Uriah Heep - Demons and Wizards (2017 Deluxe Edition)

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Uriah Heep - Demons and Wizards (2017 Deluxe Edition) (1972)
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 Ken Hensley逝去、とある日Twitterで流れてきて75歳だったと。もうロックの偉人達は皆それくらいの年齢になっているのでいつそうなってもおかしくないからそこまで驚く訃報でもなかったが、数多くいるミュージシャンの中で、次は誰だ、的になっているのはどうにも、なムード。先日のEddie Van Halenに次いで古きロックファンには知られた人の訃報だったと思う。自分的にはリアルタイムで体験してはいなかったからそこまでの生々しさは無かったが、ユーライア・ヒープやケン・ヘンズレーのソロ作関連作は割とコレクトして聴いていたし、やはり初期のユーライア・ヒープは超個性的なハードロックで大好きなのでしみじみと何枚ものアルバムを聴いていた。改めて見るとデヴィッド・バイロンやゲイリー・セインは若くして逝去し、最近ではリー・カースレイクも同じくなので、その辺りに続いてのケン・ヘンズレーが逝ってしまったか。それでも現在でもユーライア・ヒープ名義のバンドはミック・ボックスが率いて健在に活動しているのだから面白い。当然ながらそちらは過去の栄光を引き摺ってのバンドでもなく、新たな音楽性を、もしくは出来る範疇の音楽をそのまま出しているバンドになっているので、趣味的に聴いている分には楽しめるオーソドックスなロックバンド。やはり70年代初頭のあの偉大なるユーライア・ヒープの姿はケン・ヘンズレーがあってこそなので、トリビュート的にアルバムを取り上げてみたい。

 代表作は幾つかあるが、もっとも充実していた時期は1970年初頭、アルバムで言えば「Look At Yourself」で完全にその世界を確立した所でベースが替わり、同年にリリースされた「Demons and Wizards」でようやくリー・カースレイクとゲイリー・セインが揃って黄金期まっしぐら、その勢いでの翌年「Magician's Birthday」と名作が立て続けに聴ける。この時期が一番ユーライア・ヒープらしくハードロックを全うして世界に影響を与えていた辺りで、今でもこの3枚は特別視されているようだ。2017年にこの3枚だけが拡張盤2CDデラックス・エディションとしてリリースされている事からもその特別感は分かるだろう。その中から今回は1972年リリースの「Demons and Wizards (2017 Deluxe Edition)」を改めて聴くと、デラックス・エディションとはオリジナルナンバーはそのままの曲順とミックスで音をきれいにしたリマスター盤として収録されており、その後には、2017年時点でのオルタナティブバージョンがアルバム丸ごと以上に収録されており、更には2003年のリマスターボーナス・トラック時に収録された楽曲もキチンと入っているので正しくデラックス・エディションとして蘇っている。オルタナティブバージョンはリミックスし直しているので、音の定位がそれぞれオリジナルとは異なり、今風のと言うか普通にミックスされて音のバランスも随分聴きやすく、楽器の分離も良くなったミックスなので現代的なバンドとして聴きやすくなっている点が大きいが、それによってほぼ全ての曲が長尺バージョンに生まれ変わっている。当時はレコードの収録時間の関係上フェイドアウトが早めだったものも、残されている演奏がある限り引き伸ばした状態でミックスされている。更にユニークなのは、収録曲順がオリジナルとは大きく異なっているあたりで、冒頭から名曲「Easy Livin'」で真ん中に「The Spell」が配置されて、終盤に「The Wizard」、「Poet's Justice」、「Circle of Hands」で締められるようになっている。アルバムとしての起伏や楽曲の出来具合からしてもこの曲順はかなり馴染みやすく、新たな「Demons and Wizards」を聴く上ではなかなか新鮮且つ迫力と起承転結の増す曲順だと思う。また、オリジナルの曲順には入っていなかった珍しいユーライア・ヒープ独自解釈ブルースハードロック展開の「Home Again To You」、ベースが大活躍の長尺曲「Why (Long version)」は「The Wizard」の前に配置されているから、当時レコードが70分でリリース出来たらこういう配置だったかもしれないと思わせる曲順。このベースはゲイリー・セインではなく前任のポール・ニュートンだろうが、ここまで弾くか、と言うくらいに弾きまくりのプレイなのでとにかくぶっ飛ぶ一曲。両曲とも2003年ボーナストラックでお目見えしたアウトテイク楽曲だったが、こういう作り方されると納得の馴染みやすさも分かりやすいだろう。

 その意味で新たな「Demons and Wizards (2017 Deluxe Edition)」のボーナストラックとしては「Proud Words on a Dusty Shelf」「Green Eye」「Why (Single Edit)」となるが、「Proud Words on a Dusty Shelf」はご存知1973年にリリースされたケン・ヘンズレーの初ソロ・アルバム名盤「Proud Words on a Dusty Shelf.」のタイトルそのまま、更に楽曲も収録しているので、ユーライア・ヒープバージョンとの違いを堪能したくなるのも当然だろう。オリジネイターがケン・ヘンズレーソロバージョンだとしても、どうしたってデヴィッド・バイロンが歌い、ユーライア・ヒープが演奏している「Proud Words on a Dusty Shelf」の方が数百倍カッコ良いのは、だからこそケン・ヘンズレーがユーライア・ヒープを離れなかった理由だろう。そうして聴くとケン・ヘンズレー一人の才能だけではユーライア・ヒープは当然成り立たなかったのも分かるし、あのリズムやノリ、バンドの妙なスタンスは狙ったものでなく、メンバーの化学反応によるスタイルだったと納得。本作はゲイリー・セインお披露目アルバムだったハズだが、それすらも普通に昔からメンバーとプレイしてたのだろうと思わせるかのような馴染みぶりを発揮しているし、前任のポール・ニュートンに負けず劣らずのランニングプレイがこれぞユーライア・ヒープのベースとばかりに弾きまくってくれているのもバンドの勢いを象徴している。

 オリジナルマスターからのリミックステイクで馴染みのある曲順でアルバムを聴き、その後には新ミックス長尺バージョンで新たに構築された「Demons and Wizards」を聴き、更にボーナストラックを味わう聴き方が出来る、他ではあまり類を見ないデラックス・エディションの作り方はなかなかユニークに気分一新で取り組めた一枚。当然ながら他の2作も同じような取り組みになっているので古き良きアルバムを新作的に聴ける味わい。しかしケン・ヘンズレーのハモンドや楽曲の美しさ素晴らしさにはホントに痺れるばかりの傑作。

R.I.P Ken Hensley






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フレ
Posted byフレ

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おーぐろ  

多少の善し悪しはあっても曲の構成とかアレンジとかは完成された感がありますねぇ
それでいて各プレイヤーのテクもふんだんに散りばめられているという

改めて聴くとプログレじゃぁないですよねぇ
当時の流行りでプログレに括られてたんだろうか

2020/11/09 (Mon) 04:59 | EDIT | REPLY |   
フレ
フレ  
>おーぐろさん

そうですねぇ、どうしてプログレだったんでしょうか…、単純なハードロックでもないしオルガン主体だったからでしょうね。曲構成がドラマティックだからとか…。

2020/11/14 (Sat) 23:19 | EDIT | REPLY |   

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