James Brown - Love Power Peace (Live in Paris 1971 Complete Edition)

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James Brown - Love Power Peace (Live in Paris 1971 Complete Edition)
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 自分の中では黒人系に手を出したのはつい最近と思っているが、過去のブログを紐解いてみると15年前には既にファンクには着手していてあれこれと気に入っている状況だったのかと時間軸にしてみると最低そこから15年は断続的に聴いていた事になる。そこからのブログを見ても年に数回は黒人系にチャレンジしてもいるので、それなりな回数や機会に色々と聴いていたようだ。15年と言えばそれなりにロックを聴いていた年数でも結構なものだし、それならもうちょっと詳しくキチンと語れるだろうとも思うが、そういう熱心な聴き方をしてこなかったのも事実。ただ、20代頃までの自分と比べれば断然黒人系に対する免疫も出来てるし、聴けてるしその意義や意味合いや面白さや音楽的なセンスの良さや高さも分かってきているから、それなりには成長しているだろう。ふと15年前の本ブログを見れば、大御所ジェームズ・ブラウンの発掘ライブ盤「Love Power Peace」を書いていた。このCDを買ったのは確か1993年頃だと思うので、その頃からこのカッコ良さには痺れていたのか。随分聴いてるキャリア長いじゃないかと改めて思い直すが、今でも明確に記憶しているのは、いつものようにフラリと某中古CDショップを覗きに入ると何故かロック屋さんなのにこのCDが流れていた。CD探ししながら段々と店内に流れているこのファンキーさが気になってきて、何だろう、どう聴いてもジェームズ・ブラウン的だが、ここまでファンキーなのは知らないし、とふとレジを見るとこの赤い文字がデカデカと書かれたJB作品で、なるほど、とその場で探して見つけて買った次第。とにかくここまでファンキーなのを聴いた事がなかったし、これこそファンクと言わんばかりの凄まじさが圧倒的で何度も何度も聴いてたし、それ以降今でもJB作品で一番好きなのはどれかと言われたらこのライブアルバムになる。それくらいにロックを超えるパワーとエネルギーが記録されてる一枚。

 1971年3月6日のパリのオランピア劇場で行われたライブを記録しており、当時LP3枚組でリリースする予定でしっかり録音されていたソースだったが、ご存知のようにこの頃のメンバー、ブーツィー・コリンズもキャットフィッシュ・コリンズもわずか一年でバンドから離脱してしまったため、このライブソースをどうするかと言う時には既に居なかった。だから故、当時はライブアルバムリリースを断念してお蔵入りとなってしまったらしい。時代は流れて1992年に突然にしてこのソースから幾つかの曲がオミットされてかなりの高音質でマスタリングも行いCD1枚ものとしてリリースされたのが自分が見つけたグレイトな一枚。つい先日までこのライブCDで楽しんでいたし、今でも同じだが、改めてこのライブアルバムを調べていると、2014年に元のソースから当時の規格通りにレコード3枚組の完全収録盤としてリリースされていたようだ。更に2016年のJB没後10年を記してこの完全盤ソースの2CD化が図られた事で今ではCD2枚組、もしくはデジタルDLで「Love Power Peace」としてリリースされているのが本作。実際1992年盤に未収録なのは3曲程度だったので、そこまでの拡張版でもないが、収録時間に余裕があるからかMC部分が長くなったりしており、幾つかの長尺部分も聴かれるようになってるから有り難い。音そのものは1992年盤とさほど変わらないが、それでも十二分に各楽器の音が分離されてはっきりしているのでとにかく素晴らしいライブアルバム。完全版を聴いてまた一層このライブアルバムがお気に入りになった次第だが、どこからどう聴いても、やはりブーツィー・コリンズのブリブリグイグイのベースのグルーブ感ドライブ感が強烈で、キャットフィッシュのギターのカッティングやスリリングさもこれほどドライブしながらそれが出来るかと言わんばかりのサウンドだし、更に輪をかけてのJBその人のファンキーさが強烈。逆にJBのファンキーさがここまで引き出されたのはこの面子の時くらいじゃなかろうか。他のライブやメンバーの時にはやはりJBが引っ張ってる感じが強いし、実際そうだっただろうが、このバンドの時は若手連中が自分たちの好きなように若気の至りと勢いでバンドプレイをしているから、それを抑えながら、抑えているようにしつつもJBも引っ張られてる、そんな構図が見えてくる。その若気の至りはここに留まらなかったからこそ自分たち自身で好きにやる方向に走ったのだろうし、これまで出てきた事のないサウンドへどんどん進化していった。

 JBにしてみればこれまでのバンドメンバーが全員謀反を起こして離脱、どうせなら若手にチャンスを与えると同時に自身も活性化を図る意味合いでこの面子だったが、意図はともかく、結果的には時代とタイミングの成せる技で瞬間的な奇跡が起きての大成功。しかもこうして記録が残されている素晴らしさ。自分も知らなかったがまんまその時のライブ映像も残されているようで断片的にYouTubeでも見られるのは驚いた。こういう風に演奏されていたのか、JBの雰囲気はこうなってて若手連中はこういう雰囲気でやってたのかと分かる。想像しか出来なかったビジュアル面がこうして見れるのは素晴らしい時代になった。それにしても冒頭からホントにこれ以上はないだろうと言うくらいのブリブリグルーブ感、「Intro - Brother Rapp」から「Ain't It Funky Now」の流れは誰も勝てない。こんなグルーブ感は他の誰も出せない、そう言い切れる程の凄さ。そして「Georgia On My Mind」への正に古き良きJBのもつソウルミュージックへの流れ、このパターンが繰り返されるが、それぞれの曲の中でもファンキー感が凄いから同じことの繰り返しなど誰も思わない。ファンキーからソウル名曲を歌い上げる、そして超絶ファンキーに繰り返し盛り上げる。偉大なるファンクは同じフレーズを何度も何度もジャストに奏でる事だ。そして一拍目だけは必ず合わせること、それこそがファンクの「The One」。そして「Sex Machine」以降の流れはもう悶絶強烈の嵐しかない。これぞ求めていたファンク、これこそファンク、世界最強のファンク。さすがにこの凄さはロックでは勝てない、いや土俵が違うから比べ物にはならないが「Super Bad」のグルーブ感などはもう有り得ないレベル。この辺りは曲の始まりもリプライズもメドレーもアドリブも全て入り混じっててどうなってるのか分からなくなるが、そういう作り方仕上げ方、繋げ方を繰り広げていったのはJBだろう。とにかく凄い。ライブの冒頭から惹き込まれ、中盤のソウルフルな歌唱にも感動し、以降の超絶ファンキーサウンドで我を忘れての白熱ぶりを楽しめる。ライブアルバム数多しと言えども、JBの中だけでなく世界中に存在しているライブアルバムの中でベストに入る最高の記録。しかもそれが完全版で収録されており、こうして今の時代でもきちんと聴けるのは本当に有り難い。そしてロックファンだろうと何ファンだろうと音楽を聴いて楽しみたいならば耳にしてほしいと思う。正に「Soul Power」、Mr.James Brown!







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フレ
Posted byフレ

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