Bryan Ferry - Taxi

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Bryan Ferry - Taxi (1993)
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 音楽はそもそもが芸術だ、と認識されるのはクラシックを代表とする高尚な音楽には当てはまるがポップスやロックの世界になるとそこまでの作品を感じる事も多くはないかも。ただ、他人とちょっと違う事が常に求められるので恐ろしく融合性が高く、何でもごちゃ混ぜにしてアーティストの音としてリリースされる音楽での遊びはある種の芸術性の高さでもあろうか。色々な角度による芸術性があるものだ。そのちょっと違う小洒落たセンスやお洒落な感覚を売りにしていわゆるダンディズム、キザ、ロマンティストと称されるムードを出しているのが元ロキシー・ミュージックのブライアン・フェリー。

 Bryan Ferryの1993年リリース作「Taxi」は全編カバーバラード曲集だが、元ネタ曲をほぼ感じさせる事のない、正に彼流のアレンジとダンディズムがまぶされた傑作。いわゆるロック野郎からしたら絶対気に入らないに決まってるキザでお洒落すぎる演出に彩られた曲ばかりで、何も残らない。その何も残らない的なキザさ加減が気に入らない。意味不明だが、そんな所が気になってしまうのは多分このアルバム、この雰囲気があまりにも自分には出来無さそうな世界観だからと気づくと、単なる嫉妬だと思い当たる。ヒネた感性かもしれないし、だから聴いていて音楽的に好きじゃないが、情景が目に浮かぶ音作りを行うアーティストとしては一級品。どこかのプール付きのホテルのバーで美女を周囲に侍らかしてカクテルやスコッチを片手に大人の雰囲気でカウンターに座っている情景。

 そんなアホな話はともかく、そういう雰囲気を作り出しているのがロビン・トロワーやスティーブ・フェローン、ネイサン。イーストにマイケル・ジャイルス、アンディー・ニューマックやアンディ・マッケイ、メル・コリンズなどなど名前をあちこちで聞く錚々たる面々。レーベル絡みやロキシー絡みもあってか人脈は広い。皆でそんなムード作りに協力しているのは凄いがそれをしっかり同じトーンに染め上げているブライアン・フェリーのセンスも素晴らしい。カバー集と言ってもそこらで聴ける曲をカバーしている訳じゃないからオリジナルアルバム的に聞けてしまうのもユニークな体験。





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フレ
Posted byフレ

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