Robert Wyatt - Old Rottenhat

0 Comments
Robert Wyatt - Old Rottenhat (1985)
B00NWU1J5K

 不遇の目にあったミュージシャンもこれだけ長く色々見ているとそれなりの数が知られているが、多くは忘却の彼方に葬られ、また本人も活動しなくなるので当然そういう存在になっていくが、何人かは生還して活動再開したり、世界観が変わった状況を作品にしたりもしている。人間で表現する才能がある人なら当然だろうし、それに共感するリスナーも多いだろうし、それが仕事だから再起したとも言えるし、また人に知られるのもしょうがない商売だからと色々あるが、総じて継続こそ力なりの部分も大きいのだろう。それは何事に於いても同じだろうし、普通に全うに生きててもそうだし、たまたま見れるところにあるから改めてそう感じるだけかもしれない。

 Robert Wyattはその意味で実に珍しい、と言うか不遇と言えどもその才能はきちんとシーンに残されている人だ。ソフツのドラマーとボーカリストとして知られているが、ソフツ脱退後にマッチング・モウルを結成してアルバムリリースした後にレディ・ジューンのアパートで行われたパーティで酔って階段で足を滑らせて下半身不随の重症を負い、そのままシーンから消え去るかと思われたが、そこがカンタベリーシーンのふわふわ感と同じく心優しい村の雰囲気と言うのか、皆が皆ミュージシャンとしてのロバート・ワイアットを求めて来ては再起を促し、ドラムが叩けなくなっただけで、元々のボーカリスト面や作詞作曲能力や音楽センスには何も影響ないだろうとの事で再起。当然ながら作風は大きく変わっているが、それは聴いている側の勝手な解釈かもしれない。元々心に染み入る歌声の持ち主だし微妙な旋律のメロディを歌う人だったから、ちょっと研ぎ澄まされただけ、とも言える。

 1985年にラフ・トレードレーベルからリリースされたソロアルバム「Old Rottenhat」はオリジナルアルバムとしては10年ぶりの作品で、多分全て本人が演奏して歌っている、真のソロアルバムに近いのだろうと思われる。ドラムは入っていないから、パーカッション的な音で代用しつつシンセサイザーとベースや鍵盤がならされている程度の宅録かもしれない。その意味ではニコのこの頃の作品に似た雰囲気はあるが、その前までは映画のサントラや実は英国では売れたらしいエルヴィス・コステロ作曲のシングルなどもあってアルバムは幾つか出ていたがカバー集や編集盤だったようだ。それでも知らなければ普通に聴けてしまっただろうが、本作はその意味では一段落してのソロアルバム制作となり、改めて悟り切った感じのする作風に聴こえてしまうのはやはりこの人の声質に依るところが大きいと思う。





関連記事
フレ
Posted byフレ

Comments 0

There are no comments yet.

Leave a reply