Maggie Bell - Queen of the Night
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Maggie Bell - Queen of the Night (1974)

ソウルフルに歌う女性を例えて言う時は大抵ジャニスのような、と形容されるが、多くはジャニスのような歌声でもなく、普通に歌唱力が高くてソウルフルに歌うスタイルと言うばかりのシンガーだ。売るための形容詞は分かりやすく誰もがイメージしやすい文句が必要になるのでそう言われるし、聴く側もそのつもりで聴くからそのギャップがもどかしくなる時もある。確かにそう聴き始めた方が取り組みやすいし、何かと便利ではあるが改めて色々と聴いてみるとまるでジャニスとは異なるアプローチじゃないかなどと感じる事もあるので悩ましい。いずれにしてもそういうボーカリストに出会えて、自分なりに解釈して聴いていける点が重要になるのだろう。
60年代末にシーンに登場した英国のブルースロックバンド、Stone The Crowsの看板シンガーだったMaggie Bellがバンド解散後にニューヨークに渡り、アトランティックの配下で作り上げた素晴らしき傑作アルバム「Queen of the Night」。1974年のリリースだが、一番最初に異質感を感じるのが、この洗練された音世界。どういう事かとクレジットを見れば、この直後にシーンを賑わせるジャズ・フュージョン系の若手新鋭の面子がズラリと顔を並べている。ロックリスナーにどれだけ知られているか分からないし、自分も以前聴いていた時はまるでピンと来なかったが、いくらかその手の作品も漁り、作品を聴いたりしたので今はなるほど、これは凄いと素直に思えるようになった。ギターにコーネル・デュプリー、鍵盤にリチャード・ティー、ドラムにはロック界でも多少知られているスティーブ・ガッドとパーカッションでラルフ・マクドナルド、ベースにはチャック・レイニーもクレジットされているし、鍵盤には他にもバリー・ゴールドバーグも参加しているようだ。それで演奏されている曲は往年のソウルフルな楽曲のカバー曲や新鋭作曲家の曲ばかりで、とてもじゃないがジャニスの再来なるブルースシンガーなどとの謳い文句とは言えない代物。それでもそういう書き方する所が宣伝文句。
主役のマギー・ベルの歌そのものは多少しゃがれた歌声のソウルフルな歌で相変わらずのスタイルだが、出てきているサウンドがこの時代の音楽の先端を走るニューヨークだからか、とてつもなくオシャレで洗練されたスタイリッシュなアレンジになっている。到底時代遅れの泥臭いロックからはかけ離れたクールなサウンドがマギー・ベルの歌声と相まって不思議なムードが奏でられているが、逆に書けばどうにも中途半端な作品に仕上がっているとも言える。ブルースの名曲として知られている「As The Years Go Passing By」では真打ちコーネル・デュプリーがギターで参加しているので、マギー・ベルのブルージーな歌声としっかり絡み合ってのムードを出したアルバム中上位の出来映えだろう。それでも洗練されたアレンジと音色なのでアルバート・キングあたりのドロドロブルースとは大きく異なるが、コーネル・デュプリーがかなりカッコ良いモダンなプレイをしている。
以前聴いた時の記憶ではかなりブルースに近い作品と感じていたが、きちんと聴いてみればそれよりも新鋭ジャズ・フュージョン連中、即ちスタジオセッション・ミュージシャンによって上手く作り上げられた作品との印象が強く、マギー・ベルの歌声でのインパクトがさほど強くなかった。とは言え、情感に訴えかけるボーカルスタイルはしっかりと心に響いてくる面が大きく、恐らく彼女はバックの音がどうであろうとこのまま歌える人だろうし、それによって何か変わるものでもなかろう。ひとつのアルバムがここまで色々と練られて作り込まれていると異なる角度から聴けて楽しめるのは面白いので、また時を経て聴くと変わっていくのだろう。

ソウルフルに歌う女性を例えて言う時は大抵ジャニスのような、と形容されるが、多くはジャニスのような歌声でもなく、普通に歌唱力が高くてソウルフルに歌うスタイルと言うばかりのシンガーだ。売るための形容詞は分かりやすく誰もがイメージしやすい文句が必要になるのでそう言われるし、聴く側もそのつもりで聴くからそのギャップがもどかしくなる時もある。確かにそう聴き始めた方が取り組みやすいし、何かと便利ではあるが改めて色々と聴いてみるとまるでジャニスとは異なるアプローチじゃないかなどと感じる事もあるので悩ましい。いずれにしてもそういうボーカリストに出会えて、自分なりに解釈して聴いていける点が重要になるのだろう。
60年代末にシーンに登場した英国のブルースロックバンド、Stone The Crowsの看板シンガーだったMaggie Bellがバンド解散後にニューヨークに渡り、アトランティックの配下で作り上げた素晴らしき傑作アルバム「Queen of the Night」。1974年のリリースだが、一番最初に異質感を感じるのが、この洗練された音世界。どういう事かとクレジットを見れば、この直後にシーンを賑わせるジャズ・フュージョン系の若手新鋭の面子がズラリと顔を並べている。ロックリスナーにどれだけ知られているか分からないし、自分も以前聴いていた時はまるでピンと来なかったが、いくらかその手の作品も漁り、作品を聴いたりしたので今はなるほど、これは凄いと素直に思えるようになった。ギターにコーネル・デュプリー、鍵盤にリチャード・ティー、ドラムにはロック界でも多少知られているスティーブ・ガッドとパーカッションでラルフ・マクドナルド、ベースにはチャック・レイニーもクレジットされているし、鍵盤には他にもバリー・ゴールドバーグも参加しているようだ。それで演奏されている曲は往年のソウルフルな楽曲のカバー曲や新鋭作曲家の曲ばかりで、とてもじゃないがジャニスの再来なるブルースシンガーなどとの謳い文句とは言えない代物。それでもそういう書き方する所が宣伝文句。
主役のマギー・ベルの歌そのものは多少しゃがれた歌声のソウルフルな歌で相変わらずのスタイルだが、出てきているサウンドがこの時代の音楽の先端を走るニューヨークだからか、とてつもなくオシャレで洗練されたスタイリッシュなアレンジになっている。到底時代遅れの泥臭いロックからはかけ離れたクールなサウンドがマギー・ベルの歌声と相まって不思議なムードが奏でられているが、逆に書けばどうにも中途半端な作品に仕上がっているとも言える。ブルースの名曲として知られている「As The Years Go Passing By」では真打ちコーネル・デュプリーがギターで参加しているので、マギー・ベルのブルージーな歌声としっかり絡み合ってのムードを出したアルバム中上位の出来映えだろう。それでも洗練されたアレンジと音色なのでアルバート・キングあたりのドロドロブルースとは大きく異なるが、コーネル・デュプリーがかなりカッコ良いモダンなプレイをしている。
以前聴いた時の記憶ではかなりブルースに近い作品と感じていたが、きちんと聴いてみればそれよりも新鋭ジャズ・フュージョン連中、即ちスタジオセッション・ミュージシャンによって上手く作り上げられた作品との印象が強く、マギー・ベルの歌声でのインパクトがさほど強くなかった。とは言え、情感に訴えかけるボーカルスタイルはしっかりと心に響いてくる面が大きく、恐らく彼女はバックの音がどうであろうとこのまま歌える人だろうし、それによって何か変わるものでもなかろう。ひとつのアルバムがここまで色々と練られて作り込まれていると異なる角度から聴けて楽しめるのは面白いので、また時を経て聴くと変わっていくのだろう。
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