Soft Machine - Breda Reactor

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Soft Machine - Breda Reactor
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 プログレッシブ・ロックと言えばクリムゾンやEL&P、ジェネシスやイエス、フロイドの名が挙がり、ちょっと深掘りしてもムーディー・ブルースやプロコル・ハルムあたりが出てくる程度が一般的な範疇だろうと思っているが、もうちょっと入ってみてもソフト・マシーンやキャラバンのようなカンタベリー系は出てこないように思う。やはり何かのきっかけがないと進みにくい世界だろうし、それは何なのかとなるとこれも難しく、今となっては道標が何処にあるのかすら不明な状況な気がするがしっかりと若い世代にも聴かれているのだろうか。知ってるリスナー向けに幾つもの発掘音源が続々とリリースされてそれはそれで喜ばれていたが、最近の状況までは把握仕切れていない。

 Soft Machine発掘ライブ名盤、迫力のライブアルバムとして語られる事の多い1970年1月のオランダ公演がメンバーか関係者によって録音されていたらしく、ブライアン・ホッパーの手元にあったテープから2005年になりCD「Breda Reactor」としてリリースされて陽の目を浴びている。音質は決して良い状態とは言えないが、音が揺れる事はなく固定的なバランスで聴けるのでリリースに踏み切れたのだろう。その分ヒュー・ホッパーの歪んだベースが凄まじく、ラトリッジのクールに見えるくせにとんでもなく目立つ鍵盤と共に大いにソフツのアグレッシブなライブの姿を楽しめる、どころか迫力に息を呑む白熱のライブに出会える素晴らしきライブ盤。その分ロバート・ワイアットのドラムや歌が引っ込み気味になってしまっているが、この時点で既にボーカルパートの不要さが顕著になり、ワイアットのドラミングも他の楽器陣営のインプロビゼーションとは異なり勝手なプレイに始終しているようにも聴こえてくるので、バンドの方向性には疑問を抱いていたり、悩ましげな部分もあって叩いていたのだろうかとも思える。

 時期的にはセカンドの「Volume 2」とサード「Third」の間のライブで、リン・ドブソンがフルートでも参加している貴重なカルテット時期のライブで、数年前までカンタベリーのジャズポップシーンで、などと書いていた面々がここまでフリージャズに舵を切ってプレイしている姿は想像も付かなかっただろうし、メンバーもそう思ってなかっただろう。それでもこの音だ。更にバンドはアルバムの音から随分とかけ離れた音楽をプレイしているからクリームあたりよりもぶっ飛んだ世界を進めているとも言えるか。ものすごい才能と熱気とセンスが詰め込まれた恐るべきライブの記録。テープはチョコチョコとぶった切れているから作品としてはどうしようもないが、これだけの迫力が残されている事の方が貴重で歴史的だ。古いロックバンドのインプロビゼーションを少しでもかっこ良いと思うならばこの演奏は是非とも聴いておきたい。曲を知っている知らない、バンドを知っているという次元を超えてロックとはこういうものだ、と叩きつけてくれる、が、彼らはロックを演奏している気はサラサラないだろうところが面白い。ジャズメンになりたくて電子楽器で遊び始めてバンドを結成してフリーに演奏していたらここまでの熱気になってしまって、やってるスタンスはジャズだが出てくる音がロックになってる。しかし凄まじい記録としか言えない。





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フレ
Posted byフレ

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