Rod Stewart - Out of Order

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Rod Stewart - Out of Order (1988)
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 流行モノやブーム、時代を反映した音楽の潮流とその背景。たかが音楽を楽しむだけなのに掘れば色々とアーティスト側の仕事への取り組み姿勢が頼もしくなり、当たり前だが真剣に仕事を考えどうするか、音楽的に背景的に売り方的に、更に世の中が求めている方向性、ありたい姿、自身の魅せ方など様々な思惑をレーベルや事務所と決めて役割を分担しながらひとつの集大成としてアルバムをリリースしてプロモーションのためにライブやツアーを行う。ただのミュージシャンにそこまで求めては酷だが、マドンナなんぞは自分で全てを取り仕切る立ち位置で進めている。世間的な言い方すれば独立した個人事業主がそのまま大成して大会社の社長になった事例だろうか。たまにそういう冷めた見方をするとそれぞれのミュージシャンやバンドの思惑が見えてくる場合もある。

 Rod Stewartの1988年リリース作「Out of Order」はこの時期少々時代遅れ感もあるが、売れ線のパワーステーションサウンドを全面に出した、渡米後ロッドの大ヒット作に仕上がっている。ここまでモロにパワステサウンドだったか、と久々にアルバム全編を聴いていて思った。当時はさほど興味も無かったし、パワステサウンドって飽きてたからそこにも惹かれなかったし、単にMTVで良く見かける、ホントに何曲も良くPV流れてて売れてた時期。アルバム聴いてて、聴いてたなと思う曲ばかりだし、それもそのハズ、ロッドの作品のハズなのに中途半端に歪んだギターやソロが流れていて、どうにもこれまでのロッドの印象からは異なっていたから耳についたからかもしれない。そうか、このギターはアンディ・テイラーだったのか。アンディ・テイラーってロッドともタッグ組んでこんなアルバム作ってたのか、と今更のように驚いた。しかもロッドからのラブコールで実現しているらしいからデュラン・デュランの威光が凄かったのか、アンディ・テイラーの才能がそれだけ光り輝いていたのか、バーナード・エドワーズがお気に入りだったから目立ったのか、トニー・トンプソンと相性が良かったのか、いずれにしてもそんな面々が作り上げた作品。

 どれもこれも快活でパワフルな80年代パワステサウンド、シンプルでノリの良い楽曲ばかりにアンディ・テイラーのギターが全く邪魔することなく鳴り響き、お得意のドラムサウンドが目立つ。クレジット見てて面白いのは元Studのジム・クリーガンやマイケル・ランドウあたりだ。デビッド・リンドレーもいるようだが、それだけ色々なロッドの人脈によるメンツが参加して出来上がっているアルバムで、バリエーションに富んだ作品。パワステサウンドじゃなけりゃ確かにロッドのいつもの少々暗さのある楽曲を含むアルバムだが、そこを件の二人が売れるアルバムに仕上げているのは明白。当時はそんな事考えもしないで聴いたが、なるほど音楽ビジネスだ。マニアに嫌われないためか、オーティスのカバーを入れてロッドの本領発揮を見せつけているのはブランド維持とも聴けるが、そんな深読みせずとも十二分に楽しめる作品。やはりロッドの歌は凄いです。





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フレ
Posted byフレ

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