Slapp Happy/Henry Cow - Desperate Straights
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Slapp Happy/Henry Cow - Desperate Straights (1974)

時間に追われながら生きていたほんの少し前までの世界、そして今は割と大らかでゆったりとした気分で生きている気がする暗黒の時代。良いも悪いも色々あるが、自分の時間をたっぷりと取れる、それが継続する事で精神的なゆとりを得られて色々なことをじっくりと考えて出来る。音楽を聴くにも忙しい中で聴くのでもなく、割とじっくりと向き合って聴ける、そんな当たり前の姿に立ち戻れているし、本来の音楽やアルバムへの取り組みはそうだったなと苦笑いしながら幾つものアルバムを聴き漁っている。新しい刺激もあれば再発見する楽しみもあり、既にン十年も聴いてなかったアルバムもあるが、それらを見つけては聞き直す面白さもゆとりがなければ出来なかっただろう。このブログも15年続いているが、そろそろまた原点回帰してそれこそ以前の自分が聴いていた印象とはまた異なる感触を持つ作品も多いだろうとも感じるので、そんなストーリーラインを考えてもみるか。
Slapp Happy/Henry Cowの融合作となった1974年リリース作「 Desperate Straights」を随分と久々に聴いているが、今聴き直してみればここまでアヴァンギャルドだったかとの印象と共にケイト・ブッシュを好きなリスナーなら必ず気に入る、どころか深くハマりまくるアルバムなので未聴のその辺りの方には是非ともオススメしたい一枚。はっきり言ってその面から聴くと名盤でしかない。ボーカルにはドイツ人のダグマー・クラウゼのコケティッシュな可愛らしくも妖しげな声が普通に歌として、普通と言うかケイト・ブッシュ的な歌が入り込み、その意味では実にポップ感覚溢れるキッチュな風味。それを支えるのがヘンリー・カウのチェンバージャズアバンギャルド集団の演奏なので普通にリズムがあってのポップにはならない。これほど妙な質感のポップは他では見当たらず、ケイト・ブッシュよりも先にケイト・ブッシュ的な音を出していたアルバムと言う方が今は認識しやすいだろう。そりゃアプローチは全然違うからそういう表現も異論はあるだろうが、パッと聴いて持てるイメージはそんなところ。
ちょっとロックやプログレやカンタベリーシーンに触れてしまった人にはヘンリー・カウは物凄くハードルの高いアヴァンギャルドバンドとの印象が強いが、一方のスラップ・ハッピーはこれまた妙なポップバンドながらもアヴァンギャルドなイメージもあるから掴みにくい、すなわちとっつきにくさがあるが、何の前知識もなく、アルバム冒頭からすんなりと聴けば不思議な浮遊感とポップ感、そこに妙なムードが漂うバンドの音と案外取り付きやすい音楽に気づける。ヘンリー・カウのバンド・サウンドだけになるとそのふわふわ感がもっと大きくなるが、ダグマー・クラウゼの歌がそれを更に空へ連れて行ってくれるので美しい。音的には明るいと言うよりもどこかネジの外れた明るい雰囲気を感じるが、決して正常なものではないのは本能的に実感するだろう。随分とユニークで刺激的、且つロック的に重要な融合作とも位置づけられる作品なので一度は耳にしてその雰囲気を楽しんでほしい。三拍子はあるが妙ちくりんなリズムはなく、実に軽快にスラップ・ハッピー連中が軽やかなムードを出し、ヘンリー・カウ陣営が普通ではありえないアレンジやコード進行でバックを固めている、普通のポップスですら妙に聴こえてくるのは突出した音楽集団の証。

時間に追われながら生きていたほんの少し前までの世界、そして今は割と大らかでゆったりとした気分で生きている気がする暗黒の時代。良いも悪いも色々あるが、自分の時間をたっぷりと取れる、それが継続する事で精神的なゆとりを得られて色々なことをじっくりと考えて出来る。音楽を聴くにも忙しい中で聴くのでもなく、割とじっくりと向き合って聴ける、そんな当たり前の姿に立ち戻れているし、本来の音楽やアルバムへの取り組みはそうだったなと苦笑いしながら幾つものアルバムを聴き漁っている。新しい刺激もあれば再発見する楽しみもあり、既にン十年も聴いてなかったアルバムもあるが、それらを見つけては聞き直す面白さもゆとりがなければ出来なかっただろう。このブログも15年続いているが、そろそろまた原点回帰してそれこそ以前の自分が聴いていた印象とはまた異なる感触を持つ作品も多いだろうとも感じるので、そんなストーリーラインを考えてもみるか。
Slapp Happy/Henry Cowの融合作となった1974年リリース作「 Desperate Straights」を随分と久々に聴いているが、今聴き直してみればここまでアヴァンギャルドだったかとの印象と共にケイト・ブッシュを好きなリスナーなら必ず気に入る、どころか深くハマりまくるアルバムなので未聴のその辺りの方には是非ともオススメしたい一枚。はっきり言ってその面から聴くと名盤でしかない。ボーカルにはドイツ人のダグマー・クラウゼのコケティッシュな可愛らしくも妖しげな声が普通に歌として、普通と言うかケイト・ブッシュ的な歌が入り込み、その意味では実にポップ感覚溢れるキッチュな風味。それを支えるのがヘンリー・カウのチェンバージャズアバンギャルド集団の演奏なので普通にリズムがあってのポップにはならない。これほど妙な質感のポップは他では見当たらず、ケイト・ブッシュよりも先にケイト・ブッシュ的な音を出していたアルバムと言う方が今は認識しやすいだろう。そりゃアプローチは全然違うからそういう表現も異論はあるだろうが、パッと聴いて持てるイメージはそんなところ。
ちょっとロックやプログレやカンタベリーシーンに触れてしまった人にはヘンリー・カウは物凄くハードルの高いアヴァンギャルドバンドとの印象が強いが、一方のスラップ・ハッピーはこれまた妙なポップバンドながらもアヴァンギャルドなイメージもあるから掴みにくい、すなわちとっつきにくさがあるが、何の前知識もなく、アルバム冒頭からすんなりと聴けば不思議な浮遊感とポップ感、そこに妙なムードが漂うバンドの音と案外取り付きやすい音楽に気づける。ヘンリー・カウのバンド・サウンドだけになるとそのふわふわ感がもっと大きくなるが、ダグマー・クラウゼの歌がそれを更に空へ連れて行ってくれるので美しい。音的には明るいと言うよりもどこかネジの外れた明るい雰囲気を感じるが、決して正常なものではないのは本能的に実感するだろう。随分とユニークで刺激的、且つロック的に重要な融合作とも位置づけられる作品なので一度は耳にしてその雰囲気を楽しんでほしい。三拍子はあるが妙ちくりんなリズムはなく、実に軽快にスラップ・ハッピー連中が軽やかなムードを出し、ヘンリー・カウ陣営が普通ではありえないアレンジやコード進行でバックを固めている、普通のポップスですら妙に聴こえてくるのは突出した音楽集団の証。
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