Bette Midler - The Rose (Original Soundtrack)
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Bette Midler - The Rose (Original Soundtrack) (1979)

80年代頃まではロックの映画と言えば精々バンドのドキュメンタリー形式やライブモノ、またはイベントの記録映像がある程度で、ロック映画として制作されたものなどはホントに数える程度しかなかった。「Tommy」が1975年、「四重人格=さらば青春の光」が1979年、「The Wall」が1982年、その昔の「Easy Rider」が1969年と主だったところではその程度だろう。ほかはイベントモノばかりだし、「Saturday Night Fever」を入れるかどうかは人それぞれだろう。そしてそんな数少ない中にジャニスの伝記映画とも言える「The Rose」が1979年に制作公開されてて、自分はリアルタイムでは見てなかったが、その存在を知ってレンタルビデオ屋に行けば普通に置いてあったくらいには普及していたのはありがたかった。まだベット・ミドラーの名前も知らず、ジャニスのブルースにひたすら感動してレコードを聴いていた頃だったので、モロにジャニスと重ねて見ていた。映画「Janis」も1974年公開で、当時ビデオソフトがリリースされたばかりくらいだったからそれも並行して見ていた時期だし、見事にその辺のジャニスかぶれになっていた。だから結構な回数どちらも映画を見て感動していた。
「The Rose」のオリジナル・サウンドトラックながらほぼBette Midlerのライブアルバムの様相を示している傑作。基本は映画で使われているライブステージでの曲や流れている曲が収録されているが、さすがベット・ミドラーなだけあって、演技も全て自分でやってるし、歌もライブも全て自身でこなしているので、ベット・ミドラーありきの、彼女のための映画にもなっている。音楽プロデューサーにはジャニスのアルバムでも活躍したポール・ロスチャイルドが着任して、このオリジナル・サウンドトラックも監修しているからか妙に信頼度の高いアルバムが出来上がっている。以前から聴いていたが、今回は細かいクレジットや情報がネット上でも流れているので改めて見ていると知らなかった、気づかなかった出来事ばかりを発見してまた楽しんでいる。
アルバムは映画と同様に冒頭から序盤は軽快で順調なライブステージや楽曲が鳴らされてアメリカンな傾向は強いものの正に夢を掴みに行ってるようなムードで、中盤はカバー中心に熟成したステージングを醸し出してロールしているような雰囲気。そして過度期では悲痛さすら漂う人生の難しさをそのまま出しているかのようなムードで、最後は静寂の「The Rose」と映画そのままの一大絵巻として作られている。映画を見ているとシーンがまざまざと目に浮かぶのでその想い入れが深いからそう感じるのかもしれないが、上手く演じられて作られているアルバムだ。楽曲単位では冒頭の2曲はオープニングに相応しいR&Rそのままで、軽やかなホーン・セクションも古き良きアメリカン・ロックらしい。その後にわざわざ「Concert Monologue」を入れたのはあまりにもアルバムに、ライブにハマり過ぎていたから、そしてベット・ミドラー的にも素晴らしいモノローグだったからか。「When a Man Loves a Women」はパーシー・スレッジのオリジナルが有名だし、それ以外でもカバーしている人も多く耳にする機会も多いからカバーだとは知っていたが、改めて聴いているとホントに凄いボーカル、歌唱力でアルバム中でも上位に入る素晴らしいパフォーマンス。そこから続けられるのはこれも軽快でストレートな「Sold My Soul To Rock'n Roll 」だからノリノリの絶頂期ぶりが伺える作品だ。そして「Keep on Rockin'」のクレジットにサム・ヘイガーとあったので、もしかしてサミー・ヘイガーかと調べてみればその通りで、1976年のサミー・ヘイガー名義のアルバム「Nine on a Ten Scale」に収録されているナンバーのカバーだった。アレンジや迫力やライブ感が違うから比べられないが圧倒的にベット・ミドラーバージョンの迫力が凄まじく思える。
そして今度は「You've Got to Love Her with a Feeling」と1938年に発表された古きブルースソングをカバーしたバージョンで、ロックリスナー的にはフレディ・キングのバージョンが一番知られているのかもしれないが、ここでも見事に3連を多用したブルース展開そのままをベット・ミドラーが歌い上げている傑作。続いての「Camellia」はライブのクライマックスで盛り上がっていくシーンそのままを体現できるゴージャスで壮大な楽曲だ。こういう懐の広さはアメリカでしか出てこないかもしれないが、実に素晴らしい大円団とばかりの演奏陣の凄さが際立つ一方、どうしてもベット・ミドラー演じる主役の歌手の孤独さ寂しさが浮き上がってきてしまう面も持つ不思議なイメージは映画を見ているからだ。それも次の「Homecoming Monologue」のセリフが繋がっているから余計にその悲哀が伝わってきての「Stay With Me」。この曲は1966年にロレイン・エリソンがヒットさせた熱唱の楽曲で、ベット・ミドラーの歌唱力もとんでもなく凄まじいのでオリジナルを超えたと言って良い程の出来映えで涙が流れてくる素晴らしき演奏。ここまで想い入れたっぷりに熱唱出来るものかとただただひたすらに感動の嵐。キレイに着飾らず、ジャニス、ロックだったらこういう歌声でもありだし、とにかく情感溢れる、正にブルースな歌が心に突き刺さる。そしてまたどうしようもなく悲しい「Let Me Call You Sweetheart」をアカペラで歌い、直後にステージに倒れ込んでしまうジ・エンド。そして最後の最後を締める「The Rose」が静かに静かにピアノの単音から鳴らされ、実に美しいメロディと想い入れたっぷりのベット・ミドラーの歌声が心に染み入る。元々この曲が持ち込まれた時の映画製作陣営は却下したらしいが、ポール・ロスチャイルドが耳にして絶対これを入れるべきだ、と主張しまくってベット・ミドラーに渡された所、彼女も気に入ってこれだけの名作として仕上がったらしい楽曲。曲が進むに連れてコーラスワークや音色が徐々に重厚になり、壮大な聖歌にまで仕上げられ、最後はまた孤独感を味わせての終焉と正に物語の終わりに相応しい名曲。
やはり映画ありきのアルバムだが、単発で聴いてもステージの様子がありありと伝わってくる作り方が凄い。本作に感動したので他のベット・ミドラーのアルバムも何枚か集めて聴いたが、ここまでの感動を味わう事はなかったので、彼女の最高傑作だろうし、ロック界の名盤の中にも入る傑作だと思っている素晴らしい楽曲、歌唱力、ステージと構成、そしてアルバム。

80年代頃まではロックの映画と言えば精々バンドのドキュメンタリー形式やライブモノ、またはイベントの記録映像がある程度で、ロック映画として制作されたものなどはホントに数える程度しかなかった。「Tommy」が1975年、「四重人格=さらば青春の光」が1979年、「The Wall」が1982年、その昔の「Easy Rider」が1969年と主だったところではその程度だろう。ほかはイベントモノばかりだし、「Saturday Night Fever」を入れるかどうかは人それぞれだろう。そしてそんな数少ない中にジャニスの伝記映画とも言える「The Rose」が1979年に制作公開されてて、自分はリアルタイムでは見てなかったが、その存在を知ってレンタルビデオ屋に行けば普通に置いてあったくらいには普及していたのはありがたかった。まだベット・ミドラーの名前も知らず、ジャニスのブルースにひたすら感動してレコードを聴いていた頃だったので、モロにジャニスと重ねて見ていた。映画「Janis」も1974年公開で、当時ビデオソフトがリリースされたばかりくらいだったからそれも並行して見ていた時期だし、見事にその辺のジャニスかぶれになっていた。だから結構な回数どちらも映画を見て感動していた。
「The Rose」のオリジナル・サウンドトラックながらほぼBette Midlerのライブアルバムの様相を示している傑作。基本は映画で使われているライブステージでの曲や流れている曲が収録されているが、さすがベット・ミドラーなだけあって、演技も全て自分でやってるし、歌もライブも全て自身でこなしているので、ベット・ミドラーありきの、彼女のための映画にもなっている。音楽プロデューサーにはジャニスのアルバムでも活躍したポール・ロスチャイルドが着任して、このオリジナル・サウンドトラックも監修しているからか妙に信頼度の高いアルバムが出来上がっている。以前から聴いていたが、今回は細かいクレジットや情報がネット上でも流れているので改めて見ていると知らなかった、気づかなかった出来事ばかりを発見してまた楽しんでいる。
アルバムは映画と同様に冒頭から序盤は軽快で順調なライブステージや楽曲が鳴らされてアメリカンな傾向は強いものの正に夢を掴みに行ってるようなムードで、中盤はカバー中心に熟成したステージングを醸し出してロールしているような雰囲気。そして過度期では悲痛さすら漂う人生の難しさをそのまま出しているかのようなムードで、最後は静寂の「The Rose」と映画そのままの一大絵巻として作られている。映画を見ているとシーンがまざまざと目に浮かぶのでその想い入れが深いからそう感じるのかもしれないが、上手く演じられて作られているアルバムだ。楽曲単位では冒頭の2曲はオープニングに相応しいR&Rそのままで、軽やかなホーン・セクションも古き良きアメリカン・ロックらしい。その後にわざわざ「Concert Monologue」を入れたのはあまりにもアルバムに、ライブにハマり過ぎていたから、そしてベット・ミドラー的にも素晴らしいモノローグだったからか。「When a Man Loves a Women」はパーシー・スレッジのオリジナルが有名だし、それ以外でもカバーしている人も多く耳にする機会も多いからカバーだとは知っていたが、改めて聴いているとホントに凄いボーカル、歌唱力でアルバム中でも上位に入る素晴らしいパフォーマンス。そこから続けられるのはこれも軽快でストレートな「Sold My Soul To Rock'n Roll 」だからノリノリの絶頂期ぶりが伺える作品だ。そして「Keep on Rockin'」のクレジットにサム・ヘイガーとあったので、もしかしてサミー・ヘイガーかと調べてみればその通りで、1976年のサミー・ヘイガー名義のアルバム「Nine on a Ten Scale」に収録されているナンバーのカバーだった。アレンジや迫力やライブ感が違うから比べられないが圧倒的にベット・ミドラーバージョンの迫力が凄まじく思える。
そして今度は「You've Got to Love Her with a Feeling」と1938年に発表された古きブルースソングをカバーしたバージョンで、ロックリスナー的にはフレディ・キングのバージョンが一番知られているのかもしれないが、ここでも見事に3連を多用したブルース展開そのままをベット・ミドラーが歌い上げている傑作。続いての「Camellia」はライブのクライマックスで盛り上がっていくシーンそのままを体現できるゴージャスで壮大な楽曲だ。こういう懐の広さはアメリカでしか出てこないかもしれないが、実に素晴らしい大円団とばかりの演奏陣の凄さが際立つ一方、どうしてもベット・ミドラー演じる主役の歌手の孤独さ寂しさが浮き上がってきてしまう面も持つ不思議なイメージは映画を見ているからだ。それも次の「Homecoming Monologue」のセリフが繋がっているから余計にその悲哀が伝わってきての「Stay With Me」。この曲は1966年にロレイン・エリソンがヒットさせた熱唱の楽曲で、ベット・ミドラーの歌唱力もとんでもなく凄まじいのでオリジナルを超えたと言って良い程の出来映えで涙が流れてくる素晴らしき演奏。ここまで想い入れたっぷりに熱唱出来るものかとただただひたすらに感動の嵐。キレイに着飾らず、ジャニス、ロックだったらこういう歌声でもありだし、とにかく情感溢れる、正にブルースな歌が心に突き刺さる。そしてまたどうしようもなく悲しい「Let Me Call You Sweetheart」をアカペラで歌い、直後にステージに倒れ込んでしまうジ・エンド。そして最後の最後を締める「The Rose」が静かに静かにピアノの単音から鳴らされ、実に美しいメロディと想い入れたっぷりのベット・ミドラーの歌声が心に染み入る。元々この曲が持ち込まれた時の映画製作陣営は却下したらしいが、ポール・ロスチャイルドが耳にして絶対これを入れるべきだ、と主張しまくってベット・ミドラーに渡された所、彼女も気に入ってこれだけの名作として仕上がったらしい楽曲。曲が進むに連れてコーラスワークや音色が徐々に重厚になり、壮大な聖歌にまで仕上げられ、最後はまた孤独感を味わせての終焉と正に物語の終わりに相応しい名曲。
やはり映画ありきのアルバムだが、単発で聴いてもステージの様子がありありと伝わってくる作り方が凄い。本作に感動したので他のベット・ミドラーのアルバムも何枚か集めて聴いたが、ここまでの感動を味わう事はなかったので、彼女の最高傑作だろうし、ロック界の名盤の中にも入る傑作だと思っている素晴らしい楽曲、歌唱力、ステージと構成、そしてアルバム。
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