The Kinks - Word of Mouth

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The Kinks - Word of Mouth (1984)
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 時代を斬った音楽の聴き方を味わうには当時のヒットチャートを追いかける手もあるが、ロック系はその辺には入らずに時代を創っているのでまとめてどうのと言うような聴き方がない。今ならもしかしたらiTunesやSpotifyでそういうプレイリストを作ってあるのかもしれないから探すのもアリか。そういう聴き方した事ないから探し方もよく分からんが、もしあればヒットチャートとは異なるロック的な時代の斬り方、しかもアメリカ編と英国編では大きく異なるだろうし、割と楽しめそうな気もするが、今回は先のドラマ「Vinyl」でも出てくるくらいだからアメリカでの知名度の高さを改めて感じたキンクスの存在感。Van Halen他多数がカバーしてアメリカでアルバムリリースしているのだからそりゃ知られているのだろうが。

 The Kinksの1984年リリースアリスタ時代最後のスタジオ・アルバム「Word of Mouth」。どういうんだろうか、エッジの立ったソリッドな作品で、ギターは当然全編歪んでいるがハードロックと言うのでもない。60sビートバンドがそのまま70年代を経由して80年代のニューウェーブ感を持ち込んでのハードロック的作品で、シャープな音とビートが心地良い傑作。ただしアルバムのドラムを含めた音色は80年代らしい中途半端なデジタルチックなサウンドで、その辺りは作品の良し悪しとは関係なく時代性を物語る音に仕上がっている。本作よりもそのちょっと前にレイ・デイヴィスが英国のテレビ用に作り上げた「Return to Waterlo」のサントラの方が全然良い出来映えとも思うが、本作はキンクスの作品。それでもミック・エイヴォリーはレコーディング途中でクビになってしまって、急遽ボブ・ヘンリットを迎えて完成させているからかアルバム的には確かにややバランスが悪い印象もある。その前はデイヴ・デイヴィスが辞める辞めないの騒ぎもあったし。

 そう言ったドタバタ劇が幾つかある中で出来上がった作品だが、アルバムを聴くとさすがにレイ・デイヴィスのソングライティングの天才さ加減は見事で、どれもこれもキンクスらしい美しいメロディに少々ヒネた感のある歌詞にうっすらとした影のある風味、それを最新のアレンジとサウンドでポップに包み込んでいると思えば良い。装飾はさほど気にする事なくアルバムを聴いていれば名曲の数々が埋もれている事も分かるだろう。パンキッシュなスタイルもあるが、そもそも60年代のキンクスはこういうスタイルだったからおかしくもない。なんだかんだと結構聴いたアルバムのひとつ。





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フレ
Posted byフレ

Comments 2

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akakad  

なんといってもDo It Againですねこれはライブでも素晴らしいです
その次のタイトル曲のリフでおお!ってなりました
この時代のキラキラ感は大好きなんでかなり気に入ってます
まあスタジオ盤で1番好きなのはPhobiaではありますが

2020/07/17 (Fri) 21:17 | EDIT | REPLY |   
フレ
フレ  
>akakadさん

正にキラキラ感(笑)。
「Phobia」良いですねぇ、来日公演の記憶があるから余計に、です♪

2020/07/19 (Sun) 21:35 | EDIT | REPLY |   

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