Soundwalk Collective / Patti Smith - Killer Road

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Soundwalk Collective / Patti Smith - Killer Road (2016)
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 ここの所時間的ゆとりや精神的ゆとりが出てきたからか、元々興味のあったほんの少しの芸術的空間の構築に着手してみようかと幾つかアイディアを練っている。そう書いても何の事やらとの話だが、例えば部屋の模様と言うか、壁面アートや家具も含むトータル的な空間演出的な部分をじっくりと出来るだけ上手く創り上げてみたいと思ってて、アマゾンなり何なりで色々とそういうのも探していたり、どこかに出掛ければ普段はまるで見ても面白味を感じないショップでも小物から大物までイメージを膨らませて見る視線を持ったりとなかなか面白い。果たして自分がどういう色合いや形、オブジェクトを求めているのか自分では創れないから分からないが、何となくのセンスで、こういうのかな、これじゃないな、と峻別して探っているので時間がかかる。有限の空間での演出なので無駄にも出来ないし、そこにトータルコーディネイトも入ってくるしチマチマとなかなか大変な道楽。

 Patti Smithの何か、と決めて探してみると面白そうなアート作品に出会えた。しかもNicoへのトリビュート作品だから恐れ入る。あのパティ・スミスがニコへの慕情を語るなど、当然同じニューヨークでアンダーグラウンドシーンに入り浸っていたニコとの邂逅をパティ・スミスは持っていたかもしれないので不思議さはないが、こうして出てくるとどこかシミジミと感じてしまう両者の共通項。ニコは決して詩人ではなく、芸術家に近い存在だったが、それでも選ばれる言葉はアーティスティックだったと思う。それをパティ・スミスの目から見たらどう思えたのだろう。その両者を繋いだのがパティ・スミスの娘のジェス・パリスと言うのもユニークな展開で、彼女が所属するアート集団Soundwalk CollectiveがPatti Smithと組んでリリースした最初の作品が2016年に「Killer Road」として発表されている。不思議さと期待感満載で聴いてみたらこれがなるほどコマーシャルとは無縁なアートの世界、それでも本来パティ・スミスがやってみたかった世界だろう事は容易に分かる作品と納得。

 ニコの書いた未発表の歌詞や詩をパティ・スミスが朗読する、そのバックに流れる音響空間の構築はSoundwalk Collectiveが担っており、その音世界はニコが生前に後期の自身のアルバムで好んで創り上げていた音響空間に近く、雰囲気とムードはそのままにパティ・スミスが語っている。2016年のパティ・スミスの話す声なので当然低い声で囁かれており、それはまるでニコの話し方にも通じるものがあり、その共通性も本作品を親しみのあるアート作品に仕立て上げているように思える。正直音楽的に聴いていて面白い作品ではないし、ポップミュージックでもないが、ニコやパティ・スミスに思い入れがあり古きニューヨークのアンダーグラウンドシーンにアートセンスを求めるリスナーには心地良さが味わえるアルバムとなるだろう。





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フレ
Posted byフレ

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