Van Halen - Balance

Van Halen - Balance (1995)


　ドラムの音で個人を特定できるのはほとんどないが、アレックス・ヴァン・ヘイレンの深胴の音はかなり特徴的じゃないかと思う。ギターのインパクトが強いから結局Van Halenとは分かるだろうが、その前にドラムが入るので、この音はアレックスかと分かる方が先だ。どうにもハードでキャッチーなのを聴きたいと思いつつも基本ギターが鳴ってないと面白味に欠けるので、普通にハードロックを聴くが最初からVan Halen聴いちゃうと他がつまらなく聴こえるのもしょうがないか。何がそこまでの違いだと言われればそりゃドラムの音もギターの音もそうだが、何せバンド感が凄いと言うのかな。これこそグルーブ感やドライブ感だと思うが、一発録りでしか鳴らせないバンド感。

　1995年リリースのVan Halenのサミーヘイガー時代の名盤「Balance」。当時ジャケット見て、これは発禁になるかもと思ったら案の定国内盤は分裂してなかった気がする。あれだけメジャー路線なのに割とタブーに挑戦してくるのもVan Halenの面白さ、エディの笑顔があるから悪意なしが通じるのだろう。どれだけ「悪魔の〜」と言った所でヤバそうな感じしないし、このジャケットにしても同じく悪意を感じられなくてインパクトだけ。それでいてアルバムの中身が詰まってて面白い。ギターが重ねてある曲ももちろんあるが、単に４人で演奏しました的な曲のグルーブ感は他ではなかなか聴けない。やはりヴァン・ヘイレンはハードロック、R&Rバンドで、楽しめるのが良い。この時代ですらギターソロのバックはベースだけ、なんてあまり聞かないでしょ。

　そして楽曲の良さ、と言うかバランスの良さ、か。明るいアメリカンロックじゃなくてちょいと重さと陰を持ったマイナーなハードロックなのにボーカルがサミー・ヘイガーだから暗くなり過ぎないし、ギターの音色もザクザクでかなり音像が昔とは異なるが、フレーズが明るいと言うのか弾き方がロック的なのか、陰鬱さは出てこない。センスなのか狙ってるのか、シンプルにそういうのが出てきちゃうのは才能な気がする。これでサミー・ヘイガー脱退になる作品だが、時代背景的にはしょうがないだろうとの気もする。今振り返ればもっとこういう音で楽しめたのにとも思えるが、バンドはそのヘン難しいからしょうがない。丁度10年くらい在籍してたのか。それでもこのアルバムの実の濃さは聴き応えある。正に「Listen to this」。

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