Aerosmith - Get A Grip
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Aerosmith - Get A Grip (1993)

ロックバンドがメジャーシーンに登場する際、彼等が新しく音楽界の一端を担う役割だとの認識がどこまであるだろうか。ましてやそれがヒットメイカーを要求されるツラい立場に追いやられたとしたら、と考えてしまうバンドのひとつにエアロスミスが挙げられる。あの復活と活躍ぶり、セレブぶりを見ているとそんな杞憂は不要とも思えるが、実際時代を追う毎の彼等へのプレッシャーと彼等の立ち回りの上手さ、変化はロックではなく、ロックビジネスシーンの有り様を物語っているように見える。それがあからさまに出て来たのが1990年前後のロックシーンで、エアロスミスも第二の全盛期あたりが正にそれだ。
1993年にリリースされたアルバム「Get A Grip 」。そもそも再結成後のヒットアルバム「パーマネント・ヴァケイション」からずっとそうだが、外部ソングライターとの共作、もしくは受託作ばかりの楽曲によるアルバム作り。その半面、圧倒的なアメリカン・ロックアイコンとなり素晴らしき大成功を収めたので結果的には誰も文句はあるまい。これがアメリカのロックビジネスだ、とも見せつけられた面もあり、その前にはボン・ジョヴィが餌食にされているが、エアロスミスよ、お前もかとの嘆きが当時ファンの間では聞かれたものだ。聴いてみれば分かるが、とにかく快活で聞きやすくてノリノリでバラードは泣けて、腐る部分はどこもない程によく出来ている。更にエアロスミスの強みであるジョー・ペリーとブラッド・ウィットフォードのギターの色分けもしっかりしているし音色も素晴らしい。スティーブン・タイラーの歌声はそのままだからバンドに疑いはないし、色味はきちんと付いたまま。曲調がエアロスミスらしくない、などとの評判もなく、新しいエアロスミスの境地は正に王道アメリカン・ロックそのまま、と評されるほどだ。
しかし、往年のリスナーからすればこれはエアロスミスの作品ではない。英国ブルースロックに影響を受けて立ち上げたエアロスミスからは大きく羽ばたいてしまった別の立ち位置に立ったエアロスミスだ。実際その通りに本人たちもその方向性でバンドを再結成しているのだから。そもそもドラッグまみれになったのはサラリーマン的に音楽制作やヒットアルバムを求められて自身のスタンスとのギャップのジレンマに陥ったからで、そこを割り切って外部に委託してしまえばバンドは健全でいられるとの発想。なるほど、その通りだが、何か忘れてないか、との想いがリスナー側の話。演奏側はビジネスだからそうなるし、でも成功したのだからそれで良し。本作を冒頭から聴いているとホント、快活でカッコ良いし、正にアメリカン・ロック、その中でも更にカッコ良いのはエアロスミスだから、とすら言える。色々あるが、この道も正しかったのだろう。

ロックバンドがメジャーシーンに登場する際、彼等が新しく音楽界の一端を担う役割だとの認識がどこまであるだろうか。ましてやそれがヒットメイカーを要求されるツラい立場に追いやられたとしたら、と考えてしまうバンドのひとつにエアロスミスが挙げられる。あの復活と活躍ぶり、セレブぶりを見ているとそんな杞憂は不要とも思えるが、実際時代を追う毎の彼等へのプレッシャーと彼等の立ち回りの上手さ、変化はロックではなく、ロックビジネスシーンの有り様を物語っているように見える。それがあからさまに出て来たのが1990年前後のロックシーンで、エアロスミスも第二の全盛期あたりが正にそれだ。
1993年にリリースされたアルバム「Get A Grip 」。そもそも再結成後のヒットアルバム「パーマネント・ヴァケイション」からずっとそうだが、外部ソングライターとの共作、もしくは受託作ばかりの楽曲によるアルバム作り。その半面、圧倒的なアメリカン・ロックアイコンとなり素晴らしき大成功を収めたので結果的には誰も文句はあるまい。これがアメリカのロックビジネスだ、とも見せつけられた面もあり、その前にはボン・ジョヴィが餌食にされているが、エアロスミスよ、お前もかとの嘆きが当時ファンの間では聞かれたものだ。聴いてみれば分かるが、とにかく快活で聞きやすくてノリノリでバラードは泣けて、腐る部分はどこもない程によく出来ている。更にエアロスミスの強みであるジョー・ペリーとブラッド・ウィットフォードのギターの色分けもしっかりしているし音色も素晴らしい。スティーブン・タイラーの歌声はそのままだからバンドに疑いはないし、色味はきちんと付いたまま。曲調がエアロスミスらしくない、などとの評判もなく、新しいエアロスミスの境地は正に王道アメリカン・ロックそのまま、と評されるほどだ。
しかし、往年のリスナーからすればこれはエアロスミスの作品ではない。英国ブルースロックに影響を受けて立ち上げたエアロスミスからは大きく羽ばたいてしまった別の立ち位置に立ったエアロスミスだ。実際その通りに本人たちもその方向性でバンドを再結成しているのだから。そもそもドラッグまみれになったのはサラリーマン的に音楽制作やヒットアルバムを求められて自身のスタンスとのギャップのジレンマに陥ったからで、そこを割り切って外部に委託してしまえばバンドは健全でいられるとの発想。なるほど、その通りだが、何か忘れてないか、との想いがリスナー側の話。演奏側はビジネスだからそうなるし、でも成功したのだからそれで良し。本作を冒頭から聴いているとホント、快活でカッコ良いし、正にアメリカン・ロック、その中でも更にカッコ良いのはエアロスミスだから、とすら言える。色々あるが、この道も正しかったのだろう。
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