My Bloody Valentine - EP'S 1988-1991

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My Bloody Valentine - EP'S 1988-1991
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 現在も同じだろうが英国の音楽シーンは常にどこかで最先端の融合サウンドや革新的な試みが行われている世界があって、どこかで誰かがそのシーンの代表的なバンドを取り上げてシーンに浮上してくる場合が多い。だからこそ英国ロックシーンとも言われるが、脈々と必ずそういうのがあるので、遥か遠くの日本にいては気づかないかもしれない。それでも敏感なリスナーたちが必ず目を付けて日本にも紹介してくれるのでアンテナを巡らせていればどこかで引っ掛かるだろう。ただ、それは本人の好みやセンスとは別の話なので、だからと言って飛びつくばかりでもないのは当然でもある。

 My Bloody Valentineが2012年になりようやくリリースしてきたシングル&未発表曲集作品「EP'S 1988-1991」。半ば伝説化されていて、リアルタイム時にも通ってきた自分的にはどうしてそこまで伝説化される?と不思議に思う部分もありつつ、後世になればなるほどそのアングラ臭とノイジーな個性が際立ち、また単にアンダーグラウンドのシーンの雄なだけでもなく、きちんとメジャーシーンでそれなりにセールスを放っているのだから知名度もあし、支持も高い実績からして面白い。普通こんなノイジーなの売れないだろうし、よほど上手くシーンに馴染んだセンスが鋭いリスナーに届いたとしか思えず、案外鋭いリスナーも多かったようだし、後のミュージシャンにもほとんど影響を与えている事からしても、尖ったセンスのバンドだった事は疑う余地もない。そんなマイブラのシングル集は、アルバムとは被らない楽曲ばかりなのでもうひとつのアルバムとしてきちんとリリースが望まれていつつもなかなか実現せず、ここでようやくお目見えしたようだ。

 改めて聴いてもやはり昔通りに音の悪い中でのノイズがひたすら垂れ流されるような印象で、決して優れたバンドのロックサウンドではない。しかし、これだけのノイズを放つ中でクールなメロディラインを流され、ギターソロがあるワケでもなく、どう聴いてもニューウェイブ的発展形は英国ならではのミックス技でしかないし、唯一無二の個性で、この頃にはシューゲイザー=うつむいて爪先しか見ていない連中と言うジャンルと呼ばれたようだ。内に籠もるためのノイズ、楽器、熱いノリなどは存在せず淡々とノイズに身を任せる浮遊感、その意味では絶大なパワーを誇るバンド、そのシングル集はアルバムを一枚聴くのとは大きく異なり、3〜4曲のシングルだからこそ出来る世界の寄せ集めなので、ある意味区切りもあって聴きやすいかもしれない。それでもこのノイズなのでポップに聴くわけにもいかないだろうが、その中での繊細な様相が伝わってくるあたりが面白い。今でも斬新なスタイルを見せつけるマイブラのサウンドはやはり常に刺激的。






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フレ
Posted byフレ

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