Sonic Youth - Evol

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Sonic Youth - Evol (1986)
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 新しい刺激に出会った時はそれに惹き付けられるか拒絶するかの反応があるが、多くは拒絶を選ぶのが歴史の証明。それでも改革は進み結果的には少々時間はかかるが時代と共に進化してしまうのが世の常。故に新しいものに抵抗の少ない若者を中心に時代が変化していく事が通念的だが、あまりにも衝撃が強いと例え若者でも拒絶を選ぶ場合も多いだろうし、その意味では変化に慣れてきた年輩の方が変化を変化と認識して受け止められるのかもしれない。Sonic Youthとの出会いは自分的にかなりインパクトがあり、理解を超えた所でのイズムを理解したくなった、と言うのかそのままでは受け止め切れなかったと言うのか、あまりにも革新的だった。

 1986年リリースのSonic Youth4枚目のアルバムとなる「Evol」はまだ自主制作時代のアルバムなので、メジャー路線の確立したサウンドにはなっておらず、もっとインディーの素人臭さのような雰囲気が漂いまくっている。それでもやろうとしている事ややっている音世界はこの時代としては明らかに唯一無二のアンダーグラウンドサウンドで、後のシューゲイザーとも呼ばれるノイジーな世界もあれば淡々としたノイズのようなサウンドも聴かれる。たとえとしてはヴェルヴェット・アンダーグラウンドの現代版、進化版としても呼ばれる部分があり、なるほど言い得て妙だとも思う。NYパンクの行き着く先、ノイズサウンドの始まり、パンクだろうか、それとも芸術か、と様々なムードを醸し出し、それらを音として自分たちのアルバムに入れてなんとなく後のSonic Youthらしいサウンドの原型、基礎を作り上げたアルバムとも言われるが、確かにそういう片鱗は漂っているし、更に若さ故の熱さ、思い入れが詰め込まれているからアルバムの出来がどうの、よりもそのマインドのボルテージの高さが凄い。

 Sonic Youthがメジャーになった時に知って、その後この辺も後追いで聴いたが、その時はいまいちよく理解し切れなくて面白味を感じなかったので、今回久々に引っ張り出してみて、ここまで鋭利で繊細ながらも不器用に熱さを物語っているスタンスに痺れたのが本音。リアルタイムでこのアルバムに触れた人は音楽的なセンスが鋭いと思うし、それこそロックかもしれない。この異様なテンションの高さはなかなか他では味わえない、ましてやアメリカの音ではほぼ聴かれない貴重な姿だし、さほど騒がれる事もないアルバムだろうが、正しく芸術家の作ったアルバムと言えよう。名盤。



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フレ
Posted byフレ

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