言っているだけの作品だ。それで何が悪い、と言われればそのままで実際こうしてじっくり取り組んでしまうのだからそれだけでリリースの価値はあっただろう。しかしギターの音が良い音色で、そればかり気になってしまったナイスなカバーアルバム。

カバーアルバムにリスナーが求めるもの、割と難しい定義なのでどうしても評価は賛否両論に分かれてしまう。自分もこのブログに書いているものいないもの、どこかで聴いてて思う事を通じてみてもなかなか何を期待していたのか自分でも分からなくなる事が多い。オリジナルの曲に忠実なら納得するのか、それとも斬新なアレンジが施されてる方がアーティスティックでセンスを感じるから良いのか、大きくはこの2つに振れるような気がする。アルバム全編がその通りでなくても良いが、やはりそのミュージシャンのセンスが光るようなアレンジが施されてて、ニヤリとするような部分はそのままカバーされているような作りが良いような気もしている。70年代のロックの場合はそのままカバーしても現代的な音で蘇る的な新陳代謝も起きるからそれだけで価値が出る場合もあるし、何らアーティスティックではない感じがする時もある。やはり難しい。その時の気分や背景、そういうのを知っていると知らないとでは取り組む姿勢も変わるから結局やりたい側が好きにやってリスナーを楽しませる姿勢だけでも良いのかもしれない。
Ace Frehleyが2020年にリリースしてきた「The Origins Vol.2」。元々「オリジンズ VOL.1」が2016年にリリースされており、評判が良かったのもあってそのVol.2をリリースしてきたのか、やはりやってみたかったカバー集だったのか、ネタ切れだったのかは知らないが、いずれにしてもこういう作品はウェルカムな方なので楽しみに聴いてみた。選曲は「オリジンズ VOL.1」と同じようなバンドばかりなので、その辺りのロックに影響を受けてのロックギタリスト志向だったか、同時代で影響を受けたギタリストだったかもあるが、概ね少々前の世代のバンドや曲が選ばれているからKISSに参加する直前のギターキッズ時代に影響を受けたバンドや曲が中心となっているだろう。そんな想いを描きながら聴き始めると冒頭からLed Zeppelinの「Good Times Bad Times」が、そのままのアレンジ、音圧で始まるので驚いた。ここまで完全にカバーしますか、と言うくらいにギターソロまでもあのまま、何ら違和感なくプレイされ歌われているので、今回はこの完コピ路線でアルバムが進むのだろうか、とアタマをよぎったくらいだ。正直、ここまでやってくれるのは嬉しいし、聴き応えもあるが、何度もは聴かなくなるのは目に見えているのでどうにも、的なスタイル。ただ、やはり上手いし凄いし、好きなのもよく分かるくらいの出来映え。そうして次の「Never In My Life」はマウンテンの曲で、これも音質のグレードアップ感は凄いが、アレンジや聴かせ方はそのままでボーカルの迫力が少々異なる程度にしか聴こえず、レスリー・ウェストのあのギターも見事に音色までコピーしたかと言うくらいに似たようなマイルドトーン。やはりカッコ良いギタープレイとセンスで、そのまま弾いてると分かりつつもこうして聴ける事を存分に楽しんでしまうので、それだけよくカバーされている話。ジャケットにも写ってる3PUのレスポールで弾いているのだろうか、さすがに今時の機材だから出る音なのか、好きで創り上げてる音なのか、かなり好みの音色。続いては「Space Truckin'」とまさかパープルのアレですか、そこからも影響受けてたのか、と訝しむ面もありつつこの曲はパープルのスカスカな音に比べると随分身の詰まったレスポールサウンド、と音の質感が全く異なり、異質感溢れるカバースタイルに聴こえるものの、アレンジはそのままなので聴き慣れた耳には気持ち悪いだけか。そして言わずと知れたビートルズの「I'm Down」とベタベタなカバーで、これこそ好きだったのだろうと容易に想像が付くチョイスながら、ギターソロはオリジナリティ溢れるエース節、ではなく、マリリン・マンソンとのジョイントで知られているギタリスト、ジョン5のプレイがクローズアップされているが、何ら捻りもなく、好きだからやりました、いつもの通り、想像通りです、的。そして名曲カバーは続き、今度はストーンズの「Jumpin' Jack Flash」をランナウェイズのリタ・フォードのボーカルで、アレンジはハードロックそのままで想像通りに誰がやってもこうなるだろう的な、こちらも捻りなしソロもさほど目立たずのプレイ。そろそろこの展開も飽きてきたが、元曲の良さがアルバムを次々に聴かせてくれる。「Politician」はご存知クリームの名曲でこれもまたレスリー・ウェストがクリームと一緒に弾いてるかのようなプレイぶりで、こちらもジョン5がギターオブリなど弾いているのか、音色や質感の異なるギターが随所で聴かれるのは良いアクセント。この辺の二人の関係性も改めて見ればどうにも不思議な組み合わせで、リタ・フォードは分かる気がするがマリマンとエースとは悪魔繋がり、とは思えないのでどこかの何かがあったのだろう。ギターソロセクションでは二人のギターが鳴りまくっているのでどこかスペイシーに宙を舞いつつ楽しませてくれるシーンが頼もしい。
そしてThe Kinksのこれも名曲「Lola」までもがそのままのハードロック調で奏でられるのも違和感ありつつもエースならそう来るだろうと、やはりアルバム全編を通してエース・フレイリーそのままの取り組みスタイルで構えつつ、モチーフとして昔の楽曲が選ばれているような印象で、カバー曲をどうするか、のアレンジを意識したアルバムではなさそうだ。それこそが本来のカバーアルバムの姿かもしれない。だからこういう妙なカバーもエースらしい表現として捉えて聴くと、素直に楽しめて、キチンと細かいフレーズまでコピーして再現しているエースの好きさ加減も見えてくるものだ。Humble Pieの「30 Days In The Hole」にしても今度は見事にエースの音楽性とマッチした迫力あるボーカルも含めてぴったりなアルバム中で1、2を争う似合いぶりのカバー曲。もちろん音の迫力は分厚さは元祖には全く無かったが、マリオットの歌声がそれを補っていたし、それを今度はギターの図太い音と歌で奏でているから拍手喝采。まだまだ続く名曲シリーズで今度はジミヘンの「Manic Depression」も迫力増しと、安定のリズムと音圧がジミヘンには無かった質感。そうすると今度はエキサイトさに欠けるのでどっちがどうでもないが、これも好きな様子が分かるくらいに見事なギター・ソロコピーが出ている成り切りぶり。次のPaul Revere & The Raidersの「Kicks」やアニマルズの「We Gotta Get Out Of This Place」は自分的には全く通っていないので原曲を知らなかったが、こちらのアレンジを聴いている限りではカッコ良いスタイルに思えるので、エース・フレイリーのセンスがかなり良い感じに自分にマッチしてきたのかもしれない。そして最後にはKISSのカバー曲「She」はそのまま新しい音の質感で再録音し直したとも言えるが、当然今の音の質感なので現代風味のヘヴィサウンドに仕上がっている。ここで入れるのもセンスだが、本人そのままだから文句も言えまい。
通してじっくり聴いてみれば今のエース・フレイリーそのままを味わってくれ、題材は皆も知ってるロックで、自分も好きな曲ばかりだぜ、と言っているだけの作品だ。それで何が悪い、と言われればそのままで実際こうしてじっくり取り組んでしまうのだからそれだけでリリースの価値はあっただろう。しかしギターの音が良い音色で、そればかり気になってしまったナイスなカバーアルバム。
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