Rick Derringer - All American Boy

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Rick Derringer - All American Boy (1973)
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 アメリカン・ロックの流れは自分ではまるで整理できていないし、そこまで探求していくつもりもないから普通に人脈関連での流れを多少追いかける程度だが、それでもユニークなものだと思うクレジットを見かける事もある。今回もエドガー・ウィンターやジョニー・ウィンターからすればリック・デリンジャーのソロ作もあったなと思い出して聴いていたら、そこにパティ・スミス作詞のクレジットを見つけてしまった始末。その前にはドラムにボビー・コールドウェルの名もあるので英国比重の高いバンド、キャプテン・ビヨンドやアルマゲドンとの関連もあるが、リック・デリンジャーの作品でも叩いていたとは知らなかった。そんな面白さを秘めていたのも発見されたのでそりゃ聴くしかないだろうと。

 Rick Derringerの1973年初ソロアルバム「All American Boy」。やはりジャケットのセンスが残念なのはアメリカン・ロックの象徴でもあるが、冒頭から「Rock'n Roll Hoochie Koo」の軽快なサウンドが流れてきて、そりゃもう聴きやすいし脳天気なR&Rそのままで綺羅びやかなので飛びつきたくなる音だ。他の人がやるともうちょっと重みのある曲になる気がするが当の本人のプレイとアレンジだとここまで普通に軽やかになるのかと少々意外な気すらするが、これが本家本元。ジョニー・ウィンターのライブアルバムの方が先にお目見えしたらしいが、リック・デリンジャーの名は既に知られていたのか、単純に宣伝効果となったのかもしれない。アルバムを立て続けに聴いていくと、同じような曲調がまるで見当たらず、バンジョー風味もあり軽快なポップスもありとリック・デリンジャーの溢れ出てくる才能そのままを詰め込んだ聴いていてバラバラなごった煮的な傑作アルバムと言える。はじめてのソロアルバムなので、やれる事を全部詰め込みたかったのだろうか、その分アルバムとしてのまとまりは全くなくなっているが、アメリカンな軽やかサウンドが見事。そして「Hold」ではパティ・スミスの歌詞が披露されてのリック・デリンジャー楽曲、さすがに重みの漂う歌詞を聴かせるかのような作風だが、リック・デリンジャーの声が軽いので、さらりと流れる静かな作品に仕上がっている。

 それにしてもユニークな作品だ。ジョー・ウォルシュも参加しているようだが決して目立たないし、ボビー・コールドウェルのドラムはさすがに美しくうますぎるからぴったりとハマっているし、とにかくアルバム全編の軽やかでハネるリズムとさらりと流れる風味が凄い。終盤の流れなどは後のフュージョンをイメージするかのような軽快さを持っているので、この人ロックンローラーなどとの触れ込みは不要だったのだろうと思う。真から才能溢れるミュージシャンな姿をここでは披露しまくっている見事なアルバム。これならもっと前にじっくり聴いておけば良かったと思うナイスな作品。







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フレ
Posted byフレ

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もうすぐ還暦  

リック・デリンジャー、来ました!「ウインター・ファミリーの人ね」で片づけられて、不遇ですよね〜。このアルバムだとTeenage Queenがいい味だし、Time Warpは初期JOURNEYみたいなプログレテイストで、多彩さを感じさせます。"Guitar And Woman"に入ってる'Don't Ever Say Goodby'は美メロ&ギター弾きまくりでカッコよすぎ("Spring Fever"収録曲の再録だけど、こっちのバージョンのほうが好き放題やってて気持ちいい)。もっと評価されてほしいなあ。STEELY DANの"Aja"にも参加してるのに。

2020/10/15 (Thu) 02:37 | EDIT | REPLY |   
フレ
フレ  
>もうすぐ還暦さん

「Aja」の参加も知らなかったですねぇ…、これだけの才能だから引っ張りだこでもおかしくないでしょう。

2020/10/17 (Sat) 16:06 | EDIT | REPLY |   

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