Sabaton - Heroes On Tour

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Sabaton - Heroes On Tour (2015)
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 ヘヴィメタルバンドと一言で言ってもその実、ヘヴィメタルはどんな音楽とも融合する事が出来て、その全てが新たなヘヴィメタルのサブカテゴリにすらなってしまうので、ひとつの音楽集団としての可能性をどこまでも広げている不思議な世界。それでいて凝り固まった超保守的なジャンルでもあって、ヘヴィメタルはこういうものだ、と曲げられない部分も必ず持っているので軟弱では成り立たないし、その分骨のある本物は普通に受け入れられる世界。どうにも不思議な世界だから宗教的ですらあるとも言えるが、それはリオやワッケンのライブを見ていれば分かるようにあながち間違った解釈でもなく、ヘヴィメタルは宗教のひとつだ。精神が高揚して皆でひとつの事で白熱して感動を分け合う、それこそヘヴィメタル。

 Sabatonはキャリアもそこそこのベテラン域に入っていてスウェーデンの重鎮バンドにもなっているし、ヨーロッパでは自身の冠を掲げてのイベントを主催するレベルのバンドだが、世界的にはここ何年でようやく認知されつつあるバンドと思われ、快進撃を果たしているバンドのひとつ。2015年のワッケンのライブの模様をライブアルバム・映像としてリリースするバンドは数多いが、本作は例に漏れずその類と自信のサバトン・オープンエアーのイベントでのライブの模様を記録したライブ集大成「Heroes On Tour」だ。このバンドはライブによって熱気やバンドのプレイが大きく差がある事もなく、そこはどうしたってボーカルのヨアキムの個性的なボーカルスタイルとどこまで行っても変わらない曲調がバンドを不動のスタイルにしている。メンバーが変わったり長くやってればそれなりに危機もあるのは当然だが、それを乗り越えて今でも活躍しているしこのライブを聴いている限りではそういうドタバタ劇は脇に置いといて単純に楽しめる。

 ヘヴィメタルバンドは個性が無いと成り立たないが、サバトンの場合はどこにあるのだろう?音楽的にはミドルテンポを中心とした往年のメタルスタイルとも言えるし、ハードロックとの融合とも言えるし、ギターソロが素晴らしいとも言えず、やはりボーカルの個性とバンドのスタンスがインパクトあるのだろう。戦争というキーワードに拘り続けたが故にミリタリーメタルなる唯一無二のメタルジャンルを築き上げ、ステージも各国の戦車が登場するし、歌詞も世界中のマニアックな歴史書から書かれているし、ファッションは当然迷彩服。こうなってくるとほぼアニメや漫画の世界に近くなるが、それこそが世界中のメタルバンドで起きている現象なので面白いし、それで個性を確立して人気が保たれているのも凄い。当然ながらその根底でレベルの高いメタルが奏でられている事が条件だ。その意味で良い音楽に出会わせるためのギミックながらもバンドの個性となる、不思議な世界。そう言いながらサバトン聴いて、見てると楽しめるのだから悪くない。漢な世界だ。







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フレ
Posted byフレ

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