The Michael Schenker Group - Rock Will Never Die (Remastered)

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The Michael Schenker Group - Rock Will Never Die (Remastered) (1984)
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 1984年のとある日にレコード屋に行くととてもカッコ良いジャケットがデカデカと飾られていてそれだけでロックスターの虜になるくらいのインパクトがあった。ギターってカッコ良いなぁ、こういう風に弾けたらカッコ良いだろうなぁと子供心に憧れを覚えた頃に見たから、それだけで欲しくなって欲しくなってなんとか買って手に入れて何度も何度も聴いたし、ギターを手に入れてからも何度も何度も弾けないものかと挑戦しては挑戦して、結局ギターを弾く才能はなかったのだろう、今でもきちんと弾けないと思う。今更、かもしれないが。その後ビデオが出てる事を知るけど当時ビデオソフトは1万円くらいしたので当然手に入れられるハズもなく、今度はレンタルビデオ屋を駆け巡ってみる事を思い付いてひたすら何件も探し回ると一件だけこのビデオを置いている店があって、散々悩みまくって会員になった。何を悩んだかと言うと借りても一度見てオシマイになってしまうので、なんとかダビングしたかったが、当時ビデオのダビングはかなりハードルが高くて、少なくともビデオデッキが2台なければ出来ないし、まだビデオデッキが一般に普及し始めたばかりの頃に2台もある家があるハズもなく、それでは誰かから借りてと言うには家族のものだから簡単でもなく、悩んだ。そして店にまた入ってみるとダビングサービスしていて、これがまた1時間3千円くらいしたのかな、ビデオテープも一本千円くらいで、中高生からしたら無茶苦茶カネかかる話で、それなら他にレコード買うなり借りるなりした方が良いとも思うし、それでもとにかくこのカッコ良さそうなライブ映像を何度も見てみたい、一体どんな風に弾いているのか知りたいとの欲求との戦い。結局会員になってダビング依頼して半日待って入手した青い頃の思い出。

 The Michael Schenker Groupの1983年ロンドンのハマースミス・オデオンのライブの記録「Rock Will Never Die」はレコードでは9曲入で、ビデオは「Courvoisier Concerto」なるギターインストと「Armed and Ready」が多くて11曲バージョンだったのでそればかり聴いては見てなるほど、そのヘンのポジションで弾いてるのか、と分かりつつもとてもともてどうやって音が鳴っているのかさっぱり分からなかったし、何と言ってもあのトーンが素晴らしくて痺れまくってた。今聴いてもあのトーンコントロールによるマイルドなサウンドは溜飲を下げながら聴いているくらいに美しくも素晴らしい音色だと思う。だからこそマイケル・シェンカー教信者が世に多数溢れているのだろうが、分かる。しかもここまでリズムも音程も正確に弾きこなすプレイヤーも多くはないだろうし、とにかく「神」だった。冒頭の「Captain Nemo」からしてもう何が何だか分からない。どうやってここまで指を動かさずにこのフレーズやリフが弾けるのか、しかもメロディアスで美しく鮮烈に印象に残るギターフレーズばかりで口づさめるレベル。もう完全に虜になってハマりまくって聴いて見ていた。ラストの「Doctor Doctor」で知らないおじさんが二人乱入してきて、歌う人がとにかく歌が上手くて、これまで聴いていたボーカルとは雲泥の差のある歌声にも驚いたが、それこそクラウス・マイネその人。笑っちゃうくらいに歌の巧さが違うのはさすが、ゲイリー・バーデンとも言える。一方大人の事情的にはデレク・セント・ホルムスがサイドギター兼コーラスで無理やりツアーに参加させられており、マイケル・シェンカー側はあまり良い気分ではなかったようなのか、メンバー紹介コーナーでも紹介しないという暴挙。どういう扱いだったのかがよく分かるが、元々テッド・ニュージェントと一緒にやってた人が丁度仕事が無い時期に、マイケル・シェンカーがアメリカ進出の交渉している最中とりあえず仕事として連れて行ってくれとの事で止む無く受けたらしいが、だからこそアメリカでの「Built to Destroy」が無事にリリースされ、且つ有名プロデューサーのジャック・ダグラスの制作も取り付けられたとのお話。ちなみにこのライブアルバムもジャック・ダグラスのプロデュースだからか見事に聴きやすく纏められているのは確か。

 2009年にMSGの旧譜がボーナストラック付きで再発される際に、本アルバムはロングバージョンとしてリリースされ、これもまた狂喜乱舞で入手して久しぶりに何度も何度も聴いていたが、しばらくすると今度は4CD+1DVDボックス「Walk the Stage: The Official Bootleg Box Set」がリリースされ、こちらには本ライブビデオのロングバージョンが収録されているとの事でこれもまた同じように入手してこれまで見れなかった「Cry For The Nation」「Rock You to the Ground」「Courvoisier Concerto」「Red Sky」「Looking for Love」の映像をたっぷりと楽しんだ。中でも「Red Sky」はかなり好きな曲だったのでライブでマイケル・シェンカーが弾いている姿を見れたのは嬉しかったが、そんな事で何度も追いかけて自分的歴史的名盤名ライブと位置付けている傑作はやはり想い入れたっぷりで楽しくじっくりと聴いて見てしまう。今回もまたロングバージョンの映像を見ながらのレビューを書いているが、さすがに古い映像だと思う反面ナマナマしくてMSGのカッコ良さを再認識、そして何と言ってもマイケル・シェンカーのフライングVのプレイの美しさに何度でも惚れ惚れして見てしまう。更にクリス・グレンやテッド・マッケンナの若かりし勇姿もなかなかカッコ良いし、ゲイリー・バーデンに至っては生き生きしていて正にライブバンドと納得する姿。印象的なのはマイケル・シェンカーが笑顔でバンドメンバーと意気揚々とライブを繰り広げている表情で、今でもこの頃のメンバーを呼び寄せてやってたくらいだから恐らくマイケル・シェンカー的にも想い入れが強かったのだろう。だからこそライブの出来映えも勢いあるし伸び伸びしているし正に絶頂期が記録されていて良かった、そして自分もその時にリアルで体感していたのもラッキー。

 YouTube見てるとアマチュアでもこの辺の曲もサラリと弾いている人がいて、上手い人は上手いし弾ける人は弾けるのかと才能の違いを実感する場面も多いし、今どきのメタルギタリスト達とも明らかに異なるのはグイグイとドライブするギタープレイだと言うあたりか。正確性やテクニックや難易度は今の時代でも先に進んでいるギタリストは多いし、アマチュアでもそこまで出来ている人も多いが、その前にロック的なグルーブ感やドライブ感があるかないかでヘヴィメタルとロックの違いが出てくるのはあまり認識されていないようだ。自分的にはロック的側面が強くないとあまり好まないのでどうしてもマイケル・シェンカーのようなギタリストに軍配が上がるが、その意味ではこれからこういうギタリストが出てくる確率も少ないかもしれない。それでも良いがこの歴史的傑作ライブ映像と音源をこれからも存分に楽しもう。



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フレ
Posted byフレ

Comments 3

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おーぐろ  

この頃はマイケルが一番充実していた感がありますねぇ 
ライブにもその余裕が現れている感じ 
メンバー的にも安定しているのでバンドとしての演奏も最高 
ゲイリーは・・・アレは味です(笑 

デレク・St・ホルムズは完全にサポート扱いになってますね 
サイドギターが必要ない曲では下がってるし・・・ 
つか、ポール・レイモンドがいればキーボード&サイドギターがひとりで済んだのに(笑 
個人的にはエアロのブラッドと演ってた Whitford/St.Holmesとか好きです 

2020/10/31 (Sat) 09:40 | EDIT | REPLY |   
おーぐろ  

あ、映像を改めて見たらI'm Gonna Make You MineのAメロがSt.ホスムズだった 
アルバムで聴いてたトキは気にもしてなかった(笑 

2020/10/31 (Sat) 09:46 | EDIT | REPLY |   
フレ
フレ  
>おーぐろさん

あ〜、自分も映像見て、この人高音担当で歌ってたのか、と(笑)。

2020/11/02 (Mon) 17:46 | EDIT | REPLY |   

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