Soul Power

0 Comments
Soul Power (1974)
B004IC3QQG

 ふとロックから離れた音楽を聴きたいと思うのは常にある事だが、その時にどんなジャンルに向かうかは悩ましく、自分の知ってる範疇内で聴いていく、または自分が知らない世界を聞いてみる、の2択になる。後者は知らない世界だから探さないとどういう音かすら分からないので難しいが、何となくそういう傾向だろう程度には知ってる範囲になるのが実態で、一方の前者はジャンル的には知ってるが深掘りしてない世界で、タイミングによっては妙にハマる事もあって面白い。そういう音楽を知るきっかけは様々だろうが、今回はアマゾンプライムにあった映画から。

 「ソウル・パワー」は1974年にザイールで行われた一大イベントの模様をドキュメンタリー形式で記録した映画で、21世紀になって初めてその映像がDVDでリリースされた。それまでは映画館での短期間の上映のみだったようだから、幻のフィルムだったようにも思えるが、「ザイール74」なるイベントで元々はモハメド・アリvsジョージ・フォアマンの世紀の一戦を前に、同じイベントプロモーターのドン・キングが仕掛けたザイールでの黒人のみの音楽祭だ。単にジェームズ・ブラウンとB.B.キングのネームバリューに惹かれて1時間半程度のドキュメンタリーに加えてのライブ映像なら見ておきたいとクリックしたが、思いの外、その2名のライブ映像だけでなく、凄い熱気とエネルギーに少々圧倒されてしまった。ジェームズ・ブラウンを軸に、モハメド・アリのビッグマウスも炸裂させ、次はB.B.キングを含めたプレイヤーのステージ裏で珍しい姿が幾つか見られるあたりは貴重だ。まだ黒人が迫害されている時代で、ジェームズ・ブラウンやアリがアメリカで黒人のパワーを見せつけているあたりは両者とも名を成しながらも根底に流れる黒人のプライド、差別に対する鬱憤が衝動的なエネルギーの源流となっている点が当然ながら見受けられる。他の出演バンドでも同じ思いだったろうから、クルセイダーズの白人ギタリストなどは居づらかっただろう。

 若きB.B.キングの白熱のプレイが素晴らしく、こういった音楽祭の中で一際異質なブルースプレイを聴かせてくれたし、ザイールのバンドやサルサ、アフロ、その他よく知らない民族音楽からの発展形な音楽が見れた、聴けたのは新しい刺激で、どうなってるんだこの歌?と思うようなのにも出会えたから有り難い。メジャーではないだろうが、そういう世界もあるのだな、そして聴いていると当然ながらポップ音楽とは異なり作られていないから自然に馴染みやすいし、音楽の源流でもあろうかと。そんな事を多々感じながら見ていると最後にJBの強烈なパフォーマンスで締め括られるが、やはりこの人は突出した存在感だ。単純にこういうパワーこそが70年代を彩り、ロックもポップもソウルも発展する時代で皆が皆社会背景に伴って作り上げていった証として味わえる。これまで自分的にはあまり触れなかった領域なので新鮮な刺激を受けた映画だった。

関連記事
フレ
Posted byフレ

Comments 0

There are no comments yet.

Leave a reply